差別・偏見やヘイトスピーチを助長する「嫌韓」デマ・中傷に対抗・反論するウィキです。

『マンガ嫌韓流』の「第8話 日韓併合の真実」は在日コリアンを含めた「韓国側」と主人公らの「日本側」が歴史問題についてディベートするという内容ですが、その最初の方の場面で、「韓国側」の「これら歴史的事実<引用者注:日本による朝鮮侵略・植民地支配についての>を日本の右翼勢力は隠そうとするばかりか歪曲して正当化しようとしている!被害者側として絶対に許せない!!」「事実を正面から受け止めて真摯に反省をするべきではないのか!」という訴えに対して「日本側」の少女は次のような「反論」をします。

「いいえ 日本人は反省する必要はありません」「だってそうでしょう 日本人という理由で反省すべきと言うなら 今後生まれてくる子供も反省しなくてはならなくなりますよ」「では私自身の話でもいいですが 私が生まれたのは一九八○年代ですよ? 私は生まれた瞬間に戦前のことで反省しなければならないのですか?」「ほとんどの日本人は当事者ではないのです」「全く関係ないのに日本人として生まれたから反省しなければならないのですか!?」

おそらくは、いわゆる「嫌韓」ではない「普通の人」の中にも、こうした意見に同意する人は少なくないのではないかと思われます。たとえば「慰安婦問題」「強制連行」のような、ある意味「面倒くさい」問題で日本が批判された時に「確かに酷い話だけど、昔の話でしょ?今の私には関係ない」と言いたくなる気持ちは、分からなくもありません。しかし、「関係ない」「当事者ではない」というのは、正しいのでしょうか?

たとえば慰安婦問題で言うならば、元「慰安婦」の被害者女性たちの多くは、政府に対する謝罪や補償だけでなく「今の人たちに何があったのかを知って欲しい」と訴えています(※注1)。一方で今の日本では著名人や政治家が日本の加害責任を否定するような発言を繰り返しており、かつそうした発言が支持されたり、そうした主張をする本(『マンガ嫌韓流』も含まれる)がベストセラーになったりしています。これは被害者女性に対するセカンドレイプと言って良いでしょう。こうしたことは今現在起きていることであり、当然今生きている「私たち」「当事者」であり、大いに「関係している」ことです。

あるいは強制連行の問題。いわゆる「強制連行」によって建設された施設の中には現在も稼働しているものが少なくありません。たとえば神奈川県の相模湖は相模ダム建設によって作られた人造湖で、神奈川県の主要な水源の一つですが、その建設には強制連行された朝鮮人・中国人が数多く関わっています(※注2)。現在の「私たち」がそうした施設の「恩恵」を受けている一方、強制連行被害者に対する補償などはなおざりにされたままです。

ユダヤ系ドイツ人のラルフ・ジョルダーノは著書「第二の罪」でホロコーストなどナチス時代の罪そのものを「第一の罪」、戦後のドイツがその「第一の罪」に向き合い清算しなかったことを「第二の罪」と呼んでいます。「私たち(のほとんど)」にとって、慰安婦問題や強制連行は「第一の罪」であり、直接的な責任はないと言えるかもしれません。しかし、「昔のことだから、今の自分とは関係ない」と言ってしまえば、それは現在の「第二の罪」に対して頬かむりをすることと同じになります。



また、過去の「負の遺産」は現在の問題について考える上でも有用な「反面教師」の役割を果たします。たとえば現在話題になっている、いわゆる「ブラック企業」について見てみると、旧日本軍の体質と驚くほど共通点(社員・兵士に対する人権軽視、遵法精神の欠如、無計画な拡大主義、合理性を欠いた精神主義に対する盲信など)があることがわかります。またこれも近年問題になっている外国人研修生制度には、朝鮮人強制連行を彷彿とさせるような側面が多々見られます。



あるいは慰安婦問題なども同じです。多くの日本人は「日本を非難する口実・政治的材料」のように捉えていますが、海外ではこれを普遍的な戦時性暴力の問題として捉え、現在の問題に当たる上で参照されたりもします。そうした意味でも、過去の問題は単なる「過去」の問題ではなく、「現在」の「私たち」の問題であると言えるのです。

(※注1)慰安婦2人、癒えぬ傷痕 うそつきと言われ、訳せない話も詳しく 道内巡る(北海道新聞、2013年12月15日)

(※注2)カナロコ:歴史の暗部にいまこそ目を、相模ダムで追悼会/神奈川(2011年7月13日)

関連記事:慰安婦問題FAQ
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