冷戦時代の核実験や民間防衛をめぐるカルチャー

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Hard Rock 82シナリオにある放送原稿部分


[Duncan Campbell: “War Plan UK – The Truth about Civil Defence in Britain”, 1982, pp.25-37]

9/19
今日の議会への声明で、首相は、NATOの決定に従い、英国が欧州の軍事力増強の支援を決定したこと、及び最初の英国軍部隊が英国を出立したことを発表しました。さらに、首相は、平和的解決策を全力で探ってきたが、ソ連が軍備増強を続けており、ほかに手段がなかったと述べました。政府は欧州の軍事力増強のための施設提供の準備をするとともに、軍事力増強を円滑に進めるために緊急事態法を提案しました。

夕方の放送で、首相は国民に対して、冷静に対応し、ポイント・オブ・ノーリターンから撤退するようにソ連を説得する努力を続ける政府を支持するよう求めました。世論調査によれば、引き続き、政府の断固たる姿勢を圧倒的多数が支持しています。

産業界では、危機が長引いた場合の産業界の対処能力に対する懸念が広がっています。先月の在庫調整と休暇シーズンによる生産の減少の結果、必需品の輸入が途絶えたことへの対処がうまくいっていません。

テロ事件の増加への懸念も高まっています。多くのテロ事件が、採石場から爆発物と起爆装置が盗まれて以降に起きています。高級官僚宛の手紙爆弾も見つかっています。

昨夜、多くの警察や消防の本部と署が破壊活動分子のリーフレットのターゲットになりました。

9/20
欧州の軍事力増強という政府の決定を支持・反対する集会が、全英でありました。一部の集会ではデモも行われましたが、何事も起きませんでした。一部のグループは、ソ連が提案する国連安全保障理事会討議に参加することと、討議の前に軍事力増強を中止することを、NATOに求めました。

海外で休暇を過ごした英国人たちは、政府の指示により、英国への帰国が大幅に遅れています。帰国を待つ家族たちが、いつ帰国できるか情報を探し求めています。

買いだめにより、一部地域で、缶詰や砂糖など保存食の不足が生じています。大規模食品販売チェーンの広報担当者によれば、このような買いだめは必要ないとのことです。また、燃料不足のために、一部地域での商品補充に問題が出ているものの、全英では在庫不足は起きておらず、冷静に、分別ある買い物をしてほしいとのことです。

昨日の議会での声明に従い、軍の移動が始まり、午後には予備役招集命令が出されました。全英から予備役応召が順調に進んでいるとの報告がなされています。

9/21


全英で、集会が開かれています。

英国政府は、警察・消防・救急・地方自治体・電力・ガス・水道・中央政府各部局に対して、緊急時計画の実行開始を指示しました。地方自治体には、平時業務の中止・学校等の閉鎖・民間防衛目的での建物と物資の接収などの権限が付与されました。

放射線検出器は内務省の店舗で入手可能です。警察本部長に対して、攻撃警報システムがすぐに使えるように整備することと、非常時特別巡査の募集を行うよう指示が出ました。

9/22
議会からの圧力で、”プロテクト・アンド・サヴァイヴ”が明日の新聞に4ページにわたって掲載されることになりました。来週からはラジオやテレビでも、” プロテクト・アンド・サヴァイヴ”が放送されます。内務省は、これらの措置が核攻撃の可能性が高まっている、あるいは差し迫っていることを意味するものではないと強調しました。

軍人の家族の各港・各空港への帰国は順調に進んでいます。しかし、一部の家族には、今後必要となる援助作業が要請されています。

大都市では市民の集会が開かれ、国際情勢への市民の不安が表明されています。また、軍の施設への散発的な破壊工作が起きています。

ソ連が近海に機雷を敷設しているとの未確認情報があります。

首相は、英国による欧州軍事力の増強が順調に進んでいることを賞賛しました。

9/23
国内情勢では、昨日に続き、市民集会がニュースをにぎわわせています。市民がNATOとワルシャワ条約機構の対決が不可避であると認識するにつれ、市民の不安が高まっているとの証拠が相次いでいます。休暇を英国西部で過ごす動きが広まっているという証拠が相次いでいます。

一部の政府関係者や地方自治体職員が、国際情勢がさらに悪化した場合に使用する秘密の戦時施設へ移動し、いつでも使えるように整備を始めていると報道されています。

9/24
英国沖合石油開発協会は、すべての探査リグ・クレーン船・そのほか移動可能な沖合施設を、北海から引き上げると発表しました。これは先週の嫌がらせの直接の影響であり、北海での石油探査は事実上終了したことになります。

ソ連の破壊工作員と疑われる潜水工作員の上陸が多数報告されています。

停泊するソ連艦艇により、英国東海岸の港湾利用者に影響が出ています。これは明らかに、欧州への動員を妨害しようという意図的行動です。

9/25
一日中、さまざまな破壊工作が報道されています。これらは計画的かつプロの犯行であり、ソ連で訓練を受けた破壊工作員によるものだと思われます。

自動車連盟によれば、ロンドンを出て西に向かう交通量が増加しています。国営テレビ及びラジオは昨夜、家を離れることのデメリットを強調しました。

9/26
英国沿岸で機雷が見つかったとの報告が続いています。これらの報告によれば、機雷はNATO諸国が敷設するタイプのものではありません。

英国の一部の地域でガソリン不足が起きています。また、今日は、幾つかの都市で食料不足が起きています。地方では、燃料不足のために、在庫の補充に問題が生じています。

今朝早く、陸軍の将軍の一人が自分の車に乗ろうとしたときに、爆弾が爆発し、運転手は重傷を負いました。将軍は切り傷と打撲だけで、難を逃れました。

多くの新聞が空襲対策の入門記事を掲載しました。

9/27
今朝6時、ソ連は英国への空襲を開始しました。被害状況は公表されていませんが、政府は被害を受けたのは軍施設だけだとの声明を出しています。民間人に犠牲者が出たと報告されていますが、民間人は意図的攻撃の対象とはなっていないとのことです。

全力で工作員の特定が進められています。警察や消防の施設が破壊工作の対象となっており、さらにソ連の空襲により、状況は悪化しています。多くの市民が都市部から退避しています。

首相は公式に議会及びラジオとテレビで、英国と同盟国は、ソ連との間で戦争状態に入ったと発表しました、

9/28
過去24時間、英国への空襲が続いています。昨日、ソ連軍は英国空軍基地を攻撃しました。攻撃は30分間続きました。今朝、ソ連軍機は再度攻撃を行いました。短時間のうちに、ソ連軍は英国空軍基地及び海軍軍港など50近い目標を攻撃しました。被害状況は判明していませんが、ロサイス海軍基地が攻撃を受け、クロマーティ入り江は、空中から機雷を投下されました。全英で、多くの事故が起きており、破壊工作が続いていることが示されています。朝早くに、南部の主要港湾が攻撃を受けました。小規模ながら、ピンポイントの一連の爆発で、港湾機能に甚大な損害が出ています。

今朝の英国政府の平和への動きを支持する集会で、ソ連の目標への強い反対がありましたが、核戦争へエスカレートすることへの怖れから、NATOへ平和の模索を強化する声がありました。

都市部から退避する交通が渋滞を引き越しています。大量の車両が道路にあふれているのに加え、燃料切れの自動車が事態を悪化させています。

9/29
英国は引き続きソ連の爆撃を受けています。昨日午後には、複数の空軍基地とウィルトンの陸軍司令部が爆撃を受けました。さらに深夜前に、ポーツマス軍港が激しい空爆を受け、その地域の海軍施設が被害を受けました。同じころ、キャンベイアイランドと、エイヴォンマス港とフェリクストウ港とハーウィッチ港が攻撃を受けました。この24時間で、3回目の攻撃が、夜明けにありました。空軍基地や海軍軍港が爆撃を受け、ロンドン空港地域にも攻撃がありました。

過去24時間に、25件ほどの破壊工作がありましたが、そのすべてが成功したわけではありません。地方へと移動する人の流れは止まっていません。通常兵器による空襲が、さらに続いています。

MISAKI読み上げ



国内での破壊工作ががシナリオに入っていて、英国内務省などは懸念を持っていたようである。実際、Duncan Campbellによれば、民間防衛訓練マニュアル(1977)には、敵による破壊工作とこれを支援する反体制派についての明示した部分がある。
On sabotage, the Training Manual [Training Manual for Scientific Advisers (1977)] suggets, there is:

a potential threat to the security of the United Kingdom arising from acts of sabotage by enemy agents, possibly assisted by dissident groups. The acts could be aimed ... directly at the population. Their aim would be to weaken the national will and ability to fight. One result of sabotage would be to tie down large numbers of men on static guard duties. ...

破壊工作について、トレーニングマニュアルには:

英国の治安上の潜在的脅威は、おそらくは反体制派の支援を受けた敵工作員の破壊工作活動によって生じる。破壊工作活動は一般大衆を直接標的にするだろう。彼らの狙いは戦う国家意思と能力を弱めることにある。破壊工作の一つの帰結は、警備活動に多くの人員を割かざるをなくなることだ。

On subversion, it explains:

There exist in the United Kingdom certain dissident extremist groups which ar known to be in sympathy with our potential enemies and which can be expected to react against the good of the national in times of tension. The groups are small and for the most part exercise little influence ... Their siginificance should not be underestimated,

The threat posed by subversive groups includes formenting strikes in key industries, promoting anti-war demonstrations to turn the populace against the government and distuptive activities connected with war prepartions

破壊活動にいては:

英国には、潜在的な敵と共謀していることが知られており、危機の際には国民の利益に反することが予想される、一部の反体制過激派グループが存在する。グループは小規模で、多くの場合はその活動の影響はほとんどない。(しかし)それらの重大性は過小評価すべきではない。

破壊活動グループによって引き起こされる脅威には、主要産業におけるストライキ・一般大衆を杯政府方向に転換するための反戦デモの促進・戦争準備と関連した紛争などがある。

In Conclusion:

So long as the threat of attack on the United Kingdom exists there will be a needfor flexible, realistic and practical home defence arrangement to secure the country against the internal threat. ... Credible home defence plans prepared in peacetime by both national and local government are an essential part of the total defence posture.

結論として:

英国に対する攻撃の脅威が存在する限り、国内の脅威から国を守るために、柔軟で現実的で実践的な国土防衛策が必要である。平時に国と地方自治体よって準備された信頼できる国土防衛計画は、全防衛姿勢の不可欠な要素である。

[Duncan Campbell: “War Plan UK – The Truth about Civil Defence in Britain”, 1982, p.139]






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