カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者あさりよしとお
掲載誌学研5年の科学/6年の科学'87.10〜'06
単行本学研ノーラコミックスデラックス全12巻

 カメラ趣味、写真趣味がかなり裾野の狭い趣味であったとは言え、子供の間でそれが流行した時代は確かに存在していました。「小学〇年生」では様々な趣味について毎回一話完結の漫画で解説していた連載漫画コーナーで、
「脇を締めてカメラを構えること。ブレる元です」
「絞りとシャッター速度の関係はこうなっています」
 というようにカメラについての回もありましたし(おぼろげながら覚えているのは「アツシ」という小太りの少年が持っているカメラを「伸」という少年が借り出して、共通のガールフレンドのポートレートを撮るという話の中でカメラの扱い方を説明していくという筋でした)、小学館から子供向けに趣味やスポーツについて解説していた「入門シリーズ」の中にも「きみは名カメラマン」という本がありました。調べてみたところ1978年初版発行で、私が小学生の頃には絶版になっていました。それを知った時の写真(と言うよりカメラという金属の玩具ですか)に興味を持ちだした、末恐ろしいマセガキの悲しみはいかばかりだったでしょう。結局近くの図書館に入っていることを知り、それで読む機会を得られましたが。
 内容は子供向けだけあって、光の当たり方で写真はこんなに変わる、それぞれの季節にはこんなシャッターチャンスがあるといったことを絵解きと写真の作例で丁寧に解説してありました。それで写真の理論的なことについては大体分かりましたね。悲しいことにそれを実践で活かすまでにはまだ長い時間を要した訳ですが。
 こういう子供向けの解説書なら尚のこと、人に読んでもらう解説は分かりやすいものでなければなりますまい。私にしてもごく簡単に必要なことを表現してしまえるまでの域には達していませんが、それでも無駄を省いてコンパクトに分かりやすい解説を書くことには努めているつもりです。漫画はこういう時絵を使って著者の伝えたいことを簡単に表現できるし、子供にとっても親しみやすいスタイルであることは論を待つものではありません。その意味でも漫画は軽んじられるべき書物では決してないと思うのです。

 本題。本書は学研の教育雑誌シリーズ「5年の科学」「6年の科学」に連載されていた科学漫画で、基本一話完結で「市立学研小学校」に通うあさりちゃん、よしおくん、あやめちゃん、まなぶくんの四人の小学生が抱く疑問に毎回テーマに沿った「専門家」という怪しげなキャラクターが分かりやすく答えるという形式で進められていきます。映画館で本編前に流れる盗撮防止キャンペーンのCMに「映画泥棒」と呼ばれる頭がビデオカメラの怪しいキャラクターが登場しますが、ちょうどあんな感じで各回のテーマに合わせてデザインされてます。「るくるく」の項の冒頭でも触れた通り、常々お前のマニアさはパねぇと言われていた知人をして、
「まんがサイエンスのマニアックさについていける読者もそういまい」
 と言わしめただけあって、「専門家」の意匠や登場人物のギャグ(例:「私は伝染マンだ。言っておくが電線マンやヨンセンマンとは関係ないぞ」)、巻頭カラーの電子顕微鏡写真はもちろんのこと、カメラについてもVII巻の表紙であさりちゃんが持っているのがライカM3+ホロゴン15mmF8で、巻頭カラー口絵にドゥカティ(バイクではなくて小型カメラ。製造元は同じですが)、コンタックスI、コンタックスIIa+ステレオアダプター、コンテッサ、コンパスが登場しているのも何とも凄いです(ちなみにこのカメラはあさり氏本人所有のカメラの他に藤島康介氏の協力を得たと巻末にありました)。

 カメラ関係の話題が登場するのはV巻、VII巻、IX巻。以下そのエピソードについて解説していきます(ただしIX巻は現在入手できていないので追って追記します。ご了承ください)。

・V巻:ジロリとにらめばピントぴったり!

 タイトルから「視線入力についての話かな?」とピンと来られた方、ご名答。事情は不明ながら現行のEOS DIGITALシリーズには最新の60Dに至るも搭載されていませんが、フォーカスフレームが視線をキャッチしてそこにピントを合わせるというキヤノンのお家芸でした。尤も引き合いに出されたカメラはスチルカメラのEOSではなく、ムービーボーイE1というビデオカメラでしたが。そちらにも視線入力は応用されていたのですね。ところで専門家のMr.視線、「るくるく」のベルに似てますね。目玉をベースにした顔はもとより、黒い全身タイツ着用のような体も。登場はMr.視線の方が先で、直接の関係はないと思われますが。

・VII巻:レンズ付フィルムってAFカメラ?/電子の目でピントをチェック! AFのしくみ

 この巻のメインテーマが「『見る』科学」であるだけに顕微鏡、望遠鏡、双眼鏡についてのエピソードもあって光学機械好きにはなかなか楽しめる巻となっております。カメラについての話は上記二タイトルですね。内容はカメラの基本構造とオートフォーカスの仕組みについての解説です。よしおくんのカメラはEOS55、タイトルにはEOS3、写ルンです、解説のコマにはコンタックスIIが登場してます。モデルのあさりちゃんに横縞模様の服を着せることでAFカメラの弱点(横縞模様の被写体にピントを合わせるのは苦手。クロスセンサーが実用化されたことでそれも解決された訳ですが)を上手く説明したり、レンズ付きフィルムは絞りを絞ることでピントの心配をなくしている、一人前のカメラなら絞りを開けて主要被写体だけをくっきり浮かび上がらせることもできるということも明快に分かりますね。
 こちらの専門家の名前はカメラ・オブ・スキュラ。カメラ・オブスキュラ(暗箱)にスキュラ(ギリシャ神話に登場する、上半身が美女で下半身が魚の怪物)をかけたネーミングとデザインですね。「ファイナルファンタジー」や「聖闘士星矢」にも登場しているのですがデザインはマチマチです。本作ではイカになってましたが(おお、元祖イカ娘じゃなイカ!)。

 単行本は学研から出ていますが、子供の教育に役立つということで図書館に置かれていることも多く、ハードカバーの「図書館版」も出ています。学研の漫画と言えば売り場のスペースもそんなにありませんし、通販以外なら書店より図書館(自治体によっては図書館同士のネットワークが構築されていて、よその館の蔵書を近くの館で借りたり返したりできるところもあります)を探す方がより確実です。
 また、App Storeで有料ダウンロードしてiPhoneやiPadで読むこともできます。お持ちの方はご利用ください。

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