現在閉校中のココネ学園ですが、生徒たちは現在もいろいろな形で自習活動を続けています。お久しぶりの人もぜひ遊びに来てください♪


2011.02.20.

そろそろ始めようと思います。
これまで回数は数えていませんが、いろいろなことについてお話してきました。
冠詞、
現在完了形、
現在進行形、
未来表現、
使役動詞、
give 構文
前置詞でも on や over といった感じでアトランダムにやってきました。

今日は、句動詞に注目したいと思います。

英語では
two-word verbs だとか
phrasal verbs と呼ばれます。

take up,
give in,
hold off
などといった表現ですね。
これは、1回の授業ではとても扱いきれないほどの豊かな内容があります。
そこで、今日は、句動詞論の全体像のようなことをお話したいと思います。

まず、句動詞は形の上では
動詞+副詞
の形態をとります。
前置詞ではなく副詞です。

たとえば、
He got on the train. と 
He put on a hat.
これを比べてみてください。

get on the train / put on a hat は表面的には似ていますが
一方の on は前置詞で他方は副詞です。

He got on the train.
の場合 [on [the train]] は前置詞句です。
つまり、電車に ON の状態になったというのが He got on the train. です。
文法的には、the train は on の目的語です。

ところが、
He put on a hat.
だと [put [on a hat]] ではありません。
そうではなく、そこで He put a hat on. とも言います。これは、
He put a hat on the head.
これが背後にあります。
この場合の on は前置詞です。

ところが、帽子は頭にかぶるものという常識があるため、
He put a hat on. でも意味が通じるのです。
そして、He put a hat on. の on を前に移動させて He put on a hat. ができています。

つまり、[put on [a hat]] と put on はかたまりになり、
get [on the train] の on とは違います。

簡単に言えば、
前置詞の場合は 目的語があり、
副詞には目的語がないということです。

でも、on は on ですよね。
そこで前置詞や副詞といった区別をしないで
動詞+空間詞 という言い方をすることがあります。
つまり、空間的な意味合いを表す
up,
back,
down,
in,
off
などと、動詞が結合してできた表現ということです。

日本語では複合動詞というものがあります。
「囲む」に対して「取り囲む」
「かける」に対して「ひっかける」
たとえば、入試が終わったので
「田中先生を囲んで夕食をたべた」
これは自然な表現ですね。

ところが
「田中先生を取り囲んで夕食をたべた」
といえば、田中先生が何か暴れそうだとかそんな意味合いが出てきます。

また、お墓に水をかけた、
これは自然ですが、お墓に水をひっかけたとは言いませんね。
日本人にとっては、これは当たり前のことのように思われるかもしれません。

しかし、お茶の水大学の大学院で日本語学や日本語教育を学んでいる中国人や韓国人の留学生にとっては
その区別はものすごくむずかしいという研究報告があるんです。

指輪をトイレに流しこんだ、こういうと変ですね。
わざと、流した感じがして。
また、母親が娘を家に連れ込んだこんな言い方はしません。

でも、留学生にはその違いがわからない。
日本語検定1級をもち、しかも大学院で専門的に学んでいる留学生でも
日本語の複合動詞はむずかしいといわれます。

実は、同じことが英語の句動詞についてもいえるんです。

僕の学生で博士論文を1年前に書いたものがいます。
彼の主題は日本人による句動詞の習得でした。
参加した学生は、慶応の大学生350名ですがその内、100名程度は帰国子女でした。
そのなかでも10年以上英語圏で生活していたという人たちも多数含まれていました。

そして、結論ですが、
自然な環境で10年英語にふれていても
英語の句動詞についてはとても習得がむずかしいという結果でした。
ぼくら日本人が「母親は娘を家に連れ込んだ」という表現ですぐに違和感を感じるように、
英語の母語話者は句動詞についてなんら困難や疑問をもたず回答できます。

ということで、句動詞は自然に触れるだけでは身につかないというのが結論なんです。
そこで、体系的に句動詞力を身につけるということが求められるのですが、
それは可能だとぼくは考えています。

これからは句動詞の働きに注目していきます。

「ズボンやスカートの裾を詰める」
これを英語でどう表現するか?

長さを詰めるのであれば take up 、
大きさを詰めるのであれば take in を使います。

take はそれ自体意味の広い、応用可能性の大きな基本動詞ですが、
take それ自体には 「衣服のサイズを詰める」という意味はありません。

すると、英語の句動詞を構成する空間詞には意味を拡張する働きがあるということです。
take の意味の範囲を take in とすることでさらに拡張するということ。

もうひとつは、以前、cut についてお話しました。
そこで cut には「切り込み」と「切り離し」の2つのイメージがあることを指摘しました。

つまり、
She cut a piece of paper.
これは、ある女性が一枚の紙をハサミで途中まで切ってもいいし、
紙を二枚に切り離してもかまいません。
つまり、切り込みと切り離しの間で曖昧なのです。

すると、句動詞を構成する空間詞の2つ目の働きを「意味の鮮明化」と呼んでもよいと思います。
つまり、句動詞の空間詞には
(1) 意味の拡張機能

(2) 意味の鮮明化機能、
この2つがあるということです。

英語の句動詞の数は少なくありませんが、
同じ、動詞+空間詞の形をとっていても、意味的には4つの分類が可能なのです。
その4つとは次の通りです。
(1) 空間詞で表された状態になる
(2) 空間詞で表された状態にさせる
(3) 空間詞で表された状態を保持する、そして
(4) 動詞で表された行為を行い、空間詞で表された状態になる(する)、
この4つです。

このままでは何のことかピンと来ませんね。

(1) の空間詞で表された状態になる、
というのは come up の場合、up の状態になるということです。
come,
go,
run,
turn,
fall,
pass
などがそのグループになります。

一方、
(2) 空間詞で表された状態にさせる、
これは bring up のような場合です。
bring,
put,
let,
get
などがそのグループです。
具体的な例は後で説明します。
ちょっと辛抱してください。

(3) の空間詞で表された状態を保持する
の例は hold up です。
hold,
keep,
stay
などがこのグループに入ります。

そして、
(4) の動詞で表された行為を行い、空間詞で表された状態にする(なる)、
というのは take up がその例です。
take,
break,
cut,
stike,
など多くの動詞がこのグループに入ります。

では、具体例で示します。

The question of wage increases came up at the last meeting.
「賃上げ問題が前回の会議で出た」ということですね。

この The question ... came up は「up の状態になる」、
つまり、そういう問題が浮上してきた。
こんな感じです。

今度は、
A good salesman never brings up price until the last moment.
「有能なセールスマンは最後まで価格のことは持ち出さない」こんな感じですね。
come up は自然に「 up の状態になる」、
bring up は「 up の状態にする」ということで自動詞か他動詞かの違いがあります。

では、
He held up a rifle and shot at the target.
「彼はライフルをかまえて的をねらって撃った」ということですが、
この hold up は「up の状態を保持する」ということです。
もっとわかりやすい例でいうと。
He came back just now. / He put it back to the desk.
最初の例では「彼が戻ってきた」つまり、back の状態になった、
二番目の例では「彼はそれを机に戻した」つまり、back の状態にした、ということです。

一方、
He held back his anger.
だと「彼は怒りをこらえた」ということですが、
怒りが前にでていかないように back の状態でおさえたという感じです。

The police held back the crowd.
これも群衆が前にでていかないように、
つまり、back の状態にあるように hold したということですね。

今、お話してしているのは、
句動詞には4つの意味のタイプがあるんだ、というこです。

そして、最後のタイプ(4)は一番多くみられるものですが、
まず、動詞で表す行為をし、
そして空間詞で表される状態にする(なる)というものです。

You have to take back what you said.
「言ったことを撤回せよ」こんな意味ですが、
まず what you said を take して、
そして back (もとの状態)にせよ、
だから「撤回せよ」といった意味になるのです。

ズボンを詰める、この場合も、
take it up a little
ズボンの裾を take して、
それを少し up の状態にするということですね。

今日は、句動詞論の全体ということで、やや理屈っぽい話になったかもしれませんが、
ポイントは2つです。

第一に、句動詞は 動詞+空間詞 の形で表現される動詞ですが、
空間詞には
(1)意味を拡張する機能

(2)意味を鮮明化する機能
があるということ。
これが第一のポイントです。

第二に、動詞+空間詞の形の表現は数多く存在しますが、
意味的には4つに分類可能ということです。
(1) ある状態になる、
(2) ある状態にする、
(3) ある状態を保持する、
そして、
(4) 何かをして、ある状態になる(する)

それぞれの例として、
He came back.
He put it back.
He held back his anger.
He took it back.
を比較すれば、違いがわかりやすくなると思います。

そして、最後に、1つ付け加えます。
英語の句動詞では結合型と分離型があります。
たとえば、
He put a hat on.
これは分離型 put ... on と分離しているということです
He put on a hat.
これは結合型で [put on] がかたまりになっています。
多くの句動詞はこのいずれも可能です。
もちろん、結合か分離かによって
意味がちがってくるもの、一方しかとらないものがあります。
でも、多くの句動詞はその両方が可能なのです。
で、結合型と分離型の違いは何かということですが、
分離型の場合、空間的な意味合いがより強くなるという指摘があります。

今日は、これ以上、新しい情報を増やすことはやめておきますが、
学習の仕方についてのヒント、これを最後にごく簡単にお話しします。

句動詞は体系的に学ぶことができる項目です。
動詞では、take, get, come, put, go, bring, hold, keep など基本動詞が使われますが、
代表的なものは数が限られています。
空間詞も up, down, back, out, in, off, on などこれも数がそれほど多くはありません。

すると、動詞×空間詞のマトリックス表のようなものを作ることができますね。
横軸に動詞をリスト、縦軸に空間詞をリストするというやり方です。

すると、空間詞を共通にして動詞が変われば意味がどう変化するかこれを比較してみる。
たとえば、back は共通で、
give back, take back, come back, go back, push back, hold back ...
といった具体にといった具合に 動詞+back で見ていくやり方。
また、動詞を一定にして、空間詞の違いによって意味の変化を追っかけるというやり方
たとえば、pull away, pull back, pull out, pull in, pull through ...などがそれです。

そして、本当にこれが最後ですが、句動詞の意味は、
動詞と空間詞のイメージの結合によって作られているということを押さえるのがポイントです。

put off と聞けば、「延期する」を連想します。
しかし、put off と postpone には違いがあります。

The meeting has been postponed.
これはこのままでOKな表現ですが、
The meeting has been put off.
だと情報が足りない感じがします。
The meeting has been put off until next Monday.
これだといいですね。

では、どうして put off は「延期する」の意味になるのか?
どうして until next Monday という情報が必要なのか?

それは put のイメージと off のイメージから作られているからなんです。

put は「何かをどこかに位置させる」
off は「何かから分離する」
すると予定表の予定から off して別の日に put すれば「延期する」となるのです。

put off は「延期する」だけではなく、「集中力をそぐ」という意味でも使います。
Don't talk to me.
You're putting me off.
これがその例です。

予定表から off して別の日程に put すれば「延期する」、
集中している状態を off させて、どこかに put すれば「集中できない」となるのです。

このように put off = 延期するではなく、
put と off のイメージの結合という考えをすれば、いろいろなことがわかります。

次回は、このあたりをより具体的にお話できればと思います。
今日は、これで終わります。長い時間、ありがとう。

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