むかしなつかし「人形劇三国志」各話へのツッコミネタバレあり

あらすじ

曹操は袁術と玄徳と宛にそれぞれ詔を発させ、互ひに戦はせやうとする。
それと見た呂布は、玄徳と袁術を招き、和解させる。
孫策は父・孫堅の敵を討つため、父の形見である玉璽と引き換へに、袁術から兵を借り受ける。
玉璽を手にした袁術は皇帝を僭称する。
逆賊・袁術を討たんと、曹操・玄徳・呂布・孫策は連合を組むが、呂布は嫌気がさして途中で連合軍から抜けてしまふ。
陳登の働きによつて徐州城を奪はれた呂布は下邳城に逃れるが、水攻めにあふ。
袁術に援軍を頼むと、貂蝉を渡すなら、と云はれ、呂布は貂蝉とともに下邳城を出る。
しかし、曹操軍や玄徳・関羽・張飛一行からは逃れられず、最期に玄徳と戦つて、呂布は自害する。
それを見た貂蝉もまたみづから命を断つ。

一言

あひかはらずめまぐるしい展開。
演義でいふと十五回の途中から十九回といつたところか。
孫策と太史慈の話とかないし、張繍と賈詡も出てこないし、夏侯惇は目を食べたりしない。
四回半分くらゐあると、出てこない話がいろいろあるのは、まあ、仕方がない。

冒頭、いきなり程昱と夏侯淵となにやら陰謀をめぐらせてゐるやうな雰囲気の曹操がいい。夏侯淵に耳打ちしたりして、別に程昱になら聞かれてもいいのに、と思つたりもするが、そこはあくまでも「陰謀を企んでゐるやうな雰囲気」が出ればいい、といふところだらう。

曹操のはかりごとにより詔を受けて戦ふ袁術と玄徳。ま、玄徳は例によつて戦ひたくないわけだが。
そこで呂布が双方を呼び寄せて、和議をもちかける。
演義だと袁術側から出てくるのは紀霊なんだが、人形劇では袁術が何人か引き連れて出てくる。見栄えとしては、この方がいい。玄徳側は玄徳・関羽・張飛なんだしね。
ここの袁術のわがまま殿様つぷりがいいね。後々これが効いてくるんだよね。ま、まちつと後のことだけど。「来るか!」と机をぱーんと払ふあたりとかはやうすさへいいぞ。
呂布は紳々に槍を持たせて、矢を射る。紳々でなくてもー、と思ふが、そこは人形劇三国志だからなあ。
矢はみんごと命中して、袁術は天命といふことで、玄徳はもともとの希望どほり兵を引くことにする。

ここの、轅門の呂布、いい感じなんだよねえ。
「お招きしたこの儂をそつちのけに、この席を血で汚すおつもりか」なんてなあたり、やうすがよくつて見惚れるよ。
袁術と玄徳と、双方に和睦を結ぶやう持ちかける、なんだかちよつと知将の趣すらある落ち着きぶり。
有り体に云ふと、「らしくない」わけだが、そのらしくなささへ「呂布らしい」のかもしれないなあ、と見ながら思ふ。
この活躍ぶりからは、今回で最期を迎へるとはとても思へない。
そして、この振り幅が呂布の「らしさ」であり、魅力であり、ひいては人気の所以なのだらう。

「なにがなんでも曹操を利することはしたくない」といふ点では一貫してるんだがね。

さうなるとおもしろくないのは曹操で、今度は呂布が猪狩りをしてゐるところに偽の密使を走らせて、玄徳と曹操が通じてゐるやうに見せる。
呂布も、なあ、せつかくさつきの轅門のところではやうすよく決めてたのに、この程度の策略にひつかかるとは、なあ。それも呂布らしいといへばさうなんだが。
そして、なぜかその場にあらはれる程昱。フットワーク軽過ぎ!
ここのBGMが、ちよつとジャングルスタイルを思ひ起こさせるやうなミュートつきのラッパの音で、とてもよい。

で、呂布の攻撃を受けて玄徳・関羽・張飛はちりぢりになる。よくちりぢりになるよな、この三人。玄徳なんか、母親と淑玲は関羽に任せちやふんだぜ。関羽になら、とは思ふものの、納得できないのはなぜ。
そして、逃げる玄徳の前に程昱が。このために来てゐたのか、程昱!

玄徳に好き放題云はれても、「お主なら特に許す」とか云ふて、笑ふ曹操。度量がデカい感じがする。だいたい、曹操、第一回の初登場のあたりから、異様にやうすがいいよな。悪役つて感じぢやないんだよな。

紳助竜介の三国志ミニ情報は、玉璽のこと。
紳助は竜介に玉璽はなにでできてゐるかと訊いてその答へをバカにするが、紳助もわかつてゐないことがよくわかる。

孫策が袁術に兵を貸してくれと頼む。松橋登祭りだぞ。
今回はこのあとに玄徳と典韋ふたりだけの場面の谷隼人祭りとかもある。
玉璽を質の方に、と云はれてころりと態度を変へる袁術やよし。かういふところ、ブレないよなあ、袁術。

孫策の活躍についてはなにもなく、単に題字で知れるのみ。「小覇王」と呼ばれる、とかさ。

袁術が家臣を集めて皇帝を名乗ることにする。ここ、よくぞこれだけ人形を集めたなあといつも思ふ。

曹操は、玄徳・呂布・孫策と袁術討伐連合軍を組まうとして、この話をする玄徳に持ちかける。玄徳は、自分と呂布との仲をさいたのは曹操だと思つてゐるといふやうなことを曹操に云ふ。そんなはつきり云はなくても。やはり玄徳は人形劇三国志中におけるキング・オブ・空気読めないさんだなあ。

連合軍は成るのだが、たうとう呂布の堪忍袋の緒が切れる。
「オレはもう曹操のために働くのはゴメンだ」
呂布の云ふことももつともなんだよね。袁術を倒したあと、曹操の矛先がどこに向かふか。自分だらうつていふ。
陳宮は、しかし、今曹操に逆らふべきでない、それは自滅への道だと云ふ。
呂布はだだつ子のやうに、曹操と組むくらゐなら逆賊・袁術と組む方がまし、といつてきかない。

ここで、曹操は玄徳に呂布討伐軍の大将をまかせ、典韋をつける。
敵軍とおぼしき相手と思つて戦つてみたらこはいかに。これが張飛の率ゐる軍だつたりして。

玄徳と張飛は、その夜(多分)、「関羽はどうしてゐるかのう」と話し合ふ。
張飛は、関羽のことだから絶対大丈夫、玄徳の母と淑玲も無事にきまつてる、といふやうなことを云ふ。
第17回のときもさう云へればよかつたのにねえ。

このあと、玄徳・張飛・典韋と呂布との戦ひになつて、玄徳側が劣勢に立つが、ここで関羽が援軍を引き連れてあらはれる。
敗走する呂布は徐州城に戻るが、陳登がクーデターを起こしてゐて、中に入ることができない。
陳宮に小沛城へ行くやうすすめられるが、呂布は貂蝉のゐる下邳城に行くといふ。
「猛将、呂布奉先。もはやこれまでか」といふ陳宮のしぼり出すやうなセリフが、呂布の、この話の行く末を語る。陳宮に、下邳城はふたつの川にはさまれてゐて、自分が敵なら川を切つておとして水攻めにするだらう、とつぶやかせておいて、そのとほりになつてゐる、といふ展開。

貂蝉の胡弓の音の響く中、水に沈む下邳城を眺める関羽と、そんな関羽に話しかける玄徳。
ここの関羽のやうすが、實にいいんだなあ。哀愁の横顔、みたやうな感じで。
さつきの玄徳と張飛の場面とちがつて、こちらはおとなな二人の語り合ひつて感じ。
玄徳はあひかはらずずけずけとものを云ふから、貂蝉について「思へばあはれな女性だな」といふやうなことを云ひ、「ほんたうに好きな男は関羽、おまへなのにな」みたやうなことを云ふ。さういふこと、はつきり口にするなよ。もう、ほんとにキング・オブ・空気読めないさんの面目躍如だな。

そして、ひとり胡弓を弾く貂蝉のもとにあらはれる呂布。
「好きだ」と云ひながら、援軍を頼んだ袁術に「貂蝉をくれるなら」と云はれた、と貂蝉に告げる呂布がねえ。せつない場面のはずなのだが、呂布の身勝手さばかりが目立つんだよなあ。

貂蝉を連れ、陳宮を供に、呂布は下邳の城を出る。
そこにあらはれる曹操とその軍。あらさつき、「袁術のことがあるから儂は都に残る」みたやうなことを云つてゐなかつたつけか。
陳宮が呂布と貂蝉を逃がす。

呂布に追ひすがる玄徳たち一行。
「玄徳、オレがこの世で一番憎い相手は曹操だ。だが、一番戦ひたい相手は、玄徳、お主だ」つて、呂布、玄徳相手なら勝てると思つたかい? ここのセリフにはいつも笑はせられる。呂布が戦ひたい相手が玄徳つて……。あり得ん。
それとも、あれか。演義だと、呂布は妻や妾に「戦はんといて」と頼まれて、酒色に溺れて衰へちやふ、といふ展開なんだが、そんな自分は精々玄徳程度としか戦へない、といふ、さういふ思ひだつたのかな。

曹操は、陳宮の才を惜しむが、陳宮は曹操のために働くなんてとんでもないとばかりに無謀にも戦はうとして死ぬ。
陳宮、呂布のどこが曹操よりよかつたのかのう。確かに、呂伯奢殺しのやうなことがあつたら、「あんな奴、絶対イヤだ」と思つて当然とは思ふが、しかし、呂布だつて褒められたもんぢやないと思ふんだけどなあ。たまたま馬があつたのかなあ。或は、曹操は御せなくても、呂布ならなんとかなると思つてゐたのか。
謎のままである。

そして、玄徳には人殺しはさせない人形劇三国志。
呂布は自害。いまはのきはのことばは「貂蝉……」。
貂蝉も、みづから胸をついて死ぬ。関羽の腕に抱かれて、「関羽さま、今度生まれてくるときは、きつとあなたの妻に……」と云ふてこときれる。
関羽はそんな貂蝉の亡骸を呂布の隣に横たへる。
ふたりの亡骸の上に雪は降り積む。

呂布は、最後まで貂蝉の心に住む男のことを知らなかつたらう。
知つてゐたら、「ほんたうに戦ひたい相手は、関羽、お主だ」と云つただらうか。
多分、云はなかつたらう。
曹操とおなじくらゐ、否、曹操よりもにつくき相手になつたかもしれないが、それでも呂布の一番戦ひたいと思つた相手は、玄徳。
そんな気がする。

最後、いつもはある紳助竜介の「人形劇よみきり三国志、本日はこれまで」がない。
呂布の死は、それだけ重たい意味を持つてゐたんだらうねえ、人形劇三国志的に。

脚本

小川英
四十物光男

初回登録日

2012/12/02

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