むかしなつかし「人形劇三国志」各話へのツッコミネタバレあり

あらすじ

長安に遷都してますます専横を極める董卓は、司徒王允に、帝を廃してみづから帝位につく計画を打ち明ける。董卓に協力するやう迫られた王允は、養女貂蝉を使つて董卓と呂布とを仲違ひさせんと目論む。
王允の連環の計にはまつた呂布は董卓を殺害する。

一言

演義でいふと第7回の一部と8回、それに9回の頭、といつたところか。
7回からは蒯良に図られて孫堅が死ぬ場面が取られてゐる。

この回、月夜とか黄昏時の表現が大変にうつくしい。
月夜の場面といつて、出てくるのは董卓と王允で、そこんとこは別段うつくしくもなんともないのだが、空に浮かんだ月と夜の雰囲気がいいんだなあ。月も満月とか三日月とか、さういふよくある形ではないところがまたいい。

冒頭、董卓と王允が会食してゐて、そこに紳々竜々がもともと曹操軍の兵だつた一団を引き連れてやつてくる。敗残の兵は道の普請とかにあたつてゐて、それが終つて引き上げてきたのさね。
この元曹操群の一団を殺せ、と、董卓は紳々竜々に命じるが、紳々竜々は人殺しはできないとか云ひ出す。前回の活躍(?)で、せつかく侍大将になつたといふのにねえ。
結局その場にゐた呂布が紳々竜々の代はりに兵たちをばつたばつたと斬り倒すことになる。斬つてゐるところは見せないで音だけで表現してゐるんだけど、最後の方で一回ほど時代劇の必殺シリーズを思ひ起こさせるやうなリアルな音がまぢつてゐて、ちよつとびつくりする。
王允は目を覆つて「なんてこと」つて感じ。そんな王允に「丞相にさからつたらどうなるかおわかりですな」的に小声で話しかける李儒がイカす。

自宅で王允は一度は連環の計を図るんだけど、まだ早いとか云ふて、貂蝉を呼び止めるもなにごともなかつたかのやうなそぶりを見せる。

演義では平原に封ぜられて出番のない玄徳一行がここで出てくる。襄陽の劉表のもとにむかつてゐるんだな。玄徳は「血を流さずして平和を得られぬものか」みたやうなことを云ふんだけど、そんなこと云つてるから平気でバシバシ弱兵を斬り捨てちやふ呂布とかに出番をもつていかれるのでは、とか、よけいな心配をしてしまふ。

劉表は孫堅からの攻撃を受けてゐて、玄徳一行が袁紹に援軍を求めに行くと出て行く。
孫堅は、劉表が袁紹の援軍を得たら面倒だといふので、玄徳一行の行く手をふさがんとみづから出馬する。ここで程普が一生懸命とめるんだけどねー。「帥」の字の大将旗が折れたりするしね。孫策も止めるけど、云ひ出したらきかない孫堅。なんか、死亡フラグ立ちまくりなのになー。
蒯良は孫堅が自身で出て行くだらうと見越して、劉表に、今なら孫堅を討てるから兵を出させてくれ、と申し出るけど、劉表は「玄徳にムダな戦ひはするなと云はれた」とかいふやうなことを云つて、許可しない。許可しないけど、蒯良は勝手に出てつちやふんだな。ここでなにかを企んだやうな表情を見せる蒯良は、どことなくテリー・ジョーンズを彷彿とさせるやうな感じ。なんでさう思つたのか我ながら不思議だけど。

孫堅は蒯良の策にはまつて死ぬ。演義だと脳みそもぐちやぐちやみたやうなすごい死に方になつてゐるけど、人形劇ではもつとソフト。ま、そんなもんだよな。

孫堅の死について、袁紹と曹操にインタヴューする松本竜介特派員、なんぞといふミニコーナーがここではさまれる。
竜介も云つてるけど、「ノーコメント」とか云つておいてべらべら喋る曹操がイカす。

孫堅が死んだことで、董卓はみづから帝の位につくことを決意し、それを王允に内緒で話す。
ここが最初に書いた月夜の場面。

王允は、時至れりと、貂蝉に頭を下げて、董卓と呂布とを手玉にとつてくれ(つて書くと身もふたもないなあ)と頼む。
貂蝉は「私にそんな大それたこと、できますでせうか」といつた感じ。演義だと「おまかせあれ」つて感じだよね。演義のこの貂蝉をもつと敷衍したのが、柴錬三国志の池の鯉をいぢめてうつくしくも残忍な笑みを浮かべる貂蝉なんだらうな。

まづ貂蝉に引き合はされるのは、呂布。

王允宅で会ふんだけど、その前に出かけるつていつて、美芳の屋台で飲んでる紳々竜々に「支度しろ」とか云ひながらぽかりぽかりと殴る呂布が暴君な感じでいい。

ここの呂布が、ねえ、今あらためて見るとあはれでたまらないね。
めちやくちや強いけど性格はいたつて単純な呂布の、その単純さが純粋さとなつてあらはれる。
襟元に指を入れてみたり、目の動きのきよときよとと挙動不審な感じがはじめて戀に落ちた男の子だらう、それぢやあ。

本放送当時も今も、「なんで呂布にそんなに人気があつたのか」と不思議でならない情けないやつがれだが、「もしかしたら、かういふところがよかつたのかも?」と思ふ場面でもある。
「かういふところ」といふのは、めちやくちや強くて単純で、でも、なんか、こー、純情なところ、ね。

次に王允は貂蝉を董卓に披露して、董卓は気に入つて娶ることにする。

呂布は董卓の屋敷に入り込んで、庭の蓮池でひとり悲しみにくれてるふりをしてゐる貂蝉にさらにたぶらかされる。
たぶらかされてゐるとも知らず、貂蝉を抱きしめる呂布の必死な姿に、またもやあはれをもよほすんだよねえ。「あんた、ダマサレてんだぜ!」と、教へてあげたいのは山々だが、もうああなつては他人の云ふことになど耳を貸さないだらうなあ。
また、貂蝉に話しかけるときの呂布の聲のやさしげなことといつたら、ねえ。これはこの後の回とかでもさうなんだけど、貂蝉と話すときのやはらかな聲こそあはれなれ、ぢやよ。

王允は王允で、董卓に「実は貂蝉には悪い虫がついてゐまして」とか云ふてるし。悪い虫かどうかはともかく、「思ひを寄せる男がゐる」と聞いて、つい「関羽?」と思つてしまふのはお約束だらう。

董卓が蓮池に飛んできて、呂布の得物を取り上げてドタバタするうちに呂布は逃げて、さて、今度は董卓をたぶらかす番だぞ、貂蝉。
董卓はさすがに一度は貂蝉を疑ふけど、なんかそのままなしくづし的に云ふこときいちやふんだなあ。実に恐るべきは十六歳の娘、といつたところか。

赤兎に乗つて逃げる呂布が、心情を吐露する、ここの激情に駆られたセリフもまたよし。完全にいつちやつてるよね、特に最後に叫ぶ「貂蝉ー!」とか。
あと呂布つて目の形のせゐかもしれないけど、ときどきものすごくあつちにいつちやつてるやうな目をするときがあるんだよね。目尻の赤い線がまた効果的。

演義では李粛も董卓暗殺の仲間になつて、帝が譲位したいつて云つてるつて董卓を迎へに行くし、道中董卓の死亡フラグがたちまくつてるところをうまいこと云ひ抜けたりするんだけど、さういふのは一切なし。

護衛のものたちから引き離されてひとりになつた董卓を、物陰に隠れてゐた呂布が襲ふ。
夕日の差し込む部屋でふたりとつくみあふ姿はいつそ無様であり間抜けである。
そして、屏風越しに、董卓が呂布に刺されたさまを描写する。
ニクい演出だよねえ。

劉表のもとから平原に帰る途中とおぼしき玄徳一行の前に曹操が突然あらはれて、董卓の死を伝へる。
仲間にならないかと誘ひつつ、それはさておき今宵はとりあへず一献酌み交はしつつ天下について語らうぞ、といふ曹操がいいなあ。
最後は曹操と玄徳、関羽、張飛の四人で笑ひあつたりして。なんだか爽やかだぞ。
今回は捕虜の惨殺にはじまつて孫堅の死、董卓の死といろいろあつたから、せめて最後は爽やかに、といふ演出なのかもしれない。

脚本

田波靖男

初回登録日

2012/11/11

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