人の脳には約140億の脳神経細胞があり、20歳を過ぎると1日約10万個ずつ減っていくといわれています。
  • 脳神経自体の機能も年とともに衰えきます。
  • 脳神経細胞の減少
  • 機能低下
「もの忘れ」は「老化現象」であり、「認知症」は「脳という臓器の病気」なのです。
しかしながら、両者の見極めは非常にむずかしく、
家族や本人に「まさか 認知症ではないだろう。」という楽観的な思い込みがあり、
発症から受診までに非常に時間がかかる場合が多いのです。    
ある病院のアンケートでは受診患者の約7割の家族が「おかしいな。」と気づいてから
医療機関に相談するまでに2年以上かかっているとの結果が出ています。


「昨日の夕食メニューはなんだったかな?」
「よく知っている人の名前がでてこない。」など、
年齢を重ねると、ちょっとした「もの忘れ」が多くなるものです。
これは老化に伴う自然なものですので、誰にも起こりうることです。

「老化現象としてのもの忘れ」は一時的なもので、
記憶は脳にきちんと残っているため
何かのきっかけがあれば、思い出すことが出来ます。
また「忘れたことを自覚」しているのが特徴です。

ところが、認知症における「もの忘れ」では、
何かの体験や経験を丸ごと忘れてしまいます。
記憶自体が消えているので、思い出すことが出来ません。
また忘れたことを自覚していません。

もの忘れが気になり始めたら

■もの忘れの種類は2種類
もの忘れは、「病的なの忘れ」と「生理的なもの忘れ」という二種類に分分類する事ができます。
【病的なもの忘れ】朝食を摂ったことそのものをすっかり忘れてしまう場合は「病的なもの忘れ」です。
【生理的なもの忘れ】食事をしたことは覚えているが、
どんなものを食べたかと言う食事の内容を忘れてしまった場合は「生理的なもの忘れ」になります。
上記のふたつの「もの忘れ」を比較して考えてみると、
誰しも「病的なもの忘れ」よりも「生理的なもの忘れ」の方がまだ問題がないと思うのではないでしょうか。

医学的な観点から見てみると、これまでは、「病的なもの忘れ」ばかりが重要視され、
「生理的なもの忘れ」は年齢を重ねることによる、いわゆる「老化現象のひとつで、
仕方のない事」として特に対処されてきませんでした。
しかし、最近の研究では、「もの忘れ」は種類があるのではなく、
「もの忘れ」のレベルが違うだけ」という風に考えられるようになってきました。
病的なもの忘れは激しいもの忘れなので、誰もが危険だなと感じると思います。
しかし生理的なもの忘れはどうでしょうか?

【認知症のシグナル】
今まであまり重要視されていなかった生理的なもの忘れも、
そのまま、何の手立てもなく、もの忘れの繰り返しを放置していると軽度の認知症になり、
さらにアルツハイマー型認知症へと進行していく可能性が高いと言われるようになりました。
病的なもの忘れも生理的なもの忘れも、脳の機能が衰えてきたことを知らせるシグナルであるということにおいては何ら、
変わりはありません。
ぜひとも、そのシグナルを役立てていきたいものです。

■認知症ともの忘れの関係
認知症ともの忘れには非常に密接な関係があります。
最近、もの忘れが頻繁になってきたなと感じたら、
まずは、「認知症ではないか?」と疑ってみてください。
例えば、代表的な症状が「食事をした事実を忘れる」「同じ質問を何度も繰り返す」
「日付がわからない」「以前は好きだったものに無関心になる」などです。
他にもいろいろな認知症が疑われる症状はありますが、
これらの症状が出た場合はすでに認知症が進行していると言われています。

■アルツハイマーともの忘れ
もの忘れはそのまま何もしないで、
放置しておくとアルツハイマー型認知症になる可能性が高いと言われています。
アルツハイマー型認知症の予備軍とされている人口も非常に多いといわれていますが、
その対象者は高齢者に限ったことではありません。
実は、40〜50代の働き盛りの方にも予備軍が非常に多いのです。
例えば、「仕事上でミスが多くなった」「人の名前を覚えられない」
「集中力が低下している」「取引先への訪問時間などを思い出せない」
「物をよくなくす」などは危険信号だと言われています。
もしも、これらの症状が頻繁に起こっているようであれば、
軽度の認知障害ではないか?と疑った方が良いでしょう。
しかし、日常生活が不自由でなければ、病院の診察では認知症と診断されない事も多いのです。
アメリカでの調査では、軽度認知障害をそのまま放置しておくと、
1年後で10〜15%、6年後で約30%の人がアルツハイマー病になってしまうという結果が出ています。
もの忘れを単なるもの忘れとして軽視すべきでないでしょう。

■もの忘れと生活習慣
当然のことながら、脳の機能は加齢とともに低下していきます。
これは加齢と共に体力や筋力が低下していくのと同様です。
しかし体力や筋力は毎日の食事や運動習によって、その低下を防いだり、
または向上させることができます。要するに、体力は鍛えることができるのです。
そして私たちの脳もまた、同じように、鍛えることで、機能の低下を防ぎ、
もしくは、向上させることが出来るのです。
毎日、積極的に脳を使う習慣をつけることによって、脳の機能の低下を防ぐことができるのです。
最近、「もの忘れが多くなった」と感じたり、「言いたい言葉がなかなか出てこない」など、
何か思い当たることはありませんか?脳を鍛えることによって、
こういった症状が改善される可能性は大いにあります。

■脳を使う習慣を
では、「脳を使う」というポイント、日常生活を見てみましょう。
たとえば、「人や物の名前が出てこない」、「必要な事柄を思い出せない」と
戸惑うことがあるとしたら、どう対処しますか?
なんとか、思い出そうと努力しますか?
すぐに誰かに尋ねたり、インターネットで検索したりしていませんか?
自分で思い出そうとしないと、脳神経が怠けてしまい、どんどん忘れっぽい人になってしまいます。
何とか、思い出したり、考える習慣を身につけましょう。

■脳を活性化する生活習慣
さらに、運動や食事といった基本的な生活習慣も大変重要になってきます。
栄養の偏りや運動不足は神経のはたらきを鈍くし、もの忘れの起こりやすい素地を作ってしまいます。
特に、食事は規則正しく、栄養バランスの取れた内容ものを摂ることが大切です。
また、ストレスは集中力の低下を招き、もの忘れを引き起こす原因になることが知られていますが、
ウォーキングやジョギングなどの軽い有酸素運動はストレスの解消に有効です。

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