退廃的文明開化

時間を忘れてプレイし続けた超おすすめできる作品です。

	マルコと銀河竜 〜MARCO&GALAXY DRAGON〜
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	85	90	90	90	90	95	89	Ａ
	銀河を駆けるトレジャーハンターのマルコとアルコが故郷の地球で宝物を見つけるために巻き起こすドタバタ喜劇アドベンチャー。日常に隠れた綺麗な輝きを拾い上げるような純朴なテキストは流石のはとゲー。カートゥンという古きアニメの表現技法と細かな演出や大量のＣＧを駆使した最新のヴィジュアルノベルを見事に融合させた今までにないスペクタクルノベルゲーム。随所に挟まれるミニゲームもHARUKAZE作品らしさを感じられる。プレイ時間は５時間ほどと本編のプレイ時間の割に値段が高めの設定だが、個人的にはそれだけの価値があると感じた。プレイを悩まれている際は体験版をプレイし、費用対効果を見極めたうえで購入することを推奨する。

	WORLD END ECONOMiCA
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	95	95	90	80	85	70	89	Ａ
	莫大な富と夢が集まる人類のフロンティア、月面都市。月生まれの家出少年である主人公は遠大な夢の実現のため人類の欲望を喰らい増長を続ける「株式市場」へと足を踏み入れる。目指すは世界の果て、人類未踏の地。すべてを出し抜き、月面都市で誰よりも大きな夢を掴め。投資などの金融を中心とした経済をテーマに心の成長とどこまでも人間臭いドラマを、近未来的でありながらも幻想的な都市デザインの中で描いたエコノミカルラブロマンス。本作は3つのEpisodeから成るがAmazon等でEp.3のみ購入すればEp.1やEp.2もプレイできる。各Epのプレイ時間は8hほどだが経済学という観点から見ても濃密かつ幕間の補完のさせ方が上手いため完成度が非常に高い名作シリーズ。

	ChuSingura46+1-忠臣蔵46+1-武士の鼓動
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	90	90	80	90	95	89	Ａ
	動乱の幕末、長州藩に新撰組そして、赤穂浪士。前作で生まれた歴史の齟齬を正すため、現代日本の礎ともなる江戸時代最後にして最大の下克上を切り開く。メインヒロインと別れの刻限が迫る中にある切なくも綺麗なアフターストーリーを描いているだけでなく、多くのユーザーの希望を性的に叶えたであろうシナリオ構成やエクストラストーリーも必見。『ChuSingura46+1-忠臣蔵46+1-』ファンならば必ずプレイするべき名ＦＤだ。

	虚構英雄ジンガイア
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	100	95	85	70	85	65	88	Ａ
	主人公の神原英雄は妻に息子、娘と共に狭いアパートで裕福ではないが幸せに過ごしていたが、ある日世界は突如崩壊した。崩壊後の世界には巨大ロボット『ジンガイア』となった息子とその搭乗者となり謎の巨大怪獣を倒す『ヒーロー』の妻がいる。狂った世界で無力な主人公に父親としてやれることはあるのか。これは地獄の世界でいつか父親になる物語。いくつもの視点が交錯しそれぞれの人生や人間関係、葛藤を描きながらもその全てが虚構英雄ジンガイアという一つの重厚な物語を作り上げていく。数多の伏線にその生涯を賭けるような熱いバトル、複雑に入り組んだ設定と父親目線の家族愛が魅力の傑作アドベンチャー。ディスクの入手難度は高いが作品データの譲渡が公式に許可されているため実質フリーゲーム。連絡はお気軽に。

	時計仕掛けのレイライン −残影の夜が明ける時−
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	90	95	85	85	85	88	Ａ
	レイラインシリーズの二作目として正しく前作の良さを引き継いでいる。また、黄昏時の境界線で散りばめた布石を意識しながら推理の過程を描くことで、丁寧に風呂敷を広げ、終盤に見事な一つの線を作りあげる怒涛の展開はもはや圧巻の一言である。様々な事件を経て変化していくキャラクターたちの関係性、よく考えられた物語のトリックの数々、パワーアップしたＢＧＭなど、より深度を増すレイライン世界を感じられる素晴らしい作品。

	パルフェ 〜chocolat second brew Re-order〜
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	95	95	90	70	85	75	88	Ａ
	中世ヨーロッパの街をイメージした大型ショッピングモール「ブリックモール」に出店した喫茶店「ファミーユ」を舞台に繰り広げられる笑いあり涙ありのドタバタ純愛ドラマ。王道を意識したシナリオ展開は飽きること無く読み進めることができる。また洗礼された丁寧で無駄のない心理描写と温かくも笑いを誘う軽快なやり取りも流石。しかし、それまでの全ての意味が変わる里伽子ルートは最後にプレイすることを強く推奨する。

	この青空に約束を―
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	90	100	65	95	75	88	Ａ
	本州から南に離れた南栄生島にある高見塚学園の学園生が暮らすつぐみ寮は来年の３月に廃寮が決定していた。寮内最後の三年生の卒業とともに離れ離れになることを約束されている寮生たちは廃寮を早めようとする寮外の陰謀に立ち向かい、大切な居場所を守りながら限られた時間の中で絆を深めていく。温かい人間関係が魅力の青春物語で丸戸作品における擬似家族の頂点。やがて訪れる『約束の日』に心を通わせあった少年少女は何を思うのか。

	穢翼のユースティア
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	85	100	80	90	90	88	Ａ
	浮遊都市ノーヴァスアイテルには上層と下層と牢獄と呼ばれる三つの層が存在した。牢獄に生きる主人公は翼を持った少女と出逢い都市の運命の歯車に巻き込まれていく。完成度の高いダークファンタジーな世界観と幻想的な音楽を際立たせる演出はまるで一つの映画のようで、最後まで没入感を損なうこと無く物語を進めることができる。今までプレイしたエロゲの中で一番時間を忘れてプレイしたオーガストの傑作。

	Ever17 〜the out of infinity〜
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	100	80	95	75	90	80	88	Ａ
	海中に沈む飽和潜水仕様の海洋テーマパークＬｅＭＵに突如緊急避難警報が響き渡る。不幸にも逃げそこない、浸水するＬｅＭＵ内に取り残されてしまった人々の脱出劇。舞台の設定や特殊用語、理論がよく練られており、近未来ＳＦチックな作風になっている。作中の随所にはとあるトリックが仕掛けられており、各ルートをクリアしても謎が深まる仕様となっているが、グランドフィナーレでの怒涛の伏線回収は見事というしかない。ｉｎｆｉｎｉｔｙシリーズ最高傑作。

	THE BEAUTIFUL WORLD/Les Enfants Terribles
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	95	85	75	90	70	87	Ａ
	家庭の事情により新しい街へと引っ越してきたばかりの主人公が起こす行動は、部活動や他者といったフィルターを通して連続殺人事件へと繋がっていく。猟奇描写のある怪事件を推理し複雑に絡む糸を解すサスペンスADV。『らくえん〜あいかわらずなぼく。の場合〜』で愉快な堕落を描いた連悠太氏が送る新境地が体感できるが、ここでも浮かび上がらせるのはやはり人間であり、醜く綺麗で異常で正常な均整の取れた美しい世界である。『TECH GIAN 2011年10月号〜12月号』に第一部を三章に分けて付録されているため入手難度は高めだが、もしも縁があれば是非ともプレイしてもらいたい。

	ノラと皇女と野良猫ハート
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	85	90	90	85	90	80	87	Ａ
	冥界皇女とネコになった主人公と個性的な幼馴染達の中で巻き起こるドタバタ喜劇かと思えば、巧みに背景や心情を描写し、身近にある小さな疑問から様々な社会問題や命題にも着目したライトな社会派哲学ゲー。コメディテイストで進む物語の中で、不意に混ざる文学的で感性に訴えかける文章は、現実の不条理さとそれに立ち向かう勇気を心で理解させる。極端に少ない地の文やナレーションの存在にキャラクターが好き勝手に喋る空間といった独特な世界観が魅力の、合う人にとってはとことん面白い異色作。

	Summer Pockets
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	85	85	90	85	95	85	87	Ａ
	夏休みを利用し、過去訪れたことがないはずなのに何故か懐かしい気持ちになる鳥白島にやってきた主人公。その島で出会うヒロインたちと思い出を育み、限られた時間を眩しい思い出に変え、小さな冒険から大きな絆を結び、諦めないことで広がる可能性を知っていく。そんな眩しかった夏に、もう一度出会える物語。様々な箇所にKEYの過去作を彷彿とさせる要素が散りばめられており、まさしく集大成とでもいうべき作品だが、それをデジャブと一蹴するか、懐かしさに浸れるかによって評価が分かれるところだろう。

	智代アフター〜It’s a Wonderful Life〜
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	95	90	65	90	80	87	Ａ
	前作『CLANNAD』のヒロインである智代の後日譚。Ｋｅｙ作品にしては珍しく奇跡の起きない物語であるため賛否両論ある。キャラクターの成長と朋也の奮闘を丁寧に描いており、理不尽も起こる現実の中で心から相手を受け入れて強く愛し続けることの意味に触れた力強いテーマを感じる作品。また本編クリア後に出現するある選択肢を選ぶことでプレイ可能になるおまけのＤ＆Ｔ（ダンジョンズアンドタカフミズ）が中々面白く、クリアまでに本編よりも時間がかかる。

	Dies irae 〜Acta est　Fabula〜
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	80	85	100	90	90	85	87	Ａ
	自称『１４歳神』のシナリオライター正田崇による『神様シリーズ』の第二作。様々な中二要素を含んだ究極の燃えゲーであるが、精巧に計算された濃密なテキストと徹底的に無駄を排した洗礼された用語、美しくも圧倒的な迫力を持つＣＧ、全てを際立たせるＢＧＭによって『流出』された世界観によって成りたつため、間違っても日常生活において「Ｂｒｉａｈ...」などと呟かないよう注意が必要である。必ず『Dies irae -Also sprach Zarathustra-』ではなく『Dies irae 〜Acta est　Fabula〜』を買うこと。

	CHAOS;CHILD
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	85	85	90	85	90	85	86	Ａ
	2015年、渋谷。6年前に起きた大災害、渋谷地震から復興された街に新設された私立高校『碧朋学園』に通う主人公は、自身が設立した新聞部の活動の一環として『ニュージェネレーションの狂気の再来』と称される連続殺人事件を追っていた。加速する混沌と妄想は未来に何をもたらすのか。虚構に隠された自身の過去や現在を暴く美しき真実と嘘の物語。『CHAOS;HEAD NOAH』の設定を引き継ぐ後継作であり「科学アドベンチャーシリーズ」第4弾。

	SWAN SONG
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	95	85	75	85	75	86	Ａ
	震災を舞台装置とし秩序や法的規範を失った個あるいは集団が、社会を再形成していく中で数多の環境要因や状況要因を受けて大多数が承認する正しさが塗り替えていく様を描いた群像劇。本作は震災後の復興を描いた人間の底力を見せつけられるような作品ではなく、全体としては酷く陰鬱で醜悪な『ヒト』を描いたものである。けれども泥で汚れた雪の上に積もる新雪が殊更美しく見えるのと同様に、非常に美しい物語でもある。レイプや虐殺など暴力的で不快な描写が多々あることを覚悟してプレイすることを勧める。

	ROSE GUNS DAYS ベスト盤
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	85	90	95	75	95	65	86	Ａ
	戦後まもなく米中に支配された東京は、明日の生き方もわからない酒と女と血と硝煙に塗れた暗黒街となっていた。その最中で美しく月明かりに照らされる薔薇を中心とした闇夜を切り裂く銃の群像劇。敵性勢力を含めた登場人物全てが自分にとって守るべきものや譲れないものを行動理念とするため、ご都合主義的な展開を感じさせない。丹念に練り上げられた歴史的背景や激動の時代を表現した一つのクラシック曲のような纏まりを持つＢＧＭに担保された世界観が魅力の、０７ｔｈが送る最高にドラマチックな燃えゲー。

	あの晴れわたる空より高く
	シナリオ	キャラクター	世界観	ビジュアル	音楽	システム	総合評価	ランク
	90	90	85	75	90	75	86	Ａ
	廃部の危機にある弱小ロケット部「ビャッコ」に入部したド素人の主人公。たった五人で、誰もが不可能だと笑ったあの晴れわたる空より高く―高度１００ｋｍ―の宇宙にまで到達するロケットを、時に衝突し挫折を経験しながらも泣いて笑って乗り越えながら制作する王道部活モノ。軽快なエロとギャグの中に巧妙にロケットの知識を折り込んでいるためロケットについて詳しくなくとも十分に楽しみ、理解できる仕様となっているのもありがたい。我々が失った青春はこの作品に詰まっている。