福岡県の郷土のものがたりです。

  • 山田市

読み方は「かめじょがふち」。

山田市熊ケ畑に伝わる亀女の話は、ちょっぴりユーモラスで悲しいものがたりです。

昔、熊ケ畑に名主の娘で、亀女という名の評判の美人が住んでいました。ある年のこと、

農作物のでき具合を調べるため、代官がこの村を訪れることになり、村の人たちは頭を抱えてしまいました。

なんとか代官の調査の関心をそらそうと手厚くもてなすことを思いつきました。

その接待役に選ばれたのが亀女で、代官のそばに控え、しきりに酒をすすめ、それはいじらしいほどの

献身的な奉仕でした。

案の定、代官は調査もろくにせず、上機嫌で帰館。みんなのもくろみは見事に成功しました。

ところが、亀女に夢中になった代官は、調査の名目で毎日のように熊ケ畑をおとずれるようになり、

「亀女が余のおんなになるまではくる」と言っては、亀女の酌を所望するありさま。困り果てた名主と長老たちは、

ひそかにある計画をたて、代官を長教寺に招きました。

さて、いつもは迷惑顔の長老たちも、その日ばかりはたいそうなもてなしぶり。気を良くした代官がお目当ての亀女に

近づいたところ、突然彼女のお尻のあたりでびっくりするような大爆音。

長老の一人が亀女を指さして「なんと臭いへをこくおなごか」とつぶやきました。

代官の熱がいっぺんで冷めたのは良かったのですが、名主と長老たちの一計とはしらない亀女は恥ずかしさのあまり、

長教寺のそばの山田川に身を投げてしまいました。

村の人々は亀女をあわれんで、このあたりを亀女ケ淵と名づけました。

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