「月姫の帰還」 六賢者の回想と、邂逅

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 公式:[[「月姫の帰還」 六賢者の回想と、邂逅(物語)]]


●千年の回想

「後は私たちの力を魔石に封じ、それを触媒として、かぐやの千年の秘術が完成します」
「やれやれ、俺達がここまでしないと一時的にでさえ封じ込められないとはな。仕方ない、みんなもいいか?」
「僕はいいけど、ミレストは居る?」
「そこに居るわよ、見えないけど」
「ああ、いいって言っているぞ」
「へー、分かるんだ」
「俺は付き合いが長いからな。耳が長いだけのエルフと違ってな」
「あれ、僕に喧嘩売ってる?」
「もう、最後なんだからやめなさい。それでは、私、グラスバレスタ、フィースシング、ムージュダルト、ミレストの5人は力を魔石へと封じます。ゼロは監視者として、この秘術が破られないように残る。それで、いいですね」


「僕は心配だなぁ、ゼロは真面目すぎるよ、いつも僕に怒ってくるしさ」
「何を言う、君が自由すぎるだけだ。私はいつも君を心配して……」
「おせっかいだよゼロは、風の行方を心配する奴がいる?」
「今度はそっち? だから、やめなさいってフィースシングもゼロも」
「アル、私はただ……むぅ、フィース。この借りはいつか返すぞ」
「いいよ、受けて立つよ。約束する」
「君が約束を守ってくれたことなんて1回も無いじゃないか……」
「監視者としての役割、頼みましたよゼロ。私達の封印はよほどのことが無ければ解けることはありません。しかし、誰か1人の封印でも解けるようなことがあれば……」
「ああ、分かっているよ。そうなったときは私に何かあったということだ。死んでいればむしろいい、もし、生きていた場合、そのときは」


「私を殺してくれ」



●千年の邂逅

黒い月の近く、懐かしい風が吹き始めたこの場所に1人の魔導師が居た。彼女は滅びゆく世界を、何の灌漑もなく眺めていた。


「風の質が変わった。来るのは、奴か」

ゼ ロは黒い月を見上げた。彼女がどうしてこのような姿になってたのか、それは彼女自身もよく覚えていない。ただ、彼女は「支配者」が封印された後も、世界の ために「魔石」の力を使い続けた。それは、監視者や残った人々を支える役割を全うするためのことであったが、それが、彼女の心を浸食しようとする何かに隙 を与えていたのだろう。いつしか、彼女は守るべき世界が重荷にしか感じられなくなっていた。かつて、閃光と称された彼女の輝きは見る影もなく、気づいたときにはただの虚空がそこにあった。


「ゼロ。久しぶり。僕には昨日のことのようだけどさ」

黒い月の下、吹き抜ける風と共に1人の少女が現れた。千年の時を越えて。

「やはり君か、フィース」
「どうしたのさ、暗い顔しちゃって、それに、服の趣味も千年も経って変わっちゃった?」
「君は相変わらずだな」
「まあね、僕は眠り姫だったから」
「封印が解けたのが君でうれしいよ、やっと君を、殺せる」
「性格も大分悪趣味になった? でも、そういうの嫌いじゃないよ。だから、その言葉、風に流してあげる!」

フィースシングの風の魔法があたりの木々を揺らし始める。自由に風を操り、相手の自由を奪う、それがフィースシングの魔法。いつの間にか、ゼロの回りには風の障壁が360度すべてを囲むように形成されていた。

「千年ぶりの僕の風はどう? 感じてくれてる?」
「風の障壁か、何もかもが懐かしい。しかし、私を昔のままだと思わないことだ。闇よ!」


ゼロの回りに黒い球体が浮き上がる。それは、1つ1つが重力を持つ球体だ。それを風の障壁へ向けて解き放つと、その風は、この黒い球体へと吸い寄せられていった。そして、その黒い球体がゼロの手元へと戻ると、あたりには静寂が戻っていた。

「その力は、堕ちたね、ゼロ」
「あっけない、この程度とは期待外れだ。さて、いつぞやの借りは返させてもらう、重力の枷よ」

ゼロの手から、重力の枷が現れると、一瞬にして、フィースシングの両足へと装着される。

「あっ、しまった」
「これで君は動けない、さて、昔からのよしみだ。一思いに串刺しにしてやるよ」

ゼロの手に深い闇で作られた槍が現れる。それは、彼女の心を表したような、何も見えない漆黒の槍だった。

「待って、ゼロ」
「待ったさ、千年も」

とどめを刺すためにゼロがその手を振り下ろしたとき、フィースシングは、絶望でもなく、希望でもなく、ただただ、無邪気に笑っていた。

「やっぱり、変わらないね。その真面目なところ。僕がそう簡単にやられるとでも思った?」
「何っ?」

フィースシングの風の防御魔法がゼロが解き放った重力の枷を相殺すると、あたりに風の障壁が蘇る。それは、形を変え、鋭利な風の刃となって宙に滞留し、ゼロの漆黒の槍を受け止めていた。


「風はどこまでも、自由。闇の球体に吸われて消えたと思わせることもできる。風の障壁、すべてを吸われたように見せかけて、一部を残していたんだ」

とどめの一撃を繰り出していたゼロに、この風の刃から身を守るすべは無かった。そして、その刃は、ゼロを切り裂いた……その、黒い服のみを。

「さて、かぐやの所に行かないと」
「何故、私を殺さない。殺してくれと約束したはずだ」

フィースシングはまた、無邪気に笑う。

「千年経ったくらいで忘れちゃった? 僕が約束を守ったことなんて、あった?」
「しかし、私はもう生きる意味を、持たない」
「ゼロ、失ったものを取り戻すことはできないかもしれない。でもね、風は、また新しいものをいくらでも運んでくれるさ。まずは……そうだ! その、似合ってなかった服の代わりを僕が見つけて来てあげる」

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