福島原発事故による要望書及び署名 - 原発の大事故は軽率な人間たちによって引き起こされた
原発の大事故は軽率な人間たちによって引き起こされた

佐藤栄佐久前福島県知事インタビュー全文訳/仏ル・モンド誌28日付


東京、特派員
数年前より複数の政治家が日本の原子力政策における透明性の欠如を指摘してきた。福島原発の所有者であり運営者である東電と闘争してきた福島県前知事の佐藤栄佐久氏もその内の一人だ。
元外交官にして元参議院議員の佐藤氏は、小泉政権(2001-2006)のネオリベラル経済政策を批判し、5回福島県知事に選ばれている。1988から2006まで福島県のリーダーを努めた佐藤氏は現在71歳で今も福島県に在住している。

東京、特派員
何年も前から東電は検査の報告書類を改ざんしてきました。あなた自身こうした不正を知っていましたか?

佐藤氏 :
問題は東電だけではありません。2002年には福島県に原子力安全保安院(NISA)から、東電が福島第一原発の二つのリアクターの炉心格納容器に損傷が検出されたという報告書を不正に改ざんしたことを認める書類が届きました。
この事実は実は保安院にはその2年前に東電より報告があったにも関わらず、原子力発電所の稼働の監視を任されている国家機関である保安院がそれを隠蔽してきたという事は到底受け入れられないことだと思いました。
このスキャンダルの後に再び検査を行うためにリアクター1号の停止が決定し、翌年には他の16のリアクターが停止されました。先の3月11日まで私はこの不正改ざんの不吉な悪夢に苛まされ続けました。そしてついに恐れていたことが現実となったのです。

東京、特派員
2000年代初頭にあなたは東電の下請け会社の従業員たちから、原発における安全規則が遵守されていないということを訴える20通以上の 手紙を受け取っていましたが。。。

佐藤氏 :
最初に、監視機関を信用できなくなった人たちからの「内部通知」が届けられてきました。これらの手紙は現場の従業員たちの作業環境への不安を絶望的な文体で訴えていました。
手紙には規則に定義されているものの半分の時間で検査を行わせられていると書かれていました。彼らの名前は明かさないまま、私は保安院にこれらの内容を伝えました。2006年に知事の職を辞した後にこの通達がどのように処理されたのかについては知りません。

東京、特派員
この事故は東電のみが責任を負うべきでしょうか?

佐藤氏 :
今日私たちが目にしている大事故は政策決定プロセスが徐々に腐敗していった事に起因する、人為的な軽率さが招いたものです。
原子力安全保安院という監視機関を経産省から分離すべきだという声は数年前より上がっていました。
違う言い方をすれば、原子力安全保安院は原発建造を奨励する権力に依存しています。
そのような機関に厳格な監査を期待することは難しいでしょう。日本は民主的な国だと言われています。
確かに一定の基準は満たしているとは言えますが、多くの政策が不透明な利益に基づいて決定されていて、多くの領域が政治腐敗に蝕まれているのも事実です。

東京、特派員
原子力エネルギーの管理は利益還元に基づく私企業が行うべきでしょうか?それとも国家が管理するべきでしょうか?

佐藤氏 :
問題はそこにはありません。チェルノブイリの悲劇は国家の管理下にある原発で起こりましたが、日本では私企業が管理する原発で同じことが起こりました。問題の核心は(原発の)政策決定プロセスが民主的にコントロールされているかどうかという事なのです。

インタビュー聞き手:フィリップ・ポンス

原文リンク:
http://www.lemonde.fr/japon/article/2011/03/28/la-...