ようこそ!これは初学者向けのロジバン講座です.

lujvoを作る際、考慮すべき点は以下の点である。
  1. lujvoの形、rafsiについて
  2. 禁則文字列、発音のしやすさ
  3. lujvoの意味
  4. lujvoのPS(sumti位の選択や順序)

lujvoの形とrafsi

 大胆に言って、lujvo は tanru の子である*1。そこで、{lujvo}と{tanru}のPSを見てみよう:
lujvo-jvo-x1 (文字列)は x2 (意味)・ x3 (項)を有する、 x4 (形態素)から作られた合成語・複合語
tanru-tau-x1 は、 x2 が x3 を修飾し、 x4 を意味する、使用法/例文 x_5 における複合語

ここから、3つの用語を定義する:
veljvolujvoを形成する形態素(rafsi)。rafsiはbrivla(と一部のcmavo)に対応しているため、慣習的に、lujvoの元となるtanruのことも指す。
seltautanruのうち、修飾しているもの、すなわちtanruの左の語。
tertautanruのうち、修飾されているもの、すなわちtanruの右の語。

ex) {ponbau}のveljvoは{ponjo bangu}(-pon-bau-)であり、そのseltauは{ponjo}で、tertauは{bangu}である。

 lujvoはtanruの子であり、もう少し構造に踏み込めば、lujvoはrafsiの組み合わせである。rafsiには色々あって、辞書で定義されている3文字rafsiの他に、gismuの語末の母音を曖昧母音(y)に代えたもの(4文字rafsi)*2、gismuそれ自体と形が同じもの(5文字rafsi)もある。たとえば、{barda}のrafsiは-bra-,bardy-,barda の3種である。4文字rafsiは必ずlujvoの最後以外で使われ、5文字rafsiは必ずlujvoの最後で使われる。3文字rafsiには3種類あって、CVV, CVC, CCV がある。ここで、Cは子音、Vは母音のことである。-bra-はCCVである。

 用語として、3文字rafsiのみで作られたlujvoを縮退lujvo、4文字rafsiや5文字rafsiが含まれているlujvoを非縮退lujvoという。

 同じ語由来のrafsiで作られたlujvoの意味はすべて等しい。gismuに対するrafsiは複数あるため、単一の意味を表す lujvo は複数あり得る。例えば、{bridi valsi}は、{brivla} {brivalsi} {bridyvla} {bridyvalsi} のいずれにもなり得る。

 語頭をCVVrafsiで始める場合、lujvoの形態論的制約「開始5音に二重子音」を満たすためにいわゆるハイフン文字としてr,nを入れる。また、禁則子音列が生じてしまう場合は、yを入れてそれを回避する。また、lujvoはbrivlaに属するので、語末は必ず母音でなければならない。そのため、一番最後にCVCrafsiは使えない。

 gismu以外にも、cmavoの中にはrafsiを持つものがある。たとえば、{se}は-sel-というrafsiを持っているため、{se barda} から、 {selbra} というlujvoを作ることができる。rafsiをもつcmavoの中で、よく使われているものを以下に載せておく:
se-sel-
te-ter-
ve-vel-
xe-xel-
na'e-nal-
no'e-nor- -no'e-
to'e-tol- -to'e-
co'a-co'a-
co'u-co'u-
nu-nun-
ka-kam-
ni-nil-

 これらを使えば、たとえば、{se dunda}から{seldu'a}、{to'e prami}から{tolpa'i}など、1語で表現することが可能になる。もちろん、5文字rafsiを使えば、{seldunda}や{tolprami}なども作れる(が、あまりメリットはない)。

禁則文字列や発音のしやすさ

 禁則文字列については、名前(cmene)で述べたが、該当箇所について再掲する。

@ 禁則音列
  1. 同じ音を連続させてはいけない。 (kk, dd, pp, ss, ...)
  2. 有声子音と無声子音を連続させてはいけない。ただし、l,m,n,rはどんな子音ともくっつけられる。 (pb, gs, zs, td, gk, ....)
  3. c, j, s, z は互いに連結できない。
  4. “cx”, “kx”, “xc”, “xk”, “mz” という連結は禁止。

これらが生じてしまう場合には、先ほど述べたように"r"や"y"でそれを防ぐ必要がある。

lujvoの作り方、つまり、どのrafsiを使うかについて、次のような評価式がある:
(1000 * L) - (500 * A) + (100 * H) - (10 * R) - V

ここで、L: 長さ, A: アポストロフィの数, H: ハイフン(禁則回避のためのrやy)の数, R: rafsiの形に与えられたスコア, V: 母音の数
すなわち、短く、ハイフンが少なく、より「快い」rafsiを持つもの、が優先される。同位の場合はどちらでも良い。

ただし、これをいちいち頭で計算するのは面倒であるし時間がかかる。そこで、Jvozba というlujvo生成器が作られている。これは、生成元のtanruを入力することで最適なlujvoを出してくれるプログラムである。Jvozvaで遊ぶと、lujvoの感じが分かってくるので、おいおい直感でlujvoを作るときにも役立つだろう。

lujvoの意味


 繰り返しになるが、lujvoは基本的にはtanruを元に作られる*3。では、lujvoとそのveljvoの違いはどこにあるのか:
  1. lujvoは独自のPSを持っているが、veljvoのPSはそのtertauと同一である。
  2. veljvoは結局のところtanruであるので意味が何通りもあるが、lujvoの意味は唯一つである。
  3. lujvoは冗長になるのを避けるため、veljvoでは必要な{bo}{ke}{ke'e}のような接続cmavo、SE、NUといったcmavoを省略することができる。*4

 veljvoはtanruであるから、tanruについて少し復習する。tanruの顕著な特徴は、「意味が曖昧(文脈依存)」「PSがtertauと同一」ということである。意味が曖昧というのは「[seltau]となんらかの関係のある[tertau]」という意味になるからである。つまり、tanruではseltauとtertauの間に成り立つ「関係」を決定しない。「なんらかの」という表現がtanruの意味曖昧性、表現可能性の根源である。

 つまり、lujvoの意味が唯一つであるというのは、tanruでは定められていなかった「なんらかの関係」を1つに縛るということである。どの関係に縛るべきかについては、「そのlujvoを見て誰もが想像しそうな関係」がベストである。{gerzda}は、そのveljvo {gerku zdani}を見て最も想像されそうな「犬小屋」という意味を持つのが相応しいであろう。もちろん、そのような関係を規定しなければならないわけでないが、いたずらな異端lujvoは恐らく淘汰の運命をたどる。
 「誰もが想像しそうな関係」とは、veljvoを見たときに最も想像されるような関係であって、それゆえ、ほとんどの場合、lujvoの意味は、veljvoのtertauの表す意味を限定的にしたものであることが多い。先ほどの{gerzda}であれば、「家」というより広い概念を、「犬小屋」というより狭い概念にしている。

 「最も想像されそうな関係」というのがどういうものなのかは明らかにはできないのだろうか。ひとつ考えられるのは、{lo (SE) [seltau]}が{[tertau]}のPSの一部を満たしうるならば、それは想像されやすい。{gerzda}でいえば、{lo gerku}は{zdani}のx2に入りうる存在である。すなわち、{lo gerku poi zdani ke'a}と書ける。このことを考えれば(しかしこれは感覚的な判断をわざわざ言語化したにすぎない)、seltauとtertauのPSの関連性が高ければ高いほど、その関係はもっともらしいと言える。

 結局、{gerzda}は次のようなPSが相応しそうである: z1 は居住者/犬 z2=g1 (g2 種)の巣/家/ねぐら/アジト
ここで、z1やg1というのは、veljvoの構成要素の頭文字を取っている。すなわち、z1とは{zdani}のx1のことであり、g1は{gerku}のx1のことである。こうすることで、lujvoとveljvoのPSの関連性が見えやすい。ここで大事なのが、基本的にlujvoのsumti位はveljvoの使い回しであるべきである。これは義務ではないが、そうすることによって、初見でのそのPSの把握が簡単になる。

 あと2つ用語を導入する。対称lujvo非対称lujvoである。これは先程述べた、seltauとtertauのPSの関連性に関する用語である。対称lujvoとは、seltauのx1が、tertauのx1に等しい(lo [seltau] poi ke'a [tertau])ようなlujvoのことである。非対称lujvoは対称lujvoではないということである。

 たとえば、{balsoi}「偉大な兵士」というようなlujvoをつくろうとする。このveljvoのPSは、
banlib1 は b2(性質)に関して b3(基準)で偉大/壮大/尊大
soncis1 は s2(隊)の戦士/兵士/闘士

 このとき、b1 = s1が成り立つので、{balsoi}は対称lujvoである。中にはx1だけでなく、x2やx3もそれぞれ等号関係が成り立つようなものもある。たとえば、{tinju'i}「注意深く聞く」である。
tirnat1 は t2(対象音声)を t3(環境音声)にたいして聞く
jundij1はj2(物/者/事)にたいして懇ろ/注意深い/配慮がある/気を使っている
このとき、t1 = j1(聞く人と気を使う人は同一)、 t2 = j2(聞く音と注意を払われているものは同一)が成り立っている。

 一方、{gerzda}「犬小屋」や{karcykla}「車で行く」は、非対称lujvoである。
gerkug1 は g2 種のイヌ科動物
zdaniz1 は z2 の巣/家/ねぐら/アジト
karceka1 は ka2(客/荷)・ka3(原動力)の車
klamakl1 は kl2 (終点)へ kl3(起点)から kl4(経路)をkl5(方法)で行く

このとき、{gerzda}ではg1=z2(犬は小屋の住人と同一)、{karcykla}では ka1=kl5(車は行く方法と同一)が成り立っており、対称lujvoとは違うことが分かる。もちろん、{karcykla}をka1=kl2(車は行き先と同一)として「車のところへ行く」という意味にしてもよいが、「車で行く」より使いどころは少なそうではある。どう定義するかは「使われやすさ」に関係する。

lujvoのPS


 さて、次に問題なのが、「どのsumti位を採用するのか、すなわちどのsumti位を捨てるのか」である。もちろん、不要なら消せばよい。しかし、己の直感が不安な人もいるだろうから、最も簡単な規則としては、veljvoのtertauにとって不要なseltauのsumtiは極力消す
たとえば、「犬小屋」のPSに「その犬種」は必要ではないだろう。小屋にとって、{gerku}のg1(犬)は居住者であるから必要だが、その犬種はどうでもよいと考えるのに反対意見はあまりないだろう。他にも「甲虫」{calku cinki}(殻 + 昆虫)のPSに「殻の成分」は明らかに不要だろう。しかし、「校舎」{ckule dinju}(学校 + 建物)のPSに「教える科目」「聴衆」を入れるかどうかは意見が分かれそうだ。建物にとって科目と聴衆はどうでもいいかもしれないが、あった方がいいかもしれない。あくまで規則であるため、程よく消せばよい。

 より重要な問題が、sumti位の順序である。たとえば、「祈」を意味する{jdaselsku}を使った文、{di'e jdaselsku la .dong.}「x1 = 次の発話, 祈り, x2 = la .dong.」には、自然な解釈が2つある。
  • 次の発話はドンによる祈りだ。
  • 次の発話はドンに対する祈りだ。
もちろん{jdaselsku}を辞書で引けばいいのだが、辞書を引けない場合は類推するしかない。聞き手の脳のグルコース消費を少しでも抑えてやるのが人情というものだろう!というわけで、2つの規則を用意する:
  1. 対称lujvoの場合は、tertau由来のsumti位から先に置くようにする
  2. 非対称lujvoの場合は、seltauのx1と一致するtertauのsumti位の直後に置くようにする

seltauのPSをs1,s2,s3,... とし、tertauのPSをt1,t2,t3,...とする。
対称lujvoのPSは、「s1=t1 [lujvo] s2 s3 ... t2 t3 ...」のような形になる。
非対称lujvoのPSは、s1=t3ならば、「t1 [lujvo] t2 t3=s1 (s2 s3 ...) t4 t5」のようになる。
対称lujvoは「seltau → tertau」、非対称lujvoは「tertau中心でseltauを組み込む」ようにするのである。
もちろん意味の重要性というのがあるので、必ずしもこれに従うべきではない。

 3つ以上の部分からなるveljvoから作られるlujvoでも同様のことを考えればよい。
{bavlamdei}「明日」は{balvi lamji djedi}「[未来的隣接]の日」というveljvoからなる。これは、まず{balvi lamji}から仮のlujvoを作って、それと{djedi}とで目的のlujvoを作り出すと考えればよい。
 他にも、「剣」を表す{cladakyxa'i}は{clani dakfu xarci}「[長いナイフ]的武器」というveljvoからなる。結局、PSとしては「xa1=d1=c1 は xa2=d2(対象)・xa3(使用者)のd3 (素材)の c3 (長さの照合枠)の長剣」となっている。*5


 3つ以上の部分からなるlujvoに関わる話としては、cmavoラフシの省略がある。

 CLLではSE類ラフシ(sel-,ter-,vel-,xel-)はしばしば省略してよいとなっているが、原則はつけておいたほうが意味が分かりやすいので、ここではこれ以上立ち入らない。*6

 しかし、{ke}{ke'e}のラフシの省略は余程のことがない限り行ったほうが見やすい。実際「しのびこむ」{zernerkla}(zekri ke nenri klama [ke'e])のveljvoの{ke}を省略したveljvoは、「犯罪的内部、行く」という意味になるが、大前提としてlujvoはよく使う表現のためにあるわけだから、その解釈がおかしいということは容易に分かるだろう。

 抽象selbriをlujvo化する際に気をつけるべきことがある。{nu klama}は「x1は行くという事象」というsumti位が1つしかないPSをもつ。しかし、これを実際にlujvo化するとなると、{klama}のsumti位も復活させたほうが有用であろう。すなわち、{nunkla}のPSは「nu1 は k1 が k2(終点)に k3(起点)から k4(経路)を k5(方法)で行く/来るという事象」のほうがベターだろう。
 抽象lujvoについての規則として、抽象詞がx2をもつときは、lujvoのPSの一番最後のsumti位とする。

 最後に、CLLで述べられているgismuのPS選定における4ファクターについて挙げておく。これらはlujvoのPS選定においてもある程度役に立つだろう:
  • 「簡潔さ」はsumti位を取り除く傾向がある。 gismuのsumti位が少ないほど、学習しやすくなり、具体性が少なくなる。一般性はgismuの美徳だ。 gismuだけで意味空間全体をすっかり覆い尽くさなければならないのだから。
  • 「便利さ」はsumti位の数を増やす傾向がある。 つまり、ある概念が、すでにあるgismuの場所の1つで表現できれば、別のgismuやlujvoやfu'ivlaを、その概念のために新しく作る必要がない。
  • 「形而上学的な必要性」はsumti位を増やしも減らしもする。 これはsumti位の「正しい個数」を与えようとする力となる。 何かが、ある概念の本質的な性質を担うなら、それのためのsumti位を作らなければならない。 一方、その概念の実例が必ずしも持たない性質を担うsumti位があれば、そのsumti位を取り除こうとする。
  • 「規則正しさ」もまた、sumti位を増やしも減らしもする。 あるギスムにsumti位が1つ与えられているとき、それに意味論的に関係するgismuにも、それと同じsumti位が与えられる傾向がある。

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