原作第2回で描かれていた、妲己の部下である妖怪仙人・陳桐との戦いがカットされた。
陳桐戦では複数の重要な劇中設定の紹介がされ、いわゆる
チュートリアルの役目を果たしており、アニメになっていれば視聴者には多くの情報が与えられたはずであった。
にも関わらずこれを乱暴にカットしてその辻褄合わせも放棄されてしまったため、各話の進行に様々な弊害が生じている。
陳桐戦があれば描写されたであろう情報を以下にまとめる。
- 太公望のキャラクター描写
- 太公望は知略で戦う頭脳派キャラクターであり、必要とあらば味方をも騙すズル賢さが魅力
- 妖怪仙人の情報
- この世界では人間以外も仙人になることが可能だが、そういった出身が人間でない者は妖怪仙人と呼ばれ差別される
- 妲己の部下
- 敵である妲己の手下には陳桐のような妖怪仙人が多く、平気で人間狩りのような悪事を働く連中である
- 妖怪仙人の生態
- 妖怪仙人は半妖態という半分人間・半分妖怪の戦闘形態をとることができる
- 妖怪仙人が力を消耗すると、陳桐なら正体のカマキリに変わるように、元の姿に戻ってしまう
- 封神の基礎情報
- 陳桐の敗北により倒れた者の魂は、光となって仙人界の崑崙山脈にある封神台に飛んで行き、その中に封印されるという封神の現象が起こる
- 太公望のスペック
- 陳桐は妲己の手下の中ではかなり強い方という評判の持ち主だったが、難なく勝利してしまう太公望の実力
これらが明快に描かれていたはずであった。
更に、ここでのカットが今後の展開に及ぼす影響を以下に記す。
今後の展開への影響
陳桐撃破によって、太公望は彼が操る、炎を噴き出すブーメラン型の宝貝「火竜鏢」を手に入れるはずだった。
原作ではその後の物語でもたびたび活躍する重要な武器である。
覇穹では他に太公望自身が戦い封神を行う殷郊、魔家四将、趙公明が未登場のまま進行する可能性が濃厚のため、覇穹の太公望は自身では全く封神をしなくなると見られる。主人公の扱いがこんなことでいいのだろうか。
原作ではこの戦いを通じて行われた、封神が起きるとどうなるかの説明が覇穹ではカットされているため、このアニメでは四話の人間・伯邑考が殺される場面が初封神となり悪い仙人だけが封神されるという認識を与えられていた視聴者の混乱を誘った。
妖怪仙人の説明が欠けたため、三話の楊戩がなぜああまで苦しむのかが伝わりにくい。
些細な事ではあるが、この陳桐戦の下準備として仙桃が初めて使わる。覇穹五話でも描かれた四聖の戦いで、四不象が太公望のジェスチャーだけで仙桃を欲しがっていることに気づけたのも既にこの陳桐戦で登場していたからである。