はじめに


週刊少年漫画を題材として乱発されている商業ベースの版権元無許諾のアンソロジー(※海賊版アンソロ、違法商業アンソロなどとも)の現状について周知し、今後、問題点を認識しないまま無許諾アンソロジーに寄稿する同人作家が出ないよう、また購入する人に対し注意喚起を行いたい。
どのような書籍が無許可商業アンソロと考えられるかの例として、ハイキューを題材としていると思われる商業アンソロの刊行済み一覧を有志でまとめました。

アンソロジー本がすべて違法なわけではありません。 書店に並んでいる商業アンソロジー本の中には公式が監修して正式に出版されるものがあります。「(版権者)監修」や(c)マーク、正式タイトルやロゴの使用などで判別可能です。これらの本を買ったり、執筆する事は公式に認められた立派なファン活動です。

(9/8追記:(c)マークはあくまでも著作権者を示すマークであり使用許可とイコールではないのですが、商業アンソロ本で「(c)マークでわざわざ著作権者を示しているのに非公式」というのはかなり特殊なケースと思われるのでこのように書いておきます。)

問題点


無許可の商業アンソロの問題は、
  • 一般の流通ルートに乗るため、二次創作への理解・知識のない人が手にすることがある。
    • 一般の書店などで、原作関係書籍の近くに陳列されており、混乱を招く。
    • 正式なタイトルやロゴは当然使われていないが、原作作品の特徴的なデザインやキャラクター、通称などを用い、関連書籍と誤解させる。
  • 未成年に人気のある少年漫画などを題材にした過激な性描写を含む作品がしばしば収録され、登場人物が未成年であっても、レーティングが施されていない出版物である。
  • 作品と無関係の出版社が、無断で作品によるビジネスを展開し、利益を受けている

そのため

→公序良俗に反するとして表現規制強化の理由となりうる。
→版権元が「作品のイメージを損なう」「利益を損なう」と判断し措置をとる可能性がある。実際過去に権利者からの警告・注意・提訴が行われたことがある(→関連リンク参照)。その場合の措置対象が無許可商業アンソロだけではなく、パロディ同人・二次創作全般に波及する可能性がある。
→著作権の侵害と判定されれば損害賠償の対象となりうる。

同人活動との関係


言うまでもないことですが、個人による二次創作活動は、個人の趣味を逸脱しない範囲において黙認されているにすぎません。
個人が対価を取って同人誌を頒布するのは、ファン交流に伴う経費をファン間で立て替えているのであり営利行為とみなさないという風習で見逃してもらっているだけであって、二次創作を公に認めていない著作権者が動けば、どうなるかは誰にもわかりません。
実際、これまでも作品イメージを誤解あるいは悪化させる、著しい利益を得るなどした場合は個人が対象であっても著作権者が法的措置を取ることはありました。(→ポケモン同人誌事件、ドラえもん最終話事件、ときメモ同人アニメ事件)。

同人誌を作り、利益の出ない範囲で同好の士に頒布すること自体が個人の趣味としてのぎりぎりのラインです。無許可で営利目的の出版物を出版する企業に二次創作の原稿を渡し対価として稿料を受け取る行為はその範疇には含まれないという事が理解できない方はいないでしょう。

※しばしば誤解している人がいますが、二次創作物は無料公開・配布であっても原作の著作権を侵害していることがほとんどです。したがってこの記事では、二次創作活動自体の内容、是非を問う事はしません。


購入者へ


著作権者の許可を得ずに発行されている商業アンソロジーです。問題点をご理解いただいたうえで、購入するかどうかご判断ください。
無許可の商業アンソロが刊行されるのは、当たり前ですが、購入者がいて儲かるからです。
購入者一人ひとりが問題の一端を担っているという事を理解したうえで行動していただけるよう、願っています。

寄稿者へ


無許可の商業アンソロは寄稿される原稿がなくては成立しません。加えて、影響力の大きな描き手が無許可商業アンソロに寄稿し、堂々と宣伝していることから、二次創作への知識が不十分な層がアンソロジーや二次創作の同人活動について誤った知識を持ちつつあります。
しかし、実際は寄稿する作家の多くが「いけないことと知りながら」寄稿しているように見受けられます。その理由は個別にあるでしょうが、ほとんどは「みんなやっているから大丈夫」「商業誌に載ることはステータス」「原稿料がほしい」というような安易な考えのもとに行われているようです。寄稿する方々は、寄稿・執筆することで、結果的に上記のような重大な問題をはらんだ無許可商業アンソロに協力している状態です。今一度、自分の行為について考えていただければと思います。

また、同人サークルに執筆・寄稿依頼があった場合、依頼内容が版権公式であるか否かを確認することを強くお勧めします。

最後に


二次創作同人にはさまざまな問題があり、無許可商業アンソロだけを槍玉に挙げるのは間違っており、正当性がないという意見もあるでしょう。

しかし、上記に挙げた問題点を「問題ではない」と言う方は少ないと感じています。何が問題かぴんとこない方は、ぜひこの機会に調べてみてください。「同人誌 著作権」「コミケ 著作権」などと検索すれば、いろいろなページが出てきます。二次創作と言う法的にグレーな趣味をたしなむなら、一度でいいのでぜひ考えてみて欲しいのです。

勿論、この記事を含め、必要な情報を取捨選択し、判断を下すのはあなた自身です。
この記事が読んだ方の行動を決める一助になれば幸いです。

参考リンク


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