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「そういえば今日な、うち、男の人に告白されたんどす〜♪」


 小早川紗枝がそんなことを口にしたのは、二人きりでテーブルを囲む、夕食の途中でのことだった。
 オフ前日の夜、紗枝の担当プロデューサーの自宅たる、マンションの一室である。
 紗枝とプライベートでは男女の仲にあるプロデューサーは、その言葉を聞いて思わずといった様子で、紗枝謹製の煮物をつつく手を止めた。
 眉がひくっと動いて、恋人の顔の方に視線を向けていく。


「……へぇ、誰に?」


 落ち着いた、低い声。
 訝しむようなその声の調子に普段との変化はあまり見られない。
 毎日のようにプロデューサーの声を聞いている紗枝は自分の恋人の声の調子を見分けることができる。
だが、その紗枝をもってしても違いを見分けることができないほどの、ごくごく普段通りの声だった。


(おかしいなぁ。もうちょっと、Pはんは食いつくと思ったんやけど……)


 意図したとおりの反応を示してくれないプロデューサーに、紗枝は心の中で首をひねった。
 彼女がわざわざ交際中の恋人の前でそんなことを口にしたのは、言うなれば紗枝のからかい半分、挑発半分でのことだった。
 互いに忙しかったとはいえ、付き合っているのにひと月近く食卓を囲む時間も取れなかったPへの、軽い当てこすりを込めての、だ。
 もちろん紗枝にしても、それが半ば仕方のないことだとは分かっているから、別段本気でやっているわけでもないのだが―――。
 こうも反応が薄いと、それはそれで気になると言うものである。


「……うちの出させてもらっとる朝どらの主演の俳優さんどす。今日、楽屋で二人きりになる機会があってなぁ……」
「ああ、あの……。確か紗枝とはそんなに年が離れてなかったな」
「そうやねぇ、確かうちより三つか四つは上やなかったやろか」


 子役上がりの正統派イケメンとして人気が急上昇している最中のその俳優の顔を思い浮かべながら、紗枝が密かにプロデューサーの様子を観察する。
 依然として、その様子に変化は見られない。
 まるで、紗枝が他の男に言い寄られているというのに、気にも留めていないかのようだ。


(なんやそれも、寂しいなぁ……。もっと目の色変えて色々聞かれると思うてたんやけど……)


 もちろん、いくら相手がイケメンだろうと有名だろうと、紗枝の方にプロデューサー以外の男に靡くつもりはない。
 だがその愛するプロデューサーにそんなつれない反応を示されると、寂しいのも事実なわけで……。
 要するに、紗枝はもっとプロデューサーに求めて欲しいし、積極的に恋人を繋ぎ止める姿勢を見せて欲しいのだ。
 したたかな京女たる紗枝ならなおさらのこと、年頃の女心は複雑なのである。
 半ば意地になって、紗枝はさらに言葉を紡ぐ。


「……うちの学校の子も、あの俳優さんにはきゃーきゃー言うとりはるなぁ。かっこいいだけやなくて、人柄も誠実やし……告白された時は驚いてしもうたけれど」
「確かに、業界でも評判はいいな。俺みたいな裏方にも挨拶欠かさないし、気配りもできる」
「……」


 戦法を変えて、イケメン俳優の方を持ち上げて恋人の嫉妬心を煽ろうとする紗枝だったが―――。
 どうにもその戦法も上手くいかない。
 むしろ紗枝に同調して、自分の恋人に粉をかけた(とは言っても紗枝がプロデューサーと密かに付き合っていることを彼は知らないのだが)俳優を褒める始末である。
 ここまでくるとよっぽど自分に紗枝を繋ぎ止める自信があるのか、それともただ何も考えてないのかのどちらかだろう。


(ほんま、よう分からんお人やわぁ……)


 目論見が上手くいかず、首を捻るばかりの紗枝。
 紗枝のことが大切でない、とかそういうことはないはずだ。
 プロデューサーとして、恋人として公私ともに紗枝を導いてくれる彼の思いを、彼女は肌で感じているつもりだったから。
 だからこそ、プロデューサーの反応が大いに解せないのである。
 久々の二人での食卓は、そうこうしているうちに紗枝にモヤモヤを残したまま、終わりを告げたのだった。




「ふぅ……」


 そして、しばらく経ってから。
 食事と後片付けを終えてのんびりと過ごした後、シャワーを浴びた紗枝はベッドの上でプロデューサーがシャワーを済ませるのを待っていた。
 色っぽいネグリジェを身に纏い、身をそわそわさせながら、である。
 微かな水音が、ベッドの上で髪を梳く紗枝に届く。
 この音、このシチュエーションを意識すると、紗枝の胸は自然と熱くなって、徐々に鼓動が早くなっていくのが分かる。
 部屋の中に炊いたアロマも、その雰囲気を盛り上げるのに一役買っている気がした。


(なんや、久しぶりやからえらいどきどきしとるなぁ……♪)


 こうやってプロデューサーの家に泊まりに来て、恋人らしい行為をしようとするのは、食卓を共にするのと同じく、ほぼひと月ぶりである。
 仕事や互いの立場の問題もあって、ある程度間隔が空くのは仕方ないことではあるのだが……それにしたって、ひと月はあまりに長い時間だった。
 紗枝は10代半ば、プロデューサーの方も20代とあれば、お互いにヤリたい盛り、性欲過多のお年頃なのだ。
 そんなお年頃の二人にとって体を重ね合わせて長い空白を埋めるのが、肉体的にも精神的にもどれほど重要であることか―――。
 普段さほどセックスには積極的でない方の紗枝でさえ、高鳴る胸の鼓動と期待を抑えきれないのは、致し方ないことだった。


「ふぅ……さっぱりした」


 そうこうしているうちにいつの間にか水音が止まり、プロデューサーがゆっくりと部屋に足を踏み入れてきていた。
上半身裸で、あとは下着を履いただけの半裸である。
普段ならだらしない恰好で、と咎めるところだが、むしろ今は、そんな恰好であること自体がこの後にするつもりの行為を想起させて……とてもいい。
食事中にした告白された云々の会話でもやもやとした気分を抱えたことは、既に紗枝の中ではどうでもよくなっていた。


「湯加減はどうでした〜?」
「気持ちよかったよ。紗枝と一緒に入ればよかったかな」
「あら、よう言うわぁ♪女の子からかうのもほどほどにせんとあきまへんえ?」
「別にからかってるわけじゃないんだけどなぁ。紗枝の体綺麗で、いつまでも見ていたくなるし」


 言いながらプロデューサーは徐々に紗枝へと近づき、肩を抱くようにして体に触れてくる。
 男性特有の武骨な太い指に触られるだけで、鼓動がトクンと一層早くなるのを感じた。
 彼の肩に身を寄せ、深い息を吐く。
 そのまま、イチャイチャと互いの体に触れあう過程で―――。


(Pはんのここ、すごく大きゅうなっとる……っ)


 嫌でも、下着を大きく押し上げるプロデューサーの剛直が目についた。
 前した時は、そこまで大きさが印象に残った記憶はないのだが……。
 久しぶりだからか、彼の男根がいつもするときより一回り大きな気がして、視線がその膨らみから離せない。
 そんな紗枝の様子を察知したプロデューサーが、薄く微笑んだ。


「ここが気になるのか?」
「―――ぅ、ぁ……」


 紗枝の熱視線に応えるかの如く、彼は下着を脱ぎ捨てる。
 瞬く間に、ガッチガチに勃起しきった性器の全貌が、紗枝の眼前へ晒された。
 それを直に見るだけで、威圧されるような感覚で否応なしに腰がすくむ。


(あぁ……こ、こんなに……!)


 男性器。
 愛する雄のそれ。
 ハリと艶を兼ね備えた黒光りするそれは、直に見ると明らかに、前した時よりも膨張していた。
 玉袋もパンパンに膨らみ、それが彼が溜めてきた欲望の量を物語っているかのようだ。
 自分の決してグラマラスとは言い難い体に触れて、こんなになってしまっていると考えれば、それは女としては嬉しいことなのだが―――。
 それ以上に、この異様な男根の大きさに対する困惑と微かな期待の方が勝る。
 いつものすまし顔はどこへやら。
思わず、喉が鳴ってしまうのを抑えきれない。


(久しぶりってだけで、こんなになるんやろか……。いつもでさえ、かなり入れるのギリギリなんやけど……)


 改めて見ると、元々プロデューサーの方が紗枝より40センチ近く背が高いとはいえ、とてつもない性器の大きさである。
 何せ全長だけで言うなら紗枝の頭ほどは優にあるのだ。
 何回も体を重ねて慣れてはいても、紗枝の体格相応の性器では咥えるので精一杯だ。
 その上今は、原因はよく分からないが普段より明らかに性器が膨張しているときている。
 こんなので、奥を丹念に突かれてしまえば……。


「はぁっ、はっ……」
「なんかすごく物欲しそうな顔になってるぞ。それ、もっと近くで見るか?」


 いつのまにやらベッドの上に膝立ちになったプロデューサーが、呆けた紗枝の顔に性器を近づけてくる。
 もう少し顔を寄せれば、触れてしまいそうな距離だ。
 心臓の音が何度も何度も爆発しているように煩く、紗枝の耳に届いていた。
 そして必然そこまで性器を近づけられると、微かながらもはっきりとした雄臭までも、彼女の鼻孔を突いてくる。


(あ、ああ、あああ……♡こ、この臭い……っ)


 彼と体を重ね合わせる際にいつも嗅いでいた臭い。
 今更ながらにそれを嗅いでから思い出し、まるで条件反射のように紗枝の秘裂は潤い始めていた。
 呼吸と共に雄のフェロモンを本能が感じて、じゅん、じゅんっと愛液が分泌されるのが分かる。
 切ない疼きが、下半身から全身へと、徐々に広がっていく。
 ここまで来れば、誰に言い訳のしようもない。
 発情した雄の臭いに釣られる形で、紗枝のほうも発情してしまっているのだ……。
 その事実を意識すると、紗枝の頭の奥がクラクラと、酩酊するような感覚を覚える。
 そして紗枝がそんな状態に陥ったのを、見逃すようなプロデューサーではなかった。




「さて、それじゃあ……」
「ひゃんっ!?」


 不意に、プロデューサーが紗枝を抱きすくめるようにして、ベッドの上に押し倒してくる。
 綺麗に整えられた彼女の黒髪が、白いシーツの上に広がった。
 いつもは二人の間の体格差を考慮して、紗枝を膝に乗せたりしてくれるのだが。
 珍しくも雌に対してマウンティングを取るような体勢に、紗枝の心中に広がるのは、微かな困惑。


(な、なんやろ……今日、Pさん強引やなぁ……)


 溜まり切った欲望が、彼から余裕を失わせているのだろうか。
 いつもより性急で強めに紗枝を抑える手に、不安と期待がないまぜになる。
 とはいえ、嫌ではない。
 好きな人に強引に求められるのは、思ったよりも悪い気分はしない。
 普段は優しくしてくれるのに対し、やや乱暴に扱われるのが逆に新鮮でさえあった。
 

(せっかく久しぶりにするんやし、こういう日があってもええんかな……?いっつもおんなじ調子でしとったら、まんねりになるっちゅうし……)


仰向けになってプロデューサーの顔を見ながら、胸の高鳴りが俄然大きくなっていく。
いつもより強引に押し倒されて感じる微かな不安と、久しぶりの行為への大きな期待。
しかしそんな紗枝の内心は―――。


「きゃうううっ!?」


 突然両乳首を強く摘んだプロデューサーの行動によって、大きく書き替えられた。
 ビクンと、勝手に上半身が跳ねる。
 

「今の声可愛いな、もう一回聞きたい」


 くりっ、ぐにっ、ぐいっ、ぎゅうっ


 紗枝の可愛らしい桃色の乳首が、好き放題にこねくり回される。


「あひっ、んひぃぃっ、んやっ、ああっ、にゃっ、やめっ……」


(い、いきなり、ごういん、すぎぃっ……♡)


 唐突に始められた胸への強引な愛撫。
 普段は優しく、紗枝の体を慮るように抱いてくれるプロデューサー。
 そんな彼の今までにないほどねっとりと、かつ力強い愛撫に、紗枝の体はビクンビクンと激しく跳ねさせられていた。
 摘まれた乳首から、暴力的と言っていいほどの快楽が流れ込む。


(そ、そこぉ……敏感なとこぉ……♡)


 そうでなくとも紗枝のおっぱいは、わりと敏感なほうなのだ。
 優しくこね回されるだけで熱い吐息が漏れ、背筋に快楽電流が流れてビクビク身を震わせてしまう場所。
 だから今までは、ゆるゆると指の腹でマッサージするように触られるだけでも十分だった。
 それだけで気持ちよくなれて、それ以上のことは必要なかったから。
 しかし―――。


「ひっ、ひぃぃ♡やぁっ、んあぁ……!?」


 今紗枝は乳肉に指を食い込ませるような形での愛撫を受け、早くも閾値を超えた快楽を感じさせられていた。
 痺れや疼きというレベルではない、圧倒的な快感。
 胸だけで感じるには、過大すぎるほどの気持ちよさ。


「感じてる紗枝、可愛いぞ。もっと気持ちよくしてやるからな」
「ひゃあぁぁぁぁ♡まっ、まってぇ……これ、ほんま激しすぎ―――」
「ん〜?そうか?」


 豹変したような彼の激しさに、流石に恐怖と困惑を覚え―――。
 息を荒くしながら抗議しようとする紗枝だったが、不意に今まで転がされるように弄ばれていた乳首が、強く潰されると。


「っくぅぅぅっ♡」
「でも、紗枝もすごく気持ちよさそうじゃないか。そんなに目をウルウルさせちゃって……」


 可愛らしい鳴き声が勝手に喉から漏れて、脳髄まで痺れさせられてしまう。
 摘まれた乳首の感度も、加速度的に上がっていく。
 つい先ほどまで、チンポの臭いを嗅いで大きさを見ただけで発情させられてしまっていたのに、こんな風に強引に責められたら―――。


(も、もうっ、うちにも分かるくらい濡れてきとる……っ。恥ずかしゅうなってまうくらい、ぐしょぐしょで……!)


まだ衣服も下着も着けたままの紗枝の性器から、小水ではない液体がぷしゅっと断続的に漏れてきていた。
 精神的にはもちろん、物理的にも蕩けさせられて、全身が悦びを表してしまっているのだ。
 それに着いていけていないのは、プロデューサーの荒々しい責めに困惑する紗枝の心だけ。
 そしてそんな心も、貪欲に久しぶりの快楽を貪る体と甘い電流にショートする脳髄に引きずられていく。
 全身の力が抜け、されるがまま胸を揉まれるたびに、ビクビクと体を痙攣させてしまう。


「はぁっ、あぁっ、あっ、んぅっ♡」


 すると徐々にプロデューサーの手つきが、乳首だけを弄るのではなく全体を揉み潰し、大きく動かすような愛撫に変わった。
 それによって、無理やり声を絞り出されるような狂おしい快楽が和らぎ、代わりに甘い快感が上半身にじわじわと広がっていく。


(こっ、これぇ……♡頭の中、おかしゅうなりそう……っ)


 抱いていた期待、不安、そして困惑。
 彼の行動でないまぜになったそれに混乱させられて、紗枝はただただ頭をイヤイヤするように振り乱すしかない。
 期待に高鳴っていた胸の鼓動は、今や紗枝の胸を締め付けるほどの切なさへと変化していっていた。
 虐められているのに、激しくされているのに、体が本能が、悦んでしまう現実。
 初めて味わう被虐的な快楽の味に、紗枝はただただ翻弄されているのだ……。


「ふわああああっ……♡」


 くりくりくり、と乳首が弄られて、恍惚とした声が漏れてしまう。
 頭がぼうっとする。
 視界がもやがかかったようにぼやけ、全身が狂おしいほどにキュンキュンと疼く。
 今までのセックスでは、間違っても出さなかった恥ずかしく無防備な鳴き声。
 しかしそんな淫らな声を無理やり絞り出させられて、紗枝はどうしようもなく感じてしまっていた。
 恥ずかしいのに、屈辱的なのに、それがとんでもなく気持ちいい。


「あはぁっ……♡やぁぁっ……♡」


 自分自身でも驚くほどの、蕩けて雄に媚び切った声。
 そんな声を上げさせられる快感に、理性が焼き切れていってどうしようもない。
 いつの間にやら閉じていた股も徐々に開いて、雄をすぐに受け入れる体勢をとってしまっていた。
 そしてそんな紗枝を見たプロデューサーの表情が、ぞっとするような嗜虐的な興奮に緩む。


「紗枝が、こんな物欲しそうな顔するなんてな。そんなに気持ちいいのか?」
「ぁ……♡ち、ちゃうよ……っ。こ、これは……」


 からかわれて正気を取り戻し、つい顔を赤くしながら取り繕ってしまう紗枝。
 だが、そんなささやかな抵抗はもはや、雄の興奮と嗜虐心を煽るスパイスでしかない。
 否定はしても二の句が継げずにいる紗枝を見たプロデューサーは、ますます鼻息を荒くすると―――情欲の炎を瞳に滾らせながら、無言で股間の性器を紗枝の太ももに擦りつけてきた。


「はぁっ♡はっ♡はっ♡」


 ただそれだけで、紗枝の視線はギンギンに勃起したペニスから目が離せなくなる。
 興奮の証か、既にして鈴口からわずかに漏れる先走り汁。
 赤黒くグロテスクで、相変わらず息を呑むほど肥大化した全体の様子。
 中を擦られた時を想像しただけで甘い痺れが背筋に走る、凶器のようなカリ。
 ひと月の空白の間どれだけ溜めたのか、見たこともないくらいパンパンに膨らんだ睾丸。
 それらにどうしようもなく勝手に甘い吐息が漏れて、邪な期待を持ってしまっていることが隠せない。
 股座も信じられないほどグショグショに濡れて、もう下着では蜜汁を吸収しきれないほどだ。
 これ以上ないくらい、紗枝が発情しきっているのは誰の目にも明らかだった。


「素直にならないと損するぞ?ほら、自分の口で何が欲しいか言ってごらん?」


 しかしプロデューサーは紗枝の状態を見透かしたような笑みを浮かべ、意地悪な問いを投げかける。
 普段ならこの辺りで―――いや、もっと前に、優しく無言のうちにさえの願望を読み取って、その通りに気持ちよくしてくれるのに。
 今日の彼は今までにないほどサディスティックで、明白に紗枝を屈服させようとしてくる。
 ゴクリと、喉が鳴った。
 このまま快楽を認めて屈服宣言してしまえば、紗枝の期待通りの、いや、それ以上の快楽を与えてくれるのだろう。
 だが―――。


(い、いけずぅ……っ♡は、恥ずかしゅうて、言えるはずないやん……♡)


 僅かに残った彼女のプライドと恥じらいが、前後不覚で雄へ媚びるのにストップをかける。
 確かに欲しい。
 欲しいのだけれど、自ら求めるのは、もう戻れない最後の一線を踏み越えてしまうようで、どうしても踏み切れないのだ。
 結果的に、目を反らして無言のまま唇を引き結んでしまう紗枝。
 そんな彼女に、プロデューサーはさらに興奮したように瞳の中を燃え上がらせると―――。


 ごちゅんっ!!


 紗枝がだらしなく広げた股ぐらに、手を突っ込んできた。




「お゛っ、ひぃっ♡」


 なんてはしたない声を、と思う暇もない。
 強引かつ乱暴に衣服と下着をずり下ろして、あっという間に膣に侵入してきた2本の指が、思うがままに紗枝の性器を蹂躙する。
 普通の状態でこんな狼藉を働かれれば、大事な部分を傷つけてしまいかねない。
 だが―――。


 ごちゅっ!ぐちゅっ!ぐちゅ!


「あひゃぁっ♡だっ、やぁっ!?ぅぁっ―――♡」


 すでにグショグショに蜜汁を分泌していた紗枝の秘裂は、あまりに容易にその指を受け入れていた。
 神経が焼き切れたのかと思うほどの、直接的な快感。
 我慢しようとしても、耐えようとしても、喘がされて、強制的に叫ばされてしまう。


(ま、また激しくぅ……♡ほんま、今日のPはん、どうなって……♡)


 ぷしゃっ、ぷしゃっ、と噴き出た愛液がシーツに、太ももに、彼の指に飛び散っていく。
 こんな激しすぎる愛撫、今までされたこともない。
 いつも優しくしてくれたプロデューサーの、全く違う一面。
 事ここに至って、紗枝はようやくはっきりとした恐怖を覚えた。
 今まで見せなかった一面を見せた彼に、というよりは、彼がそうなった原因を想像して。
 自分が怒らせてしまったのか、それとも紗枝に欲望の限りを加減なくぶつけるくらいの別の何かがあったのか―――。


「くぅぅっ♡あぁっ、ど、どうひてぇっ♡こないなっ……あぁ、〜〜〜っ♡」


 ぐじゅ、ごりゅっ、ぶちゅっ!


 言葉を紡ぐ途中にも強く膣壁を擦られ、下半身をガクガク震わせて愛液を飛び散らせてしまう。
 あまりの快感で体が強張り、股もさらに大きく、カエルのように開かされていた。


「どうして、かぁ。その前に一つ聞いておきたいんだけど……」
「ふぇ……?んぅ、はぁぁ……♡」
「晩飯の時、共演してる俳優に告白されたって言ってたな。あれ断ったのか?」


 プロデューサーが口を開くと、同時に手の力が弱まり、限界寸前だった紗枝に思考の余裕が生まれる。
 正直、夕食の時、彼の気を引くためにしたその話のことを、紗枝はすっかり忘れていた。
 そういえば告白されてどうしたのかを、彼に伝えていなかった気がする。


「はぁ、はぁ……♡そら、断わったに決まっとりますえ?んぅっ、ふぅ……♡」
「なんて言って断ったんだ?」
「え?う、うちアイドルやさかいって言うてどす。そ、それが―――」


 どうしたん?と言おうとして、紗枝は自分が何かとてつもない失言をしてしまったことに気づく。
 何故なら、プロデューサーの瞳が、その中の炎が、見たこともないくらいの嗜虐の色に染まっていたから。


「それだけ?彼氏がもういるからとかは言わなかったのか?」
「そ、そんなん、よう知らん人に言えるわけあらへんやん……っ。きゃっ!?」


 震える声で反論する紗枝の耳元に、プロデューサーの唇が近づいてくる。
 体格差任せに強くベッドに体を押し付けられ、指の動きがまた再開された。


 ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ……♡


「ふぁぁぁぁ……♡あっ、あっ、あっ、あはぁ……♡」


 先ほどまでとは違う、膣から優しく出し入れするような動き。
 決して激しくはないのだが、甘い甘い快感が脳天にまでじわっと広がり、自然と媚び切った鳴き声が漏れてしまう。


「いやな、さっきの話聞いて考えてたんだよ。こんなに紗枝は可愛いんだから、そりゃあ言い寄る男も出てくるよなって」
「うあっ……はぁんっ……♡」
「けど、芸能界にいるような勘が鋭くて色んな女を見てきてる男には、いくら女が隠してても、その女が他の誰かに強く気持ちを向けてる場合、そのことが分かるもんなんだ」


 淡々と語り続けるプロデューサー。
 その間にも指の出し入れは収まらず、紗枝の背筋はゾクゾクとした快感で満ちていく。


「そう考えた場合、紗枝が他の男に告白されたってことは、紗枝の気持ちがそこまで強く俺に向いていないっていうことなのかなって思ってさ」
「はぁっ、んぅぅ……♡そ、そないなこと、ないどす……っ。うち―――」
「いや、紗枝の方の問題じゃなくて、多分これは俺の問題なんだよ。思えば、俺は紗枝を大切にしようとしてるあまり、本当の自分の気持ちを向けてないなって」


 ぐちゅうぅぅぅっ♡


「はぅぅっ!?ぅあっ……♡」


 瞳の中の炎がこれ以上なく燃え上がり、マウンティングする彼の圧力が高まったのを感じた。
 目の前の雄には逆らえないことが、本能で分かる。
 そして朧気ながら、その雄の望みも。


「だから、今まで抑えてたぶん、今日からは本気でセックスするぞ。……紗枝の気持ちが、他の誰にも向かないように。俺のモノだって、他の男どもにも分かるように」
「ああ゛―――っ♡ひゃんっ、はぅっ、ぁはっ―――♡」


 にゅちゅぅっ、ぐちゅっ、ごちゅっ、ぶちゅぅっ!


 宣言と共に、さらに乱暴な愛撫が始まる。
 激烈な快楽に翻弄されながら、ようやく紗枝はこれまでの強引な愛撫、その原因を思い知っていた。
 

(嫉妬……しとったんや……♡うちが、気を引きたい思うて下手な挑発してもうたからぁ……♡)


 反応が薄かったから、彼はそんなことを気にしていないのか、もしくは興味がないのかと思っていた。
 実際はそのまったく逆。
 心のうちでは嫉妬に身を焦がし、自分の女をしっかり鎖で繋ぎ止めようと、激しくセックスする算段を練っていたわけだ。
 そうとも知らずに不用意に雄をからかい、本気にさせてしまった紗枝の、なんと滑稽なことか。
 自ら、雄に自分の身を捧げてしまったようなものである。


(つ、つまりPはん、本気でうちを堕とそうとしとるっちゅうことなんか……♡)


 必然、導き出される答え。
 あんなに優しかった恋人が豹変して、紗枝を完全に屈服させようと、欲望の限りをぶつけようとしている。
 思えば、いつもより大きく硬くなっているように見えた肉棒も、その一環だったわけだ。
 それに思い至ると、背筋が痺れて腰がゾクゾクと震える。
 だがしかし、それらは紗枝にとって、不思議と嫌ではなかった。
 自分よりはるかに体格の大きな雄の独占欲を向けられて、おかしいくらいの鼓動の高鳴りが止まらない。
 もっと優しく、普通の恋人らしいセックスがしたいはずなのに、無理やり犯されて調教される自分を想像すると、涎が勝手に溢れてくる。
 もうダメだった。
 堕落への期待が胸を焦がし、浅ましい欲望が次から次へと湧いてしまう。


(こないな状態で……激しくされたらぁっ……♡)


 壊れる、ダメになる。
 破滅の予感を、僅か残った理性が警告した刹那。


 ぐりぃぃぃっ!こりりっ♡


「はっひ♡ふぎっ―――♡」


 全身を、凄まじいほどの電撃が駆け巡った。
 

「かひゅっ♡ほお゛っ―――♡」


 ノータッチだったクリトリスと膣内のいい部分を同時に責められ、強制的に絶頂へと駆け上がらされていく。
 求められる悦びと被虐の悦びに脳髄まで犯されて、抵抗することもできない。
 されるがままに膣が潮を断続的に吹いて、快楽の味を覚え込まされて条件付けさせられる。
 勝手に喉が、喘ぎと共に言葉を紡いだ。


「はへっ、はへぇっ♡やぁぁっ、う、うち、あっ、あ゛♡……いぐ、イってまう……♡」


 だらしなく舌が突き出され、紗枝の視界が白く明滅する。
 瞳がぐるんと裏返り、ギリギリで被っていた大和撫子の仮面が剥がれ落ち、そして。


「ほら紗枝、イけっ!」


 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぅっ!!


「〜〜〜っっっ♡♡くひっ――――――♡」


 命令されると同時、ついに凄まじい絶頂が、紗枝に訪れていた。
 未知の感覚が、彼女の体を塗りつぶしていく。
 性器から、許容量を遥かに超えた快感信号が送り込まれて、頭が真っ白になる。
 ピンと弓なりに背筋を反らした体の中で、膣だけがめちゃくちゃな収縮を繰り返し、そこら中に潮を噴き散らしていた。
 全身が多幸感に包まれる。
 今までの性体験が全て、児戯にも等しいものだったと、そう確信させられるほどの快感。


「はっ……へぇっ……♡」


(ぁは―――♡いやぁっ……♡)


 じょろろろろろろ……。


 そして緩んだのは、表情や理性だけではなく。
 弛緩しなくてもいい尿道口までが弛緩して、紗枝ははしたなくもお漏らししていた。
 言い訳の出来ない勢いで、シーツに黄色い染みが広がっていく。
 濁った吐息を喉から絞り出し、涙をぼろぼろと零しつつ―――。
 骨抜きにされて屈服した明白な証を、これ以上なく恥ずかしい形で残してしまう紗枝。


「なんだ、気持ちよすぎて漏らしたのか」
「み、みぃへんでぇ……♡ひぅ……っ♡」


 ようやくそれだけを口から絞り出したが、もちろんそんな願いが獣と化した雄に聞いてもらえるはずもなく。
 膣の痙攣がひとしきり収まって、紗枝の全身が余韻に震えるまでを、余すところなく観察されてしまっていたのだった―――。




「まさか、イキ漏らすとはなぁ……。けど、まだまだ本番はこれからなんだぞ、紗枝?」
「っ……♡」


 浅ましい絶頂の余韻に浸ったのも束の間。
 ぼやける視線を向けると、限界寸前とばかりに勃ちあがったペニスが、威圧するように紗枝の腹部に押し付けられていた。


「あ、うう……♡」


(そ、そうやった……まだ、うちが気持ちよくさせられただけで、ほんまのせっくすはしとらへんかった……っ)


 思い出した現実に、頭がクラクラする。
 まだ、これは前戯の段階。
互いに目的を果たしたわけではない。
 これから待っているのは、本気でモノにする、本気でお前を堕とすと宣言された上でのセックス。
 しかも性器に入るのでさえギリギリな、腰を抜かしそうなほどのペニスを相手取っての、である。


(こ、こないな、うちおかしゅうなってまうよ……♡)


 壊れる、壊されて、二度と正気には戻れなくされる。
 確信に近いそんな感覚を抱きながらも、しかし紗枝の喉はひとりでに鳴ってしまう。
 逃げなければいけないのに、許しを請わないといけないのに―――。


「はーっ♡はーっ♡はーっ♡」


 紗枝は自ら足を大きく開いて抱え上げ、いつでも雄を受け入れる体勢をとってしまっていた。
 やはり、もう既にどうしようもなく壊されている。
 屈服させられている。
 心の奥底から、彼が欲しくてたまらない。
 プロデューサーのモノになりたい。
 今まで知らなかった雌の快楽を、教え込んで欲しい。
 もはや紗枝の心の中にあるのは、そんな下品ではしたない欲望だけ。


(あ、ああ、あああ……♡)


 興奮で身震いしそうになる。
 犯されることを想像しただけで、子宮がヒクンと収斂した。
 グチョグチョに濡れた紗枝の性器と凶悪なペニスが、いよいよ音を立ててキスをする。


「ひんっ……♡」


 たったそれだけで、腰が軽く浮いてしまう。
 我を忘れて失禁してしまうほどの前戯、その延長線上としてのセックス。
 プロデューサーと目が合った。
 ドクンと、鼓動が高鳴る。
 彼は見下ろし、紗枝は見上げて。
 それがどうしようもなく互いの絶対的な立場の違いを認識させて―――。


「じゃあ、入れるぞ、紗枝」


ずにゅうぅぅぅぅぅぅっ!


「ぁ……」


 膣壁を掻き分けながら、ずぶずぶと。
 紗枝の中に、待ちに待った異物が侵入してきた。


「っっ♡お゛ぉぉぉぉぉぉっ……♡♡」


 ゆっくりとした挿入。
 けれどビクンと体を跳ね上げて、視界がグルンと回る。
 感じたことのない圧迫感。
 その衝撃に海老反りにさせられて、紗枝の頭が上を向いたのだ。
 見えるのは、部屋の壁とそこに貼られた紗枝自身のポスター。
 快楽で視界がチカチカ明滅し、穏やかな笑みを浮かべる自分自身の姿が、サブリミナルのように現れたり消えたりする。
 脳細胞がジュクジュク溶けていき、夥しい電気信号が性器全体から送られてきた。


(あはぁっ……♡く、くるしゅうてぇ……でも、し、しあわせぇ……っ♡)


「ふぁ……ぁあああああ……♡」


 やがて、プロデューサーの凄まじいサイズの剛直が紗枝の蕩けた膣肉を掻き分け、奥の奥まで埋め尽くす。
 圧迫感が肺の中から空気まで押し出して、酸欠の魚のように口をパクパク開閉させる。
 忘我の涙で、視界が滲んでいくのが止められない。


「くっ……!やっぱキツいな……。チンポの形覚え込めば楽になるから、それまでできる限り回数稼ぐぞ、紗枝」


 ぐちゅんっ!


「おひっ!?ふぇ……か、かいすう……?」
「今後は時間空いた日はなるべくセックスしような、ってこと。安心しろよ、何も考えられなくなるくらい気持ちよくしてやるから」
「ひっ……♡」


 事も無げに言い放たれた今後の調教継続宣言に、背筋がゾクゾクと痺れる。
 この欲望の限りをぶつけられるセックスが今日限りのものではない、今後も続いていくものだと明らかにされて、体が悦んでしまっていた。
 脳内に満ちる多幸感も、さらに加速していく。


(はっ、はっ……♡うち、もう戻れへんやん……あぁ……♡)


 改めて自分の現状を認識してしまった瞬間に、紗枝の被虐心がゾクゾクと刺激される。
 雄の思い通りの雌へと変えられる。
 調教され、支配される。
 なんて堕落的で甘美なのだろうか。
 不可逆の調教を施されているというのに、紗枝は一種の感動すら覚えていた。
 汚されて犯されるのが、言いようもなく気持ちいい。
 自分自身の弱さと雄の強さを見せつけられて理解させられるのが、とてつもない快感となって紗枝の脳髄を支配してしまっていたのだった。


「さあ、動くぞ。トばないように気を張ってろよ、紗枝」


 言うと同時、紗枝の中を拡張していたペニスが引き抜かれていく。
 膨れた先端がガリガリと膣壁を引っ掻き、もどかしくも悶え狂いそうな快楽が脳天を直撃した。
 全身が痙攣し、喪失感を伴った凄まじい気持ちよさに、縋るようにしてシーツを両手でぎゅうっと掴む。


「んはぁぁぁっ♡あっ、あっ、あぁぁぁぁっ……♡」


 半ばあたりまで引き抜かれて、結合部のビラビラが卑猥に捲れ上がった。
 これ以上ないほどに紗枝の膣肉がペニスを締め付けているからこその現象。
 だがそのエロティックな光景も長くは続かない。
 間髪入れず、プロデューサーが自慢の巨根を勢いよく突き戻すと―――。


「ひぎっ!?お゛、んおぉぉぉぉっっ♡♡」


 蜜汁を撒き散らしながら、紗枝が甘い吠え声を上げた。
 アイドルにあるまじき絶叫を気にする余裕もなく、全身から根こそぎ力を奪われる。
 それほどの暴力的な快感が、紗枝を蹂躙していた。
 体は完全に媚び切って、キュンキュンとプロデューサーのペニスを切なげに、舐めしゃぶるように締め付けている。
 彼の腰の動きが、段々早くなっていく。


 ずぶっ!ずりゅっ!にちゅっ!ずぶぶぅっ!


「おへぇっ♡だへっ、は、はげしっ!?いひっ♡あ゛ーっ、あ゛ぁぁぁぁっ♡やらぁぁぁっ♡♡」


 理性どころか人格ごと吹き飛ばすような快楽に、恥も外聞もなく泣き叫んで懇願する紗枝。
 もちろん、実際にはやめてほしいなどとは欠片も思っていない。
 口では否定しながらも、腰はひっきりなしに跳ね、瞳の色は誰が見ても明らかなくらい淫蕩への期待に染まり切っている。
 どうしようもない被虐心の高まりから、勝手に口から言葉が零れ出てきているだけ。
 そしてそれを、プロデューサーの方もよく分かっていた。
 だから全く容赦せず、腰を突き込み続ける。


「んぇっ♡へぅっ♡い゛っ、きひっ―――♡らめっ、らめ、らめ、らめぇ……♡」


 もはや紗枝の体は何一つとして彼女自身の意思で動いていない。
 プロデューサーの動きに合わせて大きく体を震わせて、体中が悲鳴のような嬌声を上げて、目の前の雄に服従を伝えている。
 夥しい量の愛液も流れて、シーツに大きな染みを作っていた。
 甘い雌の発情臭も、もはや消臭剤だけでは取れないくらいにこの空間に広がり切ってしまっている。
 そんな状態の担当アイドルを蹂躙するのが楽しいのか、腰を打ち付けつつもプロデューサーの口元にははっきりとした笑みが浮かんでいた。


(あぁあああ……♡こんなん、しらんかったなんてぇ……っ♡)


 今までのセックスはただの子供のお遊びだったと確信できるほどの、とてつもなく甘く破滅的な快楽。
 こんなものを知ってしまったからには、もう2度と、この快楽を与えてくれる雄から離れることはできないだろう。
 脳裏にそれを覚え込まされるのは、プロデューサーによる所有の証を小早川紗枝という雌の魂に刻み込まれるのと同義だったが、その事実さえもたまらなくゾクゾクする。


「ぐひぃぃぃぃっ♡おっ、あひゃっ、あうっ、あうっ、ひぅぅぅううんっ♡」


 紗枝の口からは、既に甘えたような獣じみた嬌声しか上がらない。
 想像を遥かに超えた快感に体も心も蕩け切って、全てを雄に委ねてしまっている。
 元来高いプライドも乙女らしい恥じらいも、完全に粉々だった。


(きもちいいぃ……♡)


 それしか言えない。
 何もかもが気持ちよかった。
 おそらく今の紗枝は、たとえナイフで体のどこかを刺されたところで絶頂してしまうだろう。
 脳内麻薬が過剰分泌され、凄まじい多幸感に満たされている。
 無様にピクピクと痙攣しながら、粘膜を擦られるたびに軽いアクメを味わい続けた。


ぬちゅっ、ずちゅっ、ずぶっ、ぐちゅっ!


「あっ……はぁ゛っ……♡」


 異常な脳内麻薬の分泌で、ろくな思考ができなくなってくるのが紗枝自身にも分かる。
 このままでは発狂してしまうかもしれない。
 しかしそんな恐怖も、すぐに快楽への陶酔で塗りつぶされていく。
 果てがない快楽の沼へ、頭まで沈み込み始めていた。


「ふぅっ……!今まで味わったことないだろ?どうだ紗枝、気持ちいいか?」
「っっっ♡♡〜〜〜〜っ、は、はいぃぃ……♡」


 涙目でコクコクと頷きながら発するのは、服従の言葉。
 どんどん開発され、どんどん狂わされる悦び。


「うぐぅぅぅ……♡♡」


 ぶしゃっ♡ぶしゃっ♡


 結合部から、噴出した潮が吹き散らされる。
 トばないようにと言われたが、無理かもしれない。
 気を抜けば意識を手放してしまいそうな快楽が、全身を暴れまわっていた。


 ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!


「がひぇっ! あひゅっ、んおぉ゛ほっ♡」


 泣いて、喘いで、吠えて、溺れて―――。
 そんなセックスをしばらく続けていると、紗枝の体は徐々に限界へと近づいてくる。
 

「あぎゅうううううっ♡ じひぃっ、ぬっ、しんじゃうぅっ!!」


 背筋に走る甘すぎる痺れが、紗枝の根幹をゆっくりと溶かしていく。
 脳はとっくにオーバーヒートしていて、体などどこを見ても、真っ赤に紅潮して可愛がられることへの悦びを懸命に訴えている。


(こんなの、たえられへんよぉ……♡)


 イク。
 さっき以上の凄まじい波が、もうすぐそばまで近づいている。
 もしかしたら、死んでしまうかもしれない。
 そうでなくても頭がおかしくなって、四六時中ペニスで絶頂することしか考えられない、色狂いの廃人に―――。
 そんな荒唐無稽なことを考えてしまうくらい、紗枝を蹂躙するペニスが凄すぎて、抵抗できない。


 ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!


「あお゛おぉぉぉぉっ!!ひっ、んぎぃぃぃぃぃぃっ♡」


 膣肉がヒクついて限界に近づいてきているのを察したのだろう。
 プロデューサーがさらに腰の動きを激しくさせ、荒々しい勢いで腰を打ち付けてくる。
 脳がじゅくんじゅくんと甘すぎる疼きに震え、だらしなく舌が引きずり出された。
 昇る。
 昇っていく。
 今までのセックスを―――いや、先ほどの前戯でさえ、生易しいものだったと思い知らされるほどの高みへ―――。


「ひゃひっ、くうっ、んひっ、もっ♡ もう、む、むりっ♡」
「お、もうダメか。仕方ないな、一回イっとけ」


 ゾクゾクゾクっと全身を淫らな電撃が襲う。
 回避不能な絶頂の予感が、紗枝の脳内に情報として送り込まれてきたが、どうすることもできない。
 なすすべなく、愛液を飛び散らしながらペニスがギリギリまで引き抜かれ、ついに―――。


 ぐじゅりゅうぅぅぅっ!!!


「イっ―――♡」


 ペニスが強烈に突き戻され、スパークに神経が灼かれた。


「っくぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡♡」


 屈服感と多幸感が猛烈に混じり合った、圧倒的な絶頂。


「〜〜〜〜っっっ♡―――っっっ☆☆」


(かはっ……♡な、なんや、これぇっ……♡ふ、ふかいぃぃぃ……♡)


 紗枝の頭の中が、一瞬無音の世界になる。
 快楽しかない無限の地獄。
 その中で弾け続ける絶頂感と叫びたくなるような切なさに、全てを塗りつぶされるような感覚だった。
 意味もなく四肢がシーツを掻きむしり、頸部まで反らして腰が跳ねる。
 快楽信号に生物としての活動を全て阻害され―――。


「かひゅぅっ―――♡」


 呼吸ができない。
 肺の中の空気が全て押し出され、脳が灼き切れて呼吸の仕方を忘れてしまったかのよう。
 苦しい。
 けれど気持ちいい。
 命の危険に晒されているというのに、際限なく快楽に脳を犯されてしまっている。


(これ―――死―――♡)


「……っ!!?」


 いよいよ意識が遠くなりかけて、胸の奥に焦燥がよぎった刹那。
 ようやく呼吸が再開し、バチンバチンと目の前が弾ける。
 まるで鞴のような音を立てて、必死で息を吸い込んだ。


「ひゅーっ♡ひゅーっ♡ひゅーっ♡」


 一瞬の臨死体験。
 そこから戻ってきた体は、生の実感と共に一際狂おしい快楽を紗枝の脳に送り込んでくる。
 まだまだ、絶頂の途中なのだ。
 死にかけたというのに歓喜に打ち震える体を震わせ、そのことに紗枝が気づいた時には―――。
 絶頂の波の第二波が、彼女の身を飲み込んでいた。


 びくんっ!びくんっ!びくんっ!


「お゛ひゅっ!?っお、お、お、おふっ……♡」


 今度は小刻みに爆発するような軽度の絶頂が、連続で全身を震わせる。
 何から何まで未知の体験に、紗枝は野太い喘ぎを漏らしながら流されるしかない。
 膣全体はおかしいくらいに収縮を繰り返し、断続的な潮吹きがお互いの体を、ベッドを汚していく。


(あ、はっ―――♡これ、とぶぅっ……☆)


 耐えられない。
 あまりの快感に意識がショートを起こし、強制的にシャットダウンされる。
 落下するような浮遊感に身を任せかけ―――。


ずぼぉっ!!!


「―――お゛ぉっ♡」


 しかしそれは許されずに、強烈な突き込みで意識を覚醒させられた。


「今トびかけたろ。ダメだぞ、男を満足させてないのに天国行ったら」
「まっ、ま゛ぁっ……!! んひっ、あぐ、あっ、あっ!?」


 再開する動き。
 全く紗枝のことを思いやらない責めに、再び絶頂渦に放り込まれた。
 イったばかりで敏感な膣が容赦なく擦られ、降り切った子宮が乱暴に突かれていく。
 ここまでくれば、恋人同士のセックスとは呼べない。
 レイプ、もしくは紗枝というオナホールを使った、自分勝手なオナニー。


(で、でも、きもちよすぎぃぃぃっ……♡)


 しかしそれが、ただ優しくされるよりも何倍も気持ちいい。
 上下関係を教え込まれて虜にされる、支配される感覚がたまらない。
 先ほどのセックスでの一瞬の臨死体験で、紗枝の心は完膚なきまでに屈服させられていた。
 体中が、目の前の雄に泣きを入れている。
 好き放題、子宮を膣を、伸ばした手で乳首やクリトリスまで虐められて。


(ま、またっ……♡イってまうぅぅ……♡)


 気持ちよくなってしまう場所を的確に苛められ、いともあっけなく紗枝は激しい絶頂へと昇りつめさせられていく。
 終わりのない快楽地獄。
 その終着点は、プロデューサーの射精以外にはありえない。
 紗枝に止める権利は当然なく、彼女にできるのは彼が満足するまで、こうして泣かされ続けることだけ。
 ゴリゴリと、奥を削られて体が跳ねた。
 ズンッ、ズンッ、と、突き込みも激しく速くなって―――。


「イっく♡ イっぐぅぅっっ♡」


 宣言と共に、今日何度目かの絶頂を味わわされた。
 発狂したように、紗枝の膣穴がペニスを締め付ける。
 流石に耐えきれなくなったのか、中のペニスもぶるっと震えたかと思うと―――。


「くっ、そろそろ出るぞっ、紗枝っ!!」
「おひゅっ☆」
「……っっ!!」


 どぶどびゅどぶぶぶっ!!!!


 ようやく、紗枝の中にプロデューサーが精液を注ぎ込んでいった。
 

(な、なかぁっ♡びくびくってぇ……♡)


 絶頂の快楽に悶え苦しみながらも、注ぎ込まれる精を感じる。
 何日ぶりの射精なのだろうか。
 今までにないほどペニスが痙攣して、まるで溜めておいた分を全て放出するかのよう。
 生で注がれる濃厚な子種汁に本能が興奮して、また絶頂が深くなっていく。


「ぐひ♡ぐっ、ひぃんっ……♡」


 豚のような鳴き声を出しながら、猛烈な余韻と中出し射精の快楽に浸る紗枝。
 汗だくの体を互いに密着させて、しばらく息を荒げて静止する。
 ひとしきりペニスの痙攣が収まると、ようやく紗枝を拡張していた剛直が引き抜かれた。


「ふぅ……結構量が出たな……」
「あひぃっ……♡」


 直後、どろりとした感触が膣口から溢れるのを感じる。
 まるでゼリーのような半固形の精液だった。
 こんなのを、無防備な子宮口に大量に注ぎ込まれたという事実。
 一応今日の紗枝は、安全日ではあるのだが―――。


(そんなん関係なく、妊娠してまうかもぉ……♡はぁ♡)


 ここまで濃ゆく雄臭いのを出されれば、どうなってしまうかは分からない。
 それだけ猛烈で、今までにない濃厚さと量なのだ。
 間違えて危険日などに出されたら、なすすべなく孕んでしまいそうなほどの。
 繁殖力の強さを本能で察して、紗枝の子宮が切なく疼く。
 これ以上ないくらいの充実感と心地よい疲労が、体中を包み込んでいた。
 指一本さえ動かすのが億劫で、種付けされた後の恍惚に、思考をぼやけさせながら浸るしかない。
 だらしなく緩み切った表情さえ、もはや取り繕うだけの余裕は持てなかった。


「はーっ……♡はーっ……♡す、すごぉ……♡」


 崩れたトロ顔が戻らぬまま、滲む視界で天井を見つめる。
 粗相をしたシーツも、たっぷり中出しされた性器も、後処理をしなければいけないのに、そんな力は既に紗枝には残っていない。
 そのまま、何もかも投げ出して目を閉じかけて―――。




「何をアヘアヘして大満足で寝てるんだ、まだ終わってないぞ」
「へぇあっ!?」


 突然腰を引っ掴まれて、意識を引き戻された。
 そのまま、体を反転させられて、間抜けな声を上げるがままに四つん這いにさせられる。
 直後。


 ずぶうぅぅぅっ♡


 後ろから、再び性器が挿入された。


「はぐぅぅぅっ♡♡」


 全く予想していなかった刺激に、ガクンと前のめりに崩れ落ちて尻だけを突き出したような体勢にされてしまう。
 想像もしていなかった2回戦目のセックスは、全くの予告もなしに始められていた。


(んひゅぅっ!?な、なんれぇっ……さっきあんなにだしはったのに、かたぁっ……♡)


 今度は後ろから紗枝の女陰を攪拌するペニス。
 あれほど出したというのに、まだその硬度と大きさは最初の時と変わらぬままだ。
 紗枝の方は既にヘロヘロなのに対し、全く出し足りない、犯し足りないとばかりに膣肉を苛め抜いてくる。


(そ、そうやったぁ……きょう、ほんきでするってぇ……♡うちをものにするっていうとったぁ……♡)


 紗枝を必ずモノにする。
 そんな宣言をされたことを、今更ながらに思い出す。
 それに実際、まだプロデューサーは満足していないのだろう。
 何の躊躇もなく、休憩も挟まずに紗枝を犯し始めた事実からも、それは明らかだ。
 確かに、紗枝はともかく彼の方が絶頂に至ったのは先ほどだけではある。
 だが、それにしても―――。


「ひゃあぁぁぁんっ……♡き、ひぃぃぃぃぃっ♡♡」


(こ、これがぁ……っ♡Pはんの、ほんきぃぃ……♡)


 宣言通りの雌を虜にする本気セックスに、ただただ紗枝の内心は恍惚とさせられる。
 なんだかんだ言っても、紗枝はまだ15歳の小娘なのだ。
 肉体的にも精神的にも、さらに社会的にも大人ではない、まだまだ青く熟しきっていない果実。
 そんな未成熟の雌が成熟した雄の全力での求愛交尾を受けてしまえば、なすすべなく堕とされてしまうのは仕方のないことだ。
 そう、だからこの身を壊すような快楽に浸りきってしまうのも、至極当然の成り行きであり―――。


「あへぇっ♡あひぃぃぃっ、へぅぅぅっ♡♡」


(こ、こんなん、かてへんよぉ……♡♡)


 脳内に諦めと甘受の色がよぎった途端。
限界などとっくに超えているにも関わらず、紗枝は情けなくも媚び切った快楽の喘ぎを漏らし始めていた。
 苦しいのに、やめてほしいのに、体が悦んでしまうのが止まらない。
 いや、本当はやめて欲しくないのかもしれない。
 もう自分の心が分からない。
 さらに気持ちよくなりたいのか、それとももう限界だからやめて欲しいのか。
 ただ一つ確かなのは、紗枝を犯し抜くペニスが、どうしようもなく愛おしいという感情だけ。
 そしてその感情こそが、小早川紗枝という少女の、完膚なきまでの屈服を示す証でもあった。


「くっ……!おっ、イイ感じの締まり具合になってきたな、紗枝」
「ひぃぃんっ♡えひぃぃぃぃっ……♡はぉぉっ♡」


 心の底まで紗枝が屈したことで、膣肉の締まりまで変化したのか。
 プロデューサーはペニスを狂ったかの如く締め付ける感触に満足そうな笑みを浮かべ、紗枝の黒髪を優しく撫でる。
 そんな愛おし気な仕草とは裏腹に、いつしか彼は小さな紗枝の体を、後ろから馬乗りになって押し潰すような形で犯し始めていた。
 体重を思いっきりかけられて、愛液が泡立つほどの強さで男根を突き込まれるたび、紗枝のよがり泣きは徐々に大きさを増してくる。


「〜〜〜っっ♡お゛っ―――♡〜〜〜〜〜ぎぃっ♡♡」


 多幸感がこれ以上ないくらいに増大し続け、子宮口にペニスが撃ち込まれるごとに絶頂が連続しているのだ。
 いわゆる、イキっぱなしの状態。
 けれどそんな状態でも、プロデューサーは一切の容赦なく紗枝の雌穴を犯し続けている。
 湿りきった淫らな粘液音は隣の住人にさえ聞こえるのではないかというくらいに響き渡るが、そんなのを意にも介さない。
 虜にさせる、離れられなくするとの宣言通り、ペニスの味、大きさ、硬さを小さな彼女の体に身をもって叩き込んでいく。


「え゛―――んへっ♡んひぃんっ!♡ あへっ、ふへぇぇええ……っ♡」


 そして紗枝の方も、自分の体には大きすぎる肉竿を咥え込み、遠慮なしに犯される交尾に酩酊していた。
 叫び続けているせいか、喉がカラカラに乾いている。
 喉を傷めるのは、アイドルゆえにもちろんご法度。
 だがそれでも、掠れて蕩け切った雌の嬌声を、絶頂し続ける体が絞り出していた。
 突かれ続ける肉竿の逞しさにメロメロにされて、他のことがろくに考えられない。
 ただただ、イキ続けるだけの肉人形。
 今の紗枝は、情けなくも無様なそういう有様であった。


 ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ!!!


「……っ♡♡〜〜〜〜っっっ♡♡」


 ぼやけた視界の中、明滅を繰り返しながら星が舞い飛ぶ。
 何度も何度も何度も続けられるストロークに、脳内で快楽信号が暴れまわっているのが分かる。
 文字通り脳みそが溶けてしまったような錯覚さえ、抱いてしまっている。


(めちゃくちゃに……っ♡めちゃくちゃにしてぇ……♡♡)


 もう、この凄まじい快楽を与えてくれるペニスのこと以外はどうでもいい。
 こんなに気持ちいいのを味わってしまえば、他の雄に靡くなんて考えられない。
 被虐心がゾクゾクと刺激されて、紗枝は本能のまま、プロデューサーの支配を心底から受け入れていた。
 大好きな男に犯されて、体に心に、魂に忠誠と屈服の証を刷り込まれている。
 今日が安全日であることが恨めしい。
 もし孕んでしまう日だったならば、はっきりとした愛欲と堕落の証を、グズグズに蕩けきった身に宿せる時だったのに。
 アイドルという身分も自分の年齢も忘れて、ただ一匹の雌と化した紗枝は本気でそう思う。
 その悔しさ、残念さをぶつけるかの如く、腰を淫らすぎるほどストロークに合わせてくねらせた。


「うぁっ……!いいぞ、紗枝っ。このまま、ガンガン突いてやるっ」
「はひぃっ!?ひいぅぅぅっ♡♡きてぇっ、きへぇぇぇぇっ♡♡」


 絶え間なく続く絶頂。
 その上ペニスに媚びた膣肉がグリグリ腰ごとくねると、流石に快楽が強すぎるのだろう。
 プロデューサーの動きが苦しげな声と共に早くなり、粘膜音がこれ以上なく激しくなっていく。


 ずっちゅ♡ずっちゅ♡ずっちゅ♡ずっちゅ♡


「あ゛―っ♡やぁっ、くりゅぅっ、きてまぅぅっ♡♡い゛ぃぃぃぃっ♡」
「俺もそろそろっ……!出すぞ、中でたっぷり……紗枝っ!」
「〜〜〜っっ♡はぁぁぁぁぁっ♡♡」


 絶頂が近いことを絶え絶えの息で紗枝が告げると、ラストスパートをかけるように、プロデューサーの力がさらに強くなった。
 今度こそ紗枝はベッドに強く押し付け潰され、息苦しさに濁った吐息を微かに漏らす。
 その苦しささえ快楽に変換されて、伴い膣肉の締まりも強くなって―――。




 びゅるっ!びゅるるるるるるるぅっ!!


 2度目の射精が、紗枝の胎内に吐き出された。
 子宮口に密着した亀頭が、灼熱の精液を注ぎ込んでいく。
 もちろん、その射精は深い絶頂を伴い、紗枝の思考を真っ白に染める。
 脳細胞が死んでしまいそうなほどの、強すぎる快楽―――。


「お゛……っ♡♡♡」


 トんだ。
 だがすぐに連続する絶頂により、意識を無理やり引き戻される。
 体の防衛本能が意識をシャットダウンしたのに、すぐに叩き起こされる感覚は想像を絶するほどの衝撃となって、紗枝の脳内をグチャグチャにかき乱していた。
 あまりの快楽に、苦悶する紗枝。
 だが絶頂の渦は無慈悲にも止まらず、彼女の体に過負荷もいいところの気持ちよさを流し込んでいく。
 

「い゛っ―――!?んぉ゛っ、ぎ……♡♡」


 絶頂する。
 何度も何度も。
 これ以上ないくらい体重を掛けて押し潰される感覚でイき、子宮口を押し開くように亀頭を押し付けられてイき、全く薄くならない子種汁が子宮に注ぎ込まれる感覚でイった。
 その度に意識を飛ばし、また引き戻され、悶え狂う。
 何度も繰り返して、もはや死の予感さえ見えてくるほどにイキ死にかけたところで―――。
 ようやく射精が終わり、ペニスが引き抜かれた。


 ぬぽんっ!


「ほお゛っ☆」


 下品なラッパ音を雌穴が立てると同時、軽い絶頂に紗枝は身を震わせる。
 少し遅れて、追加で注ぎ込まれた白いマグマのようなザーメンが、開き切った膣穴からこぽこぽと零れ落ちていく。


「ふぅっ……。大丈夫か?紗枝」
 

(あへぇ……♡お、おわったぁ……?)


 全身を弛緩させてベッドに顔を埋めながら、辛うじて繋ぎ止めていた意識で紗枝はぼんやりと思考した。
 実に満足そうなプロデューサーの言葉に、応える気力すらない。
 ただただ強烈すぎるセックスの余韻に翻弄されて、鼻にかかった甘え声を漏らすだけ。
 自分が誰でなぜここにいるのか、それさえも理解できないほどに頭の中をグチャグチャに搔き乱されていた。


「少し激しすぎたかな―――。ああ、顔もグチャグチャだ」


 再び彼に腰を掴まれて体勢を仰向けにされても、身じろぎすらできない。
 全身が疲労感の塊になって、このままベッドに沈んでなくなってしまいそうなくらいだ。
 プロデューサーの言う通り、紗枝の顔は涙と鼻水と涎で正視に耐えない有様だったが、それさえ取り繕うこともできはしなかった。
 

「あ……ぅ……♡」


 依然として雌穴から垂れ落ちる精液の感触を感じながら、紗枝の身が震える。
 まるで心まで、犯されぬいてしまったかのようだ。
 事後の倦怠感と妖しく痺れ続ける背筋の感触が、ゾッとするほどに心地よい。
 徹底的に耕された膣穴は、ペニスが抜かれた後もその形のまま戻らず、パックリと開いてヒクヒク痙攣している。
 そんな情けなく淫らな自分の有様にまで、心の底で悦んでしまっているのが分かった。


(も、もう……うち……っ♡)

 
 認めざるを得ない。
 全くプロデューサーの目論見通りだ。
 紗枝という少女は完全に彼の虜にされ、もう離れられなくされている。
 目の前の雄しか、目に入らなくされている。
 堕ちた。
 堕とされた。
 その認識が、厳然たる事実として紗枝の脳裏に、心に刻み込まれていく。
 堕落の悦びに、全身が静かに悶え狂って―――。


「はぁんっ……♡」


 腰をぶるっと震わせて、屈服の誓い代わりのアクメをキメていた。


「……感想を聞いておこうと思ったけど、この様子じゃあ聞く必要もないみたいだな」
「あぁ……ふぅんっ♡くひぃ……♡」


 紗枝の無様な様子に興奮したのだろうか。
 プロデューサーは嗜虐心を満たされた笑みを浮かべ、彼女の頭を優しく撫でる。
 それに鼻をすんすん鳴らしながら答えてしまう紗枝。
 その姿はさながらペット、いや雄専用の雌奴隷のようで。


(はぁぁぁぁ……♡またぁ……♡)


 雄の欲望を、三度煽ってしまう。
 むくむくと、紗枝の視界の端でそそり立ってくる肉棒。
 あれだけ激しくされて臨死体験までさせられたのに、俄かに湧き出してくる猛烈な交尾の予感。
 しかし堕ち切った紗枝は、そんな予感にも構わずに子宮の奥を疼かせ、微かに腰をくねらせ始めていた。
 新たな蜜汁が、垂れ落ちる精液の残滓に混じっていく。
 自然と唾液が溢れ出て、ぺろりと上唇を舐めた刹那―――。


「―――むぅっ♡」


 無言で、口づけが降ってくる。
 そしてそのまま、強引に腰が押し付けられ、開き切った膣穴に亀頭が宛がわれ―――。
 長く情熱的な3回目の交尾が、雄と雌の間で始まるのだった。





 その後喉がガラガラ、腰も立たなくなった紗枝が数日スケジュールを開けるハメになり、プロデューサーが自業自得の謝罪行脚に回ることになるのは―――また別のお話。







290 :名無しさん@おーぷん :2017/02/15(水)23:03:18 ID:???
>>283
おつおつ

紗枝はんはモバでも地味にドスケベ衣装ばっかり着てるからチンポにすぐアヘる淫乱でも仕方ないね

298 :名無しさん@おーぷん :2017/02/15(水)23:16:57 ID:???
>>283
最高かよ……最高かよ……

300 :名無しさん@おーぷん :2017/02/15(水)23:35:01 ID:???
>>283おっつし!

なんてことだ……こんな濃密なSS書かれたらおいらのなんてハナクソになってしまう…
並程度では満足できない身体にされちゃった紗枝はんエロカワイイ

307 :名無しさん@おーぷん :2017/02/16(木)00:25:35 ID:???
ハードなら無理矢理と決めつけるのは良くないが、やっぱり無理矢理の方がいいよね

あ、>>283 は最高でした



386 :名無しさん@おーぷん :2017/02/16(木)17:53:46 ID:???
>>283
今更だけどクソエロい…

396 :名無しさん@おーぷん :2017/02/16(木)19:02:33 ID:???
>>283
チン負け紗枝はん最高です





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