一、
作戦準備間英軍我に先立ち泰国に侵入したる場合の作戦は機を失せず、一部を以て陸路及び海路より泰国に進入しバンコクを確保すると共に勉めて南方に航空基地を獲得す。
その細部要領は別に協定す。
二、
作戦準備間敵の先制攻撃を受けたる場合の作戦は、所在部隊を以て機宜これを邀撃し速やかに航空撃滅戦を開始する外、概ね既定作戦を指導す。
但し、マレー方面の上陸作戦は第一項に準じこれを行う。敵に先制攻撃を受けたる場合の対泰行動は第一項に準ず。
・十一月十日南方軍及び第二艦隊間で細部にわたり協定されたものが以下のもの。
一 英軍泰に進入したる場合
（十一月中、下旬の場合）
発令あらば機を失せず第十五軍の一部（南部佛印に展開せる近衛師団の歩兵約六大隊）及び第三飛行集団の一部を以て陸路泰国中部に進入す。又一部（近衛師団の歩兵約一大隊）を以て海路プラチャップを占領して飛行場を整備す。
（十一月下旬乃至十二月上旬の場合）
発令あらば機を失せず第十五軍の一部（近衛師団の歩兵約六大隊）及び第三飛行集団の一部を以て陸路泰国中部に進入す。又一部（新たに佛印に到着せる第五十五師団の歩兵約三大隊）を以て海路ナコン、バンドン、チュンポン、プラチャップに進入す。
（以上両場合に於ける海軍マレー部隊の行動）
展開を完了せる兵力を以て、海上護衛及び航空作戦に協力す。各部隊の任務行動に関しては別命す。
二 敵の先制攻撃を受けたる場合
（十一月中の場合）
各地に於いて、陸海軍協同して侵入する当該国軍を邀撃する外「英軍泰に進入したる場合」の作戦を行う。
進攻進入作戦実施は別命（大本営）に依る。
（十二月上旬以降の場合）
各地に於いて陸海軍協同して当該国軍を邀撃する外「英軍泰に進入したる場合」の作戦を行う。
南方軍総司令官、南方方面海軍最高指揮官協議の上速やかに進攻作戦を開始す。
マレー方面航空進攻作戦開始日時は、南方軍総司令官、海軍マレー部隊指揮官間に於いて協議す。
以上の場合に於いて、尚X日未発令の場合進攻作戦開始は別命（大本営）に依る。
（備考）
米軍より先制攻撃を受けたる場合、泰国進入は別命（大本営）に依る。
第三節 使用兵力（主要なもののみ）
（1）陸軍（カッコ内は二重使用の兵団を示す）
南方軍
第十四軍（比島方面）
第十六師団
第四十八師団
戦車連隊 二
高射砲 四四門
軍直砲兵 六大
第十五軍（泰及びビルマ方面）
第三十三師団
第五十五師団（一部欠）
第十六軍（蘭印方面）
第二師団
（第三十八師団）
（第四十八師団）
混成第五十六歩兵団
（南海支隊）
戦車連隊 三
高射砲 八八門
軍直砲兵 五大
第二十五軍（馬来方面）
近衛師団
第五師団
第十八師団
戦車団 一（連隊四）
軍直砲兵 一一大
高射砲 六〇門
南方軍直属
第二十一師団
独立混成第二十一旅団
第三飛行集団
第五飛行集団
第二十一独立飛行隊
高射砲 四八門
第二十三軍（香港方面）
第三十八師団
軽爆一戦隊
南海支隊（太平洋諸島）
混成第五十五歩兵団
(2)海軍（×印は状況に依りその一部を使用する兵力を示す）
連合艦隊
直率
連合艦隊司令部
第四潜水戦隊
第五潜水戦隊
第十一航空戦隊
（第十一航空戦隊は比島、蘭印方面。潜水戦隊は南太平洋全域）
第一艦隊
第三戦隊の一部
第三水雷戦隊
第三航空戦隊の一部
×第六戦隊
第一水雷戦隊の一部
（第三水雷戦隊は馬来方面。その他所要方面）
第二艦隊
第四戦隊
第五戦隊
第七戦隊
第二水雷戦隊
第四水雷戦隊
×第八戦隊
（当初主力を以て主として比島方面一部馬来方面、爾後一部馬来方面増強、大部は蘭印方面）
第三艦隊
第十六戦隊
第十七戦隊
第五水雷戦隊
第六水雷戦隊
第十二航空戦隊
第一根拠地隊
第二根拠地隊
（当初主力を以て主として比島方面一部馬来方面、蘭印方面）
第四艦隊
第十八戦隊の一部
第六水雷戦隊の一部
根拠地隊の一部
特設水上機母艦 一
第二十四航空戦隊
所要に応じ一部有力部隊を増強
（太平洋諸島方面）
第一航空艦隊
第一航空戦隊
第二航空戦隊
第四航空戦隊
第五航空戦隊
（所要方面）
第十一航空艦隊
第二十一航空戦隊
第二十二航空戦隊
第二十三航空戦隊
（作戦地域全般）
南遣艦隊
香椎、占守
第九根拠地隊
「作戦初頭左を配属す」
巡洋艦戦隊一隊
水雷戦隊一隊
航空母艦 一
水上機母艦 二
（馬来及び英領ボルネオ方面並びにスマトラ方面）
支那方面艦隊
第二遣支艦隊
第二遣支艦隊の一部
支那方面艦隊の一部
連合艦隊の一部
（香港付近）
第十一節 作戦日時及び使用時
本作戦に於ける日時の標準を左の如く定む
一、作戦日時
大命に依る作戦開始より起算す
二、使用時
中央標準時とす
第十二節 陸海軍指揮官の協定
開戦に決せば成るべく速やかなる時機に左の陸海軍指揮官（又は同予定者）をして東京又は適宜の地点に於いて作戦に関する協定を行わしむ。
・南方軍総司令官と連合艦隊司令長官、第二艦隊司令長官
・南方軍総司令官と南遣艦隊司令長官
・第十四軍司令官、第十六軍司令官と第三艦隊司令長官
・第十五軍司令官、第二十五軍司令官と南遣艦隊司令長官
・第三飛行集団長、第五飛行集団長と第十一航空艦隊司令長官
・第三飛行集団長と南遣艦隊司令長官、第二十二航空戦隊司令官
・南海支隊長と第四艦隊司令長官
・支那派遣軍総司令官と支那方面艦隊司令長官
・第二十三軍司令官と第二遣支艦隊司令長官
第十四節 作戦名称を左の如く定む
南方作戦全般の総称 あ号作戦
比島作戦 M作戦
馬来作戦 E作戦
蘭領印度作戦 H作戦
グアム作戦 G作戦
英領ボルネオ作戦 B作戦
香港作戦 C作戦
ビスマルク作戦 R作戦
��.南方作戦陸海軍航空中央協定
第二 使用兵力
（1）比島作戦
陸軍
第五飛行集団長の指揮する概ね左の兵力
偵察 三六機
戦闘 三六機
軽爆 五四機
重爆 一八機
計 一四四機
別に台湾に於ける防空の為戦闘機約三〇機を使用す
海軍
第十一航空艦隊司令長官の指揮する概ね左の兵力
陸偵 九機
陸戦 一〇八機
陸攻 一四四機
飛行艇 一八機
計 二七九機
情況に依り一時他方面の兵力を増援することあり
第三艦隊司令長官の指揮する左の兵力
水偵 約六〇機（初頭は約四〇機）
右の外小型機並びに台湾方面防空の為戦闘機約二〇機を使用す
（2）馬来、ビルマ、ボルネオ作戦
陸軍
第三飛行集団長の指揮する概ね左の兵力
偵察 七二機
戦闘 一六八機
軽爆 一〇八機
重爆 九九機
計 四四七機
比島作戦概ね終了後第五非行集団主力を当方面に転用す
海軍
第二十二航空戦隊司令官の指揮する概ね左の兵力
陸偵 九機
陸戦 三六機
陸攻 七二機
計 一一七機
南遣艦隊司令長官の指揮する左の兵力
水偵 約七機（初頭は約二〇機）
参考文献
作戦準備間英軍我に先立ち泰国に侵入したる場合の作戦は機を失せず、一部を以て陸路及び海路より泰国に進入しバンコクを確保すると共に勉めて南方に航空基地を獲得す。
その細部要領は別に協定す。
二、
作戦準備間敵の先制攻撃を受けたる場合の作戦は、所在部隊を以て機宜これを邀撃し速やかに航空撃滅戦を開始する外、概ね既定作戦を指導す。
但し、マレー方面の上陸作戦は第一項に準じこれを行う。敵に先制攻撃を受けたる場合の対泰行動は第一項に準ず。
・十一月十日南方軍及び第二艦隊間で細部にわたり協定されたものが以下のもの。
一 英軍泰に進入したる場合
（十一月中、下旬の場合）
発令あらば機を失せず第十五軍の一部（南部佛印に展開せる近衛師団の歩兵約六大隊）及び第三飛行集団の一部を以て陸路泰国中部に進入す。又一部（近衛師団の歩兵約一大隊）を以て海路プラチャップを占領して飛行場を整備す。
（十一月下旬乃至十二月上旬の場合）
発令あらば機を失せず第十五軍の一部（近衛師団の歩兵約六大隊）及び第三飛行集団の一部を以て陸路泰国中部に進入す。又一部（新たに佛印に到着せる第五十五師団の歩兵約三大隊）を以て海路ナコン、バンドン、チュンポン、プラチャップに進入す。
（以上両場合に於ける海軍マレー部隊の行動）
展開を完了せる兵力を以て、海上護衛及び航空作戦に協力す。各部隊の任務行動に関しては別命す。
二 敵の先制攻撃を受けたる場合
（十一月中の場合）
各地に於いて、陸海軍協同して侵入する当該国軍を邀撃する外「英軍泰に進入したる場合」の作戦を行う。
進攻進入作戦実施は別命（大本営）に依る。
（十二月上旬以降の場合）
各地に於いて陸海軍協同して当該国軍を邀撃する外「英軍泰に進入したる場合」の作戦を行う。
南方軍総司令官、南方方面海軍最高指揮官協議の上速やかに進攻作戦を開始す。
マレー方面航空進攻作戦開始日時は、南方軍総司令官、海軍マレー部隊指揮官間に於いて協議す。
以上の場合に於いて、尚X日未発令の場合進攻作戦開始は別命（大本営）に依る。
（備考）
米軍より先制攻撃を受けたる場合、泰国進入は別命（大本営）に依る。
第三節 使用兵力（主要なもののみ）
（1）陸軍（カッコ内は二重使用の兵団を示す）
南方軍
第十四軍（比島方面）
第十六師団
第四十八師団
戦車連隊 二
高射砲 四四門
軍直砲兵 六大
第十五軍（泰及びビルマ方面）
第三十三師団
第五十五師団（一部欠）
第十六軍（蘭印方面）
第二師団
（第三十八師団）
（第四十八師団）
混成第五十六歩兵団
（南海支隊）
戦車連隊 三
高射砲 八八門
軍直砲兵 五大
第二十五軍（馬来方面）
近衛師団
第五師団
第十八師団
戦車団 一（連隊四）
軍直砲兵 一一大
高射砲 六〇門
南方軍直属
第二十一師団
独立混成第二十一旅団
第三飛行集団
第五飛行集団
第二十一独立飛行隊
高射砲 四八門
第二十三軍（香港方面）
第三十八師団
軽爆一戦隊
南海支隊（太平洋諸島）
混成第五十五歩兵団
(2)海軍（×印は状況に依りその一部を使用する兵力を示す）
連合艦隊
直率
連合艦隊司令部
第四潜水戦隊
第五潜水戦隊
第十一航空戦隊
（第十一航空戦隊は比島、蘭印方面。潜水戦隊は南太平洋全域）
第一艦隊
第三戦隊の一部
第三水雷戦隊
第三航空戦隊の一部
×第六戦隊
第一水雷戦隊の一部
（第三水雷戦隊は馬来方面。その他所要方面）
第二艦隊
第四戦隊
第五戦隊
第七戦隊
第二水雷戦隊
第四水雷戦隊
×第八戦隊
（当初主力を以て主として比島方面一部馬来方面、爾後一部馬来方面増強、大部は蘭印方面）
第三艦隊
第十六戦隊
第十七戦隊
第五水雷戦隊
第六水雷戦隊
第十二航空戦隊
第一根拠地隊
第二根拠地隊
（当初主力を以て主として比島方面一部馬来方面、蘭印方面）
第四艦隊
第十八戦隊の一部
第六水雷戦隊の一部
根拠地隊の一部
特設水上機母艦 一
第二十四航空戦隊
所要に応じ一部有力部隊を増強
（太平洋諸島方面）
第一航空艦隊
第一航空戦隊
第二航空戦隊
第四航空戦隊
第五航空戦隊
（所要方面）
第十一航空艦隊
第二十一航空戦隊
第二十二航空戦隊
第二十三航空戦隊
（作戦地域全般）
南遣艦隊
香椎、占守
第九根拠地隊
「作戦初頭左を配属す」
巡洋艦戦隊一隊
水雷戦隊一隊
航空母艦 一
水上機母艦 二
（馬来及び英領ボルネオ方面並びにスマトラ方面）
支那方面艦隊
第二遣支艦隊
第二遣支艦隊の一部
支那方面艦隊の一部
連合艦隊の一部
（香港付近）
第十一節 作戦日時及び使用時
本作戦に於ける日時の標準を左の如く定む
一、作戦日時
大命に依る作戦開始より起算す
二、使用時
中央標準時とす
第十二節 陸海軍指揮官の協定
開戦に決せば成るべく速やかなる時機に左の陸海軍指揮官（又は同予定者）をして東京又は適宜の地点に於いて作戦に関する協定を行わしむ。
・南方軍総司令官と連合艦隊司令長官、第二艦隊司令長官
・南方軍総司令官と南遣艦隊司令長官
・第十四軍司令官、第十六軍司令官と第三艦隊司令長官
・第十五軍司令官、第二十五軍司令官と南遣艦隊司令長官
・第三飛行集団長、第五飛行集団長と第十一航空艦隊司令長官
・第三飛行集団長と南遣艦隊司令長官、第二十二航空戦隊司令官
・南海支隊長と第四艦隊司令長官
・支那派遣軍総司令官と支那方面艦隊司令長官
・第二十三軍司令官と第二遣支艦隊司令長官
第十四節 作戦名称を左の如く定む
南方作戦全般の総称 あ号作戦
比島作戦 M作戦
馬来作戦 E作戦
蘭領印度作戦 H作戦
グアム作戦 G作戦
英領ボルネオ作戦 B作戦
香港作戦 C作戦
ビスマルク作戦 R作戦
��.南方作戦陸海軍航空中央協定
第二 使用兵力
（1）比島作戦
陸軍
第五飛行集団長の指揮する概ね左の兵力
偵察 三六機
戦闘 三六機
軽爆 五四機
重爆 一八機
計 一四四機
別に台湾に於ける防空の為戦闘機約三〇機を使用す
海軍
第十一航空艦隊司令長官の指揮する概ね左の兵力
陸偵 九機
陸戦 一〇八機
陸攻 一四四機
飛行艇 一八機
計 二七九機
情況に依り一時他方面の兵力を増援することあり
第三艦隊司令長官の指揮する左の兵力
水偵 約六〇機（初頭は約四〇機）
右の外小型機並びに台湾方面防空の為戦闘機約二〇機を使用す
（2）馬来、ビルマ、ボルネオ作戦
陸軍
第三飛行集団長の指揮する概ね左の兵力
偵察 七二機
戦闘 一六八機
軽爆 一〇八機
重爆 九九機
計 四四七機
比島作戦概ね終了後第五非行集団主力を当方面に転用す
海軍
第二十二航空戦隊司令官の指揮する概ね左の兵力
陸偵 九機
陸戦 三六機
陸攻 七二機
計 一一七機
南遣艦隊司令長官の指揮する左の兵力
水偵 約七機（初頭は約二〇機）
参考文献 
戦史叢書 マレー進攻作戦
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