作成者:ruslan

まず前提としての考えを挙げておきます。

・ガードが低いほうが動作の自由が増す
↓理由
●ガードを上げるほど力みが生じやすいから→結果◯体の回転を妨げるモーションが大きくなるスタミナを消費するなどの弊害
●ガードを上げるほど上半身が固定されるから→結果◯ステップ時に上下半身のバランスを崩しやすいなどの弊害

・ガードが高いとストレート系のパンチにマイナス フックは問題ない
↓理由
●ガードをあげると脇が開くから→結果◯パンチをインから放てなくなるという弊害
●ガードの位置からヒットポイントまでの軌道が下方向になるから→結果◯横方向の体軸の回転にブレが生じ攻撃の間合いが狭くなり威力が落ちるという弊害
●フックの軌道では影響がないから→フックでは一度腕を下ろしてから軌道を描くので、ガードが高くても一度下ろしてから打てば弊害は生じない



では、このような背景を踏まえた上で考察します。

まずセオリーを確認すると
競技前手の位置奥手の位置
ボクシング顔からやや離して、こめかみアゴに密着させるように
キックボクシング顔にやや近づけて、こめかみこめかみに密着させるように
というのが一般的であるように感じます。

(なおここでは、あくまでガードの高さについて考察するのであって、ガードの位置(顔から近づける、離すなど)についてはまた別の項目で考察する予定です)

セオリーを比較するに、ボクシングの方がキックボクシングよりもガードがやや低い傾向にあります。
そしてガードの低さは先ほど確認したように、「動きの自由」や「ストレート系のパンチにプラス」の作用をもたらします。

しかし、これらの視点はプレイヤー本意のものでなく、ガードの本来の目的は相手の攻撃を防ぐためであることを考慮しなければなりません。

ではなぜキックボクシングが、マイナスの作用をもたらしてまでガードを上げるかを考えてみます。

その理由としては
・ハイキックがあるから→ハイキックはアゴやこめかみだけでなく、比較的高い部位である側頭部や後頭部側でも有効であるという背景
・動きを自由にするメリットが少ないから→ハイキックや膝蹴りの脅威から、ボクシングでは許容されるヘッドスリップやダッキングに制約が生じるという背景 が考えられます。

つまりキックボクシングにおけるガードのセオリーは、ボクシングと比べて確実に腕でブロックをすることを意識しているものだと言えます。
そして、このセオリーは競技性を意識した上で、非常に合理的なものです。
これから各人に合わせたガードの高さを検討するに当たり、セオリーをただ受け入れるのではなく、理解することが重要な鍵になるでしょう。

とはいえセオリーは雛形であって、それを全ての人に杓子定規に当てはめる必要はありません。
具体的な個々のケースでは、高いガードでもスムーズにパンチを打てる人もいれば、アゴの高さまであげるので精一杯の人もいます。
また、高いガードが億劫に感じてでもガードを高くする必要がある人もいれば、高いガードが逆効果に働く人もいます。

それは腕の長さであったり、頭の大きさであったり、ファイトスタイルの違いであったり、個体差に大きく左右されるからです。

具体的にどのようなガードの高さであるべきなのかを考えるに当たり、ベースとなる考えをここでは記してきました。
次項では、実体的な側面から考察します。

後編 より具体的に

このページへのコメント

日本人選手やヘビー級では何故かK-1出場選手レベルでも、軽視する選手が少なくないガード技術。一方でK-1甲子園世代には標準装備だったりする不思議。
今後の展開に期待してます!

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Posted by ゆずマシュマロ 2010年10月19日(火) 22:46:18 返信

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