作成者:ruslan

以前は長距離走がスタミナに直結しない、などと知識不足でアホなことを言ってしまいましたが、全くの事実誤認でした。申し訳ございませんでした。


乳酸を活かしたスポーツトレーニングという本を読み、スタミナとはなにかが何となくわかった(つもり)なので、備忘録を兼ねてここに暫定版として書かせていただきます。(正式版は知識の獲得・整理がつき次第、書かせていただきます)


・そもそも走りこみのメリットとは?

走りこみには長距離走と短距離走があります。
まず長距離走のメリットは連続的な運動が可能であることです。ジムワークでは基本的には3分刻みで断続的に運動を続けますが、長距離走では走り始めてからゴールに到達するまで運動を止めることがありません。

短距離走のメリットは運動強度が高いこと、(筋肥大の効果を含めて)瞬発力が上昇することなどが考えられます。
短距離走の代用として、例えばサンドバックやミット打ちを、高い強度でこなしてスタミナの増強を図ることは毎日のように行われています。
中にはパンチやキックを100連打、といった極度に多くの運動量が課されることがありますが、この時スキルが上がることもあれば失うこともあります。

パンチやキックは1度の動作であれ、極度に疲弊した状態で行うにはかなりの労力を要します。なぜなら疲労が筋収縮を阻害し、不自然な動作にならざるを得ないからです。
このような状態でさらに追い込み練習をすると、適切でないタイミングで力を使ったり、本来使うべきでない筋肉を使って動作を起こしたりするために、この時の不自然な動作がクセとして残ってしまう可能性が想定されます。これが「スキルを失う可能性」です。

そして一度疲弊してしまうと、動作の大きいパンチやキックを満足に放てなくなってしまいます。
対して短距離走では一歩一歩の足の運びが億劫になることはほとんどなく、その点において短距離走の方が高い運動強度である可能性が高いです。(科学的に証明したわけではありませんので「可能性が高い」と表現します)

ちなみにある論文のデータによると、自転車運動の最大酸素摂取量は走運動の92.5±4.7%という結果が出ているように、走る動作の高い運動強度が想像されます。(ちなみにこのデータには自転車運動の熟練度による個人差が大きく、中には自転車運動のほうが高い強度になる人もいるようなので、参考数値として捉えてください)
さらに参考数値として、脚ペダリングは腕クランキングよりも30〜40%高い最大酸素摂取量になることから、シャドーボクシングの空打ちによる追い込みはさほど強度が高くないと考えられます。



・長距離走はLT、OBLA付近で走る

まずLT、OBLAとはなんぞや、という方が多いかと思います。
砕けた言い方になりますが、LTとは「これ以上の強度で運動すると急激に乳酸が発生するというポイント」、OBLAとは「LTよりもう少し強度で、血中乳酸濃度が4mmol/lくらいのポイント」のことです。

陸上選手の中では走行中に耳たぶから採血をし、その時の血中乳酸濃度を調べてLTに達しているかなど調べるそうですが、なかなか格闘技選手がそのようなことをする機会はありません。
参考図書ではLT値の実感として、走っていてキツイと感じ始めるポイントが目安になると書かれています。

ではなぜLT付近で走る必要があるのでしょうか。
それはLT付近で継続して運動することで、LT値が伸びるからです。つまりこれまで急激に乳酸が発生していた運動強度ではもはや乳酸がさほど発生しなくなる、ということです。
そしてLTの値と長距離走の成績には相関関係があります。それは糖質を多く使わずとも、走行のエネルギーを賄えるようになったからです

LTが伸びると乳酸が蓄積しにくくなる。そうすると糖質が多く使われなくなる?
この文面だけを読んで理解出来る方はほとんどいらっしゃらないと思うので、この部分について少しだけ説明します。
しかし詳しく書くとそれだけで本一冊書けるような分量になってしまうので、興味のある方は上に挙げた本の購入をオススメします。

そもそも乳酸は高い強度の運動で発生するのではなく、何も運動していなくても発生しています。しかしLTの達する以前の運動強度ならば、乳酸の発生と酸化(一般的には分解という意)の釣り合いが取れているので、さほど疲労を感じることはありません。

そして乳酸が発生する原因は、運動エネルギーが糖質から多く賄われることです。高い強度の運動では手軽にエネルギーを作れる糖質が多く使われるので、それゆえ乳酸が多く発生します。その結果、乳酸の発生と酸化のバランスが崩れ、体に乳酸が蓄積してしまいます。

乳酸は蓄積させることなく、発生した乳酸を酸化していくことが必要です。
エネルギー生成の際に発生した乳酸を酸化させることで、再びエネルギーを作り出すことができるからです。

逆に乳酸の酸化が追いつかず、乳酸が蓄積してしまうとどうでしょうか。
乳酸が蓄積すると血中の水素イオン濃度が上昇し、体が酸性に傾くために筋肉の動きを抑制したりします。(ちなみに疲労の原因はこれだけではありません)
なにより速やかに乳酸からエネルギーを作れなくなってしまうので、現在の強度の運動を続けるためのエネルギーが枯渇してしまいます。

ですからLTの高い人ほど、LTを超える強度の運動をしたとき相対的に乳酸が蓄積しにくくなります。
そのような人は発生した乳酸をせっせとエネルギーの再生産に使うことができるので、新たに糖質ばかりからエネルギーとして賄う必要がなくなります。すると高い強度の運動が可能になりますす。

かなり大雑把な説明ですが、このように因果関係が成り立ちます。

しかし格闘技において、そのままLTの強度で走るというセオリーを用いるのは少々やっつけです。
それは陸上をすることが目的ではない以上、長距離走に何時間も費やしていられないというのが現実だからです。

市民ランナーがフルマラソンを走るときにLT辺りの強度だそうです。つまりLTの強度ならば4,5時間の運動にも耐えられてしまうのです。
格闘技の長距離走といっても一般には30〜40分程度であることを考えるとLTの強度ではやや物足りない印象を受けます。

そこでOBLAがもう一つのカギになります。
OBLAとは血中乳酸濃度が4mmol/lになるポイントのことで、ギリギリ長距離を走れるであろう強度です。これを過ぎるとかなり急激に乳酸濃度が高まる傾向にあり、おそらく長距離走には耐えられなくります。

LTと同様に、OBLA付近の強度で運動を続けることでOBLAの値も上がるため、格闘技におけるランニングではOBLAがキーポイントになると考えられます。
ちなみにフルマラソンの世界記録では平均時速20キロを超えるスピードですが、これはOBLAギリギリのラインで走っているそうです。(格闘技選手では、OBLAの強度で2時間以上走り続けることは至難でしょう)

しかしLTと同じくOBLAに達しているかどうかは採血をしなければ分からないことなので、これも実感で判断するしかありません。
目安は「これ以上の速度ならば長距離走は走れない」であろう速度です。

ここまでをまとめると
・長い時間をかけるのならばLT付近の強度
・30〜40分程度で追い込むのならばOBLA付近の強度 が目安になるのではないのでしょうか。

このページへのコメント

RipdWc I truly appreciate this blog article.Really looking forward to read more. Great.

1
Posted by check it out 2014年01月23日(木) 05:33:06 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます

メンバー募集!