機能集約・廃止が検討されている神奈川県立図書館・神奈川県立川崎図書館に関する情報をまとめます。

松崎淳議員(民主党・かながわクラブ)の質疑

松崎委員

それでは、引き続きまして質疑を行わせていただきます。民主党・かながわクラブの松崎です。よろしくお願いいたします。
私からは大きく3点伺わせていただきます。
まず1点目は県立の図書館について、それから2点目は財政問題について、そして3点目はEPA経済連携協定に基づく看護師候補者の扱い等についてでございます。
まず、1点目の県立図書館についてから伺ってまいります。
歳入歳出決算調書の208ページに記載のあります社会教育施設費について伺います。
神奈川県緊急財政対策の中でも県民利用施設の検討の方向性が示されておりますが、施設ごとに設置の経緯、役割、利用の状況などを踏まえ、拙速に結論を出すことなく、それぞれ丁寧に検討を進めていく必要があると考えています。
特に県立図書館につきましては、長らく県民に親しまれてきた施設であり、市町村立図書館への支援という重要な役割も果たしてきたと思います。
そこで、県立図書館の平成23年度の決算状況を確認し、併せて今後の方向性についても伺いたいと思います。
まず歳入歳出決算調書の208ページから社会教育施設費の歳出の状況について記載されておりますが、この支出済額のうち図書館に係る金額はどのようになっているんでしょうか。

生涯学習課長

社会教育施設費の支出済額が13億5,990余万円となってますけれども、この中には図書館の他に歴史博物館、それから生命の星・地球博物館など四つの社会教育施設の経費が含まれております。そこで、このうち図書館に係る金額でございますけれども、県立図書館と川崎図書館の二つの図書館の維持運営に係る経費が1億1,330万円、それから事業の方に係る経費が約2億1,480万円ほどとなってございます。
この事業費の方の内訳でございますけれども、主なものとしては、図書館の情報ネットワークの推進事業費が6,000万円、それから図書館の方で図書や雑誌などの資料の購入経費として、県立図書館分が約5,600万円、川崎図書館が約2,300万円となっております。
ただし、この県立図書館の5,600万円ですが、平成23年度は住民生活に光をそそぐ交付金を特別に使って2,370万円ほどの図書を購入してございますので、通常分としては約3,300万円ほどとなってございます。

松崎委員

今の資料購入の金額だけを聞きますと、決して潤沢な金額とは思えません。一方で、決算関係資料の59ページには不用額として県立図書館につきましては980万円ほどの記載があります。この内容はどういうものでしょうか。

生涯学習課長

不用額の985万2,000円の内訳でございますけれども、このうち最も大きい金額を占めておりますのが、平成23年度は県立図書館の屋上の防水改修工事などを行っておりまして、このときの施設整備費における委託料の残が300余万円ほどございます。この他に図書館で収集しました図書資料のデータを、先ほどお話ししました情報ネットワークシステムに入力するときの業務委託費の入札残が190万円ほど、それから光熱水費の残が150万円ほどとなってございます。

松崎委員

次に、主要施策説明書の170ページに平成23年度の利用人員の記載がありますが、県立図書館がこれまで県内の図書館サービスの振興に果たしてきた役割は一体どのようなものであったのか、また県教育委員会としてはそれをどのように評価しているのか伺います。

生涯学習課長

県立図書館は設置当初からの運営基本方針の一つといたしまして、市町村立図書館の施設の育成、それから県内の図書館網を組織して各自治体の図書館の機能が十分発揮できるように指導、助言、それから資料の提供などを行うということで事業を進めてきてございます。
そういうことでございますので、昭和33年からは図書館がまだ整備されていない市町村に自動車を活用した移動図書館車というものを定期的に巡回をいたしましたし、昭和40年代終わり頃から、県内の市町村に図書館が次々設置されてきてございます。その際に、県の方では図書館整備の助言をしたり、それから職員が相互交流するというようなことで専門知識などをお伝えしてきているところでございます。
その結果、昭和45年には18館しか公立図書館がありませんでしたけれども、現在は一部公民館内の図書室になっているところもありますけれども、75館の公立図書館がそろっているという状況でございます。
このように、市町村の図書館のサービスが充実してまいりますと、県の役割としては、そこをバックアップする広域的な視点での役割が求められてきまして、平成2年には県内の公立図書館が相互に図書を貸したり借りたりすることができるようなKL−NETと言ってございますけれども、こういうものを構築して資料の共同利用を図ってきてございます。
このような取組で県立図書館は県内図書サービスの向上に一定の役割を果たしてきたと考えてございます。

松崎委員

今の御説明を聞いていると、設置当時から今日に至るまでの間で、大体四つぐらいのペースで変遷が見られると受け止めさせていただいたわけです。
そこで、改めて確認させていただきますけれども、県立の図書館の設置目的、それからそれぞれの設置時期をもう一度確認させていただきたいと思います。

生涯学習課長

今現在、紅葉ケ丘にある県立図書館とそれから川崎図書館の二つがございますけれども、いずれも条例の上では一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーションに資することを設置目的としてございます。
少し特色を申し上げますと、県立図書館の方は、昭和29年に県立音楽堂とともに県内にまだ数少ない文化施設の一つとして開館してございます。
それから、川崎図書館の方は、京浜工業地帯の発展を背景として、昭和33年に少し遅れて開館してございまして、自然科学や工業に関する資料に重点を置く公共図書館というような特色を持って運営をしてきているところでございます。

松崎委員

今お答えのあったことでございますけれども、紅葉ケ丘の県立図書館の方については、音楽堂といわば一体的な整備の部分があったと。それから、川崎図書館については、川崎富士見の場所でございますけれども、私も何度か伺っていますが、社史などの収集については全国屈指の施設であるとも側聞しているところでございます。
そこで、1点、伺いたいんですが、神奈川県緊急財政対策との関連というのはどうしても聞かざるを得ません。県立図書館について、機能の純化、集約化を含めた検討となっておりますが、これは具体的にどういったことを考えているのでしょうか。

生涯学習課長

まず、機能の純化の方でございますけれども、今までいろいろな変遷があった中で、これから県立図書館が果たすべき役割をしっかりと見直していこうということで、機能の純化と申し上げてございます。
具体的には、県内の公立図書館の間での相互の貸借システムの運営ですとか、専門司書の研修、それから市町村の図書館ではなかなか一般的に購入しない専門性の高い図書の収集ということで、市町村への支援をしていくということが県の役割だと認識してございます。
また、高齢化社会などが進んできますと、実際に図書館に通えない方たちのためのサービスをどうしたらいいのかとか、電子図書なども普及してきてございます。こういう情報化社会を見据えて新しい図書館サービスの在り方について研究をして、市町村の図書館に普及していくというようなことをやっていかなくてはいけないと考えてございます。
ただその一方で、市町村の図書館の整備がだんだん進んでまいりますと、県民への図書の閲覧とか貸出しのサービスという直接サービスについては必ずしも県立の図書館の役割でなくてもいいのではという考え方から、こういう直接的なサービスは廃止するということを含めた方向で検討したいと考えてございます。
それから、集約化につきましては、川崎の図書館の敷地は川崎市からの借地でございますので、市の再編整備計画で平成29年度末までに現在地から移転する必要がございます。そういうことから、県立図書館等への集約化ということで全体を検討していかなければならないと考えてございます。

松崎委員

今の説明を聞いていますと、閲覧、貸出機能の廃止を検討するということでございますが、つまりそれは、県立図書館を廃止するということではないんでしょうか。

生涯学習課長

図書館法での図書館の定義というのは、図書、記録、その他必要な資料を収集、整理して保存して、一般公衆の利用に供すると、そのことで教養とか調査研究、レクリエーションに資することを目的とする施設と書いてございます。この一般公衆の利用に供するという意味は、一般的にはこれは閲覧とか貸出しのことを示すと考えておりますので、そういう意味では、一般的に図書館のイメージで捉えられる施設ではなくなるということになりますけれども、そういうものも含めてこれから検討してまいりたいと考えてございます。

松崎委員

そういうものも含めてという部分を再度お聞きしますが、そこのところは、図書館法を持ち出されていますけれども、図書館の機能としては廃止していくということだと思うんですが、いかがでしょうか。

生涯学習課長

繰り返しになりますけれども、閲覧とか貸出サービスというものは行わない施設として検討していきたいということでございます。

松崎委員

それは廃止だと受け止めさせていただきます。それを検討していくということでありますけれども、もう少し理由をお聞かせいただかないとなかなか納得がいかないんです。閲覧や貸出機能の廃止という重大な問題、つまり図書館そのものを廃止していく方向にあるというその理由はどういうことなんでしょうか、明確にお答えください。

生涯学習課長

若干繰り返しになりますけれども、市町村立図書館の整備がだんだん進んできたということで、地元サービスの充実が一定程度図られてきたという中では、県立図書館を実際に直接利用される方へのサービスよりも、KL−NETなどを使った広域的な県がやっているサービスの方が伸びているという状況がございます。
こういう県内図書館のサービスの状況をよく踏まえて、県域全体として図書館サービスを向上させていくためには、県の果たすべき役割とか機能はどういうことなのかということ、どういうところに重点的に取り組んでいくべきなのかということをここで改めて見直そうということで、一つの検討の方向性として提示させていただいているというものでございます。

松崎委員

やりとりの中でだんだん明らかになってきたのは、当局としては県立図書館を、これは横浜、川崎ということでありますけれども、廃止を考えていると。そうすると、今確かに県域全体、市町村支援も含めてサービスだとおっしゃるんですけれども、直接こちらを利用されている方々も含めて、県民サービスというのは大きく低下すると私には思えるわけであります。
そこで伺いますけれども、県はどのように検討を進めようとしているのか。これは教育局長にお答え願います。

教育局長

今回お示ししました見直しの方向でありますけれども、委員御指摘のように、県立図書館として現地での閲覧、貸出しを行わないということを検討しておりまして、これが実現しますと、図書館の公の施設という観点からは廃止に該当するのかと考えているところです。
ただ、県民サービスに直結します閲覧、貸出機能を全てなくしてしまうというわけではございません。逆に、県立図書館でその場所で閲覧できない代わりに、県民の皆さんの身近にあります市町村の図書館において県立図書館の有する専門的な図書を閲覧できるようにしていきたいと考えています。これが広域行政体の役割であろうと考えているところです。
その仕組みとしましては、先ほど課長の答弁の中にも出てきましたKL−NETという仕組みがございます。それを拡充しまして、本の貸し借りを市町村と綿密にやる仕組みをつくり上げていきたいと考えております。そうしますと、逆に県民の皆さんにとっては利便性の向上につながる点もあろうかと考えているところです。
したがいまして、廃止もあり得るという見直しの方向でありますけれども、その前提として市町村との連携で新たな図書館の形態をつくっていく、こういうことができないかということを検討するということで御理解いただきたいと思います。
その形態には、解決すべき課題が結構ございますので、慎重に進めるべきものだと認識しています。その検討の進め方におきましては、今見直しの形がスタートしたばかりというところでございます。今後、市町村や図書の関係者、それから県民の皆さん、議会との議論を十分尽くしながら方向を定めていきたいと考えておりますけれども、スケジュール的には今年度から来年度にかけましてロードマップを示しながら、特に市町村とは綿密に協議をして方向を定めていきたいと思っております。

松崎委員

横浜、川崎を合わせると年間40万人の方々が直接利用なさっているという施設でありまして、今教育局長からお話がございましたけれども、私ももちろん両方の施設を複数回利用している一人でございまして、そういった意味では、それぞれのカラーを有して、それぞれ県民に親しまれ、長年利用、活用されてきた施設であると考えています。
そういった意味では、今の答弁の中に、今年度から来年度にかけてロードマップと言いますか、そういう検討をということであったんですが、それはどういう期限、あるいは時期を目途に検討を進めていくのか。そして今のお話ですと、閲覧、貸出廃止の部分、いわば公の施設としての廃止の部分については方向性が今日の答弁の中でも出てきていますので、そういった場合において、県民利用者の方々の思いや、それからニーズをしっかり受け止めていくにはどうするか、そして新しい図書館の形態とおっしゃいますが、それがどういう形になるのかということを検討しつつ、やはり具体的に示していく時期というのが必要だと思うんですけれども、その点のいわば県の期限をどれぐらいのところにおいていくお考えなのか、お聞かせいただきます。

教育局長

このたびの見直しは、財政対策の一環でございますので、全体のスケジュールと合わせてやっていきたい。そのスケジュールと言いますのは、平成25年当初のところで見直しが完了しないものについては、平成25年度中に検討して、平成26年度以降の方向を示していくというようなスケジュールになっていますので、それに合わせたスケジュールで方向性を示していきたいと考えております。

松崎委員

大変重大で大きな問題だと思われます。一つの方向は今日お示しになっているわけですけれども、市町村も大事ですし、それから具体のそれぞれの県民の方々の声とか、それから利用の実態というものをしっかりと踏まえて、いい形での、新たな形態とおっしゃいますけれども、県民サービスの向上とか充実につながるように取り組んでいただくことを要望してこの質問は終わらせていただきます。

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