POPs(Persistent Organic Pollutants)とは、日本語で「残留性有機汚染物質」と訳され、環境中で分解されにくく、生体内に蓄積して濃縮され、人体や環境に有害な影響を及ぼしかねない有機物を指します。また、その物質が使用されていない地域へも移動して環境に影響を及ぼす性質もあります。具体的には、ダイオキシン類やPCB、かつては農薬や殺虫剤に使われたDDTなどの化学物質が挙げられます。
このPOPsは、現在日本国内では製造・使用が禁じられていますが、PCB廃棄物に含まれていたり、焼却処理によってできるダイオキシン類のように意図せず発生したりする場合があります。また、国によっては現在もPOPsを使用する国もあり、十分なPOPs対策がとられていない地域もあります。POPsはその性質上、地球上を長距離移動して遠く離れた国にも影響することも確認されているため、地球規模での対策が必要とされています。90年代から各国が協力して対策に取り組むための話し合いがもたれ、2001年にはPOPsの削減・廃絶およびPOPsを含む廃棄物の適正処理を規定する「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が採択されました。この条約では、日本は2002年にこの条約を締結しています。
POPsによる人体への影響については様々な研究がなされていますが、ガンや神経障害の一因となることや、免疫系を低下させる作用があると言われています。また、内分泌系をかく乱する「環境ホルモン」としての影響も注視されています。
カネミ油症事件のことから、PCB、ダイオキシン類、そしてPOPsへと調べが進むうちに、私たちは知らないうちに有害なものに囲まれ、そしてそれを摂取していることがわかってきました。廃棄物の処理方法や難しい化学のことはわからなくても、ひとりひとりがPOPsについて知り、学び、そしてできる対策をしていくことは可能だと思います。身近なところでは、まずごみ処理においてダイオキシン類を出さないようにごみの分別をしっかりとする、自動車の排出ガスをできるだけ少なくするために自転車などを利用する、そのような小さな行動の積み重ねだって、馬鹿にはできないと思うのです。関係ない世界の話と思わず、遠く離れた国の問題だと知らんぷりせず、みんなが自分の問題としてとらえることができればと願っています。