1-1:出会い編

初公開:2014/03/02

【K.N.C ??年】

「…かった。…長年…ついに……やっと……」
―― 囁くような声を聞いて。ゆっくりと、夢の中で瞼を開ける ――

「…オー…結集……貴様を………掌握ッ………会議所を……」
―― 意識が定まらない、うすぼんやりとした感覚が身体を支配する ――

「貴様を……会議所の…全て断ち……」
―― どこか見覚えのある光景、覚醒しない脳を働かせようとする ――

「…ッここで………消える…」
―― 思い出すのは、暗い室内 ――

「………るく思うな…これも…全て……ため…歴史を……ため」
―― 思い出すのは、異様なまでに冷えた部屋の空気 ――

「覚悟……逃げること……………なッ!…自ら……馬鹿なッ…」
―― 思い出すのは、ふわふわ浮いているような不思議な心地良い感触と ――

「なぜだッ!!!なぜ!!!!なぜだーーーーーーーーッ!!」


          ―― 頭を鈍器で殴られたような酷く重たい感触 ――


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きのたけWARS 〜DB討伐〜
Chapter1. 欠けたものたち


【K.N.C??年】

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「おい。…加減に起き…おい…」
「もう大戦は…終戦…!連れて…!」

途切れ途切れに二人の男の声が背中越しに届く。感覚はだいぶはっきりとしてきた。
男たちの声もだんだんとはっきりと聞こえてきていた。

「起きてくれなきゃ大戦の後片付けできないんだよ」
「ったくよう。さっさと後始末して帰りたいんだ。死んだフリはそこまでにしろって。弾薬の処理とかも残ってるんだからよ」

少年は必死に起き上がろうとする。しかし、指先すら動かすことができない。
やけに現実味あふれる夢だ。背中越しにかけられる苛立ちを隠そうともしない声を聞き流しながら、
少年は再び眠りにつこうとした。

「オラッ!こんなところで大の字で寝ていられちゃ困るんだよ、起きろ!!」

鈍い音。鈍痛。
撤回。どうやらここは夢ではないらしい。
振り下ろされた棍棒をまともに受けた自身の後頭部をさすりながら、少年は気だるそうに身を起こし辺りを見渡す。
眼前にはガタイのいい男二人。周りは荒野のようだ。人の姿は自分たち以外にない。
今度は自然と身体を動かすことができた。間接的には目の前の男たちのおかげとも言えるが、
少年には殴られた相手に礼を言うだけの器量はなかった。

「随分と乱暴な起こし方じゃねえか?」

少年の鋭い眼光に、男たちは一瞬怯む。

「仕方ないだろう。もう大戦は終わったんだ、後片付けもあるから早く大戦場から出て欲しいんだよ」

少年の高圧的な態度に気圧されたのか、少年の視線から目をそらし、男の一人は早口でそう答える。

「お前さんの所属する軍はもう何時間か前に大戦で勝利したんだよ。まあお前は地べたで寝ていたかもしれないから知らないだろうがな」

気弱な一人に比べて、もう一人の男はいやに挑戦的だ。自軍が“今年度の大戦”で敗戦したことが、
彼の態度を硬化させているのかもしれない。

目つきの悪い少年は、二人の男が言う内容を少しも理解してはいなかった。ただ、喧嘩を売られた。本能的にそれは感じた。
売られた喧嘩はかう。至極単純なプロセスを経て、少年の目つきはとりわけ鋭くなった。

「なんだか知らないが、お前ら負けたのか。それで今は後片付けのお掃除か。随分と滑稽だな」

「な、なんだよ。やるのかよ。大戦協定で終戦後の戦闘は…」
「いや待て。鬱憤を晴らすいい機会じゃないか。いつもコテンパンにしてるきのこの奴らに負けるなんて、たけのこの恥さらしもいいところだ。憂さ晴らしに戦おうや」

二人の態度は明確なほどに違う。挑戦的な一人は既に棍棒を構えている。後ずさる気弱な一人も、もう一人に押されるように
仕方なくといった感じで剣を構える。

「ほーん。後悔してもしらねえぜ」

と、口では強気な言葉を投げかける少年だったが、内心では未知の場所で見知らぬ者と戦闘をすることに一抹の不安を覚えていた。
そもそも、男たちと相対したはいいが、少年には武器がない。
困ったなあ。
顔には出さず、内心で少年は嘆息した。身から出た錆ではあると思いつつも、ジリジリと間合いを詰められながら、少年は今ある最良の選択肢を模索していた。
男たちに悟られないように、周囲を見渡して、武器になりそうなものを探す。
と、近くに木の棒が落ちている。

〜そんなこんなで戦闘シーンは省略されます〜
〜色々あって、男二人は落とし穴に大ハマリだぜ!〜


「どうだ、参ったか!」
「ひ、卑怯だぞッ!落とし穴に嵌めるとは!」
「むしろこの短時間で罠をつくったことを褒めてほしいくらいだ」

砂にまみれた手を叩きながら、少年は今の光景を見て満足気に何度も頷くのだった。

「そういえば、あんたら“大戦”がどうとか言ってたが、なんだそれは?そもそも、ここはどこだよ」

二人の男は、互いに顔を見合わせた。

「おいおい…冗談だろ?」
「いや。だから知らないって。“きのこ”とか“たけのこ”とか言ってたけど、それも意味わからん」

二人は信じられないとばかりに、あんぐりと口を開けた。

「それも知らないって…お前はきのこ軍所属だろ。着ている服を見ればわかるだろ」
そう言われて、そこで初めて少年は、自分が緑を基調とした軍服を羽織っていることに気がついた。
男たちを見ると、カーキ色を基調とした軍服を着ている。自分が着ている軍服とは異なる色合いだ。

「その深緑の軍服は正しくきのこ軍のものだよ。かつて毒々しい緑と相まって“緑の悪魔”とか呼ばれたものに間違いない」
「お前。本当に何も覚えてねえのか?ありえないぜ、記憶喪失なんじゃないのか?」
「これって会議所に連れてったほうがいいんじゃないか?」
「そうだな、あそこで兵士登録名簿を見れば。あ、でも今日って会議所の開館時間て何時までだっけか」
「というかあそこって相談料とかいるんだっけ。今月の給料やばいんだけど…」

男たちの会話を話半分に、地面に挿したスコップの柄に顎を乗せ、少年は思い出そうとする。なぜ自分がここにいるのか。
そもそも、ここはどこなのか。自分は誰なのか。先ほどまで見ていた夢の内容は何だったのか。

「ッ……!!」

激しい頭痛。先ほど殴られた後頭部が特に痛む。

「お、おい大丈夫か」

その場でうずくまる少年を見かねて、たけのこ軍兵士二人が思わず声をかける。
ただ、落とし穴から自力で出ることはできないので、声をかけることしかできない。

「…れてけ…所に」
「え?」

気弱そうな兵士が聞き返す。

「連れていけと言っているんだ!!その会議所とやらにッ!!」

額に大粒の脂汗を浮かべながら、少年は怒鳴った。
兵士二人はあっけにとられ、再び互いに顔を見合わせ、

「…わかったから、この罠から出してくれないか」

静かに助けを求めるのだった。

【同時刻 大戦会議所 正門前】

「いやあ久々に勝てたなあ」
「俺が大量撃破決めた時のたけのこの野郎ども顔見たか?」
「これで年末は楽しく過ごせるってもんだ」

ゾロゾロときのこ軍兵士が勝利に酔いしれて、会議所に帰還していく。

「今日は宴を開い…おい。誰か倒れてないか?」

一人のきのこ軍兵士が、正門前で倒れている人物に気がついた。

「あの軍服はたけのこ軍兵士か。負けたのがショックでその場で寝込んじまったのかな?」

周りがドッと湧く中、一人のきのこ軍兵士が彼の元に近づく。

「…!!すごい熱がある。呼吸も荒いぞ」
「ほ、本当ですか黒砂糖さん!」

黒砂糖兵士は頷く。すぐさま他のきのこ軍兵士の手によって、
倒れているたけのこ軍兵士は会議所に運ばれていった。

【K.N.C174年 年末 大戦会議所 1階受付】

「はい。次の方どうぞ」
えらくくたびれたたけのこ軍服を纏いながら、初老の兵士は目の前に座った少年には目もくれず、
手元の書類を見ている。

「…」
「こちらは兵士登録名簿受付です。新たな住まいをお探しでしたら、お隣の『住まい安全課』窓口2番へどうぞ。テンプレルールに関する疑問・質問は左手の『会議所何でも相談』窓口3番へ。所属軍変更の手続きはこちらでは承っておりません。
受付を出まして右手の『暗黒』へどうぞ、やるなら自己責任でお願いします」

一通りテンプレ文章を発して、たけのこ軍兵士加古川は再び書類に目を通す作業に戻る。

「…アイムだ」
「はぃぃ?」
「俺の名前だ。それだけ覚えていた。きのこ軍アイムで兵士名簿に登録されていないか探してくれ」
「…わかりました」

手元にあった膨大な登録名簿をたぐり寄せ、加古川は探し始める。

〜それからどうした?〜

加古川「登録されていませんね」
アイム「マジかよ…じゃあ俺はいったい」
加古川「一体何があったんですか?よければ聞きますよ」
アイム「カクカクシカジカ」
加古川「シカクイムーブ」
加古川「はぁ。記憶喪失、と」

アイム「名前だけしか覚えてない。最初は自分の所属軍すらわからなかったけど、今たけのこを見るとすごい憎しみの感情が湧いてくるんだ」
加古川「それは過去の記憶がそう思い起こしているのかもしれないな」
アイム「正直、たけのこ軍兵士である、あんたと会話をすることだって辛い」
加古川「誰しもが最初は通る道ではあるな。ふむ…」

おもむろに、加古川は近くにあった黒電話を手にするとどこかへかけ始めた。

加古川「はい。ああ、私だ。いま受付にいるんだが、記憶喪失だというきのこ軍兵士が…え?それは本当かい?…ああ、わかった。すぐに行く」
電話を置く加古川。

加古川「今から君を会議所本部棟へと連れて行く」
アイム「本部?てか、ここが本部棟なんじゃないのかよ」
加古川「ここはただの事務棟だ。本部はここに隣接した奥の建物さ」

「名乗るのが遅れたね。私の名前は加古川かつめし。主に会議所の事務系の仕事に携わっている。これから君を会議所本部まで案内する」

【K.N.C174年 年末 大戦会議所 廊下】

アイム「なんか大事になってたりするのか、もしかして?」

加古川「さあなあ。それはお前を呼び出した本人に直接聞いてくれ」

加古川「ただ、お前の他にももう一人、お前と同じように記憶喪失になった兵士がいるらしいから、それが影響しているのかもしれないな」

アイム「俺の他にも記憶喪失になった奴が…」

加古川「これを偶然、とでも言うのか。まあそいつともども早く記憶が戻るといいな」


そしてある扉の前に二人は立ち止まる。

加古川「シューさん。加古川だ、入ってもいいか」

??「空いています。病人がいるのでお静かにどうぞ」


扉を開ける。
部屋には二人の兵士がいた。

一人目はきのこ軍兵士。そして、もう一人はベッドに横わたっているたけのこ軍兵士。



きのこ軍兵士アイムとたけのこ軍兵士オニロ。これが初めての出会いだった。


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