1-4:会議編〜初めての占い〜

初公開:2014/03/30

【K.N.C 175年 会議所 談話室】

791「魔法使いが、大戦を含む戦闘では5つのタイプに分かれるという話は既に聞いているよね?」

オニロ「はい。兵種の種別に則って『前線兵』『砲撃兵』『衛生兵』『工作兵』『制圧兵』に分かれると」

791「そうだね。でも、どんなタイプになっても、全ての魔法使いには、自分の核となる『得意魔法』が
必ず存在する。まずは、その得意魔法領域を伸ばさなくちゃいけないんだ」

オニロ「タイプに分かれるよりも先に、ですか?」

791「最悪、タイプは途中で変更することも可能だからね。
あー、極稀に変えられない場合もあるけど。まあそれはそれとして」

791「黒砂糖さんに会ったよね?あの人は『具現魔法』の使い手なんだ」

オニロ「具現魔法というと、描いた絵が実際に動き出すものが当てはまるんでしょうか?」

791「そうだね。あの人は空想上の産物を具現化することができるんだよ。
絵チャットサロンは、部屋全体に黒砂糖さんお手製の魔法陣が仕込んであるから、いつでも絵を具現化できるんだ」

オニロ「やっぱりすごい人だったんだ…」

791「たけのこ軍のジンさんは『回復魔法』に長けているし、きのこ軍のsomeoneさんは『反撃壁魔法』に長けているね」

オニロ「皆さんいろいろな能力を持たれているんですね
…あの、社長?とかいう人も魔法使いなんでしょうか」

791「え?社長?たけのこ軍の?うーん、どうだったかなあ。社長は魔法使いだったっけ」

オニロ「いや。てっきり、社長さんが話されている言語は魔法の詠唱かなにかとばかり…」

一瞬きょとんとした791だが、すぐに笑い出した。

791「あははッ、おもしろいねオニロ君。確かに社長の話している言葉は意味不明だし難解だけど、
あれは詠唱ではないよ。詠唱、詠唱か。ふふッ」

笑いのツボにはまったのか、791は何度も笑いをこらえようとしている。
自分の言ったことが突拍子もないことだと理解し、オニロは赤面した。

791「まあ、ただオニロ君の予想は当たらずといえども遠からずかな。社長はね、【占い師】なんだ」

オニロ「【占い師】?」

791「うん。聞いてなかった?社長はね、未来を見通す力があると言われているんだ。
たまにビビッと来る時があるらしくて、その時はみんなを集めて会議所に関する予言をするんだ」

791の話が終わるのを待っていたかのように、ノイズに混じり会議所中にアナウンスが流れた。

『みなさま、会議のお時間です。本部棟の議案チャットサロンにお越しください。
本日はたけのこ軍兵士社長から新たな予言を発見したとの話を聞いております』

791「…こんな風にね」

【K.N.C 175年 会議所 議案チャットサロン】

オニロと791が到着すると、円卓テーブルにはなぜか紙パックに入った納豆が置かれていた。
丁寧に、各人の椅子の前に一つずつ置かれている。

集計班「おや、お早い到着で」

社長「ぼくはマローシン」

サロンでは、既に集計班と社長が自分の席に着き皆の到着を待っていた。

オニロ「こんばんは。えと、この大量の納豆は?」

集計班「社長が予言で使う物だそうです。まあ呪術の道具だと思っていただければ」

オニロ「は、はあそうですか…」

果たして紙パックの納豆が呪術道具となるのか。
頭に疑問符を浮かべながら、オニロはあてがわれた席に着いた。

アイム「なんだこの臭い、くさッ!」

サロンに入るやいなや、アイムは顔をしかめた。

アイム「なんだよ、これは」

社長「こんにちな!」

オニロ「納豆だってさ」

アイム「いや、それはわかるんだが…」

オニロ「社長さんが占いで使うための道具らしいよ」

アイム「あの意味不明野郎がか?」

社長「オニロ君説明ありがとう!やっ」

オニロ「いえいえ」

アイム「…会話できるのか、こいつと」

〜しばらくした後〜

きのこ軍 集計班「ではあらかた人も揃ったところで、今晩の会議を始めましょう」

きのこ軍 集計班「さて。事前の告知通り、今夜は社長が予言をします。
まずは、みんなで聞いてみましょう。社長、準備はいいですか?」

たけのこ軍 社長「いいぜ。」

社長はそう言って、立ち上がりテーブルの周りを歩き始めた。
社長の顔はいつもどおりバグってはいるが、表情は真剣そのものだ。
他の会議所兵士も、じっと社長の様子をうかがっている。

きのこ軍 アイム「…」

いつも社長をバカにしているアイムも、この時ばかりは固唾を呑んで見守っていた。
会議所の未来を占う予言だ。注目しないはずがない。聞けば、どうやらK.N.C170年頃の占いでも
アイムとオニロの会議所出現を予感させる占いをしているのだという。

― 馬鹿にしていたが、実はとんでもない奴なんじゃないか ―

社長への評価を改めようと、アイムが思い悩もうとしたその矢先−

たけのこ軍 社長『だが、あるひ…』

きのこ軍 アイム「!!」

社長は大声で、何事かを喋り始めた。占いの始まりである。

たけのこ軍 社長『ゆうしょうこんらんです。』

そう言って、社長は突然その場でクルクルと回り始めた。
呆気にとられて、アイムとオニロはポカーンと口を開けながら社長の奇行を見守る。
そして、社長はサロンの入り口まで移動すると右拳を振り上げた。

たけのこ軍 社長『みごとライアンはかちのこった!』

入り口に移動したかと思うと、社長は近くに座っていた抹茶の納豆を指さす。

たけのこ軍 社長『そしてこの納豆美味しいよね〜』

たけのこ軍 抹茶「えっ」

抹茶は思わず自分の紙パックの納豆と社長の指とを交互に見合わせるも、
社長はそんな抹茶にはお構いなくすぐさま隣の席へと移動する。

社長は席に置かれている納豆を指さしてはそのたびに『美味しいよね〜』と連呼している。
そして、最後にアイムとオニロの席に社長が近づき。社長の動きがピタリと止まった。

きのこ軍 アイム「…な、なんだよ」

先ほどまでの饒舌が一転し、押し黙ってしまった社長にアイムはぶっきらぼうに声をかける。
しかし、アイムの言葉を無視するように社長はアイムとオニロの前に置かれている納豆を二つ同時に手にとり、
しかめっ面をした後にポツリと言葉を発した。

社長『う〜ん、どうかなぁ?』

アイム&オニロ「!!」

そっと社長は二人の納豆を元あった場所に戻す。
そして、何事もなかったかのようにスタスタと自分の席まで戻る。

たけのこ軍 社長『こうして森部拳は 永遠にその姿を消した……』

最後に一言そう呟き、社長は静かに席に着いた。
長い沈黙が会議所を覆う。


きのこ軍 アイム「…は?もしかして終わり?」

たけのこ軍 社長「あ、終わりです」

呆気ないほどに、予言は終わった。

きのこ軍 集計班「お疲れさまでした社長。手元の納豆でもどうぞ」

たけのこ軍 社長「納豆は飲み物」

きのこ軍 集計班「さて、予言も出たことですし、それでは次の議題に…」

きのこ軍 アイム「ちょっと待ったああああああああ!!」

アイムの叫び声がサロン中に響き渡る。

きのこ軍 集計班「どうしましたかアイム君。あ、発言は座ったままでかまいませんよ」

きのこ軍 アイム「いや、意味がわかんねえよ。予言て、あのハチャメチャな言葉がそうなのか?」

きのこ軍 参謀「そのようやな。社長の言葉をつなげると
『だが、あるひ… ゆうしょうこんらんです。みごとライアンはかちのこった!
そしてこの納豆美味しいよね〜 う〜ん、どうかなぁ?
こうして森部拳は 永遠にその姿を消した……』
と、なるなあ」

たけのこ軍 ビギナー「今日も今までと同じぐらいの長さなんですかね、予言は」

きのこ軍 参謀「そうやな。まあ今日は比較的動きが激しかったから、そういう意味では今までとちょっと違ったな」

きのこ軍 集計班「いやあ。今日の社長の予言も鬼気迫るものがありましたね。それでは次の議題に…」

きのこ軍 アイム「待て待て待てッ!!」

何事もなく進行する会議に、再度アイムが歯止めをかける。

きのこ軍 アイム「占いの意味はいったいなんなんだよ!」

たけのこ軍 社長「わかりませんえん」
きのこ軍 アイム「…は?」
たけのこ軍 社長「さむいよお」

たけのこ軍 斑虎「たんまたんま!アイムたんま!」

思わず殺意を抱いたアイムが剣を抜きそうになるが、
隣に座っているオニロとたけのこ軍兵士斑虎が必死に思いとどまらせる。

きのこ軍 集計班「占いは“きれぼし語”で私たちに伝えられます。そして、占いの内容は
予言者である社長をもってしてもわかりません。
社長曰く『ある日ビビッと頭のなかに予言が届く』ということなので」

きのこ軍 参謀「きれぼし語を理解している社長でもな。つまり、社長はただ言葉を伝える
橋渡し役に過ぎんちゅうことや」

たけのこ軍 オニロ「それは果たして予言なんでしょうか…」
たけのこ軍 社長「それは一理ありますね。」

オニロが至極当然の質問をすると、神妙な顔で集計班は「確かに」と頷く。

きのこ軍 集計班「社長の予言の内容は、きれぼし語という解読不能な言語をもって
伝えられるため私たちが理解することはできません。しかし、社長が予言をしてからしばらくすると、
予言の内容と思わしき出来事が起こるのです!」

たけのこ軍 椿「そういえば、前回の予言はアイム君とオニロ君の登場を当てていたんでしたっけ」
たけのこ軍 社長「やるねえ!」

きのこ軍 アイム「そう、その話だ!それは本当なのかよ。今の予言の内容を聞くばかりじゃ、
とてもそうだとは信じられねえがな」

きのこ軍 きのきの「ふむ。そういえば、前回の予言は私も聞いてなかったな。どんな内容だったんだろう。社長さん、もう一度できる?」
たけのこ軍 社長「いいぜ。」

たけのこ軍 オニロ「あ、できるんだ…」

社長はすっくと立ち上がり、突然奇声を発し始めた。

たけのこ軍 社長『アァー!(甲高い喘ぎ) 下から突いてくるなんて思っていなかったもの//』

過激な占いの内容を淡々と大声で読み上げるその光景に、思わずアイムは頭が真っ白になった。

たけのこ軍 社長『チョ!チョーク!(甲高い喘ぎ)』

きのこ軍 アイム「…」

アイムは静かに肩を震わせている。

たけのこ軍 社長『なかっそこち崎哲夫 テイルアタックきた!?』

そして、すっと席に着く。

たけのこ軍 社長「うん ピ おわりの章」
きのこ軍 アイム「…それで、この発言のどこが俺たちの登場を予感させるんだ?」

怒りではやる気持ちをおさえながら、静かにアイムは尋ねる。

きのこ軍 参謀「予言の全文は
『アァー!(甲高い喘ぎ) 下から突いてくるなんて思っていなかったもの//
 チョ!チョーク!(甲高い喘ぎ) なかっそこち崎哲夫 テイルアタックきた!?』
やな」

きのこ軍 集計班「最後の『テイルアタックきた!?』という発言に注目してください。
『きた!?』という言葉は期待を込めた登場を予感させます。そして、テイルアタックという
名前の響きはどことなく奥義っぽい。そして、奥義は奥の手、つまり奥義を出す場面は一度か二度。
つまり、この発言で奥義が初めて登場する可能性が高い。
このことから、“会議所に期待の新人が来る”、といった内容を予想できるというわけです」

きのこ軍 アイム「…」

アイムは思わず頭を抱えた。

たけのこ軍 社長「おめえはよお 考えが甘いんだよ!」
きのこ軍 アイム「ピキッ…殺す」(スチャッ)
たけのこ軍 斑虎「たんまたんまたんまたんま!アイムたんま!」

今にも社長に襲いかかろうとするアイムを、斑虎とオニロが必死に宥める。

たけのこ軍 オニロ「そ、その他の予言の内容は解読できたんですか?」

隣で口から静かに息を漏らすアイムを横目で見ながら、
取り繕うようにオニロが質問する。

たけのこ軍 加古川「社長の言葉には謎が多いんでなあ。おそらくもっと考察すれば、
予言の内容もわかるのかもしれん。だが、今はそれ以上のことはわからんよ」

きのこ軍 ¢「まあ話半分で聞いておいたほうがいいのかもしれん」

きのこ軍 集計班「そうですねえ。期待してもらったところ悪いですが、予言ですぐに未来がわかるというわけではないのです。
どちらかというと、後から答え合わせをするといった感じです。誤解させてすみませんでした」

たけのこ軍 社長「しかたなし」
きのこ軍 アイム「…」

きのこ軍集計班「さて。それでは、次の議題に行きましょう。第175次大戦ですが近々開催の……」

その後の会議は粛々と進んだのだった。

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