政治経済法律〜一般教養までをまとめます

  • 法在国家説と法在社会説
 前述のように、法と道徳の相違は「公的かつ外部的な強制」の有無という点にあるが、この公的強制を加える主体を巡って根本的に異なる2つの見解がある。その1つは、法は社会規範の一種ではあるが、それは最も強固な社会的統合力を形成している国家と結合してのみよく法たりうるとし、「法」を国家によって作られる法およびそれに準じて考えられるもの(地方公共団体の条例など)に絞ってとらえる考え方である。(法在国家説)。その2つは、法は必ずしも国家と結合していなければならないものではなく、一定程度に組織的な社会が存在し、その統制力が当該社会に行われるべきものとして強制力を行使して遵守を強要している規範であれば、その社会が国家であると否とに関係なく法である、とするものである(法在社会説)。たとえば、古代ゲルマン部族法やカトリック教会内における教会法なども法に含める考え方である。
  • 法における強制
 現在の日本の法秩序における強制は、
  1. 法規範を守らないものに対する刑罰、行政罰
  2. 当事者が法の命じるところを履行しない場合に公権力が実力でその履行すべき内容を実現する強制執行
  3. 不法な行為により他者に損害を与えた場合に命じられる損害賠償
  4. 違法な行為を無効にする(民法132条・90条参照)
等々のさまざまな手段を通じて行われるが、必ずしも個々の法規範ごとに強制が必要なわけではなく、あくまで法秩序は守られるべきであるということが、全体として強制によって支えられているということである。また、法の法たる特徴は、これらの強制力を行使することが国家または国際社会に正当なものとして公認されている*1こと、かつ、その強制は、社会構成員が内心においてたとえ法を遵守したくなくとも遵守するようその者に対し外部から加えられるものであることにある(→「公的かつ外部的な強制」)。


テーマ1 法の概念

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