今は亡き耳かきコリッの避難所

とりあえず、漏れの膝に頭のっけてドッキドキな弟。
クッキー焼く前の生地みたいな感触の耳たぶをぐいっと引っ張って
外耳を覗くと、ベットリとした山吹色の粘着物が入り口に。
こいつの耳、このスレのみんなにかかったらえらいことだな、と思いつつ
弟に竹の耳掻きを使用すると宣告。
カリカリ、というかヌトヌト、と入り口を少し掻き出してあげると、
もう耳掻きの先端1cmがえらい汚れてしまい、ティッシュで拭ってみせてやる。
苦笑する弟。
「笑うとる場合違うがな、洒落ならんでこれー」
そんな感じで、ちょっと痛いかもということを事前に断って、がばっと。
そしたら先のスプーン部分に山盛りに茶色い耳垢が。
「ほらぁ!!見てごらんこんなに!!」
「おお、すげぇ!つか兄貴、音がキモいんだけど、音が」
「音?」
「うん、ニチャニチャ言ってまるで、溶けたチョコが手にべったり
つきました、みたいな音が」
「それはお前のせいやないかw」
どうでもいいが、二人とも岡山県民なのに僕は京都、弟は都内の
大学なために言葉が兄弟とは思えないことになってます。

そして雑談しつつ、最後に仕上げは綿棒。
「メンボーの女!」
「・・・・・面白くないからサラッと流すとして早く頼むわ」
「ああ」
昔はこんな奴ではなかったのに、と詰ってみる。
「あーあー、お兄様最高に面白いです、これで満足か?」
棒読みで追い討ち。理系人間ならではの反応だがまあそれはいい。
綿棒の綿球が両端ともレモン色になるのにそう時間はかからなかった。
何というか、それこそ彼女にホワイトデーでシュークリーム作ったった
時に、スプーンで掬いまくったのにボウルに残ってるカスタードクリーム
のことを思い出す(残りをスプーンですくって食ってたが)。
「あ、兄貴、悪いんだけど自分でやってみていい?」
「どした?痛かった?」
「いや、何か奥にあるんだー、それちょっといっときたいんで」
「おお、固まってたらローション入れとく?」
「そだな」
こうして前述したローションを点耳、しばらく僕の買った実話GON!ナックルズの
今月号を読んでマターリする弟。

そろそろいいかな、ということで耳掃除を促してみる。
弟、奥まで入れているが、時折眉間に皺を寄せつつも無言。
「!」
「どした?」
「・・・・・・・キた。どうやら俺の耳にはとんでもないcreatureが
いるようだよ兄貴」
「?どういうことだ、俺は殆ど除去してやったはずだが」
「違う、兄貴は遠慮して底まで届いてなかったろ。……ぶつかったんだよ。
そして、めりこむ音がしたんだ」
「??オイオイ、鼓膜とかそんなんじゃないだろうな?」
「抜く。これはデカい」
あくまで冷静な弟、ゆっくりと引き抜く。
綿棒の先にあったのは、コンタクトレンズの半分ぐらいの塊、それも
ブラックコーヒー色のヤツ。思わずドキドキしてしまう二人。
アイコンタクトで竹の耳掻きの使用も許可する。

ガボッと音がした、弟は確かにそう言った。
ワクワクしながらそれを見ると、掬い上げられたモノは、まるで
金平糖ぐらいの大きさ。
「すごいな」
正直それしか言葉が出なかった。
もう片方は自分で掘る、とそのまま続行する弟。
綿棒は3本も使う事態になったが、弟は夕飯を前にとても清清しい
顔をしていた。

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