まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

367 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/03(火) 12:57:23.48 0

『みやももフェルト』その6

約束の週末はお天気だった。
ももはまだちょっと、病み上がりっぽい雰囲気はあったけど
目の光がしっかりしてるから大丈夫。
今日は前から行きたかったケーキ屋さんに
一緒にお菓子を買いに行く。

駅から少し離れているけど、のんびりお散歩しながら
きっといっぱいお喋りもできると思った。
商店街を抜けて道一本入ると住宅街
土手に上がって川沿いを歩いた。お店の地図を見ながら歩いてるんだけど
どこを曲がるかよくわかんない。
「ももちょっと待って、地図見てるからあんまり早く行かないで」
「大丈夫大丈夫。きっとこっちだよ」
「信じていいのね?」
「……うーん、まあ」
「ダメじゃん」
「お天気良いし、今日あったかいしこのまま川沿い歩きたいな」
それもそうだと思った。地図をたたんで小走りにももの横に並ぶ。

「ももにね、言いたいことがあったんだ」
「ん?」
「会ってないときのもものこととか」
「会ってないとき?」
「そう、そういう時とか普段何考えてるのかとか」
ももが歩きながらこっち見た。続けて言う。
「そういうの、もっと知りたくなったの」
「ふふっ いきなりそー言われても、何から話せばいいのかなあ?」
半分笑って、とぼけた顔でももが言った。
「ももはそういうのないのかな」
「ん?」
「みやのこと、もっと知りたいとか思ったりしないのかな」
「……」
なんか、恥ずかしいこと言ってしまった気がする。
気まずい。

368 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/03(火) 12:59:08.86 0

「みやのことは、わかるよ」
そう、ももが言った。
え、どうして。ももってもしかしてエスパーかなんかなの。
だとしたらみやの考えてることもわかってたりして。
「ちょっと待って、それは困る」
「何にも困らないけど」
「なんで、なんでわかるの」
「何でも喋るじゃん」
あっさり言われて、思い返してみる。
「あ、そうか。うん、まあ……そうだよね、うん」
ももは笑いを堪えてるような顔。バカにされた。
「そこまで、そこまで単純じゃないからねみやだって」
「だろうね」ももが笑ってる。
「ももに言ってないことだっていっぱいあるし」
「言ってないことってなーに?」
そう言われたら、言葉に詰まった。

もものことが、好きだって。
幼なじみだとか友達だとかそういう好きじゃなくて
今ほんとーに、恋 してるみたいって。

「みや!見て、あれじゃない?」
ももが指差した先、家が立ち並ぶ細い道の途中に
小さい看板のようなものが見えた。

お目当ては話題になってたフィナンシェだったけど
クリームのいっぱい詰まった小さいロールケーキがどうしても美味しそうで
2人で一コずつ買った。
予算オーバーだったけど、フレッシュジュースも買ってしまった。

「さっきの公園で食べよう」お店を出ると、ももがうきうきした声で言った。
そういえば、ケーキ屋さんに行く途中
川を渡る陸橋の下に、小さい公園があった。

369 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/03(火) 13:00:24.93 0

人気のない住宅街の中
橋の下の公園は、日陰でちっちゃくて
でも小奇麗な遊具がいくつか置いてある
可愛い場所だった。

ももはベンチにバッグと買い物した袋を置くと
「わーーーぁ」と声を上げながら
下にスプリングがついたウサギに跨がった。
「いちばん可愛いウサギ取ったー」
なんだと?
「いいもん、みやは一番大きいクジラ取るから」
「お、クジラですか夏焼さんも攻めますねぇ」
「わっ 揺れる」
「そりゃ揺れるでしょスプリング付いてるもん」
ももはウサギをめちゃくちゃに揺らして、キャッキャ高い声を上げて笑っていた。

「もも。さっきの食べようよ」
そう言ったら
「あっ、そーだね」
ウサギから降りて近づいてきたももは息切れしていた。どんだけ。
「楽しいねみや」
うん。楽しそうなももを独り占めできて楽しい。

さっき買ったロールケーキとジュースを取り出した。
「おいしそう」
「ねー。みやのイチゴのジュース美味しそう」
「そっこーで桃ジュース買ってたじゃん」
「そーだけどさぁ」
ストローさして「ん」ってももに差し出したらぱくっと咥えてきた。
「おいしー」って顔がとろけてる。
「ほんと?」
みやも飲んでみた。うん。甘酸っぱくて濃くって爽やかな味。

「もしかしたら、土手の向こう側に日なたで広い公園もあったかもね」ももが言った。
「いいよ、ここで」
2人きりだし。

370 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/03(火) 13:01:53.71 0

ケーキを食べてたらなんか聞こえる。
「ももケータイ鳴ったよいま」
何気なく教えてしまったけど
「ん」そう言って、バッグごそごそしてるももの顔
微かにキツくなったような気がして、急に体が冷えた。
教えなきゃよかった。

みやの顔に気付いたのか、ももがすまなそうな顔して言った。
「今日は帰ったりしないよ。ごめん、これ、メール一瞬見るだけ、いい?」
「……いいよ」ちょっとだけなら、我慢する。

画面を見るももの目が揺れていた。
そのまま少し首を傾けて、何か考えているような
何も考えてないような
無表情になった。
ねえ、何かあったんだよね。
視線に気付いたももが、ごまかすように笑った。「もういいよ。ありがと」
そんな笑顔が欲しいんじゃない。
そんな風に笑わなくてもいい。

あの時も、急に帰っちゃったときも
知らないとこで、ももには何かが起きていて、みやは知らない。
そんなのいっぱいあるだろうし、ずっと前から当たり前のことだけど

分け合いたいよ。

「何があったのか、訊いてもいい?」
「んー……みやが知らなくていいことだよ」

どうして、そんな冷たいこと言うんだろうって思った。寂しい。

「うちじゃ役に立たないってこと?」
ももは首を大きく左右に振った。

「みやがいてくれてよかった」

371 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/03(火) 13:03:25.27 0

ーーー
「みやどした」
お風呂から出てきたももが
バスタオルで髪を拭きながら声をかけてきた。
「ん?」
「元気ない。仕事でなんかあった」
心配してくれるのは嬉しいけど、あんまり言いたくない。
口惜しくて。
「なんかミスった?」
「うるさい」
「人間なんだからミスはつきものだよ」
「わかるけど。すごい迷惑かけたし今日は無理」
ももが肩に手を置いてきた。
「お仕事のことは、お仕事で忘れるのが一番いいかもね、うん」
「ん。……がんばる」
ももはまた洗面所の方に行くと、ドライヤーを持って戻ってきた。
「みやに今日最後のお仕事あげるね」
「え?なに」
「ももの髪乾かして」
「な ん で」
「いいじゃん」そう言うと強引にソファの隣に割り込んでくる。
ハイってドライヤー手渡されて、背中向けられた。
濡れてるももの髪を手櫛でといた。ほんと伸びたな。
「あ、ブラシない」って言ったら、ももの肩のとこからひょっと出てきた。
「ありがと」
きれいにしてあげよう。そう思ったら夢中になってくる。
「もも知ってる?髪の毛完全に乾いたと思ってからあと5分くらいやるといいよ」
「そうなの?」
「意外に水分残ってるからね」
「みや物知りだね」
「ももが知らなすぎじゃん?」
つむじをつついたら振り返って睨まれた。
「はい前向いてね乾かせないから」片手で頭を前に戻す。
みやのシャンプーの香り。結局使うことを許してしまったな。
「みやがずっと頑張ってること、ももは知ってるよ」
「……うん」

ーーー
その7につづく

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