まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

828 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/09(金) 05:03:39.30 0

気づいてないんだろうなあ。

本人たちでさえまだ知らない、それはまるで芽吹く前の種のよう。
千奈美と熊井ちゃんは、きっとそんなに聡くはない。
梨沙子とまぁも、多分まだ気づいてない。
つまり、この楽屋でそのことに気づいているのは、うち一人ということになる。


「みんなー! お菓子持って来たーっ!」

ドアが開くと同時に、楽屋中の空気を震わせて千奈美の声が響き渡った。
スマートフォンの画面から視線を移すと、うちの隣で熊井ちゃんとまぁが、少し離れたところで梨沙子とみやが、そろって顔を上げていた。
イヤフォンをしているせいか、ももだけは反応していなかったようだけれど。

「はい、どうぞー」

千奈美の両手から溢れでて、カラフルなチョコレートやら、マシュマロやらが机の上に広がる。
今日は甘いものの気分なんだねって一目で分かるラインナップ。
一気に華やぐテーブルに、わっとみんなの意識が集まった。

「ももは?」
「あっち」
「んー? あ、いたいた」

千奈美の視線が、部屋の隅っこで本と友達になっていたももを捉える。
机の上からいくつかのお菓子を拾い上げると、千奈美はぱたぱたとももに駆け寄っていった。
それを追う視線が、うちとは別にもう一つ。
無自覚だとしたら、相当重症だと思うよ。みや。

嗣永ー!という千奈美の声は、イヤフォン越しにも届いたらしい。
何事かとイヤフォンを外したももの眉間には皺が寄っていたけれど、それも千奈美の持ってきたお菓子のおかげか一瞬で消えていた。

「ほい。嗣永にも持ってきてあげたよ」
「ありがと。でも、ももちね」
「どういたしまして、嗣永さん」
「もーもーち!」
「はいはい、ほら早く選んで」

ざらりとお菓子を広げると、千奈美は勢い良くももの隣に腰を下ろす。
その勢いでソファが軋んで、ももの独特な二つ結びがふわりと揺れた。

「これまた甘いのばっかだね」
「そーいう気分だったからね!」

胸を張る千奈美の横で、かすかに曇るももの表情。
あれはしょっぱいのが食べたかったやつだなと思ってたら、ほとんどそのままの文句をももが口にした。
千奈美は残念でした、とからかうようにそれを受け流す。

「おせんべいとかあったよ。取ってくれば?」
「えー、ちぃちゃん優しくなーい」
「うちはもう行ってきたもん」
「そこをなんとか! 千奈美様ぁ」
「ちょっと! 気持ち悪いからそういうのやめなよ」

829 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/09(金) 05:06:23.94 0

両手を合わせてくねくねさせながら、ももはべったりと千奈美に体重を預けた。
相変わらずだなって苦笑しながら、持っていたチョコレートを口に放り込む。
チョコレートは口の中に纏わりつく甘さで、どこか異国の香りを感じさせた。
誰かのお土産なのかもしれない。ひどく甘い。
そんなことを考えていたうちの横で、がたりと金属が擦れる音がした。

「みや?」
「ちょっと、飲み物とってくる」

飲み物のついでに、何か取ってくるんだろうなってところまで予想がついた。
むしろ、そっちが本題なんじゃないかな、なんてことも。

しばらくして戻ってきたみやは、当たり前のようにぬれせんべいを握りしめていた。
もう片方の手には、おまけのように付け足されたと思しきレモン味の炭酸飲料。
そのまま、さも当たり前みたいな顔をしてみやはももの元へと近づいていった。
千奈美は飽きてまぁや熊井ちゃんと笑いあっていたし、梨沙子はうちの横で雑誌を広げている。

「今度さ、こういうの買ってみたくて」
「いいじゃん。梨沙子、似合いそう」
「ほんと? あ、こっちはキャプテンに合いそう」

イヤフォンをつけたままのももが、本から目を外した。
せんべいをももの手に押し付けると、みやは当然のようにももの隣へ滑り込む。
さっきの、千奈美と同じ場所。
みや自身は知らないかもしれないけど、ほら、座る位置がこぶし一つ分くらい近くなってる。
一方、ももはせんべいを両手で大事そうに抱えて、ふんにゃりと表情を崩していた。
みやに甘やかされるのが、心底嬉しい、といった様子で。

「キャプテン、聞いてる?」
「ん? あ、ごめん」
「それとここがさあ……」

ちょっと二人に気をとられすぎたみたい。
梨沙子の広げる雑誌に意識を戻そうとしたところで、二人の声だけが浮かび上がって耳に届いた。

「ちょ、それもものお茶!」
「いいじゃん、ちょっとくらい」
「まだあったよ? 欲しいならとってきなよ」

それは的外れだよ、もも。
きっとみやが欲しかったのは、ただのお茶じゃないから。

「ちょっとほしかっただけだもん。あ、みやのいる?」
「炭酸飲めないし」

みやが差し出すペットボトルを、ももがしかめ面で押し返すのが容易に想像できた。
これでお互い自覚してないっぽいんだから、なんだかなあって感じ。
ちら、と横目に見た時計の針は、ちょうど良い時間になろうとしていた。
そろそろ時間だよ、とみんなに声をかけながら、うちはそっと二人を窺う。


そろそろ気づいてもいい頃じゃない? なんてね。
確実に根を張り始めている種に、うちが水をやるのはもう少し先になりそうだった。

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