まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

603名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/25(火) 00:52:01.820

「みやもものしんぎたい 4」

あの日は飲み過ぎた。
連絡を取った桃子は4人目で、駄目元で送ったLINEであっさり当日リザーブできた。
暇らしいというのは噂だけではなかったようだ。
雅はその月末まで期間限定のイタリアンに行きたいだけだった。
一人で行く気はしない。それだけだった。
顔を見るのはおよそ一ヶ月振りだったが、桃子の雰囲気は随分変わったように思えた。
それはほんの少しの嫉妬だったのかもしれない。
新しい生き方で、何か新しいものを手に入れているらしい。そう感じた。

とはいえ話し始めればすぐに、知った空気がその場に蘇り
雅はあっさり思い直しもした。変わらない。
そう思えるほど、変わらずに胸襟を開いてくれる桃子を嬉しく思った。

「なにこれ美味しすぎる」
「何だっけ、これ、何、みや」
「ニョッキ」
フォークの先を咥えたまま、桃子はうっとりと目を閉じた。
「チーズがすごい甘い」
「やばいねー、あっという間になくなる」
「一皿が少ないよ」
「これくらいだからいいの。はい、もも、じゃあさっき食べたの何?」
「え?」
「忘れたでしょ」
「ん?」

大人だと言い合いながら、お店の人が薦めてくれたワインを開けてしまった。
ジビエにかかっていたのが桃のソースで
サービスがいいねと、はしゃぐ様子を眺めた。

気付いたのは店を出てからだった。足がもつれて桃子にぶつかった。
「あれ?」
「もー、ちょっと大丈夫?」
そう言う桃子の目も少し赤く、半分寝ているような瞬きが可笑しくて
雅は桃子の背に手を回すと何度も叩いた。
夜半になって少し冷え込んだ風が心地良かった。

「泊まってっていいよ」
帰りたがる桃子を強引に引き止めたのも、お酒のせいだ。
桃子を隣に置いて
不意に襲ってきた、人恋しさも。

605名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/25(火) 00:55:21.540

雅は「寂しい」と言って泣いた。
「何が」
「大人に、なるのが」
「さっき、大人になって楽しいって言ってたじゃん」
雅はクスンと鼻を鳴らした。
「そうだっけ」
「ほらとっとと泣き止んで寝な。隣で泣かれたらこっちも寝られない」
「うるさい。もも嫌い」
子どものように口にしてみれば、涙が勝手に溢れてきて
枕に突っ伏し本格的に泣き出した雅を、桃子は呆れたように宥めた。
「何にも寂しいことなんてないんだよ」
「……わかってる」
「みやが言うのおかしいよ」
「そう……だね」
桃子は少し躊躇ってから言った。
「なんか、あった?」

何か、あっただろうか。
言われて考え始めた雅が「別に、何も」と言うまでに少し時間のかかったことが
後から考えれば、何か誤解を招いたかもしれなかった。
そのうち、あやすように髪を撫でていた手が離れ
寝返りを打った桃子に背中を向けられたことが
雅にとっての引金になった。
その時のことは何度だって、恨めしく思い返した。

ももが悪い。

「ん……何、みや」
後ろから桃子の肩を抱き、苛立ちに任せて顔を押し付けていた。
「さびしいよ」
「わかったから」
「そういう言い方イヤ」
しがみついたまま肩を震わせると、桃子は少しだけ体重を預けてきた。
気が籠り、泣き疲れて甘えたい気持ちが募った。
そのまま熱に誘われ、首筋に唇を置いたとき
一瞬だけビクリと身体を強張らせた桃子は
じっとして何も言わなかった。

初めて肌を会わせた時の
ゾっとするような興奮と、皮膚のざわつく感覚は、一生忘れないだろう。

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