214名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/23(日) 00:09:19.420
うちにはアンドロイドがいる。
未成年が両親と離れて暮らす場合は、必ず健康管理のできるアンドロイドと住まなければならない。これは国際未成年保護法に明記されていて、私も中学を卒業して遠方の星へ進学する際に女の子のアンドロイドを一体買い与えられた。
“ポッド”と呼ばれる球状の部屋が数珠繋ぎに並んでいる学生用のマンション。空高くそびえ立つそれの中で、私の部屋は381階の一番端。各部屋に行くにはエレベーターに入り、居住者本人の声紋認証を経ないとたどり着けないようになっている。
216名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/23(日) 00:12:22.660
平たく言うと、エレベーターに乗って「ただいま」っていうと、少しふわっと身体が浮かんだ気がした次の瞬間、扉が開くと、ももの部屋に到着しているってわけ。
エレベーターの内壁は、床や天井も含め、全てミラーになっていてボタンの類は一切ない。
初めはぎょっとしたし、しばらくは誰かに見られているような気がしていたけれどすぐに慣れた。
話が逸れたけど、そういうわけで初めて自分のポッドに足を踏み入れたとき、私を迎えてくれたのが今も一緒に暮らしているアンドロイドだった。
217名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/23(日) 00:14:26.730
「こんにちは!嗣永桃子ちゃん!うちは今日から桃子ちゃんのお世話をするナツヤキミヤビ。うわぁ、どんな子かなって思ってたけど、すごく可愛い!これからよろしくね!」
頬を紅潮させた彼女はポッドに入ってきた私を見た途端、一息にそう言って私を抱きしめた。
家族以外の人に抱きしめられたのなんて初めてだったし、いよいよ親元から離れた生活が始まるということで、長い移動の間ずっと一人で緊張していた私はついポロポロと涙を零してしまった。
急に泣き出した私に気がついた彼女は慌てて体を離し、
「ごめん、嫌だった? ごめん、もうしないから泣かないで。どうしよう、桃子ちゃん大丈夫?」
そう言って眉毛をハの字にして私の顔を覗き込んだ。
220名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/23(日) 00:17:29.030
「違うんです、嫌じゃない」
急に泣いてしまった自分がおかしくて、彼女が心配してくれるのが嬉しくて、照れ隠しでへへへ、と笑って顔を上げた私を見て、
「あー良かった、みや、嫌われちゃったかと思った」
彼女はそう言って、私たち二人は顔を見合わせてしばらく笑っていた。
目尻に残った涙を拭っていると、ふと彼女が何かに気がついたような表情になり、
「そういえば、なんで泣いちゃったの? お腹へった?」
と尋ねた。見当違いだ、と言おうと思った次の瞬間、グゥ、と私のお腹が音を立てたので、私はみるみるうちに顔に血がのぼるのを感じた。
「やっぱりそうなんだ! 大変! みや何か作るから、桃子ちゃんはソファー待ってて!」
そう言い残してキッチンへ去ってゆく背中を見ながら、なぜだか私は、泣いてしまった本当の理由は言わないでおこう、と思った。
うちにはアンドロイドがいる。
未成年が両親と離れて暮らす場合は、必ず健康管理のできるアンドロイドと住まなければならない。これは国際未成年保護法に明記されていて、私も中学を卒業して遠方の星へ進学する際に女の子のアンドロイドを一体買い与えられた。
“ポッド”と呼ばれる球状の部屋が数珠繋ぎに並んでいる学生用のマンション。空高くそびえ立つそれの中で、私の部屋は381階の一番端。各部屋に行くにはエレベーターに入り、居住者本人の声紋認証を経ないとたどり着けないようになっている。
216名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/23(日) 00:12:22.660
平たく言うと、エレベーターに乗って「ただいま」っていうと、少しふわっと身体が浮かんだ気がした次の瞬間、扉が開くと、ももの部屋に到着しているってわけ。
エレベーターの内壁は、床や天井も含め、全てミラーになっていてボタンの類は一切ない。
初めはぎょっとしたし、しばらくは誰かに見られているような気がしていたけれどすぐに慣れた。
話が逸れたけど、そういうわけで初めて自分のポッドに足を踏み入れたとき、私を迎えてくれたのが今も一緒に暮らしているアンドロイドだった。
217名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/23(日) 00:14:26.730
「こんにちは!嗣永桃子ちゃん!うちは今日から桃子ちゃんのお世話をするナツヤキミヤビ。うわぁ、どんな子かなって思ってたけど、すごく可愛い!これからよろしくね!」
頬を紅潮させた彼女はポッドに入ってきた私を見た途端、一息にそう言って私を抱きしめた。
家族以外の人に抱きしめられたのなんて初めてだったし、いよいよ親元から離れた生活が始まるということで、長い移動の間ずっと一人で緊張していた私はついポロポロと涙を零してしまった。
急に泣き出した私に気がついた彼女は慌てて体を離し、
「ごめん、嫌だった? ごめん、もうしないから泣かないで。どうしよう、桃子ちゃん大丈夫?」
そう言って眉毛をハの字にして私の顔を覗き込んだ。
220名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/23(日) 00:17:29.030
「違うんです、嫌じゃない」
急に泣いてしまった自分がおかしくて、彼女が心配してくれるのが嬉しくて、照れ隠しでへへへ、と笑って顔を上げた私を見て、
「あー良かった、みや、嫌われちゃったかと思った」
彼女はそう言って、私たち二人は顔を見合わせてしばらく笑っていた。
目尻に残った涙を拭っていると、ふと彼女が何かに気がついたような表情になり、
「そういえば、なんで泣いちゃったの? お腹へった?」
と尋ねた。見当違いだ、と言おうと思った次の瞬間、グゥ、と私のお腹が音を立てたので、私はみるみるうちに顔に血がのぼるのを感じた。
「やっぱりそうなんだ! 大変! みや何か作るから、桃子ちゃんはソファー待ってて!」
そう言い残してキッチンへ去ってゆく背中を見ながら、なぜだか私は、泣いてしまった本当の理由は言わないでおこう、と思った。
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