まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

353 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/09/30(金) 00:36:38.59 0
香りは記憶を呼び起こすよねという話
オチはない

(1/2)
打ち合わせを終えた昼下がり。
「あ。」
外に出た瞬間甘い香りに包まれて、思わずはっとして足を止める。
「……金木犀」

みや…。
香りを意識するより前に、思い浮かんだのは懐かしい記憶。

どうしているかな。
もうこの香りに気づいたかな。
…もものこと、思い出したりしているかな。


あれはまだ、ふたりとも小学生だったころ。
「うわあ、なんかすっごい甘いにおいがする!」
みやが、鼻をくんくんして、それからにっこりと私に振り向く。
その姿は映画のワンシーンみたいに美しくて、いまでも私の胸にくっきりと残っている。

「キンモクセイ、って言うんだって」
私が教えてあげると、みやは目を輝かせた。
「きんもくせい?ふーん。おいしそう!」
私は『キンモクセイ』って響きがキラキラして綺麗だなぁって思っていたから、おいしそうって反応には正直びっくりした。
みやはすましていると美人なくせに、時々私の予想外の言動をする。
そういうところが好きだなぁ。なんて思った自分にさらにびっくりしたりして。
「みーやん、ちがうよー。木の名前だよ。」
自分の気持ちに気がついて、ドキドキしながら冷静を装ったんだよなぁ、とか。
「え?そうなの?木がこんなにいいにおいなの?」
きょとんとするみやがまた、破格の可愛さだったんだよなぁ、とか。
思い出が、次々とよみがえってくる。

「お花が咲くといいにおいがするんだよ」
「そうなんだ。……お花、咲いてないよ?」
きょろきょろと周りを見回して、くびをかしげるみや。
「えー、きっとどこかに……」
一緒になって周囲を見渡しても、たしかにお花が見つからない。
「うーん。気になる!」
さがそう!と、気合の入るみや。
「う、うん!」
つられてうなずく私。
うなずいた私の手をみやが握ってくれたから、陽がもう傾きかけていたけど、このままキンモクセイがみつからなければいいなって思った。

354 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/09/30(金) 00:37:38.29 0
(2/2)
結局その日、金木犀がみつかったのかどうかは記憶にない。
覚えているのは、甘い香りに包まれて、みやと手をつないで歩きまわった幸せな時間。
こどもだったけど。
こどもだったから。
…楽しかったな。

ふう。と、息をついてから甘い香りを胸一杯に吸い込むと、なぜだか涙が出そうになった。
センチメンタルになってるなぁ、と、苦笑しかけたところで、携帯が鳴る。

『ねぇ、もも!金木犀のにおいがする!』

みやは、いつだってタイミングがいい。
「もももね、いま、みやのこと考えてたよ」
普段は素直になれない私が、うっかり油断してしまうくらい。
「ねぇみや、いまから会いに行ってもいい?」
勢いで告げると、みやは嬉しそうに笑いながら、
『うん。金木犀探しにいこっか』
手、つないでさ。
くすくす、と笑い声にまぎれた言葉が、金木犀の甘い香りに乗って私を包み込む。

来年からは、金木犀の香りで思い出すのが、今日のことになるといいな。
そんな幸せな予感を感じながら、私はいてもたってもいたれなくなり、みやの元へ走り出す。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます