まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

484名無し募集中。。。2018/07/23(月) 01:15:28.050

 「…や……みゃ……!!」
名前を呼ばれた気がして目を覚ました雅は、隣で桃子がうなされていることに気づいた。
眉間にしわを寄せ、うめいている。
「もも!」咄嗟に肩を揺さぶる。
「はぁっ、はぁ…」荒い息遣いの中で桃子がうっすらと瞼を開いた。
何かをこらえるように突っ張っていた体を抱き寄せると、少しだけ力が抜けていくのが分かった。
「もも、大丈夫?」
回した腕でこわばった背中をゆっくりさする。部屋の中は空調をきかせていたはずなのに異常にかいた汗でパジャマを湿らせていた。
幼子のようにぎゅっと抱きついて肩に顔を埋めた桃子がくぐもった声で「もう大丈夫、起こしてごめんね」と言った時、雅はつい大丈夫かと聞いたことを悔いた。
「どう見ても大丈夫じゃないでしょ」
背中をとんとんと叩きながら、またやな夢見た?と聞くと、少し間を置いて桃子が顔を上げた。
「みや、どこにも行かないで」
潤んだ瞳でこちらをじっと見つめ、かすれた声で呟く。
「もぉのこと、置いてかないで」
それだけ言うと桃子は痛いほどに雅を強く抱き締めた。
何がそれほど彼女を不安にさせてしまっているのだろう。
「どこにも行かない。みやはもものそばにいる。」
言い聞かせるように雅は応えた。
「ずっといるよ、本当だよ」
二人は互いの存在を確かめるように抱き合い、いつしかまた眠りに落ちた。

485名無し募集中。。。2018/07/23(月) 01:18:02.240

梅雨が終わりぐっと気温が上がった頃からだろうか。
桃子はうなされることが増えていた。
夜中雅を起こしてしまうことを謝り、大したことない、大丈夫だと言いながらしばらくするとまた起きてしまう。

「みや、わたし今日はソファで寝る」
朝食を食べながら桃子はそう告げた。
「その話も何度かしたでしょ。みやなら気にしてないし、夜中うなされてるももを一人にする方がやなの。だから一緒に寝ようねって」
「そうだけど…」
「みやもプロモーションとかツアーとかこれからあるし。家にいる時はももと寝たいの。だめ?」

「…だめなわけないじゃん」
申し訳なさそうにしながらも頬をゆるませる桃子がいじらしく思えて、雅はまだ寝癖のついた頭をくしゃくしゃと撫でてあげた。

517名無し募集中。。。2018/07/24(火) 00:20:41.070

引退したばかりの頃、桃子は一年くらいのんびりしようかなとさっぱりした顔で語っていた。
実際、家族と過ごしたり友人と旅行に行ってみたりと今まであまり出来なかった経験を楽しんでいたようだが、元来ワーカホリック気味だっただけに次第に手持ち無沙汰になったのか。
時々思い出したように連絡をよこしてくるから、暇なんだったらうち来てご飯でも食べない?と誘ってみると、相変わらず雅ちゃんはももちが好きなんだからとかなんとか言いながらウキウキやって来た。
二人で適当に料理をし、一緒に食べるご飯は美味しくて、お酒も呑むようになった。
何度かそんなことをしているうちに桃子が雅の家で過ごす時間は長くなり、泊まっていくことも頻繁になっていた。


「ただいまーっと」
ポケットに入れた鍵を触りながらドアノブに手をかけると、磨りガラスの向こうにさっと動く人影が映った。
開くと、いかにもずっとそこにいましたみたいな顔で桃子がソファに転がっている。
頭いいくせに、なんでこんなのはバレないと思ってるんだろ。
ついクスッと笑いながら狸寝入りをする桃子の頬を指で突いた。

518名無し募集中。。。2018/07/24(火) 00:23:13.450

「ほんとは今ベッドで寝てたでしょ」
「ええっなんで分かったの」
慌てて桃子が体を起こす。
半開きになった寝室のドア、隙間から見えた大きめのベッドは少し乱れている。
「タオルケット落ちてるし」
ドアの手前に落ちていたそれを拾って桃子にかけてやる。
「…許してにゃん」
「別にいいのに、みやのベッドで寝て」

泊まるときにも桃子は雅に悪いといつもソファを使っていた。
この人は相変わらず図々しいようで変なところで遠慮する。
ていうか、と雅は切り出した。

「もうさ、ここに住みなよ」

「え?」
桃子が目を丸くしている。
「だから、一緒に住まない?」

「みや正気?」
「そこは本気?って聞こうか」

一人暮らしにしては多い部屋数、ダブルベッド。
雅の方は桃子との同棲は実を言えば少し期待していたことだった。

「言っとくけどこんなこと誰にでも言うわけじゃないからね」
桃子の隣に腰掛け、ピンク色のリボンをつけた合鍵を取り出す。

「受け取ってくれる?」
戸惑っていた表情をゆるませ、手を差し出しながら微笑んだ。
「…なんかプロポーズみたい」
ほんとに雅ちゃんはももちのこと大好きなんだから〜と照れながら肩を叩いてくる桃子をあしらいつつ、まあまあねとお決まりの返事を返した。

桃子は昨日、26歳になっていた。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます