まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

634名無し募集中。。。2018/07/27(金) 23:54:16.620

雅は付き合いで飲みに行くことが多くなっていた。
遊びとしか思われないかもしれないけれど、新しい仕事につながる出会いがないとも限らない。
だからできる限り断らないように努めた。
加えて、泊まりの仕事も以前より増している。

必然的に桃子と過ごす時間は少なくなる。
遅くなりそうな日は朝食を作って出かけた。
早く帰れそうな日はメールした。
夕飯を一緒に食べれそうだと電話すると、じゃあ作るねと答えてくれた。
桃子から帰りの催促が来ることはほとんどなくて、いつも返信は素っ気ない。
しかし桃子なりに大事にしてくれていることはよく伝わっている。
メールや電話にこまめに出てくれること、帰宅が遅い日にもなるべく起きて待っていてくれること。
デニムを白いシャツと洗って色移りさせたり、掃除機のフィルターを換えるのを忘れて詰まらせたり、シチューを焦がして鍋を黒くしたり…
失敗もしながら家事だって頑張ってくれている。
自分の帰りを待ってくれている人がいるんだ。
それだけで胸が温まるような感覚があった。


ある週末、来週は泊まりのお仕事で帰ってくるの土曜日だからね、と伝えた。
りょーかい、と桃子が食器を洗いながら答える。
雅は隣で皿を受け取って布巾で拭いていく。
自分のブランドをもたせてもらえるかもしれないんだよね、と言うと桃子が良かったね!と肩を小突いてきた。
「最近のみや、なんかきらきらしてる」
「そうかな」
「そうだよ」
「でも…うん、最近特にさ、やりたかった仕事をさせてもらえてるって感じがするんだ」
はにかんだ雅に、そっか、と目を細めた桃子はしばらく口をつぐんだ後で、良かったねともう一度微笑んで言ってくれた。

635名無し募集中。。。2018/07/27(金) 23:55:37.950

予定が変わり桃子に伝えた日より1日早く帰れることになった。
小さなサプライズのつもりであえて連絡せずに家へ向かったが、タクシーから降りたときには日付が変わっていた。
きっともう寝てしまっただろう。
スーツケースを引きずって静かに家に入り、照明をつける。
5日ぶりの帰宅だ。
ソファに脱ぎっぱなしの靴下、流しに積まれた皿とマグカップ、ゴミ箱から飛び出た生ハムの袋…
そこにいたという軌跡を教えてくれるような散らかりぶりに思わず苦笑した。

寝室をそっと覗くとベッドで寝息をたてている桃子がいた。
横臥していた桃子に向かい合うように自分も横になる。
穏やかな寝顔をじっと眺めていると、時折蘇る過去の記憶。


テレビに一人で呼ばれるようになった頃、桃子はしばしば夜中うなされていた。
武装するようにあの特有の髪型を固め、グループと離れても踏ん張る日々。
上手くいかずマネージャーに叱られている姿を何度も目にした。
そんな頃、ホテルでたまたま同室になり、唸り声に起こされた雅ははじめてそんな桃子の姿に気がついたのだった。


無我夢中で抱き寄せ、背中をさすってやる。
「こういうことよくあるの?」
「…ときどき」
「誰か知っている人は、いるの?」
「…誰にも。心配かけちゃ、いけないと思って…」
「そう」
「最近はなるべく一人部屋にしてもらってたんだけど、ごめんね」
「ごめんじゃなくて、ありがとうがいいな」
「…ありがとう」

自分に何ができるだろう。雅は考えた。

少しでも助けになりたくて泊まりのときには出来るだけ一緒に寝た。
口では申し訳なさそうにしながらも部屋を訪ねると嬉しそうな顔が覗く。
不安、重圧、緊張、恐怖…眠りを侵される度、桃子は雅の肩に縋って泣いた。
置いて行かないで、一人にしないでと譫言のように繰り返して。
「ずっとそばにいる」
慰めのつもりで言った言葉はいつしか心の中で強く確かな決意となっていった。
あの頃から雅にとって桃子は特別な存在になっていた気がする。
この子を独りにしてはいけない。
夜明けを待つ間、やっとまた眠りに落ちた桃子の頭を撫でてやっていたあの頃。

636名無し募集中。。。2018/07/27(金) 23:58:42.660

今、桃子は何かをぎゅっと抱き顔を寄せて静かに眠っている。
それがいつものタオルケットではなくて、部屋着にしていた雅のパーカーだということに気づいた瞬間、胸が締めつけられた。
ほんと子どもみたい。可愛いやつ。
起こさないようにとかそんな理性はどこかに吹き飛んでしまって、思うままに桃子を抱きしめる。
「んぅ……」
眉根に皺を寄せた桃子がこちらをぼんやり見て「わわっ!みや!どしたの!」と目を見開いた。
ちょっと早く帰れることになったからさー、と首筋に顔を埋める。
寝起きの桃子はいい匂いがする。
炊きたてのごはんとか、ミルクとか、あるいはパンみたいな少し香ばしくて甘い香り。
くすぐったいようといやいやする桃子。
そんなに寂しかったのとちょっと意地悪に聞いてやろうかとも考えていたけど、愛おしさが溢れてただただ身を寄せ合った。

しばらくして桃子が囁く。
「お外の匂いとみやの匂い、どっちもするの、なんか好きだなぁ」
雅はまだ帰ってきた服のままだった。
ごめん汚いよね、と一旦起き上がろうとしたけれど、離してはくれない。
「外で仕事してたみやがその服のままでこうやってもものこと抱きしめてるって思うと…」
「思うと?」
「それって………なんか、いいなって思う」
なにそれ、と笑うと、なんでもないもんと言いながら胸元に顔を押しつけてくる。
結局二人は抱き合ったまま深い眠りへと落ちていった。

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