まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

716 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/09(日) 15:34:34.33 0

泣きすぎて腫れぼったい目。
もう出勤時間は目前。
サングラスとマスクで顔を隠し出勤した。
待ち構えていたオーナー。
理由を聞かれることなく口早に今日は事務作業お願いと告げられた。
渡されるマニュアル。
やった事のない作業に余計な事を考える暇はなかった。
珍しく一日中、店に出ていたオーナー。
素早く閉店作業を終えると腕を掴まれ強制連行。
店の前、オーナーの腕を振り払う。
今はまだももに会いたくない。

「今日はももちゃんいないから」

まるで知っているかのような口ぶり。
ほら行くよーと再び手を掴まれ店内へ。
仕切りで個室のようになっているテーブル席に連れて行かれた。

「誕生日おめでとう」

すかさずオーナーの友人の店長さんが席に現われ、小さなケーキが目の前に置かれる。
言われて初めて気づいた。
すっかり忘れていた自分の誕生日。
とてもいつものように喜ぶ事は出来ないけれどそれでも嬉しかった。

「さぁ今日は飲んで食べてももちゃんの事なんて忘れちゃおー」

「バカッ」

オーナーの言葉にもうももにフラれた事を知られている事に確信する。
恐る恐るというようにこちらを見てくるオーナーと店長さん。
その様子がおかしくてつい小さく笑ってしまった。
少しホッとしたような空気。
それに安心したのか身を乗り出して来たオーナー。

「さっほら景気付けにグッと」

目の前に差し出されるグラス。
さすがにもう自分のお酒の弱さは自覚していて躊躇ってしまう。

717 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/09(日) 15:35:35.07 0

「いや、でも…」

「まあまあジュースみたいなもんだから。今日はたくさん飲んで食べよう、タダだから」

ほらほらっと進められつい口にしてしまったアルコール。
本当にジュースのようでアルコールは僅かにしか感じない。

「それぐらいなら少しは飲めるでしょ」

笑顔で聞いてくる店長さんに頷く。
それを見て気を良くしたのかオーナーが次々と飲み物を頼みテーブルがグラスだらけに。

「こんなに頼んでどうするんですか?」

「雅ちゃんが飲めそうなの飲めばいいよ。残りを飲むから」

「ももちゃんかわいそー」

店長さんが何か言った気がしたが上手く聞き取る事は出来なかった。
次々とハイペースでグラスを空けていくオーナー。
いつも以上にヘラヘラと締まりのない笑顔。
そんなオーナーに勧められるがまま飲んで思考にモヤがかかりはじめたところで聞かれた。

「ねぇねぇ雅ちゃん。何がきっかけで好きになったの?」

「そうそう、それ聞きたかったの」

身を乗り出して聞いてくる二人。
咄嗟には答えが出てこない。

「雅ちゃんが今までに付き合ってた人って全員、男の人だし全然違うでしょー。それにももちゃん結構めんどくさいし」

ひどい言い様だけれどそれは確かにその通りで。
きっかけなんて自分でもよくわからない。
それでもお店で初めて見た時からやけに気にかかって。
好きと囁かれた時、心が震えた。
今から思えばあの時には既に惹かれていた気がする。
それをまとまりのない言葉で口にするとニヤけた顔のオーナー。

718 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/09(日) 15:36:51.76 0

「へーそんなに体の相性がよかったんだー。ももちゃんさすがだねー」

思ってもみなかった返答にただでさえアルコールで熱かった体がカッと体温を上げたのがわかった。

「あーまっかー。かわいー」

「からかわないの。それって一目惚れって事?」

店長さんの言葉がストンと落ちた。

「ひとめぼれ…」

「ほらほらどんどんのんで、ももちゃんのことなんてわすれちゃおー。こんなかわいーみやびちゃんふるなんてねー。ほんとはす…」

慌ててオーナーの口を塞ぐ店長さん。
オーナーの耳元で何か囁いていた。
ヘラヘラ顔から一瞬、真顔になってまたより一層のヘラヘラ顔になったオーナーはぐいぐいとグラスを押し付けてきた。
それを言われるがままに口にした。
次々グラスを差し出されのを受け入れ、ほらほらとすっきりするからとか話すように促された。
そんなに話す気は無かったのにいつの間にかぐだぐだと言っていた。

「みやがすきっていったのにことわるとかない」

今まで自分からなんて言った事がなかったのに。

「モテる女はちがうねー。ナチュラルにうえからだよー」

「やっぱりむねがないから」

少し前、酔った時に言われた胸が小さいという言葉が思い出された。
何度か目にした桃子と一緒にいた女性は起伏に富んだ体つきをしていた。

「いや、ももちゃんは顔重視でしょ」

店長さんのボソッとした呟き。
今度はしっかり耳に入った。

719 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/09(日) 15:38:36.18 0

「みやのかおだめなんですか?」

「むしろこのみのどまんなかーみやびちゃんのそっくりさんばっかりー」

何がそっくりさんなんだか意味がわからない。

「みやのなにがわるいの」

勝手に溢れる涙。
オーナーがキリッとした顔つきになった。

「タイミング」

言い終わった瞬間に笑い出したオーナー。

「たいみんぐってなんのですか」

笑うばかりで答えないオーナー。
バシバシと肩を叩いてきてほらもう一杯とグラスを差し出された。
視界の片隅に頭を抱えた店長さんが見えた。
もはや自分でも何を言ってるんだかよくわからない。
それでもなんとか眠りはしなかった。
暗くなる店内。
立ち上がろうにも足元がおぼつかないし眠気が堪え切れない。
なんとなく車に乗せられたのはわかった。

「おきて」

オーナーの声。
聞こえていても反応できない。

「むりそー連れてくの手伝ってー」

「ここ駐禁だから無理なの」

「えーなんのためにのまなかったのー」

「こうなるのがわかってたから運転するためでしょ。ほら早く行く」

「あっももちゃんにお願いしよ」

暫くの無音の後、出ないと呟くオーナーの声。

「ほらっさっさと行くの」

オーナーに抱えられふわふわとした足どりで移動した。

792 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/10(月) 01:53:06.70 0

冷たい床の感触にほんの少しだけ意識がはっきりとしてくる。
近づく桃子の気配。
触れた部分があつかった。
ベッドに座らせるためか抱きしめられるように密着した。
僅かにだぶるように聴こえる鼓動はとても速くて。
それは自分のものなのか桃子のものなのか、それとも二人とものものなのか。
離れて行く気配を止めたくて手を伸ばそうとしたけれど思うように動かなかった。
暫くしてドアが開いた。
ギシッとベッドの軋む音。
頬に触れる桃子の手。
それが心地良かった。
より近づいた気配に必死に目を開く。
キスできそうな程の至近距離。
目を開けた途端、ぐっと距離を離された。

「お水飲めそうですか?」

「のませて」

離れた距離を縮めたくて。
少し離れた状態が気にくわない。
口元に寄せられたコップを桃子の方に押しやる。

「ももがのませて」

桃子の首に腕を伸ばして引き寄せる。
水なんてどうでもいい。
唇が重なる寸前、桃子の目に熱がこもったのが見えた。
あの抱かれた夜に初めてキスした時と同じ。
それなら去年の今日のように求めて欲しかった。
夢中で桃子を求めた。
ぐっと引き寄せられ、より深くなるキス。
息が苦しくなる。
息継ぎのために僅かに離れる事すら惜しかった。
一瞬、合った目は信じられないくらい優しくて、それでも求められているのがわかるような熱情が篭っていて。
昨日、拒絶されたのが嘘のようだった。

793 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/10(月) 01:54:13.05 0

目を閉じるとまた息もできない程のキス。
服の裾に手をかけられ、少し押されるように力を加えられた。
ゴトンと何かの落下音。
弾かれたように桃子が顔を離し距離をとろうとした。
それに逆らうように反射的に首元に回した腕にぐっと力を込めた。
それのせいで離れた距離はごく僅かで。
逸らされた目は見えない。
それでも後悔しているのが伝わってくる。

「なんでみやじゃだめなの」

本気で付き合ってる本当に好きな子がいるなら
あんな目で見ないで欲しかった。
あんなキスをしないで欲しかった。
どうしても期待してしまう。
桃子も自分に少しは恋情を持っているのではないかと勘違いしそうになる。
頬に伝わる涙の感触。
制御できないそれは所在無げに二人の間にある桃子の腕の上にポタポタと落ちていく。
抑えようと思っても堪え切れずに漏れる嗚咽。
おずおずと背中に回された腕に優しく抱きしめられ、また諦められなくなった。

夜中、喉の渇きを覚えて目が覚めた。
薄っすら目を開くと目の前に桃子の寝顔。
驚きに身動ぎするとぎゅっと抱き寄せられた。
その腕の中があまりに心地よくて喉の渇きを忘れてまたすぐに眠りに落ちた。
朝起きると隣にはもう桃子はいなくてわかっていても落胆してしまう。
お酒が残っているのか頭がフラフラする。
部屋を出てリビングに行くとテーブルの上にメモ書き。
冷蔵庫を開けると一人では食べ切れそうにない料理。
箱に入ったケーキは小さいけれどホール。
クリーム系ではない事だけが救いだった。
やけ食いするにも限度があるが食べずに捨てるという選択肢はない。
不意に頭に浮かぶ幼馴染みの顔。
鞄を漁り一日ぶりに触れた端末には大量の通知。
そのほとんどが誕生日を祝うものでその中には今、頭に浮かんだ幼馴染みのものも混じっていた。
大学生の彼女は今日はまだ夏休みのはずで。

今から行くから

それだけ連絡を入れるとすぐに幼馴染みの家に向かった。

794 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/10(月) 01:56:18.94 0

チャイムを鳴らすとそう間をおかずにドアが開かれた。

「なんなの突然…」

まだ起きて間もないのか少し不機嫌そうな低めの声。
でもそれはすぐに止まった。

「何その不審者みたいな格好」

「とりあえず入っていい?」

どうぞと半身ひいて中に入れてくれる。
視界に入ったベッドの上にすごく見覚えのある姿。

「えっなんでちぃがいんの」

今はあまり会いたくなかったもう一人の幼馴染。
思わず後ろを振り返り聞いてしまう。

「あーなんか昨日夜押しかけてきて本人いないのにみやの誕生日祝おーって」

何回か電話したんだけどねという言葉に確認すると確かに数件の着信。

「気づかなかった。ごめん」

「まあいいよ。なんかあったんでしょ」

座りなよとクッションを勧められる。
ローテーブルの上に散乱する空きカンやゴミが目の前から撤去されていく。
ゴミ袋に入れられるだけのそれはすぐに終わり茉麻がすぐ隣に座った。

「とりあえずそのマスクとサングラス外しなよ」

マスクはまだしもサングラスを外せば泣き腫らした目を見られるわけで躊躇われる。
それでも室内でそのままなのはおかしいのはわかっていて渋々ながら両方外すと茉麻の顔が驚きに染まった。

「いや、ほんと昨日何があったの?」

心配そうに声をかけられたのと千奈美が起き上がったのは同時だった。

「もおまあさうるさい!」

開ききらない目でこちらに怒鳴る千奈美。
たまたま視線の先にいたせいで目があった。
眠たげに細くなっていた目は信じられないくらいすぐに見開かれた。

「えっみや?えっ?はっ?何そのひどい顔」

浮腫んだ顔に赤く腫れた目。
ひどい有様なのは鏡を見て知っていた。
それでももう少し言い方ってものがあるはず。
文句を言いたくても相手は千奈美。
ぐっと堪えて聞き流す。

「まあ色々あって。いいじゃんこれ食べるの手伝ってよ」

話を流そうとしてもそれは許されなかった。
テーブルの上に広げようとした手を茉麻に止められる。

795 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/10(月) 01:58:59.77 0

「ほんとに何があったの?」

いつの間にベットから降りたのか茉麻の隣に千奈美が座っていた。
二人共が思った以上に真剣な表情。
渋々ながら端的に告げた。

「ふられたの」

「みやが?」

「ふったんじゃなくて?」

二人同時に発せられた言葉に頷く。

「嘘でしょ?」

「ないない」

続く否定の言葉。

「ふったの間違いでしょ?」

「しつこい。ふられたって言ってんじゃん」

茉麻と千奈美が顔を見合わせた。
すっと立ち上がり冷蔵庫に向かう茉麻と肩をバシバシ叩いてくる千奈美。
千奈美の手によってテーブルの上に料理が広げられる。
すぐに戻ってきた茉麻の手には酒瓶とグラス。
三つのグラスに均等に注がれるお酒。
はいっと当然のように差し出される。

「いや、飲めないから」

「まあまあ、今は飲んで食べよ」

「はい、カンパーイ」

796 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/04/10(月) 02:01:25.34 0

無理矢理、グラスを握らされての乾杯。
無駄に陽気に絡んでくる千奈美。
話題はどうでもいいようなものばかり。
次々と二人の胃に収まっていく料理。
一口飲んだだけで放置していたグラス。
見咎められて二人にグイグイと勧められた。
昨日と同じ流れ。
気付けば飲んでいて聞かれるがままに答えていた。

「みやには悪いけど相手、最低じゃん」

「誰か紹介しようか?」

わかっていた反応。
それでも頷けない。
どんどん杯を進めていく二人。
何か色々と言ってくれているのはわかってもあまり頭に入ってこない。
どんどん靄がかっていく思考。

「諦められないならもっとおしてみたらいいじゃん」

投げやりな言葉。

「いや、そこはあえてひいてみたら?」

「押してダメなら引いてみなって?」

何が面白いのかわからないが聞こえてくる笑い声。
続く会話はもはや頭に全く入ってこない。
それなのにほとんど寝ている頭に何故かその会話だけが引っかかった。

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