まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

888名無し募集中。。。2017/11/28(火) 21:06:32.970

ここ最近、なんだか体調が悪い。
気のせいかと思っていたけれど、胃がムカムカしたり、怠かったり、熱っぽいときもある。
勉強はそこまで根詰めてしてないんだけどな。引っ越しの疲れ?にしてはずいぶん遅い。
ソファに寝転がりながらスマホで検索してみると、『妊娠』がヒットする。
たしかに生理は遅れているけど、まぁ、まずないよね。と心の中でツッコミを入れた。
『自律神経の乱れ』 あー、うん。これかもしれない。
とりあえず婦人科の予約を取った。
みやには・・・・何かあったら事後報告でいいか。ないがしろにしてるわけではないの。変に心配させたくないだけ。
 
 
受診の日。
問診表に症状を書いていく。「現在妊娠中ですか?」の項は「いいえ」に丸をつけたけど、症状を見たら妊娠を疑われるんだろうなぁと考えていた。
血液検査、尿検査を経て、次は超音波検査だ。会社から受けるよう勧められたがん検診以来だけど、こんな格好、女の先生とはいえやはり恥ずかしい。
早く終わらないかな、なんて考えていたら先生が小さな声で「ん?」と言った。
「嗣永さん、妊娠していますね」
「はぇ?」
え、今なんて?妊娠って言った?私が?そんなはずない。何かの間違いじゃ?
「ちゃんと胎嚢も心拍も確認できますよ。おめでとうございます」
夢?どっきり?罠?
「あのー…信じてもらえないのを承知で言いますけど、私まったく心当たりがないんです。そもそも可能性がないっていうか…」
「でも妊娠に間違いはないよ。今、彼氏はいないってことかな?」
「いや、あのぅ、いるんですけど、その……女の人で」
「……そう。わかったわ。今きっと混乱してるだろうから、着替えて中待合室で待ってて。あとでもう一度呼ぶからね」
 
 
終わった、と思った。
身ごもった、しかも誰の子かもわからない。傍から見れば立派な不貞行為だ。さすがのみやだって信じてくれるはずがない。
もうあなたも大人だから、と受け止めてくれた両親だって今度こそ黙っていないだろう。
身の潔白を証明できたところで、じゃあ襲われたのか?なんて話になったらもっとややこしくなる。
 
 
「もう世間なんて気にせず生きていこう」と誓い合ったあの夜を思い出して泣きたくなった。
何より一番辛いのは、みやを傷つけてしまうことだった。自分で自分の状況を説明できないのに、説得できるはずがない。
これまでどんなハプニングにも対応してきたつもりだし、大抵のことには動じずに対処できる自信があった。
だけど今はものすごく動揺している。
これからというときに。やっと二人での生活が始まったのに。
子供は好きだよ。だから免許も取ったし、いずれ二人で子供を育てられたらなとも思っていた。
でもこれは・・・想像していた未来とちょっと違う。だからといってこの子を責める気はないんだけど。

889名無し募集中。。。2017/11/28(火) 21:08:53.880


みやになんて言えばいいんだろう。
ドラマみたいに「赤ちゃんできたの」って言ったらわーとかきゃーとか喜んでくれたらいいのに。
私がみやに告げたら、私たちの関係は終わる。もう二度と会えなくなるかもしれない。
言いたくない。だけどこういう報告は早い方がいいに決まっている。
わかってる。わかってるけど。
「嗣永さんこちらへどうぞ」
決心がつかないまま、診察室とは別の部屋に案内された。

先生と、私と、そして看護師が一人。
「もう一度聞くけど、本当に身に覚えはないのね?」
先生の目は真剣だった。だから私も目をそらさずに言った。
「ありません」
そう、と言ったあと私にパンフレットのようなものを見せた。
「職業柄いろいろな土地に行かれてると思うけど、ここに出てくる国に行ったことはある?」
そこには聞いたこともない国の名前がいくつか並んでいたけれど、一つだけ。
「一つだけあります」
「じゃあ、覚えてないかもしれないけど、その国でこの虫見なかった?クリウムっていうんだけど」
すぐにピンときた。こいつ、私のこと刺した虫だ。
「見たことあります。私刺されたんです。数年前の話ですけど」
なんとなく必要な情報な気がして付け加えた。
「今付き合ってる人…、彼女もこの虫に刺されました」
隣にいた看護師が息をのんだ。
「そう……その方と、ここ数ヶ月の間セックスはした?」
「……まぁ、それなりに…?それが何か関係あるんですか?」
 

そのあと聞かされたのは耳を疑うような話だった。
「どうしよう」
先生が説明に使っていたパンフレットをもらって帰ってきたけれど、こんな途方もない話をみやは信じてくれるのだろうか。
できるならみやも検査を受けてほしい。でもそこまで話を持っていける自信がない。
だけど、さっきは気が動転してて。今ようやく喜びと嬉しさがこみあげてきた。

触れあったところが溶け合って、このまま二人ひとつになれればいいのに。と考えたことがあった。
あのクリウムとかいう虫はそれを実現してくれたんだって、不可能を可能にしてくれたって思い始めていた。
みやがなんて言うかはわからないけど、何を言われても私は奇跡に近い確率で授かったこの子を産みたい。
だってそうしないと、この嘘のようなホントの話がなかったことになってしまう。

890名無し募集中。。。2017/11/28(火) 21:11:35.580

『大事な話があるから今日は早く帰ってきてほしい』
みやからの返事はなかったが、既読がつくと数十分で帰ってきた。
「何?大事な話って。なんか怖いんだけど」
「ごめん。あのね、驚かないで聞いてほしいんだけどね」
テーブルの上にエコー写真を置いた。指が震えてる。
「赤ちゃんができたんだ」
「はっ?もも。みやの知らないところで、」
「違う。私と、みやの、赤ちゃんなの」
「ももとみやの?待って意味わかんない。できるわけなくない?」
「うん。ごめん。でも最後まで聞いてほしい」
パンフレットを見せる。みやの顔色はまだ疑っているようだった。
「ベリーズで海外行った時、この虫に刺されたの覚えてない?キラキラしてて綺麗な」
「えー?…あ。思い出した。うん、覚えてるよ」
「この虫に刺されると、体質が変わっちゃうんだって」
「どゆこと?」
「その虫に刺された女の人同士が、エッチしたら、赤ちゃんできちゃうんだって」
「………」
「いきなりでビックリするよね…」
みやの反応がない。やっぱり、信じられないか。

少しの沈黙の後、ようやくみやが口を開いた。
「ももの言ってること全然わかんない」
「そっ、か…そうだよね」
「でもね、嬉しい」
「え?」
「よくわかんないけど、その虫のおかげでみやとももに赤ちゃんできたんでしょ?なら、超嬉しい!」
「ホ、ホント?怒らないの?信じてくれるの?」
「なんで怒ると思うの?みやクラスになるとももの顔見たら本当か嘘かくらいわかるから」
「…ごめん」

真っ直ぐ私を見つめたみやの瞳から涙がぽろっとこぼれた。
「なんで泣くの」
「ももが泣かないから」
「なにそれ」
みやを信じ切れなかった自分が恥ずかしい。
みやが私を信じてくれて嬉しい。
いろんな感情がごちゃ混ぜになって、涙がぼろぼろ溢れた。
「泣かないの。ママになるんでしょ」
「みやも泣いてるじゃん……みやもママになるんだよ」
ふいに引き寄せられ、抱きしめられていた。背中に回した腕にぎゅっと力を込めた。
 
これから私たちを待ち受けている未来を想像できないわけではない。けれどもう少しだけ初めて赤ちゃんを授かった喜びを二人で感じていたかった。
明日のことは明日考えればいい。
抱きしめ合う私たちの間には、小さな命がある。
お腹が大きくなったら、こんな風に抱きしめ合うことも大変になるんだね。
気が早いよと囁かれた耳元がくすぐったくて身動ぎすると、みやの腕に力がこもった。

「みやと、この子のこと、幸せにして」
返事の代わりに少し赤く染まった頬にキスをした。

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