まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

小関BDで愛には愛でしょを歌ったと聞いて

314名無し募集中。。。2018/02/07(水) 02:31:52.610

ある夜、いきなりぶつけられた質問は真っ直ぐで、電話の向こうの表情さえも詳細に浮かぶようだった。


関東一帯に降るという予報だった雪は、まだ衰えることなく降り続いているらしい。
なんとなくつけっぱなしにしていたテレビの中では、白く染まる東京の街並みとノロノロとしか動かない(下手したら止まっている)電車とを交互に映し出していた。

こりゃ、みやも帰ってこられるか分かんないな。

そんなことを考えた矢先、図ったようなタイミングでみやからのメッセージが届いた。
電車の遅延に巻き込まれているらしく、帰宅はかなり遅くなりそうだから先に寝てて良いとのこと。

「……何やってんだか」

続けて送られてきた写真を開くと、雪に大はしゃぎするみやの姿が映し出された。
にへちゃんか、あるいはひかるちゃんに撮ってもらったのかな。
文面には雨マークとかショック!みたいな顔の絵が入ってたくせに、写真だけ見たらただただ雪に大喜びしている子どもみたいで。
変わんないなあ、こういうとこ。
ふわっとにやけそうになった頬を押さえながら、気をつけて帰ってねとみやに返事を打つ。
ついでに体冷やしちゃだめだよ、と送ったら、ピースサインが返ってきた。どう解釈したものか。

315名無し募集中。。。2018/02/07(水) 02:35:29.440

夕飯は済ませてしまったし、テレビは雪のことしか言わないし、やりたいことが特にあるわけでもない。

「……寝よっかな」

寄り掛かっていたソファから体を起こした時、近くに放っていたスマホが低く振動した。
またみやからかな。予想しながら画面を見ると、送信者は全然別の人だった。

「ん?舞ちゃん?」

陰からこっちを伺うようなイラストが送られてきたかと思えば、聞きたいことがあるんですけど、ときた。
何?と反応すると、珍しく早いですね、と舞ちゃん。(笑)マークは余計じゃない?
電話かけてもいいですか?と尋ねられたのでおっけー、と返す。

「もしもし、どうしたの?」
「今度、バースデーイベントで歌いたい曲があるんですけど……」

舞ちゃんが口にした曲名を聞いて、思わず「おお……」って声が出ていた。
よりによって「愛には愛でしょ」とは。大人っぽい選曲だね、というか。

「ちょっと大人っぽすぎない?」
「大人の魅力を出したいんです!」
「そ、そっか……」

でも、確か私たちがこの曲をもらったのは19歳とかじゃなかったかな。
舞ちゃんってまだ16だよね?

「それで、ももち先輩にどんな気持ちで歌ってたのかお聞きしたいんです」
「気持ち?」
「はい。参考にしたくて」

舞ちゃんの声が、あくまで真っ直ぐに耳を通り抜ける。
気持ち、気持ちねえ。唱えながら、頭の中にあるはずの答えを探しに出かけた。
大人っぽいこの曲は、歌いこなすのにちょっと時間が必要だった。
当時の私にとって、大人っぽさは何より表現しづらいものだったから。
逆に、みやはこういう曲得意だし、さっさと自分のものにしちゃってた。
一緒にライブで歌うことは何度かあったけど、思えばその度にみやにリードしてもらってたな、ってことまで思い出される。
確か、まだ、片思いの真っ最中で。
キラキラしてるみやが眩しくて、同じステージにいるのに目合わせらんなかったっけ。

でもそんな答えが求められてるわけじゃないよねえ。

317名無し募集中。。。2018/02/07(水) 02:35:58.980

「うーん……舞ちゃんオリジナルで自由に考えて良いと思うけどなあ」
「だから、あくまで参考にするだけですよ?」
「自分で考えるのも経験じゃない?」
「もう、そういう話じゃないんです」

おっと、誤魔化されてくれなかったか。
舞ちゃんも大人になったなあ、なんて呑気な感想が浮かぶ。

「じゃあヒント、ね」
「はい」
「この歌の相手を具体的に想像しながら、考えてみたら良いんじゃない?」
「具体的、ですか? 」
「たとえばどんなドラマが好きそうとか、部活は何かとか、なんでもいいの」

しばらくの沈黙をおいて、舞ちゃんは何やら附に落ちたように「なるほど」とつぶやいた。

「ちょっと考えてみます!ありがとうございます」
「どういたしましてー」

電話を切ると、途端に部屋をしんと包んだ静けさに落ち着かなくなった。

こんな時でもなければ聞かないだろうし、とオーディオのスイッチを入れる。
6枚目のアルバム。まだ声が若い若い。
こんな年頃の子にあんな曲歌わせるんだから、つんく♂さんのセンスは大胆すぎる。
奪う以外に方法のない恋なんて、この歳でもまだきっと本当には理解できていない気がした。

319名無し募集中。。。2018/02/07(水) 02:40:34.660

ほどなくして、玄関の鍵が開く気配がした。
遅延してたというわりには、早く帰り着けたみたい。

「ただいまー!あー降られた降られた」
「おかえりー……ってみや!」
「ん?あ、これ?」
「もー雪だらけじゃん!ちょっと待って」

朝見た時には黒かったはずのモッズコートが、今は白と黒の斑模様になっている。
雪落としてから入って、とみやを玄関に押しとどめると、私はタオルを取りに手洗い場へと走った。

「あ、この曲。懐かしくない?」
「でしょ?今度舞ちゃんがバースデーイベントで歌うんだって」
「へえ、カッコいいじゃん」

タオルで髪を吹いたみやが、ぱぱぱと髪の毛を一つにまとめながら言う。
消すのを忘れていたオーディオは、どうやら1曲リピートになっていたらしい。
間奏のリズムに合わせて、みやが軽く腕や体を揺らした。

誰かのものではなかったから奪うことはなかったけれど、みやが万が一誰かのものだったら、私は奪ってでも手に入れたんだろうか。

「いい曲だよね。みや好きだったな」
「好きそうだよね。大人っぽい感じでさ」

みやをリビングのソファに座らせて、私は台所へ向かった。
温かい紅茶でも淹れてあげたいなって思ったから。

「そういえばさ、みやはこの曲どんな気持ちで歌ってた?」
「えー、むず」

321名無し募集中。。。2018/02/07(水) 02:42:21.370

私から受け取ったカップを両手に包み込んだまま、みやは眉根を寄せた。

「バチバチしてた、かな」
「バチバチ」
「そう。負けないぞって拳固めてる感じ」
「……わりと物騒だね」
「だって、マジになんないとやられそうだったから」
「やられる?」
「そ。ももに」

まさかの展開に思わず目をやると、みやは言葉を探すように視線を天井の方でうろうろさせていた。

「だってもも……めっちゃ、色っぽかったし」

上の方でうろついていたみやの視線が、ふらふらと左下の方へ漂う。
まとめられた髪の毛のおかげで、みやの頬が染まっていくのがしっかりと見えた。
紅茶で温まったから……ってだけじゃないよねえ?

「そっ、そう」
「そういうももは?」
「へっ?私?」
「みや、ちゃんと答えたんだから教えてよ」
「いやっ、それは」

いつの間にか両手の空いたみやが、ずいと体ごと近寄ってくる。

「……おんなじ、感じ?」
「あ、ずる」
「ほ、本当だし」
「どーだか」
「だって、他に言いっ、んっ!」

人が喋ってるというのに勝手に口付けてきたみやが、にやりと勝ち誇ったように笑った。

愛には、愛でしょ?

そんな歌詞が不意によぎる。
まだにやけていたみやの唇を、すかさず奪い返してやった。

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