雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - キスをあげるよ(ぴゅあじゃない ver.)
704 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/11/15(火) 21:26:58.72 0

アイドルはそういうの、アウトだからね。
これまでの人生で最大の勇気を振り絞り、満を持して仕掛けた初めての夜はそんな一言であえなく頓挫した。

それから数ヶ月。
粘り強く続けた交渉の結果、やっとキスまで許してもらえた。
それも、触れるだけ、お家の中だけという条件付きで。
どこまでも頑固な奴めと何度思ったか分からないが、そんな奴を好きになってしまったのだからどうしようもない。
そんなところも好きなのだから、本当にどうしようもない。

本来ならば、告白が受け入れられたこと自体、信じられないほど幸運なことだったと捉えるべきなのだと思う。
けれど、一度手に入ってしまえば、もっと先を望んでしまうのが人間というもの。
桃子はそんな心理も理解した上で、先に進むことを拒んだのかもしれない。


その日の夜は、みや、と柔らかな声が背中に触れて、ふわりとした腕に抱き寄せられた。
行為だけは頑なに拒むくせに、ベッドは同じが良いと言い出したのは桃子の方。
雅も拒みはしなかったから、結局同罪ってやつなのかもしれないけれど。
たとえば、桃子が怖い夢を見た時。うなされて起きた時。
すぐ隣に温かさがあるだけで安心するはずだから。
見え隠れする自分の下心はそんな言い訳で覆い隠し、今日も桃子と二人で一つの布団を被ったところだった。

「なに?」
「んー、なんとなく」

眠たくなったのか、甘えたくなったのか、きっと両方なのだろう。
背中から伝わるじんわりとした熱からそれを感じ取って、雅はくるりと身体を反転させる。

「おいで」

小柄な桃子は、雅の腕の中にすっぽりと収まった。いつもこうやって抱きしめる度に、ちょうどよいサイズだと感じる。
薄闇の中で、確かな温かさに安堵した。
鼻先をくすぐるのはシャンプーの匂いと仄かな甘さ。
お揃いのものを使っているはずなのに、なぜ桃子には甘さを感じるのか分からない。
誘われるままにゆるゆると髪を梳いていると、桃子がくすぐったそうに微笑んだのが伝わってきた。

「もも」
「……みや」

やり取りに意味はなく、ただただ桃子の音が欲しかった。
桃子から返ってくる声の音色に満足して、雅は小さな体を抱きすくめる。

705 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/11/15(火) 21:27:51.72 0

「ちょ、苦し」

背中に回した腕の力を強めると、桃子が小さく抵抗した。
けれど、構わず雅は桃子の髪の毛に顔を埋める。
匂い立つ、誘われる、腹の底にどろりと熱いものが渦巻くのを感じた。

いつまで堪えられるだろう。
その答えは、雅自身に委ねられている。
体格差とか腕力だとかを考えれば、その気になれば欲しいものはいつでも手に入れられるのだと知っていた。
桃子も――きっと、拒みはしない。
お互いにそれを分かっていて、もたれかかり、かかられて、どちらかが傾けば今のバランスは呆気なく崩壊するだろう。
そんなことも、全部理解したうえで。

「……もも」

緩慢な動作で、桃子に覆い被さった。
桃子の視線を絡め取って、湧き上がる熱を包み隠さずさらけ出す。
どちらからともなく、目を閉じて。
唇に触れた柔らかさを離したくなくて、一度は開いた距離をまたすぐに詰めた。
もう少し、長く。深く。奥まで。

「……は、みや、まっ」

もう、流されてしまえばいいのに。
それを形にしてしまうのは、違うと知っている。今までの桃子の覚悟を、すべて壊してしまうわけにはいかないとわずかに残った理性が叫ぶ。
一方で、もう限界だと体の中で熱が暴れる。
せめぎ合って、思考なんて手放してしまえれば楽になれるのに。

706 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/11/15(火) 21:28:16.76 0

「……みや、なんて顔してんの」
「?」

冷えた桃子の指先に、頬の輪郭をなぞられる。
自分が今どんな表情を浮かべているかなんて、知りようもない。

「無理してる?」
「……してないよ」

うそ、と囁く桃子を、咄嗟に否定できなかった。
ふわり、見下ろす桃子の雰囲気が柔らかくなったような気がして。
下から伸ばされる腕に包まれて、あまりにも優しい手つきに言葉を失った。

「我慢、させてごめん」
「そんなこと」
「あるよ、そんなこと、ある」

ありがとう、ごめんね、桃子の掌にゆっくりと背中を擦られて、その心地よさになぜだか泣きそうになる。
口を開けば溢れてしまいそうな想いをぐっと堪えていると、不意に桃子が手を止めた。

「みや」
「……なに?」
「待たせてばっかりで、ごめんね」
「も、いいよ」

謝罪の言葉を欲しているわけではない。
ワガママを聞いてほしいわけでもない。
もう、寝ようよ。
口を開きかけて、けれどそれは唇の添えられた桃子の指先に止められる。

「……もも?」
「ももにするのは、もうちょっと待って?」

——でも、その代わり、みやにしてあげる。

何を言われたのか頭が理解するより前に、ぐるりと反転する世界。
見上げる格好になって初めて、桃子も泣きそうだったのだと気がついた。

707 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/11/15(火) 21:29:13.76 0


たった数枚の布でさえも、肌にざらついて邪魔に思えた。
もどかしい思いでいたのは桃子も同じだったのだと思う。
桃子によって器用にそれらは取り払われて、雅はただ桃子の指先から与えられる感覚を追いかけた。
至るところに柔らかな唇が降り注ぎ、その度にじわりと感度が上がっていく。
ささやかな刺激も積もれば全身を満たして、雅は酸素を欲して浅い呼吸を繰り返した。

「んっ、あ」
「ここ、すき?」

とても大事なもののように扱ってくる桃子に、返事は言葉にならないままどうにか頷きを返す。
頭のてっぺんから、お腹のあたりまで。桃子の小さくふっくらとした指先が往復して、その度に体の奥が疼いた。

「……みや、その——」

いい?とご丁寧に許可を求めてくる桃子が焦れったい。
大丈夫だからと桃子の手を掴んでそこへ、最も熱を持っているその場所へと導いた。
戸惑いがちな桃子の指先に触れられて、水音が、して。

「ぁっ……!」

下半身からぞくぞくと這い上がる何かに、雅は思わず仰け反っていた。
きっと桃子の指先は濡れている。雅自身で、濡れている。

「すごい、ね」
「いわな、くて、ぃ」

おずおずと撫でられているだけなのに、簡単に声はこぼれた。
鼓膜を揺する、自分の声、桃子の吐息、粘ついた水音。
視界に入った桃子の視線に射抜かれて、腹部をくすぐる指先に身を捩る。

「みや、かわいい」
「ぃっ、あ」

じんわりとした刺激は唐突に止んだ。それと同時に、じりじりと燻る熱を自覚する。

「もも……?」

何事かと起こそうとした上半身に、桃子の手が添えられた。
思いの外しっかりとした桃子の腕に支えられて、雅はベッドの端に足を投げ出して座る形になった。
桃子の意図が掴めないまま、ぼやけた視界に桃子の姿を映していると、不意に桃子と目が合った。

「すきだよ、みや」

きっと、その言葉が合図。
桃子の声は艶めいていて、心臓がドクンと大きく脈打った。

708 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/11/15(火) 21:29:52.29 0

「ちょっと、ごめんね」
「え、あっ、そん、な、とこ……ゃっ」

桃子が、吸い寄せられるようにそこへと頭を埋めるのが見えた。
かと思えば湿ったものが押し当てられて、腰は勝手に跳ねていた。
溢れ出した液体を残らず舐め取るように、中心だけでなく周辺にも桃子の舌が這うのが分かった。

「あっ、は、んぅっ」

一定のリズムで刻まれる音に混じって、別の湿った音が聞こえた気がして雅は薄く目を開いた。

「も、も……?」
「は、みやっ、ぁ」

桃子の声には色がつき、片手でシーツを握りしめているのが見える。
問題は、もう片方の手。それが差し込まれている先を認めて、雅はぞくりと震えた。

「や、んぁ、み、やっ」

本当ならば、自分の指先で桃子を慰めてやりたかった。
それができないのならば、せめても、と。
シーツにしがみついていた桃子の手を、引き剥がして自分の指と絡ませる。
桃子が目を細めた気がした。すき、と言われた気がした。
けれど、それらを念入りに確かめている余裕はなかった。
桃子の舌先が動きを早めたのが分かる。啄んで、吸われて、なぞられて。
強くなった刺激に耐え切れず、ぎゅっと瞑った瞼の裏でチカチカと星が明滅した。
思考は次第に輪郭を失って、残ったのはシンプルな言葉。

——すき、もも。

今まで経験したことがないほどに、身体が強張って、頭の先まで快感の波に飲み込まれる。

「んっ、あ、いっ……!」

おぼろげな意識の中で、桃子の嬌声を耳にした気がして。
程なくして、指先から伝わる震えに、桃子も達したのだと知った。


二人して力の抜けた状態で、寝る態勢を整えるのにも一苦労。
ようやく向き合って横になった時には、桃子の瞼は半分以上閉じていた。
汗ばんでしっとりとした前髪を軽く指先で遊ばせてみるが、反応はない。
よっぽど、先ほどの行為で体力を消耗したらしい。

「もも、おやすみ」

額にキスを一つ、二つ。触れるだけ。
何か言おうと、桃子の口が動くのが見えた。けれど、そこから生まれた音は言葉にならないままで。
のんびりとしたテンポで頭を撫でていると、聞こえてくる呼吸は徐々に深くなる。
その寝息に耳をすませながら、雅もそっと目を閉じた。