雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 甘やかし検定二級
469 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 19:56:02.21 0
以前書いたみやびちゃんがももちゃんを甘やかしたい話


一体どうしたんだろう。
みやが私を甘やかしたいだなんて。
嬉しいとか嫌だとかいうよりも戸惑いの方が大きくて、そわそわと落ち着かない気持ちを抱えたまま、仕事を終えた足でみやの部屋へと急ぐ。

玄関のチャイムを鳴らすと間髪をいれずにドアが開き、みやが満面の笑みで迎えてくれた。
その美しさにみとれたのと勢いに気圧されたのとで、思わず怯んで一歩引いてしまう。
「おかえりー。お疲れさま!」
一歩引いた肩を抱えられ、流れるように部屋の中にエスコートされる。
これはもう、甘やかしモードなのかな?
と、思わず考えて、だめだめ甘やかされることを意識しすぎているぞ、と気を引き締めた。
そんなに警戒する必要はないと思う反面、そうはいっても歯止めが利かなくなったら困るしなぁと心にブレーキをかけようとする自分もいる。
みやには悪いけど、すなおに全力で甘やかされるほど、私は簡単じゃないのだ。
「ただいま…っていうか、おじゃましまーす」
久しぶりに訪れるみやの部屋は、相変わらずきちんと片付いて、ほんのりいい匂いがする。
少し足を踏み入れただけでわかるその居心地の良さに、心がほどかれていくような気配を感じて戸惑う。
私の意思は、意外と弱いのかもしれない…。
それとも、自覚する以上に私は甘えたい欲を持っていたんだろうか?
なんてぐるぐると考えていると、みやがこちらに向き直ってにこっと笑い、
「お風呂にする?ごはんにする?」
なんてベタなセリフを言うものだから、思わず脱力してしまう。
甘やかすって、こういうかんじ??

473 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 20:09:31.33 0

「いや、ごはん食べてきた…って連絡したよね。…なんか、ももが思ってたのとちがう」
拍子抜けして、思わず本音が漏れる。
「お約束っていうの?やらなきゃダメかなって。ていうか、実は結構期待してくれてたんだ?」
そう言うとみやは、いたずらっぽい表情を浮かべる。
「だって、あんなにしつこく言うからさー。どんだけ甘やかされるんだろうって」
なんとなく悔しくて、思わずまじめに抗議してしまう。
「まあ夜は長いから。これから甘やかし検定2級の腕前を披露するからさ」
私が甘やかされる覚悟で乗り込んできたことを確認したせいか、みやは満足そうに微笑む。
それが少し嬉しくて、少し悔しい。
「3級じゃなかった?」
「そうだっけ?…この数時間でランクアップしたから。もものために!」
「いま、そうだっけ?って言った!」
「気のせいだって」
「もー、てきとーだなー!」
どこまで本気なのかわからないみやのノリに、思わず笑ってしまう。
「とりあえずお風呂入ったら?寒かったでしょ。はいタオル」
あとはバスルームに用意してあるから、と、ふかふかのバスタオルを渡される。
「うん、そうする。ありがと」
実際秋の夜風はつめたくて、体はかなり冷えていた。
「背中流してあげよっか」
そう言ってにやりと笑うみやの目がすごく優しかったから、思わず勢いで頷きそうになって、慌てて首を振る。
「いいから!甘やかす方向性が、なんかちょっと違う気がするよ?」
「遠慮しなくていいのに。ま、邪魔しないからごゆっくりー」
私の慌てぶりを楽しむように笑いながら、手を振るみや。
「はーい。いってきまーす」
なんだかかなわないなぁ、と思いながら、タオルを抱きしめてバスルームへ向かう。

479 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 20:37:50.84 0

「あわあわのお風呂だぁー」
バスルームに入ったとたんに目に入った、溢れんばかりに泡いっぱいのバスタブに、思わず声を上げてしまう。
外国の映画で見たそれに憧れて入浴剤を買ってみたこともあるけれど、思うように泡立たずにがっかりした記憶がある。
さすがみや、こういう女子力にかけてはかなう気がしない。
理想どおりのもこもこの泡のお風呂の横には、桃のジュース。
シャンパングラス型のプラスチックカップには、みやの字で
『ももへ
 おつかれさま
 ゆっくりあたたまってね』
というメッセージとともに、ハートマークが書かれている。
ひらがなだけのシンプルなメッセージがみやらしくって、思わず顔がほころぶ。
はやる気持ちを抑えながら泡の中にそろりと足を踏み入れ、湯船につかると
「…ぁあ〜」
と、思わずアイドルらしからぬ声が漏れてしまう。
ふわふわの泡が手をふれたところからシュワシュワと音を立てて消えていくのがもったいないけど楽しくて、ひとしきり遊んだところでジュースに手を伸ばす。
お姫様気分でシャンパングラスに口を付けて傾けると、ほんのり冷えたジュースが、のどに心地よく滑り落ちていく。
思えば、こんなふうにゆっくり湯船につかって寛ぐなんて久しぶりだ。
やばい。このままだと寝ちゃいそう。
ふと目を閉じたところで、夕方からずっと引っかかっていたことに思いを致す。
みや…さっき、私のこと好きって言ったよね?
甘える甘えないの話に夢中になってスルーしてしまったけど。
確かに、好きって言った。
言葉のあやかな?
でも、真剣だった。
でもでも…
ぐるぐると考えているうち頭がくらりとして、考えるのを一時中断する。
だめだ、のぼせちゃう。とりあえずさっさと上がろう。
おしゃれな容器に入ったなんだか高そうなシャンプーにちょっと気後れしながら手を伸ばす。
あ、みやと同じ香りだな、と意識してしまうと、なんだか恥ずかしくなってしまって、必要以上にわしゃわしゃと音を立てて髪を洗った。
さっきまでのお姫様気分はどこへやら、私はすっかり舞い上がっているみたいだ。
頬が熱くなっているのは、のぼせかけているせいだということにする。

480 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 20:52:42.41 0

「あぁー、気持ちよかったぁ…あれ?みや?」
バスルームを出てリビングに戻るとみやの姿が見えず、少しだけ心細く感じた。
すっかりみやに甘えるつもりになっているらしい自分を自覚して、湯上がりの頬がさらに熱くなる。
「もも、こっちー。髪乾かしてあげる」
一人赤面していると、みやがベッドルームから顔をのぞかせて手招きする。
促されるままドレッサーの前に座ると、みやの細い指が私の濡れた髪を掬う。
「ありがと」
くすぐったいようなはずかしいようなうれしいような、そわそわした気持ちで鏡越しにみやを見つめる。
手際よく手櫛で髪をかきあげてドライヤーをあてるみやは伏し目がちで、長いまつげが際立ってとてもきれいで。
思わずみとれていると鏡の中で目があって、みやがにこっと笑うものだから、ますます私は落ち着かない。
「もも、髪きれいになったね」
ドライヤーの音が大きいせいで、みやが耳元に口を寄せてくる。
柔らかく響くみやの声が吐息とともに耳をくすぐり、耳も頬も火が出そうに熱くなるのを感じる。
「髪下ろすこと、多くなったから…」
その熱さは鏡越しでも隠しようがなく、はずかしくて思わずうつむいてつぶやく。
ドライヤーの音に邪魔されてたぶん私の返事はみやには届かなかったけれど、みやはさして気にする風でもなく手を動かし続ける。
私の髪は、魔法にかけられたようにするするとまとまっていく。
その様子が不思議で面白くて気持ち良くて、ああ、髪がこのまま乾かなければいいのに、なんて思ってしまう。
「とりあえずストレートでいいよね。明日の朝セットしてあげる」
「ありがと…」
「はい、できあがりー」
願いむなしく、私の髪はあっという間につやつやのサラサラになってしまった。

「さて、と」
ふうっと息をついたみやが、私の手を取る。
そのまま抱き寄せられるように立ち上がり、いきおい私はみやの胸におさまるかたちで。
「あ…」
思わず息をのみ、固まってしまう。
みやがそのまま何も言わずに柔らかく抱きしめてくるので、私の心臓は痛いほど高鳴る。
「え、と。み、みや?」
なんて声まで上擦ってしまうものだから、あーもう、からかわれるんだろうなあ、と覚悟する。
ところがみやはからかうどころか笑ったりもせず、ぽんぽん、と優しく頭をなでてくれる。
「湯上がりのもも、あったかくて気持ちいーなー」
私が動揺していることに気がついていないわけはないのに、みやは指摘したりせずに優しく頭をなでるだけで。
次第に私の心も落ち着いてきて、おずおずとみやの背中に手を回してみる。
すると、私を抱くみやの手に少しだけ力が加わって、ふたりの間にわずかにあった隙間がなくなった。
「ねえ、みや?」
「ん?」
「あの、さっき…もものこと…えっと、」
「うん。好きだよ」
「う……」
「う、って」
くすくすと笑うみやの声が耳元にじゃれつき、私はますます言葉を失ってしまう。
「別に、だからどうこうってわけじゃないから、ももは気にしなくていいよ」
何も言えない私をあやすように、みやの手は私の頭をなでつづけていて。
それはまるで壊れやすい宝物にでも触れるような手つきで、それだけでみやが私のことをどんなに大切に思ってくれているかがわかる。
それに気づいた瞬間、鼻の奥がツンとして、とっさにみやの胸に顔をうずめる。
「うー…」
自分の気持ちを言葉にできなくてぐずる子どもみたいに、私はただ、みやにしがみつく。

487 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 21:08:45.80 0

「もも、ねむたい?そろそろ寝よっか」
どれくらい時間がたったのか、ものすごく長かったようにも、ほんの数分だったようにも感じられた。
「うん…」
みやの手と身体が離れていくのがなんとなく名残惜しくて、私はゆっくりと頷く。
回していた腕をようやくほどいたところで目が合うと、みやはにこっと
「マッサージしてあげるね」
なんて笑う。
「え、いいよ!」
無性にはずかしくなって、思わず大きな声が出てしまう。
するとみやの笑顔が少しだけ寂しそうに曇り、それを見た私の胸が、瞬間、きゅっとする。
それが顔に出てしまったのだろうか。
みやは笑顔のなかの寂しさを一瞬で消して、再び綺麗な微笑みを浮かべる。
「遠慮しなくていいってー。あ、別に変なことしないし」
まぁご希望ならお応えしますけど?なんて、軽口を交えながら。
「いい!いいです!」
私は慌ててぶんぶんと首を振る。
「そんな全力で拒否しなくてもいいじゃーん」
苦笑いするみやはもう、さっきみたいな寂しさなんて見せない。
その優しさに私はなぜか涙が出そうになって、いっそうムキになって首を振る。
「疲れてないから!ほんとに!」
「そ?みや、けっこう上手いのにな〜」
ざんねーん、と笑うみやを見ていると、胸がチリチリと痛む。
「うん、じゃあ、また今度…」
思わずそう口にして、今度って?また甘やかされに来るつもり?と、自分で自分にびっくりする。
そんな動揺する私に追い打ちをかけるように、みやが
「オッケー。じゃ、今日は腕枕してあげる」
なんて言うので、私はもう涙目で。
「無理!無理だから!」
「無理ってなに、失礼じゃん」
「いやもうほんと、もも、いっぱいいっぱいだから!」

491 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 21:19:59.13 0

「……嫌だった?」
それまでニコニコしていたみやが突然しょんぼりするものだから、私はどうしたらいいかわからなくなって、おろおろと言葉を探す。
「嫌とかじゃなくて…」
「……ごめん」
みやが、伏し目がちに呟く。
「え?」
「もものこと、なんか心配で。甘えてほしいって思ったんだけど、なんか空回りしちゃった」
「……みや」
たぶんものすごく傷つけてしまった。
それなのにみやは、まだ笑顔を作ろうとする。
そんな顔がみたいわけじゃないのに。
この気持ちがそのまま伝わればいいのに。
「ごめんね。かえって疲れちゃったよね」
「ちがうの、みや。ちがう」
「無理やり甘えさせるって、やっぱおかしいよね。わがままにつきあわせてごめんね」
「ちがう!」

「…もも?」
私の突然の大きな声に驚いたみやが、目をぱちぱちさせる。
「ちがうの。最初はね、正直迷惑だったよ。だってもも、甘えたいと思ってなかった…というか、甘えたいと思ってる自分なんて認めたくなかった」
伝えなきゃ。
たしかにいまの私はいっぱいいっぱいなんだけど。
すなおに言葉にして伝えなきゃ。
「でも、いまね、すごく嬉しいの」
言葉尻が震えそうになるのをどうにかこらえる。
「みやがもものこと思ってくれてるの、すごく嬉しい」
みやの大きな目が更に見開かれるのを見つめて、勇気を振り絞る。
「ほんとはまだ、甘えちゃう自分なんて認めたくない…でも、みやがもものこと甘やかしたいって言ってくれるのは、ほんとに嬉しいの」
自分の気持ちを話すことが、こんなに難しいなんて。
「矛盾してるよね。自分でもよくわかんないの。もう、いっぱいいっぱいなの……みや、なんで泣いてるの?」
いつの間にか、みやの目からは大粒の涙が零れていた。
「なんでって、ももが泣いてるからだよ」
みやに言われて、自分の頬が濡れていることに気がつく。
「ももを困らせてるのがつらいからだよ。でも、ももがみやのせいで困ってるのが嬉しいの。みやの方が矛盾してる」
「みや……」
「ごめんね、甘やかしたいなんて言ったのに」
「ううん。十分甘やかされた」
それは紛れもなく私の本心だった。
みやの暖かな気持ちが私のなかにぐんぐん染み込んで、おなかの底からぽかぽかしている。
私もいつか、この気持ちをみやに返したい。
そう思うだけで、なんだか力が湧いてくるような気さえする。

500 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 21:46:11.96 0

「あー、久しぶりに泣いたらなんか色々すっきりしちゃった」
「そういえば、みやもなんかすっきりした」
ふたりして顔を見合わせて、ふふっと笑って、あ、いま幸せだな、なんて思う。
「なんか寝るのもったいないなー。今夜は夜更かししちゃおっか」
みやに、いろいろ話したい。
みやのことも、いろいろ聞きたい。
修学旅行の夜みたいにわくわくしている自分が、なんだかくすぐったい。
「そういうのもアリかな〜と思って、お菓子と飲み物、用意してあるよ」
みやが自慢気に言うのがおかしくて、顔がゆるむのを止められない。
「さすがみや、だてになんとか検定2級じゃないね」
「甘やかし検定ね」
心が軽くなったついでに、少しだけ自分をゆるめてもいいかな、なんて。
「たまにさ、検定の腕前、見に来てもいい?」
照れくさくて、視線を逸らしながら告げてみる。
「もちろん!1級めざして腕みがいとくし」
みやが満面の笑みを浮かべているのが声色だけでもわかって、思わずつられて笑ってしまう。
「期待してる」
思わず出た自分の声の明るさに、びっくりするやらおかしいやらで、あんまり笑って涙が一筋、頬を伝い落ちる。

今夜は特別、ベッドの上で飲み食いしちゃおう!と、みやが言う。
そんなステキな夜更かしがあるなんて。
大人になるっていいなぁ、なんて子どもみたいに思いながら、私はベッドに座って宴の開始を待つ。
待つ…つもりでいたのだけど、なんだかそわそわした気持ちが抑えられず、ベッドサイドに飲み物を準備するみやの左手を取って、指を絡めてみる。
その指が当たり前のように柔らかく握り返されることに安心して、涙がもうひとつ、ぽたりと膝に零れた。
それに気づいたのかたまたまなのか、みやの右手は私の頭をふんわりなでる。
2級、おそるべし。
なんて心で呟いて、私はみやの肩に頭を預ける。

私もいつか、みやのことめちゃくちゃに甘やかしてみたい。
でもとりあえず今日のところは、みやのお手並みを拝見しよう。
覚悟を決めて、甘やかされよう。
そう心に決めると、胸が心地よく高鳴った。
長い夜に、なったらいいな。
ほのかな眠気に身をゆだねながら、そんなことを考えていた。

おわり

501 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/19(木) 21:50:30.64 0

おまけ

肩に感じていた柔らかな重みが、いつしか確かな重みに変わった。
「…もも?」
なるべく体を動かさないように気をつけながら肩の方を窺うと、小さく規則正しい寝息が聞こえてくる。
あんなに張り切って夜更かし宣言をしたくせに、なんという寝落ちの早さ。
少々呆れながらも、心を許されたようで顔がほころんでしまう。
起こそうか、ベッドに寝かせようか。
しばらく考えて、とりあえずこのまま様子を見ようと決める。
動かないようにしようと思うほどなぜか体がむずむずするのはなぜなんだろう。
なんて考えていると、ももがなにやら口をむにゃむにゃしだした。
「……みゃぁ」
鳴いた?いや、寝言だ。
これは、私を呼んでるのかな?
勘違いかもしれないけど、まあいいや。そうだってことにしよう。
一人納得していると、ももがまた何かつぶやく。
「…もちゃ…も」
「え?」
耳を澄ましていたのに、まったく聞き慣れない言葉に、頭が反応できない。
もちゃって何??
頭の中をハテナでいっぱいにしていると、ももが突然はっきりと声を出すものだから、驚いてしまった。
「ももちゃんだってみやのこと甘やかしてあげるんだからー!」
「え?…はぁ?」
言うだけ言って、ももはまた寝息を立て始める。
うちはといえばもう内心大混乱で、ただただ身動きしないようにいるのが精いっぱいだった。
一体どんな夢見てるんだろ。
ももの見ている夢を想像すると、じわじわと胸の中に熱いものが広がって、涙が出そうになる。
いますぐ起こして確かめてみたいような、このままでいたいような、もどかしい気持ちのまま目を閉じて深呼吸する。

少しの後、優しく頭をなでられ、頬に温かな感触があったのは、はたして夢の中の出来事だったのか。
明日の朝、ももちゃんに確かめよう。
夢うつつでそんなことを考えながら、そっと意識を手放した。

今度こそおわり