雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 山木さんは見た
522 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/24(土) 04:29:25.00 0

みなさん、こんにちは。
私、山木梨沙っていいます——って、このやりとり前もやりましたね。
ということで、割愛します。

ただ今私は、Girls Night Outの収録に向けて楽屋で待機中。
聞いてください、なんと!
今日は我らがPM——もといももち先輩と一緒の収録なんです。
毎度毎度ちぃばっかりがセットにされていたので、もう私にチャンスは回ってこないものかと思っていました。
ですが、ようやくこの日がやってきました。万歳!
というわけで、私はちょっとテンション高めなんですが、ももち先輩から聞こえてくるのはなぜか深いため息。
そっと眺めてみた横顔は相変わらず整っていて……って、そうじゃないんですよね。

「どうしたんですか?」
「うん? あー……うーん」

私の方を向いたももち先輩は、ひょい、と眉を上げて少しだけ苦笑い。
具合でも悪いんですか?という質問は、ドアの開く音に遮られました。

「おはよー」

よろしく、と現れたのは夏焼さん。
今日は少しダークな髪色のボブカットみたいですが、あれも所謂エクステってやつなんですよね、確か。

「あ、よろしくお願いします」

思わず立ち上がって挨拶をした私に対して、ももち先輩は座ったままでゆっくりと振り返ります。
そして、ちらりと夏焼さんを一瞥すると、あのさあ、と口を開いたのでした。

「本気でやんなきゃだめ?」
「だーめ。ていうか、料理教室通うって宣言したのももだかんね」
「だからってカメラの前で披露するとは言ってないじゃん……」
「はいはい、今更何言っても遅いから」

とっとと覚悟決めちゃって。
そう言いながらウインクした夏焼さんは100点満点って感じのキラキラスマイル。
なるほど、なんとなーく分かってきました。
今日の収録では、スタジオのキッチンでももち先輩が料理をすることになってるんですよね。
それが、ももち先輩のため息の原因になっているみたいです。

「やっぱだめかぁ」

それにしても、大体何に対しても自信ありげなももち先輩がこんなに弱気なんて珍しい気がします。
よく分かりませんが、何か気乗りしない理由でもあるんでしょうか。

523 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/24(土) 04:30:09.27 0


それでも、収録が始まってしまえば、ももち先輩はいつもの調子を取り戻したようでした。
若干ヤケ気味に感じるのは、私の勘違いってことにしておきましょう。

「というわけでですね、今日はももが料理をしてくれまーす」

夏焼さんと二人でパチパチと拍手。
多少、ももち先輩のやる気の足しになればいいんですけど。
そこで一旦収録は中断して、ももち先輩は調理の準備へ。
私たちはももち先輩を見守る役とのことで、手持ちのカメラが渡されました。

「梨沙ちゃんはももが料理してるとこって見たことあるんだっけ?」
「いや、あんまり……DVDマガジンの収録の時にカレー作ったくらいですかね」

まあ、あれもメンバー全員で作ったので、ももち先輩が一から料理をしているところは見たことがないってことになりますね。
そう答えると、あーあれね、という夏焼さんの反応。

「ご覧になったんですか?」
「まあ、一応。あれももずるいよね、全部後輩にやらせてるし」

肉はトレーごと入れちゃうし、と言いながら、その場面が浮かんだのか吹き出す夏焼さん。
確かにあれは、私も後から見返してちょっと吹いちゃいました。
ももち先輩には口が裂けても言えませんけど。

「おーい、そろそろ始めてもいーい?」

おっと、夏焼さんと話ている間にももち先輩は準備を終えて戻ってきていたようです。
わざとらしく頬を膨らませていて、分かりやすく拗ねていらっしゃる様子。

「あ、ごめんごめん」

まだ笑いの余韻を残したままの形だけの謝罪に、ももち先輩は更にもう、と拗ねてしまったようです。
でも、夏焼さんはそんなことなどどこ吹く風で、話題をころんと転換させました。

「へえ、今日はそのエプロンなんだ?」
「似合うでしょー?」
「ん、まあまあね」

ももち先輩が着ているのはシンプルなピンクに大きめのポケットのついたエプロン。
紐は前で結ぶタイプのようで、茶色が良いアクセントになってて確かに似合ってます。
って、今このやりとり必要でした?
まあ、突っ込むのは止めておきましょう。そろそろカメラも回り始めるようですし。

「で、今日は何を作ってくれるんですかー?」
「それはぁ、出来上がってからのお楽しみです」

カメラに向かって、お得意のドヤ顏いただきました。
でも、食材からしてあらかた想像はついちゃいますよね?

「いやいや、焼きそばでしょ。どう見ても」

夏焼さんも同じことを思ったようです。
というか、中華麺がある時点で隠す気もなさそうですけど。

「バレたかぁ」

特に残念な様子もなく受け流されて、ももち先輩は野菜を刻み始めました。
意外にも鮮やかな包丁さばきは、料理教室に通っていることが本当だと物語っているようです。

524 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/24(土) 04:30:57.22 0

「おー、すごーい」
「でしょ?」

口ではそう言いつつ、ももち先輩の表情は真面目そのもの。
いつもなら「もっと褒めて」なんて雰囲気を漂わせるのに、今日はそれ以上のコメントもなし。
ちょー真剣だね、とカメラを向ける夏焼さんはじゃれ合っているみたいでした。
手切らないでねとか、火傷しないでねとか、ちょくちょく挟まる夏焼さんのコメント。
まさに見守ってるって感じというか、すごく優しい横顔でした。
そこまでは、良かったんです。そこまでは。
でも、この山木、ふとあることに気がついてしまいました。
にこにこと嬉しげにカメラを向ける夏焼さんと、一生懸命料理をするももち先輩。
何となく、ほんとーに何となくなんですが、この雰囲気って。
デートの時とかに、彼女の写真を撮ってる……彼氏みたい?
はっ!私ったら一体何を考えてるんでしょうか、仮にも収録中に。

「お、そろそろ完成?」
「そうそう」
「えー、普通に美味しそうじゃん。ねえ?」

夏焼さんに声をかけられてふと我に帰ると、既にフライパンの上で焼きそばがホカホカと湯気を立てていました。
大きめのフライパンを、ちょっと持て余し気味に盛り付けていくももち先輩。
皿に盛られていくのは、塩焼きそばのようです。

「はーい、完成しましたっ」
「おーすごーいっ」

漂ってくる香りは本当にお店のようで、見た目も抜群。
これは、嫌でも期待が膨らんでしまいますよね。
実際、その後いただいた塩焼きそばは、お世辞抜きでとっても美味しかったです。
夏焼さんも大絶賛してらっしゃいましたし、ももち先輩自身も満足のいく出来のようでした。

525 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/24(土) 04:31:15.62 0


でも。ちょっと待ってください。
私の中にはまだ些細な引っ掛かりが残っているんです。
それこそ、魚の小骨が喉に引っかかっちゃいました、みたいな感じのやつなんですけど。
些細なことではあるけれど、無視できない違和感といいますか。

「あの、ももち先輩って」
「んー?」

だから、直接聞いてみようと思ったんですよ。
でも、ももち先輩を前にして、何をどう聞いていいか分からないってことに気づきました。
だって……だって、お二人の関係は?とか聞くんですか?無理じゃないですか?

「あ、いや、なんでもないです」
「なになに?」

結局困って言葉を濁すと、ツンツンと小指で二の腕をつついてくるももち先輩。
収録前の憂鬱はどこへやら、今はやけに上機嫌なようです。
でもでも、そんなももち先輩に対してさっきの質問はできそうにないので、仕方なく別の質問をひねり出しました。

「……あの、料理、嫌だったんですか?」
「嫌っていうか、緊張するじゃない?」

それだけだから、とはにかむももち先輩。
それだけ、本当にそれだけですか?
……なんて、言えるはずもなく、無難に「そうですよね」なんて答えてしまうのが私です。
そんなことをしていると、ガチャリと扉の開く音。
その向こうから顔を覗かせたのは、私の想像通りの人でした。

「も……あ、二人ともおつかれさま」
「あ、おつかれさまです」
「おつかれー」

ひょっこりと現れる夏焼さん。
既にしっかりと帰り支度も済ませた状態で、帰る途中にちらっと寄ったって感じでしょうか。
あ、ももち先輩の様子、観察するの忘れてました。

「もう帰れる?」
「うん。あ」

ちょこちょことした動作で、夏焼さんへと歩み寄るももち先輩は、そこでちらりと私の方を振り返って。
ごめんね梨沙ちゃん。
両手を合わせた状態で、ももち先輩がそう言ったのが聞こえました。

「もも達この後ちょっと仕事の話しなきゃだから先帰るね」
「あ!いえ、お構いなく」

扉の向こうへと消えていくお二人を見送った後も、私の中で解消されない気持ちはぐるぐると渦巻いていました。
さすがにこれは、メンバーに相談するわけにもいかない話ですよね。
どうしたらいいんでしょう、と頭を抱えても、誰かが答えてくれるわけもありません。


後日、私が夏焼さんに直接アタックを仕掛けて、衝撃の事実を知るのはもう少し先のお話……です。