雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 春よ恋
108名無し募集中。。。2018/02/04(日) 01:19:15.080

「ただいまー!」
スーパーから帰ってきたももの声はご機嫌で、狙ってた恵方巻きをゲットできたんだとわかった。
店舗ごとに限定30個の恵方巻は美味しいと評判で毎年すぐ売り切れてしまう。
ももは珍しく早起きして開店時間にお店に行った。
普段のももからは、ちょっと信じられないけど、はじめての2人での節分をそれだけ楽しんでくれているのが嬉しい。
ももは冷蔵庫を開けてゴソゴソと買った物をしまっている。
音の感じから恵方巻だけじゃなさそうだ。
「なに買ったの?」
「例の恵方巻買えたよ!あとは晩御飯までナイショ」
ももがいたずらっぽく笑った。
この笑顔を独り占めできるのは、まじで最高だと思う。

109名無し募集中。。。2018/02/04(日) 01:36:12.860

ピンク色のお麩と三つ葉のお吸い物と、ブロッコリーのおひたしを作って、具沢山の太い恵方巻を半分に切る。
本当はダメかもしれないけど、1つの幸せを2人で分けっこするみたいでちょっと良いよね、なんてももが言った。
それって夫婦みたいだな、と思って急に恥ずかしくなる。
「めっちゃ美味しそう!朝早くから買ってきてくれてありがとう」
カラフルな恵方巻の断面を見つめながらウチは言った。ちょっとわざとらしい言い方になったかもしれない。
「ほんと早起きした甲斐あったよー。手作りしても良いけどね」
ウチの動揺には気付かないみたいで、ももは機嫌良さそうに笑う。
「もも綺麗に巻けなさそう」
「やるときはやる子だから!」
「ぜったい欲張って具を入れすぎて海苔巻ききれなくなるでしょ」
いつもみたいにフザケて、ももを小突いたのに。
「来年は一緒に作ろっか」
ももがそんなこと言うから、あんまり柔らかく笑うから、ウチはまた目線を落としてしまった。
来年も節分一緒に過ごすとかもう家族じゃん!夫婦じゃん!節分だよ?クリスマスとは違うんだよ?!
ほんと、今日のももには調子を崩される。
「ら、来年はどっちが上手く巻けるか勝負しよ」
恥ずかしさでパニックになりそうなのを抑えて、ウチは強めな顔で笑った。つもり。

491名無し募集中。。。2018/02/09(金) 22:50:59.700

『1つの幸せを2人で分けっこするみたい』な恵方巻は噂以上の美味しさだった。ほんと、もものおかげだ。
一緒に買ってきてくれた小袋に入った豆を満足するまで投げ合った後、ももは思い出したように冷蔵庫へ向かった。
「じゃじゃーん!お酒コーナーにみやみたいな名前の売ってた」
ももがテーブルに置いたクリーム色の缶には、可愛いおじさんの絵と雪の結晶の柄が描かれていて、名前の通り華やかだ。
そして自分で言うのもアレだけど、ウチにぴったりの名前だと思う。ももが気になったのも当然だと思う。
まあ、ももが気づかなかっただけで結構前から売ってたけど。
「それ深キョンがCMしてるやつ。綺麗だけどビールだよ」
さっき投げ合った豆とカラフルな砂糖がけの豆をお皿に出しながらウチが言うと、グラスを用意していたももはビックリした顔をした。
「えー!そんな綺麗なのにビールなの?」
ももはビールなんて飲み会の乾杯で口をつけたことがあるくらいのはず。そもそもお酒だってほとんど飲まない。
そんなももがウチのために買って来てくれたビールは、パッケージよりも名前よりも輝いて見えた。
「ウチの名前のビールだし、ももが折角買ってくれたんだし、飲んでみようよ。女性向けだから飲みやすいでしょ」
ウチはさっさと缶を開けると、ももが用意したグラスに均等に注ぎ分ける。
「ももの多くない?」
「ウチの酒が飲めないってか?」
渋るももにウチは今度こそ意地悪く笑った。
「えー、みや先輩こわーい。そんなのアルハラですぅ」
もももフザケてわざとらしいブリブリした声で言う。
「年齢詐称したらダメでしょ、ももちゃん」
2人で笑いながら乾杯して、グラスに口をつけた。

493名無し募集中。。。2018/02/09(金) 22:54:11.670
「匂いは甘いけど、にがーい」
ももは少しだけ飲んですぐに言った。
年の数なんて無視して豆をポリポリ食べる姿は小さなリスかネズミみたいだ。
「みやのビールなんだからちゃんと飲んでよね」
「みや味のビール!」
ももはニヤニヤ笑いながらもう一口飲むと苦そうに顔をしかめる。
「みや味ってなに!」
「みやは、綺麗で甘いけど、苦い」
ウチのつっこみに、ももはなぜか真面目な、でも優しい顔をして言った。
「な、なに言ってんの」
ウチはグラスに残ったビールを一気に飲み干して立ち上がった。
顔が熱いのは多分アルコールのせい。350mlの缶半分こしただけだけど多分酔っちゃったんだと思う。
「苦いの美味しいと思ったの初めてかも」
さっき顔しかめてたクセに、ももはそんなことを言って、またビールを飲む。
「多分ね、みやと一緒に飲んでるからだと思う」
グラスに口をつけたももの細い喉が小さく動く。白い肌はほんのりピンク色になっている。
ますます熱くなる自分の頬を抑えながら、ももも酔っちゃってるんだ、とウチは思った。
冷蔵庫にももと飲もうと買っておいた物があるのを思い出したのはその時だった。折角だから、2人でもっと酔っ払っちゃおう。
「もも、みやも見せたいお酒がある」
そんなに飲めないよ、と言うももの声は聞こえないふりをして冷蔵庫に向かった。

496名無し募集中。。。2018/02/09(金) 22:56:19.160

冷蔵庫から濃いピンク色の缶を1つ取り出す。
「じゃじゃーん!ももみたいなお酒見つけた」
さっきのももの真似をしてテーブルに置くと、ももは目を丸くした。
「桃すごいって書いてある!」
ももの誕生日に開けようと思って買っておいた桃ジュースみたいなチューハイ。
初めて見たとき、ももすごいって自分で褒めてるみたいなとこまで「ももち」みたいで笑った。
そしてウチの気持ちにもぴったりだと思った。
「ほんとに桃すごいのかな」
「ももすごいんだよ!」
「果汁60%だって、すごい」
ももが普段手をつけない冷蔵庫のお酒スペースにこっそりしまっておいたそれを、ももはキラキラした目で見ている。
空っぽになっていたビールのグラスを新しいのと入れ替えると、ウチはピンク色の缶を開けた。
トロリとした白桃色のチューハイを2つのグラスに注ぎ分ける。甘い香りが広がった。
空になった濃いピンクの缶をビールの空き缶の横に置いて、これはインスタに載せたいなあと考えてたら、ももがうずうずした声を上げた。
「乾杯しようよ」
ももはすごく楽しそうで、すごく嬉しそうだ。
「桃すごいに乾杯」
「もも味にかんぱーい」
好き勝手に言いながらグラスを合わせた。
ウチとおんなじ色のグラスを手にして、くしゃくしゃに笑うももを、すごくすごく愛しいと思った。