雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 小悪魔の囁き
737 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/23(月) 22:54:00.32 0

ぱたん、と本を閉じる乾いた音には、わざとらしさが見え隠れしていた。
それを察して、宿題である問題集と向き合っていた雅のペン先は一瞬動きを止めた。
桃子にバレていませんように。
祈るような思いで持ち上げた視界で、何もかも見透かしているような微笑みに出くわす。
何もされていないはずなのに、視線一つでその場に縫い止められた。
ぎゅっと喉元を掴まれて、不意に息苦しくなったような気がした。
背中がじんわりと汗ばんだような気がしたのは、きっと気温のせいではない。
くらりとしためまいに襲われながら、雅は桃子の視線を受け止め続けた。
かと思えば、すっと伏せられる瞳。ふるりと揺れるまつ毛に、見惚れそうになって慌てて雅は目をしばたかせた。
ふとした予感を覚えた時には、背後から桃子の体温に包まれていた。
お互いに薄着なのもあって、背中に触れる熱がやけに生々しく感じた。

「ねえ。ももちゃん、勉強あきちゃったー」
「……うちは、まだ――」

終わってないから。
形だけの抵抗は意味をなさず、肩口に触れた桃子の唇にするりと奪われた。
それだけで、ふわっと宙に浮くような心地がする。
机に転がるシャーペンが立てた軽い音は、どこか遠い世界の出来事のようだった。

「あ、……」

首筋に湿った感触を覚えて、ひとりでに声が鼻から抜ける。
それに、桃子がくすりと笑ったのが分かった。
そのまま這い上がっていく桃子の舌先が、耳たぶを掠めて中へと入りこむ。
大げさに立てられる水音に、体の奥で火が灯るのを感じた。

「みーやん、耳赤い」
「知ら、ないっ」

もっとはっきり拒絶するつもりだったのに、吐き出した声は艷やかな色を帯びていて、雅はぐっと奥歯を噛みしめた。
その色はきっと、桃子にも伝わってしまっている。
そう考えたら、じわりと体温が上がっていくのが分かった。

「ひっ、あ」

着ていたシャツの合間から無遠慮に侵入してくる桃子の指先に、柔らかな腹部を撫でられる。
戯れるようにそこを弄んだ後、指先は気まぐれに上へと滑った。
目指す先が予想できて、腹の底の熱がじわりと大きくなる。
なんの許可も求められないまま、あっさりとホックは外された。
呆気なく解放されたふくらみが、桃子の柔らかな手のひらに覆われる。
温かいなんていう感想は一瞬で、ふわふわと揉まれている感触に意識は引っ張られた。

738 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/23(月) 22:54:38.47 0

「やーらかい。あと、ちっちゃくてかわいい」
「っ、うる、さ、ぃ、ん!」
「ここ、ふにゃふにゃしててきもちいいね」
「あ、んっ」

ここ、と言いながら、ふくらみの頂点がやわやわと弄ばれる。
さほど強い刺激でもないのに、否、ないからこそ、焦らされているような感覚に陥った。

「……ゃ、だっ」

もっと、とはしたない言葉を口にしそうになって、雅はぐっとそれを押し留めた。
結果的に、抑え切れぬままこぼれたのは拒絶の一言。
その瞬間、背中に触れていた熱が離れていくのが分かって思わず振り返ってしまった。

「どしたの、みーやん?」
「なん、でも……ない」
「ウソつき」

乱暴に吐き捨てられた言葉に、心臓を貫かれる。
あの時と同じ、色のない目で桃子はこちらを見ていた。
本当に、雅を映しているのかどうかさえ危うい瞳。

「なんでそんなウソつくの?」
「……ウソ、じゃ」
「そんなえっちな顔してるのに?」
「ち、が」

もものこと、欲しくてたまんないくせに。
それはほとんど決めつけのようなものだった。けれど、間違ってはいない。
それ以上はどんなに言葉を重ねても無駄な気がして、口の端が勝手にひきつった。

「だって――ももの水着見てコーフンしてたんだもんね?」

とどめのように振り下ろされる刃を、避けることなどできるはずもない。
か、と頭に血液が集まって、顔全体が熱くなる。

「……みーやんって、ウソつきだけど素直だよね」
「は? あっ、ちょっ」

ぐるりと体の向きを変えられて、座ったまま正面から桃子の両腕に捉えられた。
そのまま服の中へと差し入れられた指先が、背骨をつつ、となぞる。

「……く、ふ」

少し鎮まりかけていた熱を、否応なしに思い出させられる。
耳元にふりかけられた吐息に身を強張らせていると、桃子が小さく息を吸う音がした。

――みーやんのえっち。

追い詰めるように響いた音に、抵抗なんて言葉は木っ端微塵に砕かれた。

739 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/23(月) 22:57:24.67 0

行為は近くのベッドへと場所を移して続けられた。それは、桃子のなけなしの優しさだったのかもしれない。
こういう時だけは器用な指先が、あっという間に下着まで取り払う。
桃子が、あ、とつぶやいたので何事かと見やれば、硬くなってる、とにやけた顔で報告された。
言わなくていい、見なくていい、突っぱねようとして、突然ふくらみへと与えられた刺激に思わずシーツを掴んでいた。

「んぅ、あぁっ」

先ほどまでと打って変わって、桃子の親指と人差し指が性急に触れてくる。
先端をつまみ、こねて、押しつぶして、爪の先でひっかく。
その一方で、もう片方は口に含まれて舌先に舐め回されていた。吸いつかれて、押し込まれて、転がされる。
そのたびに声を上げてしまうのは、もうどうしようもなかった。

「は、んぁっ、あ、あん、ゃっ」

与えられる刺激は少しずつ違う角度から脳みそに突き刺さってくるようで、いやでも体内の熱が高まっていく。

「……みーやんてば、胸さわられるの好きだよねえ」

気まぐれに触れては離れてを繰り返しながら、いい加減にしてくれと言いたくなるほどに焦らされた。
だが、桃子はそこから下へと動く気配がない。
どうしても雅の口から言わせたいらしい、ということも察していたけれど、言いなりになるのはごめんだと欠片ほどの理性が叫んだのもつかの間。

「ね、どのももが好きだった?」

いつもと違うセリフが囁かれて、雅の背筋をひやりとしたものが走る。
おしえて、と催促する桃子に、何を返せば正解なのだろう。

740 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/23(月) 22:58:07.52 0


時は、少し前に遡る。
桃子が初めて写真集を出したのだと、得意げに雅の家へ持ってきたのが事の発端だった。
いらないからと言うのも聞かず、桃子は持ち前の押しの強さで雅の本棚にそれを収めて満足気に笑っていた。
絶対見てねと念を押され、そこまで言うのならとページを繰ると、雅の知らない桃子がそこに写っていた。
いや、知らなかったわけではないのかもしれない。ただ、ほぼ毎日一緒にいる中では、成長らしい成長なんて意識に上らなかったという方が正しい。
だから、写真集に収められている桃子の姿に正直どきりとさせられた。
中でも、ある水着姿の写真に釘付けになった。
大人びた横顔。
健康的な二の腕や太もも。
柔らかそうなお腹。
それら全部に視線は吸い寄せられた。
ごくりと唾を飲みこむ自分の喉の音が思いのほか大きくて、雅はそれにもどきりとした。

――大丈夫、バレやしない。

自分にそう言い聞かせて、あれからも何度かそのページを開いては眺めてを繰り返した。
そんなある日、ふと桃子が漏らした、見てくれた?という問い。
何でもないことのように軽く放られた言葉が、こめかみにぶつかって弾ける。
素っ気ない素振りで返せばよかったのに、不用意に戸惑いが顔に出てしまった。何もかも、遅かった。

「あ、やっぱり見たんだぁ」
「み、見てない、し」
「……ふーん?」

意味ありげな桃子のにやつきに、頭の中でうるさいほどに警笛が鳴り響く。
次に何が出てくるのかと身構えていると、唐突に左胸へと押し当てられる桃子の手のひら。

「こんなにドキドキしてるのに?」

冷水を頭から被せられたような気がしたが、それはすぐに別の熱に塗り替えられる。
あれが最初の行為だった。行為と呼ぶには少々ぎこちないものだったが、確かにあれはそういう類のものだった。

741 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/23(月) 23:00:22.06 0


脳裏に浮かんでは消える記憶を追いかけていると、いきなり柔らかな部分へ爪を立てられる。

「つ、ぅ……っ」
「集中、してよ」

痛みにひるんでいると、慰めるように同じ場所へと舌が押し当てられた。
優しい触れ方に、痛みの輪郭がぼんやりとにじむ。

「どれも、すきじゃな、ぁあっ」
「ひどぉい、もも、傷ついちゃうなあ」

短めとはいえ、爪であることに変わりはない。
ぐい、と食いこんだかと思えば、また優しく舐められる。
ぴちゃり、と微かな音が耳に届いて、雅は人知れず頬を染めた。

「あ、それとも……全部すきだから選べない?」

息のたっぷり混ざった声が耳の穴を埋め尽くして、ぞわりと背筋が震える。
今度は、否定する隙さえ与えられないままに先端をつまみ上げられた。

「んあぁっ!」

突然のことに、無防備なままの体を貫く強い刺激。
間髪入れず、桃子の膝に敏感な場所が圧迫された。本人はいたって平常な風で、偶然なのだという顔で。
まぶたの裏で星がまたたいた。

「しーっ。みーやん、おうちの人びっくりしちゃうよ」

じゃあ今すぐにこの行為をやめればいい。
頭ではそう思うのに、体は裏腹に動く。
片手で口元を押さえ、もう片方は桃子の首回りへ。
一瞬だけ与えられた刺激を求めて、自然と桃子の太ももに腰を擦りつけるような格好になった。
そんな雅の行動を、桃子がどう受け取ったのかは知りようがない。

「みーやんは、せっかちだなあ」

からかうように、ゆるりと足の間を桃子の手のひらが前後する。
ショートパンツも、下着も、すべてが煩わしい。
ほとんど睨みつけるようにして桃子を見やると、意外なほど穏やかに微笑む桃子が見えた気がした。

「ちゃーんとさわってあげるから」

だが、ふっと息をする間に桃子の表情はころりと変化する。
そっと桃子が下りていく。前かがみになっているせいで、不意にゆるく開いた襟の合間から覗く素肌が気になった。
ついつい凝視しそうになって雅はぎゅっと強く目を閉じたが、まぶたの裏には先ほどの光景が鮮やかに焼きついていた。

742 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/23(月) 23:01:08.77 0

「は、あ、あぁ」

しゅる、とベルトがこすれる音が響いて、自分が何をされているのかを意識させられる。
力なく伸ばした腕は簡単によけられて、ショートパンツはあっけなく剥ぎ取られた。
ふふ、と桃子が笑いをこぼして、どうしたのだろうと様子を伺おうとしたことを、雅はすぐに後悔した。
それを見計らったかのように、桃子がにやりと笑って指先を動かす。
くち、という濡れた音がして、それはきっと桃子にも聞こえたはずだ。それに、きっと。

「あとで、きがえなきゃだね?」
「っる、さいっ」

言う必要のないことをわざわざ口にしてみせる桃子は、雅の反応を楽しんでいるようでもあった。
歯噛みする雅のことなど気にもせず、桃子が下着に手をかける。
思いのほか安定感のある腕に腰を抱えられて、するりと下着も奪われた。
あ、と声が漏れてしまったのは事故のようなものだった。

「もう、とろとろ」

すくい取られた液体が、桃子の指の間で糸を引く。
そんなもの、見せてくれなくていい。
さっと目を逸らした雅に対して、桃子はさも嬉しそうにくすくすと声を上げた。
すっとそこへとあてがわれた指先に、次にくるものを予期して雅は身を竦ませる。
けれど、その指先は雅の想像よりもずっと丁寧だった。

「ふ、あ、あぁっ」

どこまで緩慢な動作は、ただただいじわるで焦らしているだけではない気がした。
そうならばいいと思った。
体の中に降り積もっていくふわふわとした温かな欠片。
その名前を、雅はまだ知らない。

「んぁっ、ああぅっ」

いきなり差し込まれた異物感に、背中がしなる。
待ちわびていた刺激を手離したくなくて、きゅっと桃子の指を締めつける自分がいた。
お腹の奥が、熱くてたまらない。
たまりにたまった熱が、ぐるぐると体中をめぐっている。
どこにも預けられる場所がなくて、手のひらがシーツの上で暴れまわった。

「……みーやん?」
「んぅ、ぁ、はぁ……!」

空いている方の桃子の手を取ってしまったのは、ほとんど無意識だったと思う。
それでも、ちゃんと絡めてくれた温かさに、少しだけほっとして。
いい?と、今度はちゃんと桃子が尋ねてくれた。
それにどうにか頷きを返すと、あとはもう言葉は必要ない。

本当はもう、限界のはしっこが見えていたくらいにはギリギリだった。
桃子の動きが激しくなって、喉から漏れ出る声は自分のものでないようだった。
腰がゆれてしまうのを止められるはずはなかった。
胸を突き出すような形になって、それを見逃さない桃子の唇が新たな刺激を加えてくる。

「あぁ、も、んっ」

心臓が爆発しそうだった。
自分が自分でなくなりそうだった。
最後の最後までつながれた指先に力を込めると、同じだけの力で握り返されて。
ぷつりと糸が切れるように、全身がベッドに沈んだ。

743 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/23(月) 23:01:58.08 0


目を閉じると、拍動に合わせてまぶたが振動する。
しばらくそうしていると、徐々に酸素が体の中へと回ってきて、頭がはっきりとしてきた。
まだ少し重たいまぶたを何とか持ち上げると、桃子が何やら手にしているのが分かった。

「どうしよ、これ」
「……っ! ちょ、やめ」

桃子が握っているものをが何かを理解した瞬間、信じられない、という感情が湧き上がる。
慌ててそれを奪い返そうと体を起こしたが、急に動いたせいでめまいに襲われる。
そんな雅をよそに、桃子はのんきな声をあげた。

「拭いてもだめだよねえ、しみちゃってるし」
「い、いいってば! 返して」
「えー、でも」

さらに御託を並べようとしていた桃子から、それを奪い取る。
ついでに、ばーか、と吐き捨てるが、桃子にはどこ吹く風。
ひどぉい、という抗議もおどけた様子で、きっと形だけなのだろうと察しがついた。
それがひどく幼く聞こえて、雅は肩透かしを食らったように思った。
今までの時間が、まるで夢だったかのようにさえ感じられる。

「……もも?」
「んー?」
「なんでも、ない」

雅だって、先ほどの行為がどんな意味を持つかぐらいは理解している。それはもう痛いほどに。
その行為の最中、時に残酷なほどに剥き出しになって触れ合う心。
そこから流れてくる桃子の感情が、一体何を意味するのか。
その意味を想像してしまうのが、怖かった。
想像して、雅なりの答えに行き着いたところで、答え合わせをするのはもっと怖いだろうと思った。

そこに、たどり着けるのはいつになるだろう。
怖さを乗り越えた先に何があるのだろう。

あっさりとベッドを下りていってしまった背中を目で追いながら、雅はそんなことを自問した。


おわり。