雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 続・モモともも
347 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/22(木) 15:10:52.96 0

はあ、とため息が聞こえた——ような気がした。
や、だって。ももの目の前にいるのはインコだから。
ため息とか、つきようがないし。
でも、モモの前にいるインコ——もとい、モモはやけにうっとりとした表情(たぶんね、たぶん)をしているようだった。
かと思えば口笛みたいな鳴き声を立てて、ゆらゆらとご機嫌に揺れ始める。
一体何なの、この桃色の塊は。

「……どうしたの? ちょっと気持ち悪いんだけど」
『あ! ひどぉーい!』

パタパタとモモが羽ばたくたびに、柔らかな桃色の羽が宙に舞う。
いつかハゲたりしないかってちょっと心配になるレベル。
まあ、余計なお世話なんだろうけど。

「だって、今日のモモ変だよ?」
『失礼なー! いつも通りだもん』
「どこがよ……」

当の本人(鳥?)はどこ吹く風でカゴの中を行ったり来たりしている。
みやの前でならともかく、ももの前でモモがここまで機嫌の良い姿を見せたことはたぶんない。

「なんかいいことでもあったの?」

ももの問いかけに、モモはえへへ、というように目を細めた。
この反応は当たりってところかな。

『だってだって、すっごくキレイだったの』
「綺麗?」
『うん……おっきくて、キレイな緑の羽』

思い出すだけで嬉しくなるのか、ひょこひょこと上下するモモの冠羽。

『ね、ね、聞いてくれる?』
「やだって言っても喋るくせに」
『えっ!なんで分かったの?』
「いつものことじゃん……」

モモがみやの部屋にやってきてからというもの、どれだけモモのおしゃべりに付き合わされたと思ってるんだろう。
なぜか飼い主のみやじゃなくて、ももじゃなきゃモモの言葉が分からないっていうのも不思議な話だよね、本当。
ちょっと興奮気味に、カゴから出してと主張するモモ。
ここまでテンション高いとちょっと怖いんだけど、出さなかったら出さなかったで機嫌を損ねるからめんど、いや気難しいやつ。

「はあ……おいで」
『わあいっ』

カゴを開けてやると、勢いよくモモがももの手の甲に飛びついてくる。
もー!びっくりするんだってば!
もうちょっとゆっくり来てくれないかなあ。

「で? キレイな羽が何?」
『あのねっあのねっ、この前みやとお出かけしたの』
「あー、なんか言ってたね」

小鳥カフェだっけ?
最近、近所にできたとかで、ペットの小鳥も同伴可だからみやは早々にそこを訪れたらしいと聞いていた。

348 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/22(木) 15:11:42.59 0

みやは気に入ったって満足げに話してたけど、ももはね、まあ、うん、そのうち行くと思う。
みやが誘ってくれればの話だけど。
みやが誘ってくれたら絶対断ったりなんかしないけど。

『そこでね、ミヤに会ったの!』
「ミヤ?」

人間の方のみやじゃないよね。ってことは、カフェにいた小鳥の話なのかな。

『そう、ミヤ!お名前教えてくれたの!』

モモの話から得られた情報を元に、脳内で綺麗な緑の羽を持つ小鳥を想像してみる。
待って。その前に、それってインコとかそういう感じの鳥なの?

「ミヤって、どんな鳥?」
『インコだと思う! でも、モモよりちょっとおっきくって、すごくカッコよかったの……』

いやいや、モモより大きいってそれかなり大きいよね?インコじゃないよね?
ていうか現にモモも実はインコじゃないよね?
……みや達が行ったのって本当に小鳥カフェ?
ぐるぐるとももの中に浮かび上がる疑問をよそに、モモは聞いて聞いてと羽ばたいた。

『それでね、またねって言ってくれて』
「……よかったね」
『うんっ!』

人間だったら絶対きゃーって言ってそうな勢いで、モモは頭を前後に振る。
これはあれかな、人間でいうところの悶えてるって状態なのかな。
中学生とか高校生の頃に、憧れの男の子のカッコいい姿を思い出した時のような、そんなノリ。

『みや、また連れてってくれるかなあ?』
「連れてってくれると思うけど」
『また、ミヤに会えるかなあ?』
「……きっとね」

ももの言葉に、モモが安心したようにふわりと羽を閉じる。
何これ。本当に恋する女の子みたいな。
そんな熱量。

「モモってば、ミヤのこと気になるの?」

だから、ちょっとからかうつもりでそう言った。
モモが慌てる様子とかを、少しだけ期待して。
でも、思ったような反応はない。というより、無反応。

「……って、寝てるし」

話し疲れて寝るとか。モモって本当に勝手なんだから。
仕方ないなあって苦笑しながら、モモの柔らかな頭をそっと撫でてみた。
そろそろ、みやが帰ってくる時間。
今度のオフは、一緒に小鳥カフェ行きたいな。
おかえりの次にそう言おう。
そんなことを考えていると、タイミングよく鍵の開く音がした。

おわり。