雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 悩みは小さな胸の中
505名無し募集中。。。2017/12/05(火) 22:01:07.260

考えたところでどうにもならない。
だからひとつ、大きなため息をつく。

「なに、なんで鏡見てため息なんかついてるの」

桃子が訊ねてきても、雅は答えあぐねて黙っていた。
おまけにもうひとつため息をついた彼女を見かねて、桃子は雅を背中から包み込むように抱いた。

「なんかあったなら、ももに話してよ」

雅は鏡の向こうに映る桃子の目を見て、困ったように眉尻を下げた。

「何かあったわけじゃ、ないんだよね……むしろ、ないっていうか……」

そのしどろもどろで要領を得ない答え方のせいで、桃子の顔に疑問符が浮かんだのが、鏡越しにも見て取れた。
けれどそれも一瞬で、桃子は言葉に詰まった雅を急かすわけでもなく、その身体を優しく抱きしめていた腕にわずかに力を込めた。
たったそれだけのことなのに、熱い何かが身体の芯でざわめいて、雅は身体を強張らせる。
何かを期待するような感覚。
きっと、これははしたなくて、みっともないことなのに。
そう思って緊張した身体は、しかし、桃子によっていとも簡単に解されてしまうこともまた、分かっている。
だけど。
だけど。

「……ごめんっ」

雅は腕で自身を庇うように覆った。
桃子の体温が遠ざかるのを感じて、勢いで閉じた目を開けると、怒っているような、悲しんでいるような、悩んでいるような、複雑な表情がすぐそこにある。

「ち、違う! えっと……」

「無理しないで。何かあったわけじゃないんだったらいいよ」

完全に「拒否」の誤解をさせたような気がして、雅は慌てて桃子と膝を突き合わせて正座する。
ちゃんと、弁明しなければ。
桃子と肌を合わせるようになってからというもの、雅は最近になって今さらながらに、自分がいかに「女性らしくない」かをまざまざと実感させられていた。
モデルさんやヘアメイクさんなど、芸能界という華やかな世界で見かける女性たち。
匂いたつような艶やかさに、女性らしいしなやかな曲線と柔らかさ。
対する自分の色気のなさ。メイクや衣服で努力はしているものの、痩せ型のせいか曲線美や柔らかさとは程遠い。
特に、胸のふくらみのささやかさは、日を追うごとに悩みの種となった。
普段は特に気にもしないが、桃子に触れられるときばかり、気になってしまう。
むしろ桃子に慈しんで触れられるからこそ、気になり始めた。

506名無し募集中。。。2017/12/05(火) 22:05:58.910

「その……やっぱり世間的には相手の胸が小さいのは……嫌なのかな……みたいな……?あの、もも…も」

消え入りそうな声で告げると、桃子はこともなげに言った。

「みや以外としたことないからわかんないけど。ももと比較した方がいいってこと?」

「い、嫌に決まってるでしょ!」

比較、という言葉に反射的に言い返したものの、不安になって雅は「何でそんな意地悪なこと言うの……」と瞳を曇らせる。
桃子は俯きかけている雅の顔を上げさせて、笑顔で言い切った。

「なら何も気にすることないよ。相対的な話じゃなくて、絶対的な話でいいなら」

「え? それってどういう……」

何かよくわからないうちに、言葉で煙に巻かれて。
耳朶に口づけられて、その熱のために漏れた息さえも余さず奪われる。
肩から喉元へと滑る桃子の手はそのままするりとパジャマを肌蹴させ、肌の上を直に、そして自由に這う指先に、翻弄される。
熱く湿った吐息を交えて、幾度も肌に落とされる強い口づけ。
雅の吐く息も、もはや憂鬱なため息ではなく、熱と色を帯び始めて浅くなる。

「んっ……はぁん……」

どうしようもなく熱っぽい乳房を、未だ冷たさを残す桃子の掌が覆って、思わず雅は背中を撓らせた。

「こんなに可愛いのに嫌なんて思うわけないじゃん」

「……! きゃぁ! あ、あ……」

そのうちに、桃子の指を誘うように尖る、つるんとした胸の頂を弾かれ、摺られれば、雅は擦れた嬌声を上げることしかできない。
その合間に桃子はふと思い出したように、雅のすぐ耳元で囁いた。

「ホントかどうかは知らないけど……こう、しているうちに大きくなるって聞いたことある」

桃子は雅の背中を支えながら、ふわふわとした感触を楽しむようにふくらみ捏ねる。

「こう、って……やっ、あん……だ、誰に聞いた、の……そんな、こと……」

「それはおいといて。みやだって、さっきの話どこからなんだ、ってことになるでしょ」

雅のそれは、スタッフとの下世話な話のネタの中で、仲の良いスタイリストから聞いた情報ではあったが、確かにわざわざ告げる必要はない。
それよりも、むしろ気になるのは。

「でも、それって、や、やっぱり、ももも……大きい方が、いい、ってこと……?」

愛撫をやめない桃子の手に自分の手を添えてそっと押し留め、雅は訊ねた。
目尻の端に溜まるわずかな涙は、与えられた悦びと不安の両方を湛えている。
頬を滑る桃子の指の腹が雅の涙を拭い、

「何言ってんの。みやだから、いいんだよ」

絶対的で、圧倒的な言葉が降ってきたところで―――天地、逆転。
視界のすべてが桃子で占められる。
心地よい体温と重みに、悩みは解けて消え。
雅は幸せそうに、瞳を閉じた。