朝鮮学校無償化についてのウィキです。

西日本新聞社説(2010.11.20)

朝鮮学校 無償化適用は理念に沿う

文部科学省は、今年4月始まった高校授業料の無償化制度を朝鮮学校に適用する際の審査基準を正式に決めた。

具体的な教育内容は問わず、教員数や授業時間数など客観的な条件で審査するという。この基準に照らせば、九州朝鮮中高級学校(北九州市)など日本の高校生と同年代が学ぶ全国10校すべてが4月にさかのぼって認められる見通しだ。

高校無償化は、民主党政権が掲げる「教育費は広く社会全体で支える」という政策理念の象徴だった。「国籍を問わず、わが国で学ぶ生徒を等しく支援する」(高木義明文科相)とも唱える。私たちは、朝鮮学校を排除することは理念にそぐわないと訴えてきた。その意味で、今回の決定は妥当といえるだろう。

公立校の授業料は徴収しない。私立校には、世帯年収に応じて生徒1人当たり年額約12万―24万円の就学支援金を支給する。これが制度の仕組みである。

対象には高校、高等専門学校(1―3年)のほか、高校に類する課程がある専修学校や各種学校も入る。外国人学校は各種学校の位置付けで、欧米系のインターナショナルスクールなど大半は、すでに無償化の対象校に指定されている。

北朝鮮系の朝鮮学校の適用が先送りされたのは、本国と国交がなく、朝鮮高級学校が日本の高校に類する課程なのか、公的に確認できないのが理由だった。

このため、文科省の専門家会議が審査基準案を作り、それを民主党が了承して、ようやく基準決定となった。

議論を呼んだ問題だが、指定済みの外国人学校も教科書の記述など具体的な教育内容まで審査していない。やはり、扱いに差はつけられない−とする原則論に収まったということであろう。

ただ、朝鮮学校は北朝鮮の影響下にあるとして、無償化の対象にすることに根強い異論がある。与野党から「反日教育」を指摘する声が上がり、歴史教科書では、拉致事件を「日本が極大化」しているとするなど国際的認識とは異なる記述もある。「拉致問題で日本が軟化した、と北朝鮮に間違ったメッセージを送ることになる」との危惧(きぐ)も出ている。

 こうした意見を踏まえ、文科省は(1)教育内容に懸念がある場合は学校側に通知し、改善報告を求めることができる(2)支援金が授業料に充てられたことを証明する書類提出を求め、流用などあれば指定を取り消す−などの方針を示した。

 朝鮮学校には朝鮮籍、韓国籍のほか、日本国籍の生徒もいる。皆、ルーツを朝鮮半島に求めながら、現在も、これからも日本社会で生きていく子どもたちだ。温かく支援したい。朝鮮学校も社会に学校を一層開く努力をしてほしい。

 高校無償化は、もともと政治や外交とは無縁だったはずだ。また、学校への支援策ではない。手続き上、就学支援金は学校に渡されるが、本来は授業料の負担を軽減して、子ども一人一人の学びを支える制度であることを確認したい。

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