◆qqtckwrihのSSのまとめです。完結した作品および、新作告知、Wiki限定連載等を行っております(ハル SS Wiki)

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――――【 次の日 登校途中 】


ザッザッザッ……

乙女剣士「…うん、うちもダメだって」

魔法士「やっぱり?」

乙女剣士「お母さん、お父さんどっちにも怒られちゃった」

魔法士「…」

乙女剣士「…はーあ。折角やる気出したのに、これじゃあね」

魔法士「うん……」
 
 
 
乙女剣士「…」

乙女剣士「…夏休みって、来週…の末からだったよね」


魔法士「だね」


乙女剣士「…」

魔法士「…」 
 
乙女剣士「…」

魔法士「…」

乙女剣士「……抜ける?」

魔法士「えっ?」


 
乙女剣士「…どうせ、来年になったら私たちはいないかもしれないんだし」

乙女剣士「今、縛られて、貴重な経験無駄にしたくないっていうか……」


魔法士「…抜けるって、まさか」

乙女剣士「家出ごっこみたいなー」ニャハッ

魔法士「ええええっ!?」

乙女剣士「そ、そんな驚くこと!?」ビクッ

魔法士「だ、だって家出って!」

乙女剣士「…」

魔法士「…だ、ダメでしょそんなの!親が心配するよ!」

乙女剣士「…」


 
魔法士「…確かに、ダメだって言われたのは悲しいけどさ」

魔法士「危ないって思ってるって言ってるなら、それに従った方が……」


乙女剣士「…」

乙女剣士「はぁぁ……」ハァ

乙女剣士「…じゃあ、いいよ」


魔法士「うん、それが一番だよ」


乙女剣士「…」

乙女剣士「……じゃあ、魔法士」


魔法士「何?」

乙女剣士「当てたチケットって、今持ってるよね?」

魔法士「うん」

 
乙女剣士「ちょっと、見せて」

魔法士「いいけど、はい」スッ

乙女剣士「…」ペラッ

魔法士「名残惜しいけど、仕方ないよね」

乙女剣士「…ありがとう。」


魔法士「…」

魔法士「……えっ?」


乙女剣士「1枚は返す。1枚は元々貰える予定だったし、貰っておく」スッ

魔法士「ど、どういうこと?」

乙女剣士「…私一人で、夏休みの始まる前の夜に、隠れて出発するから」



 
魔法士「えぇっ!?」

乙女剣士「…私は、チャンスを得たらそれを無駄にしたくないの」

魔法士「ちょっ…!あ、危ないかもしれないじゃないか!」

乙女剣士「…冒険者となれば、危ないのは必然じゃないの」

魔法士「そ、そうだけど…!」


乙女剣士「それと実は、家にあった雑誌に、このチケットのことが載っててさ♪」

乙女剣士「行きと帰り、船の時間は今月頭からちょうど、夏休みが終わる時期まで自由乗船なんだって!」

乙女剣士「…おこづかいの少しもあれば、現地の宿にも泊まれるし、それで旅してくるっ!」


魔法士「…ほ、本気で言ってるの?」



 
 
 
乙女剣士「…本気」

魔法士「だ、ダメでしょそんなの!」

乙女剣士「…魔法士が本気でダメだっていうなら、元々チケットは魔法士のだし…返すけど」

魔法士「…」


乙女剣士「だけど、私は冒険者として生きたいって決めてるの」

乙女剣士「こんなチャンスは私にとってはないことだし、どうしても行きたいと思ってるから…」


魔法士「き、気持ちは分かるけど…。」

乙女剣士「…」

魔法士「…でも、一回あげるって言ったものだし…チケットはあげるよ」

乙女剣士「…いいの?」



 
 
 
魔法士「だけど、僕があげたって言わないでよ…」

乙女剣士「…」

魔法士「…それならいいよ」

乙女剣士「はぁ…」

魔法士「…溜息?」


乙女剣士「…ううん、ありがとう」ニコッ

乙女剣士「私一人でも、色々見てくるからっ!」


魔法士「うん。お土産楽しみにしてるよ」

乙女剣士「…」


…………
……



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――――【 数時間後 学校帰り 】


ザッザッ……


魔法士(う〜…。)

魔法士(…僕だって、本当は行きたいと思ってるよ)

魔法士(だけど、僕は親には出来るだけ逆らいたくないんだよね……)

魔法士(ずっと色々と面倒かけてきたしなぁ……)

魔法士(…)

魔法士(乙女剣士のやつ、自分勝手な所もあるけど、僕が弱いのも事実)

魔法士(えぇい、もうっ!なんでこんなことばっかり……!目の前の石もムカつく!!)ググッ…

…ゲシィッ!!

ヒュウンッ……!


魔法士(…へへ、石くらいなら遠くへ蹴飛ばせるんだけどな)


ヒュウウウッ……

ウゥゥッ……

…………ゴチンッ!!!


???「あいったっ!!」

魔法士「」


???「…誰だ、石を蹴っ飛ばしたのは!」クルッ

魔法士「す、すいません…!」

???「…」

魔法士「だ、大丈夫でしょうか!本当にごめんなさい!」

 
 
???「…謝るなら、まずは近くに来てからだろう」

魔法士「あっ…」

???「…」

魔法士「そうですよね…。今、行きます……」

タタタタタッ……


???「…」


タタタッ……ザザッ……

魔法士「…ごめんなさい」ペコッ

???「…うん、最初からそうしたほうがいい」

魔法士「うぅ……」

???「…」

 
 
魔法士(僕ってば、本当にツイてないなぁ……)

魔法士(…それに何なんだろ、この人。ローブっていうか、厚く羽織って……)

魔法士(顔も見えないし、それはそれで何だか嫌な感じ……)


ローブの男「…ツキってのは、良いことと悪い事がぐるぐる重なっていくうちの、時々に顔を出すんだ」

魔法士「…えっ?」

ローブの男「それに、顔を見せられないのには理由があってね。あまり顔出しが出来ない立場なんだ」

魔法士「…ど、どうして僕の考えが!?」

ローブの男「ははっ、そういう顔をしてたから」

魔法士「うっ…」

ローブの男「…正解だったかな?」

魔法士「大正解…です」ハァ

 
 
 
ローブの男「…溜息ばかりついていると、ツキもよってこないぞ」

魔法士「あう…」

ローブの男「ま、俺も言えた義理じゃないけどね。君に石をぶつけられたし」ハハ

魔法士「うっ…。ご、ごめんなさい」

ローブの男「…何か、あったのかい?石も蹴りたくなるぐらい、悪いこと続きとか」

魔法士「……ま、まぁ色々ありまして」


ローブの男「ふむ……」

ローブの男「君の格好、この王立都市の冒険学園の生徒だろう。それ関係で何かあったのか…な?」


魔法士「!」


ローブの男「…こっちも大正解だったりする?」ハハハ



魔法士「…せ、正解です。凄いですね、会ったばかりなのに全部当てられちゃうなんて」

ローブの男「ま、経験がものを言うのさ。これでも、冒険者として修羅場はくぐってきたんだ」

魔法士「…冒険者!?」


ローブの男「石をぶつけられたのも、何かの縁」
 
ローブの男「…俺も暇だし、近くの公園ででも良ければ話をしてくれないかな?」


魔法士「…あなたにですか?」

ローブの男「少なくとも、悪いアドバイスはしないと思うよ」ハハ

魔法士「…」


…………
……




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――――【 近くの公園 】
 
カァ…カァ……


魔法士「……っていうわけです」

ローブの男「へぇ〜…。なるほどねえ……」


魔法士(…どうして、見ず知らずの冒険者なんかに話してんだろう僕)

魔法士(はぁ〜…。胃が痛くなってくる……)キリキリッ


ローブの男「…」

ローブの男「…ははは、何か他人のような気がしないな」


魔法士「…へ?」


 
ローブの男「…かくいう俺も、実は似たようなクチでさぁ」

ローブの男「今は姿隠すことになって、こんなローブつけてるんだけど……」

ローブの男「昔、冒険者を夢見てたんだけど、親に反対されててねぇ……」

ローブの男「でも、俺は"冒険者の道しかない"って思って、」

ローブの男「それに着いてきてくれるって言った、幼馴染と一緒に世界を飛び出して……」ハハハ


魔法士「…そうなんですか!?」

ローブの男「うんうん」

魔法士「すごいや……。それに、本当に僕と似てる境遇なんですね……」

ローブの男「ははっ」


魔法士「…」

魔法士「その…。あなたのことは、お兄さん…って呼べばいいでしょうか」



ローブの男「うん、なにかな?」

魔法士「お兄さんは、反対してた親を振り切って世界へ飛び出したんですか?」

ローブの男「そういうことになるかな」

魔法士「こ、後悔はしてませんか?」

ローブの男「…ふむ、後悔?」


魔法士「ぼ、僕は単に、夏休みの間だけ親に無断で旅行みたいなことをするのを嫌だって思ってるだけですし。」

魔法士「実際に世界へ飛び出したのとは違いますけど……」

魔法士「その時飛び出して、後悔したのかどうかだけ…気になって……」


ローブの男「…」

ローブの男「…いや、違わないさ。」

ローブの男「君の今の気持ちは、俺が飛び出した時と一緒くらい…色々と複雑に悩んでいるんだろう」


魔法士「…!」

 
ローブの男「…っと、質問は違うものだったね」

ローブの男「後悔…か。」

ローブの男「それは、正直わからない。もっと違う選択があったのかもしれないし、別の人生もあっただろう」


魔法士「…っ」


ローブの男「だけど…ね」


魔法士「…はい」


ローブの男「…俺は少しでも興味を持った、持てたことが、それしかなかった」

ローブの男「だから、飛び出した。」

ローブの男「…怖かったけど、それは飛び出したら全部考え方が変わるんだよ」


魔法士「…変わるんですか?」

ローブの男「そうさ。例えば、そうだな……。突然、虫歯になって…猛烈に歯が痛くなったとする」

魔法士「は、はい?」

ローブの男「だけど、治療院に行って治療を受けるのは怖いと思う」

魔法士「ふ、ふむふむ……」

ローブの男「だけど…勇気を出して、治療院に行って…君は後悔するかい?」

魔法士「…治療途中が痛くても、終わってみれば、こんなことでこんなに楽だったなんて…思うでしょうね」

ローブの男「…そう!」

魔法士「!」ビクッ


ローブの男「最初は凄く怖かった。だけど、それと一緒で一度世界に出たら…そんな考えが吹き飛んだんだ!」

ローブの男「何かも楽しくて、何もかも新鮮でね!」


 
魔法士「……!」


ローブの男「高い場所から飛び込むのだって、たった一歩のこと。」

ローブの男「好きな女の子に声をかけるのも、たった一歩のこと。」

ローブの男「人生は一度きりなんだから、"その一歩"で満足を得られるかもしれないなら、やるっきゃないでしょ!」


魔法士「一歩、ですか……」


ローブの男「っと、だけどね…。」

ローブの男「これはあくまでも"一歩を踏み出した人間"の感想だってことは忘れずに」ハハハ


魔法士「…っ」


ローブの男「君の一歩も、凄く重いことは分かるよ。」

ローブの男「その人の苦しみは、その人にしか分からないし、当時の俺と一緒くらいに考えてたりするかもしれない」

ローブの男「とにかくまぁっ!俺のアドバイスはそんな感じ……かな」


魔法士「…」

魔法士「……あ、ありがとうございます。何か少し、考え方が変わりそうな…気がしますっ」


ローブの男「…うん、力になれそうならよかったよ」


魔法士「…」ペコッ


…タタタタッ

???「…」キョロキョロ

???「……あっ、魔法士?」


魔法士「ふえ?」クルッ

乙女剣士「……何やってるの、こんなところで?」

魔法士「あっ、乙女剣士」

乙女剣士「…公園でたそがれて、青春の一ページごっこ?」


魔法士「え?い、いや…。この人に人生相談的な……」

乙女剣士「この人って?」

魔法士「この人って、この人だよ……」チラッ


…シーン…


魔法士「…」

魔法士「……あれっ!?」


乙女剣士「…何言ってるのアンタ」

魔法士「い、いやっ!今ここにいたんだって!」

乙女剣士「幻覚じゃないの…」
 
 
魔法士「そ、そんなはず……!」


乙女剣士「…?」


魔法士「あ、あれ〜……」キョロキョロ
 

乙女剣士「…何がなんだか」


…………
……

 

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――――【 家の前 】

乙女剣士「それじゃ、また明日」

魔法士「うん、お疲れ様」


トコトコ……

……

…………ピタッ


魔法士「…あ、やっぱり待って乙女剣士」

乙女剣士「ん?」

魔法士「また怒るかもしれないんだけど、ちょっと聞きたいことがあるんだ」

乙女剣士「何?」

魔法士「…僕が、乙女剣士を誘った時さ、僕って…どんな顔してた?」

乙女剣士「…はい?」

魔法士「だ、だから……。乙女剣士を誘った時の表情だよ……」

乙女剣士「え〜…。顔って……」

……

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魔法士「乙女剣士、僕と一緒に冒険学園に入らない!?」

魔法士「えへへっ、付き合いも長いし、乙女剣士と一緒に世界に出れたら楽しいと思うんだっ!」

魔法士「…一緒に冒険しようよっ!」ニコッ

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……

乙女剣士「……ニヘラってしてた」
 
魔法士「…ニラ!?」


乙女剣士「に、へ、らっ!」

乙女剣士「笑顔ってこと!笑ってたってことっ!!」


魔法士「…あ、あぁ!」

乙女剣士「それと、少なくとも今みたく物静かじゃなかった」

魔法士「…」

乙女剣士「もっとこう、絶対進んでやるぞ〜っていう気合いがあったっていうか…」

魔法士「そ、そっかぁ……」

乙女剣士「…どうして?」



魔法士「…ううん、なんでもない。また明日ね」クルッ

ガチャッ…バタンッ……!


乙女剣士「…」

乙女剣士「…ど、どうしたんだろ」


………
……




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――――【 夜 魔法士の部屋 】

…ゴロン、ボフッ

魔法士「…ふぅ、やっと一息つけた」

魔法士「…」

魔法士「……そっか。僕、笑ってたんだなぁ」

魔法士「なのに、いつの間にか……」

魔法士「…」

魔法士「現実を知って、掌を見て、努力が無駄だって思って、冒険者が離れていくようで……」

魔法士「…っ」

 
 
…コツンッ


魔法士「…ん?」


…コンコンッ


魔法士(…窓を、誰か叩いてる?)


…コンコンッ


魔法士(……ここ、2階だよ!?)


コンコンコンッ……


魔法士(…………な、ななな、何っ!?)

 
…ゴンゴンッ!!


魔法士「…だ、誰かいるんですか!?」


……ゴンゴンゴンッ!!


魔法士「だ、誰ですか!魔獣ですか、人ですか…!!」ビクビク


???「…俺だよ」


魔法士「お、俺って誰ですか!」


ローブの男「…夕方の、オニーさんだよ」ハハハ


魔法士「!?」
 
 
 

……
………… 
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…ストンッ

ローブの男「いやー、参った参った。有難うね」ハハハッ

魔法士「ど、どうしてここに……」

ローブの男「ま、色々あってね。さっきは消えちゃって悪かった」

魔法士「あ、いえ……」


ローブの男「…それより、夕方の話。」

ローブの男「君、もしかしてだけど……行くつもりになったりしてないかい?」


魔法士「えっ!」

ローブの男「いや、行くつもりというか……。少しずつ、心が揺らいでいるっていうほうが正しいか」

魔法士「…全部、見透かされてるんですか?」

ローブの男「はっはっは、冒険者たるもの心理を読まないとね!」



魔法士「す、凄いですね…」

魔法士「でも、どうして僕にそこまで……」


ローブの男「旅は道連れ世は情け。」

ローブの男「俺と一緒くらいの年齢で、同じような境遇の君を、どうしても見過ごせないんだよねぇ…」ポリポリ

 
魔法士「…そういうことですか」


ローブの男「まぁ、そんなワケ。それより実は俺、今日中に王都から離れないといけないんだ」

ローブの男「それで、最後に君が気になって、迷惑ながらこうして訪れたって次第さ」


魔法士「…」

ローブの男「…ま、行くか行かないかは君次第だし、俺がこれ以上どうこうは言えないけどさ」

魔法士「お兄さん…」

ローブの男「…君の眼を見て安心した。どっちを選んでも、君はこれからしっかりやれるよ」

魔法士「…!」

ローブの男「じゃあ、俺もそろそろ出発しようかなぁ」


 
魔法士「…もう行くんですか?」

ローブの男「あぁ。時間はあっという間に過ぎていくからね……」

魔法士「…」

ローブの男「俺も時間が勿体ないし、さぁて……と!転移術で失礼するよ!」パァァッ

魔法士「じ、上級魔法の転移術を扱えるんですか!?」

ローブの男「ははは、熟練の冒険者様は、何でも使えるんだ」パァァァッ!!

魔法士「ま、待って下さい!せめて、名前を……!」

ローブの男「…いずれ、分かるさ」ピカッ!!!

魔法士「ちょっ、待って下さ……!」


…バシュウンッ!!…

キラキラキラッ……


魔法士「……っ!!」

魔法士「…」

魔法士「!」ハッ!


…シーン…


魔法士「きっ、消えた……!」
 
…キョロキョロ

魔法士「凄い、本当に転移術魔法を……!」

魔法士「あの人、実はすごく強い人だったんだ……」

魔法士「…」
 
魔法士「…」

魔法士(……なんだか、色々あって疲れちゃった)フワァ

魔法士(なんか、不思議なお兄さんだったな……)



魔法士「…とりあえず、今日は寝よっと」フゥ


…………
………



 
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――――それから。

不思議な男との出会いはあったものの、そこから数日、魔法士は夏休みまで変わりなく過ごしていた。

しかし、あの冒険者の言葉と、奇妙すぎる体験は確実に魔法士の心へと響いていたのか、

魔法士の心の奥には、幼い頃に思い描いたわずかばかりのある"気持ち"が沸々と湧き上がっていた…。


そして、わずかばかりの時間は流れ、いよいよ夏休みの前日。

……そう。乙女剣士が、親に内緒で北方大地へと旅立つと言っていたあの日である――――



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