パズル＆ドールズ攻略Wiki

誰も見ていないとはいえ、
いや、一部の人間にも犬にも
しっかりと見られていた気はするが、
とにかく全裸で逃走するのは悪目立ちする。

違う意味で悪目立ちしていた気もするが、
今更考えても仕方がない。

とにかく、和花のマンションに
たどり着けたのは奇跡としか言いようがなかった。

何とか彼女の部屋に入った時には、
もう二度とこういう逃走はすまいと
お互いに固く誓い合った程だ。

そこで彼女はまたナース服に着替えて来た。

その方が落ち着くからだと言うが、
突っ込む時間は残されていない。
仕方なくその格好に承諾した。

彼女はナース服、俺は全裸。
一体何の罰ゲームなんだと言おうとしたが、
にっこり笑った彼女は、
懐から俺の着替えを取り出した。

毎度の事ながら、ナース服には
何かを隠せるだけのスペースは全くない。

にも関わらず彼女は何かをそこから取り出す。
一体懐には何が隠されているのか
いつか、問い正したいと思う。

だが、このままここでじっとしてはいられない。
彼女のマンションは当然ながら足が付く、
だから荷物を纏めてまずは移動を開始した。

マンションの外には既に野次馬が溢れていた。
どこかで大爆発があったらしく、
空を赤く染める光の方に全員の目が集中していた。

何が原因で爆発が起きたのか、
どこが爆発をしたのかは当然知っている。

だが、野次馬連中には情報がない、
だから食い入るようにその方向を見ている訳だ、

それが幸いして、俺達が誰かの注意を引く事はなかった。

目指す場所は決まっている。

こういう厄介毎を持ち込むのなら、
ドールショップ以外にはない。

快く受け入れてくれるのかどうかは怪しいが、
和花の親友についてはドールショップ側にも
思うところがある筈だ。

だったら彼女を受け入れる可能性はゼロじゃない。

それに賭けるしかなかった訳だが、
俺の心配をよそに、
俺達がドールショップに着いた途端。

何故か俺だけが入り口で待たされ、
和花は杠葉に連れられて奥に行ってしまった。

本当ならこんな時間に誰も居る筈がないんだが、
何故か今日は奥のカフェに電気が灯されていた。

恐る恐る覗き込んで見ると、
秋津川咲希を中心に、
複数の少女達が何かを話し合っていた。

俺の所に相談が持ち込まれない限り、
そっとしておいた方がいい気がしたのは、
気のせいじゃないかも知れない。

それについては相談されてから考えよう。
そう思ってカフェからショップの入り口に
戻って来た時、ちょうど杠葉が俺の所にやって来た。

何でも今日は街の外にいる支援者達と
オーナーの間でテレビ会議が行われているらしい。

そこに和花がやって来た訳だが、
彼女が何をしたのかは詳しく聞いていない。

だが、モニターの向こうにいる老人達は、
ある部分にかつてないパワーをみなぎらせ、
満場一致で彼女を迎え入れることにしたそうだ。

ドールショップ所属の専属看護師。
それがこれからの彼女の立場になる。

そこで会議が終了したそうだが、
オーナーはいつの間にか消えていた。

和花の姿も消えていたので聞いてみた所、
オーナーに連れられて夜遊びに出かけたそうだ。

ま、オーナーと一緒なら多分大丈夫だろう。

それにしても、結局俺はまた、
オーナーの顔すら見ることが出来なかった訳だ。

いつかその内顔を合わせる事があるだろう。
どんな顔をしているのか、
その時にじっくり拝ませて貰えばいい。

今はとにかく拠点に戻って眠りたい。
考えれば監禁されてから一睡もしていなかった。

色々な事があり過ぎた。
そろそろ体力も限界に近い筈だ。

和花の親友、花梨は俺の居場所を知っている。
放っておいても必ずやって来る。

だが、何故か不思議と戦いの予感がない。
いや、戦う事にはなるだろうが、
殺し合う事にはならないだろう。

そんな考えが頭に浮かんだ。

それは俺の考えなのか、あるいは……

考える必要はなかったな。

全ては花梨と出会えば解る事だ。

それまでは寝よう。

今回は本当に疲れた、色んな意味で。