コラム
私の過去の実務経験からですが、「過払い金の発生率」について話してみたいと思います。
よく債務整理相談や前段階の電話相談等でよく聞かれることが「過払い金はどのくらいの額が発生してますか?」「この債務はどのくらい減りますか?」相談者のお気持ちはたいへんよくわかりますが、「○○円発生してます」とか「○○円減額されます」といった確定的な回答はできないのが実情です。
なぜなら、取引の貸し出し金額、返済の金額、借りた日付、返済した日付、その頻頻度、取引期間等の要素によって減額の金額や過払い金額の額が変動します。取引履歴の約定利息(貸借の契約で決められた利息)ヲ利息制限法に基づいた上限利息を引直の計算により算定された金額は、上記の要素により確定することになるので、単純に取引期間や約定利息だけの要素で○○円と予測することはできません。
説明が杓子定規になりましたが、ある程度の取引頻度、1回の借入額があるという前提条件で取引間によってどのくらいの過払いがでるかの予測はできます。
私の過去の経験データから、概ねですが下記の発生確率がひとつの参考になるとは思います。尚、飽くまでも過去のデータによるものであり、必ずしも定型的にこのとおりにならないケースも多くあることを御理解ください。
取引期間 4年未満 ほとんど発生しない
4−5年 4、5万円〜12,3万円
5−6年 10万円〜30万円
7年 15万円〜50万円
10年 20万円〜100万円
15年 30万円〜200万円
20年 200万円〜400万円
取引開始から利息制限法以内の利息の取引(銀行ローンや銀行系カード会社、一部信販系や住宅金融公庫等の利息は制限法内利息)で取引している場合については過払い金は発生しません。
また、取引途中から約定利息が利息制限法の上限利息以下に下げられた場合については、発生額も上記よりも低くなります。
過払い金発生の原理
過払い金とは法律上の支払義務がないにもかかわらず、貸金業者に払いすぎた
金額です。
金銭の貸付については利息制限法という法律で利息の上限が15〜20%と定めら
れています。多くの貸金業者は利息制限法の上限を超えた貸付をしていましたが、
法律上は利息制限法を超えた利息を受け取ることはできないわけです。
利息制限法を超えた利息を支払っている場合で、支払いすぎた金額が借入金の
元本を超えた場合、その超過部分については法律上「不当利得」といって支払っ
た人に返還しなければなりません。
利息制限法を超えた利息の借り入れをしている場合で、5年以上の取引期間がある
場合は、過払い金が発生している可能性が高くなります。
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