コラム
自己破産を申し立ててそれが認められた後、過払い金があることがわかりました。
果たして過払い金の返還は可能でしょうか?この事案を解説するために、まず自己破産について解説します。
自己破産とは、自分の資産(一定額以上の預貯金、不動産、自動車等)」をすべて破産財団という財団に管理換えし、そこで,換価(売ってお金に代える)して、その金額を債権者に公平に配当していく手続きです。
ですから、本来過払い金というのは破産申し立て者の債権ですので、換価して債権者に配当するのが原則です。(現実には、申し立て代理人の弁護士や、代書人の司法書士が報酬として(破産申立共益費用として)返還された過払い金から受領するケースが多いですが)
そして、破産申立者は「免責」といって、負債が原則ゼロになります。(借金帳消しとなります。国税等一部の債権は消滅しません。)
しかし、破産申し立て当時、なんらかの理由で「過払い金」の存在することがわからなかった場合はどうなるのでしょう?
結論から言うと(時効により消滅していなければ)過払い金の返還請求はできると考えて良いでしょう。下級審判例ですが返還請求を認めた判決が出ています。破産免責決定後の過払金返還請求を認めた判決として東京高裁平成15年4月14日判決(法ニュース60号114頁)や仙台高裁平成17年5月25日判決等があります。
破産申し立て当時、過払い金の存在がわからなかった場合は、当然ながら破産財団には組み入れられていません。(破産申し立て者の債務は、財団として構成されるか、裁判所の調査の後資産なしとして同時廃止処分になります)
よって債権自体は破産の効果による)消滅にはなっていません。また、特に意図的に債権を隠匿しているのでない限り、債権の行使はできるとする見解です。
しかし、意図的にまたは、知っていて過払い金のことを届けせず、隠匿していた場合は財産隠匿として
執行免脱罪となる場合もあります。
意図的に届け出ていない場合に返還請求不可と判事した判例(平成15年高裁)があります。
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