外題 | 絵本太功記 尼ケ崎の段 |
読み方 | えほんたいこうき あまがさきのだん |
作者 | 近松柳、近松湖水軒、近松千葉軒 |
初演 | 寛政十一(1799)年。豊竹座。 |
- 概要
ただし、主人公は豊臣秀吉ではなく明智光秀であり、光秀が本能寺の変を起こす直前から山崎の戦いで秀吉に敗れ、小栗栖で落ち武者刈りにあって落命するまでを描いています。
特に十段目の『尼ケ崎の段』が好評なため、この段を『太十』と呼んでいます。文楽・歌舞伎・地方人形芝居を問わず度々公演されています。
相模人形芝居を始め、地方の人形芝居ではこの『尼ケ崎の段』をさらに前後に分けて上演しています。
- あらすじ
武智光秀の母さつきは、主君小田春長を殺した光秀を許さず、尼ケ崎に引き籠もり一人暮らしをしています。そこへ光秀の妻の操と十次郎の許嫁の初菊が訪ねてきます。二人は十次郎の初陣の許しをもらいに来たのでした。
そこへ旅の僧が現れ、宿を請います。この様子を外から光秀が伺っていることに気付いたさつきは、僧に風呂を沸かすように勧めます。
やがて、十次郎が初陣の挨拶にやってきました。もとより十次郎は討ち死にを覚悟していますが、母・祖母・初菊を想うと心が塞ぎます。そこへ初菊は思い止まるように泣いてすがりつきます。十次郎は思いを断ち切るように、初菊を叱りつけ出陣の準備をさせるのでした。
そんな十次郎に、さつきは出陣祝いを兼ねて初菊との祝言をあげさせます。三々九度を交わしたのも束の間、十次郎は攻太鼓の音を聞いて颯爽と出陣していきました。振り切られた初菊は泣き崩れ、さつきは十次郎の心中を察して心残しのないように祝言をあげさせたのだと胸の内を明かしました。やがて旅の僧が風呂が沸いたことを知らせに来ましたが、さつきは僧に先に入るように勧めるのでした。
家の外では隠れていた光秀が姿を現します。旅の僧を実は真柴久吉と見定めている光秀は、竹槍を作り、旅の僧がいる風呂場に突き刺します。ところが上がる悲鳴は女性の声。「合点行かず」と引き出してみるとなんと!刺したのは母のさつきではありませんか!
仰天のあまり呆然とする光秀に、さつきは「主殺しの天罰」と光秀を厳しく責めます。妻の操も光秀の非を攻めて改心を迫ります。
しかし、光秀は自らの正当性を主張するばかりで聞く耳を持ちません。
- 見どころ
- 登場人物
よみかた | たけち みつひで |
種族 | 人間 |
職業 | 武士 |
立場 | 主人公。妻に操、母に皐月、息子に十次郎光慶がいます。モデルは明智光秀。 |
筋力 | ★★★★★(大変強く優秀な武将です。) |
敏捷力 | ★★★★★(猛スピードで走るシーンがあります。) |
耐久力 | ★★★★★(とても強くて丈夫そう。鎧を着て防御力もアップしています。) |
知力 | ★★★★(高い教養を持っています。) |
判断力 | ★★★(主君を殺したのはやっぱり間違いだったのではと・・・。) |
魅力 | ★★(森蘭丸に鉄扇で打たれた向う傷があります。) |
武智十次郎光慶
よみかた | たけち じゅうじろう みつよし |
種族 | 人間 |
職業 | 武士 |
立場 | 光秀の孝行息子。颯爽とした若武者だが、真柴軍を迎え撃って深手を負い、尼ケ崎で息絶えることに・・・。 |
筋力 | ★★★★(父に負けない優れた武将です。) |
敏捷力 | ★★★★★(いざ出陣!となった時の身のこなしは素早いものです) |
耐久力 | ★★★(若いですが、戦に敗れ深手を負うと皐月よりも先に亡くなります。) |
知力 | ★★★(若いですが父譲りの教養はありそうです。) |
判断力 | ★★★(少し頑なですが、初菊を想うが故の振る舞いです。忠義や孝行には逆らえません。) |
魅力 | ★★★★★(初菊が惚れ込むのも当然のイケメン男子です。) |
初菊
よみかた | はつぎく |
種族 | 人間 |
職業 | 姫 |
立場 | |
筋力 | ★(十次郎に鎧櫃を持たされていますが、重くて持ち上げられません。) |
敏捷力 | ★(どうにも育ちの良いお姫様で、素早い動きは苦手です。) |
耐久力 | ★(期待しないでください。) |
知力 | ★★★(育ちの良さから少々の教養はありそうです。) |
判断力 | ★★(とにかく十次郎LOVE。十次郎のことを想うと体が先に動きそうです。) |
魅力 | ★★★★★(こんな可愛い初菊をおいて戦場へなど・・・十次郎は罪作りですね。) |
最新コメント