ラグライナ帝国は、ウネピの戦いの後、更に進軍を進めてシチルにまで到着した。
しかし、シチルは守りやすい土地で、自然の大河と、人為的に彫られた空堀が何重もの外壁の役割を果たし、ラグライナ帝国軍は、包囲はしたものの、攻められずにいた。
長期的なにらみ合いとなり、両軍共に焦りだした将があらわれ、ラグライナ帝国では手柄をあせった将軍が、「共和国戦線でも将軍の勝手な判断で戦端が開かれた、われらにも可能だ」と言い、命令を無視してシチルに攻撃を開始したが、エアード、成瀬風華によって壊滅させられる。
そのクレアムーン軍においても、この勝利に勢い付き、こちらから討ってでるべしと主張する武将位をなんとかなだめる状態であった。
こうして、両軍の焦りが最高潮になった2周期5日目、ひそかに命令を受けていた紅による工作作業が完了する。
彼女は帝国軍の軍勢の陣にカモフラージュされた場所から穴を掘り、外堀と付近を流れる川を繋ぎ、貫通寸前で作業員を下げて爆薬を仕掛け、一気に堀と川を繋げた。
これにより、川の水は次々と空堀に流れ出してしまい、何ヶ所もの浅瀬が作られた。
もちろん、それだけでシチルがすぐに落ちるわけではなく、全軍に落ち着くように命令したクレアムーン軍だが、兵士達の心理的ショックは大きく、そこにこれもまたひそかに用意されていた土嚢部隊が残された堀を埋めていく。
クレアムーン軍は、土嚢部隊に攻撃を仕掛けようとするが、それを待っていた帝国軍が、一斉にシチル攻撃を開始、2周期10日目に両軍は激突した。
外堀を埋められたシチルだが、クレアムーン軍の必死の抵抗もあり、ラグライナ帝国軍の総攻撃を撃退した。
更に、その日の夜にエアード、成瀬風華による夜襲部隊が、ラディスの帝国軍本陣に襲い掛かり、攻撃側であった帝国軍が撤退することとなる。
だが、ラディスもすぐさま軍勢を建て直し、3周期12日目に再びシチルに向かおうとするが、防壁を失ったシチルをこれ以上死守することは不可能と判断したクレアムーン軍は、既に将兵、民衆を引き連れて、シチルから撤退していた。
ウネピに続いて、シチルも「領土は手に入れたが、クレアムーン軍そのものは健在」という戦いに終わる。
これは、月風麻耶の提唱した「帝国軍を領内にまで引き入れて、退路を断って壊滅させる」という基本戦略がまだ生きていた証拠である。
しかし、その作戦が陽の目を見ることはなかった。
次々と領土が奪われてくことに危機感を感じた神官たちによる聖都の変が勃発し、月風麻耶は歴史から姿を消し、クレアムーン軍は、神官を討つために急遽ラグライナ帝国軍と一時和睦を結ぶ。
こうして、月風麻耶の壮大な戦略図は、ついに実現することなく幻のまま終わりを告げ、クレアムーンは帝国軍に唯一勝利の可能性があった戦いを放棄、以後は帝国内乱戦争が起こるまで、ただひたすら滅亡を先延ばしする戦いに追われることとなる。
これは、月風麻耶の提唱した「帝国軍を領内にまで引き入れて、退路を断って壊滅させる」という基本戦略がまだ生きていた証拠である。
しかし、その作戦が陽の目を見ることはなかった。
次々と領土が奪われてくことに危機感を感じた神官たちによる聖都の変が勃発し、月風麻耶は歴史から姿を消し、クレアムーン軍は、神官を討つために急遽ラグライナ帝国軍と一時和睦を結ぶ。
こうして、月風麻耶の壮大な戦略図は、ついに実現することなく幻のまま終わりを告げ、クレアムーンは帝国軍に唯一勝利の可能性があった戦いを放棄、以後は帝国内乱戦争が起こるまで、ただひたすら滅亡を先延ばしする戦いに追われることとなる。
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