セルレディカの次女。
母の優しさを受け継いだ
ルディとは対照的に、父の激しい性格を受け継いだ娘。
激しい権力志向があり、
ルディの彼女を思っての労りの言葉も、ことごとく敵意としてしか受けられなかった。
幼いころより戦場に立つことを懇願し、1253年
レヴァイアの乱でようやく戦場へ同行することが許される。
1255年の
シュツットガルド併合では、総指揮官として
ラディス、
カレン、
グレイアス、
紅、
イリスを支配下とし出陣した。
この戦いは、勝敗は最初から帝国軍が圧勝することがわかりきっている戦力差によるものであったが、
セルレディカは、
ルディに帝位を継がせて帝国の繁栄を担い、セリーナには軍権を与え外敵と戦うという、自分の役割を姉妹それぞれに分担して継がせようという思いがあって、セリーナに経験を積ませるための抜擢であった。
だが、その
セルレディカの真意は、セリーナの「ルディ姉様ではなく、自分だけが父に認められた」という歪んだ愛情の独占欲によって違う意図で受け止められていく。
1257年2周期、
セルレディカ崩御後、権力を持つことに躊躇う
ルディを見ると、彼女が帝位継承の儀式として神殿に篭っている間に、自分の派閥を操って皇帝の証である「
リングオブクラウン」を奪取。
父と同じ鎧を身に着けると、自ら帝位についた。
ルディ本人は、セリーナに帝位を譲ることも考えていたが、彼女の派閥がそれを許さず、
帝国内乱戦争が勃発し、1258年
ハルバートの戦いで、
ルディと直接対決する。
この戦いは勝利を目前としながら、
ミナが流した「
キリカが帝都で反乱を起こした」という偽情報により、セリーナは撤退。
この戦いで受けた損害は大きく、セリーナは軍備の増強を決意するが、そのやり方は早急で、民衆からの搾取に頼った。
更に、これ以後も国境に次々と部隊を投入するが、防衛に徹した神聖帝国軍に比べて、ひたすら攻撃を貫いた
ラグライナ帝国軍は疲弊の連鎖状態となる。
本来なら、
セルレディカの後を継ぐほどの素質をもっていたといわれているセリーナだが、その素質を開花させるより先に暴君への道を歩みだし、民衆はセリーナに対する怨嗟を持ち、それを敏感に察したセリーナは、反乱罪で次々と粛清を繰り返すという悪循環に陥っていた。
また、
ハルバートの戦い以後、
キリカとの溝は深くなり、事あるごとに
キリカを叱りつけていた。
それらの状況を最大限に利用した
ミナは、まず
ラディスに帝国再統一を示唆、彼女の性格から、正面からセリーナに進言するだろうと読み、実際
ラディスはそう動いてセリーナの怒りを買い投獄された。
こうして、
ラディスを「囮」として動かしながら、水面下で「本命」である
キリカがセリーナの留守を狙って
リングオブクラウンの奪取と
神聖帝国軍を招き入れるという反乱を実行。
セリーナにこの報告が届き、彼女は一旦後方の都市への移動を考えるが、それより先に
ミナが放った追手に捕われる。
しかし、暴君と化したセリーナの搾取に苦しめられた兵士達は、セリーナは帝都に送られれば処刑されるのだろうと勝手に判断し、セリーナに私刑を下した。
その後、セリーナは
紅に救出されるが、兵の仕打ちを「ルディの命令」と判断したセリーナは、
ルディに深い恨みを抱いて潜伏する。
以後は
紅と共に
暁の守人を使って
ラグライナ帝国、
ガルデス共和国、
クレアムーンが互いを恨み、戦い続ける様に様々な裏工作を行い、1259年4周期の
カルディアの戦い、5周期におきた
ゴゥド急死に関与されたと言われている。
1259年7周期、
ルディと
レディスの和平会談が計画されるが、
レディス暗殺未遂事件により会談は頓挫、
キリグアイの戦いが勃発することとなる。
この戦いで
イリスが戦死すると、私邸に細工をしてこの戦いの原因が彼女にあったということにして、更なる
ガルデス共和国の怒りを誘う。
(ただし、本当に
イリスが犯人だったという説もあり、その場合、濡れ衣を着せた相手が偶然にも真犯人だったということになる)
また、セリーナの謀略を妨害し続けた
ミナを捕らえ、報復の私刑により半殺しの目に合わせると、あえて解放してその姿を
ルディに見せることで精神的ダメージを与えるという、サディストにも似た冷酷な手を使った。
しかし、最期は潜伏していた所を
ミナの策によって居場所を知られ、
オーディスが指揮する追撃隊に追い詰められ、脱出が不可能と悟ったセリーナは、
紅に自らを突かせて散る。
紅がその後の機転により、火薬を使い潜伏場所の洞窟ごと吹き飛ばした為、セリーナの遺体は発見されず、
ラグライナ帝国は、その後もことある事にセリーナの亡霊に怯え続ける事となった。