The"BellKnight series"

「やれやれ面倒な事になった」

髪の毛を乱雑に結びながら漆黒の闇の中を女性が進む
漆黒の魔王の力によってこの世界に朝と昼は存在しない
太陽は輝く事をやめ静かに瞳を閉じた
一日中漆黒に包まれたこの世界に存在する光は
世界を照らすもう1つの存在 "月" のみだ

……漆黒の魔王
彼はかつて世界を同じ様に漆黒に包み、
最後の光である月を破壊する為月へと渡った

「これで月の女神も
 うかつに手を出せないはずだ」

見るからに王様の椅子と分かる台座に腰掛け
右手で頬杖をついて漆黒の魔王が言う

「もう邪魔はさせん」

漆黒の魔王は世界を闇に包む為に月に渡った
しかし月で彼を待っていたのは
自分自身の力をさらに超える力、壁だった

"月の女神"
その眩い力は瞬く間に漆黒の魔王から闇の力を削ぎ取り
彼の力を無へと帰した
漆黒の力を奪われた漆黒の魔王は
何もできないままその身を月へと封印されてしまう

あれから数百年、
何度も煮え湯を飲まされ悔しい思いをした
そんな中虎視眈々と、長く……本当に長く待ち続けた好機

漆黒の魔王は月から見事に逃亡を果たし
再び世界を闇に包み込む為にこうして世界へと繰り出した

「月の女神は確かに強い、
 だが奴には限界がある」

一度は絶望した漆黒の魔王だが
塞ぎこむ彼に一筋の光が指した

"月の女神は月を離れられない"

「ハッハッハ!
 漆黒の魔王である俺に
 一筋の光とはまた笑わせる」

台座に腰掛けながら
赤いワインを一口飲むと小さく呟いた

「月の女神、この勝負…俺の勝ちだな」


再び闇の中

「やれやれ面倒な事になった」

「さっきも聞いた」

女性が静かに囁いた

「そうだっけ?」
「あぁ」

闇の中を走る
たった一人の女

「カサシスク、敵だ」
「見えている」

女の前に漆黒の魔王が生み出した魔物が行く手を塞いだ

「アメリィ、敵を殲滅する」
「分かった」

女性が体を翻した刹那、
金色に光り輝く剣で彼女は敵を一閃した

漆黒の中で金色の剣閃だけが光を放つ

束ねられた金色の髪が印象的な女性
名前をカサシスクと言う
そして彼女がアメリィと呼んでいたソレ
名前をアメリィと言う

カサシスクは月の女神によって
漆黒の魔王討伐の命を受け
この地へと派遣されたルナの騎士

そしてアメリィは
カサシスクの愛用する月の聖剣
"意思を持つ剣" "アメリィブレイカー"


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